ラグジュアリークルーズの最高級ブランド.1

クリスタル・セレニティのプライベートダイニングはワインが主役

アメリカのクルーズ人口も、この事業プロジェクト検討開始の時期(1987 年)の 288 万から、今や 1,100 万人にもなり、クルーズ客船の船型も大型化の一途で、23 万 トン、船長 360 メートル、乗 船客 6 千人を乗せる船(ロイヤル・カリビアン社(RCI) Oasis of The Seas (2009 年就航)や姉妹船 Allure of the Seas (2010 年末)が就航しました。

このような拡大し続けるアメリカのクルーズ業界においても、クリスタル・ クルーズは、そのラグジュアリーマーケットのクルーズ客船社として、圧倒的な地位を維持し続けてきたのです。

創業以来30年、アメリカの旅行業界やクルーズ愛好家の中ではクリスタル・クルーズといえば、ラグジュアリークルーズと連想がなされるようなクルーズ旅行商品としてトップブランドとしての定位置を維持してきたのです。

クリスタル・クルーズの 30年間の足跡の中で、多くの不幸な事件にも遭遇した。就航間もない船上での火事もありました。2001年9月11日アメリカ同時多発テロ(9・11)がアメリカ観光業界に大打撃を与え、 クリスタル・クルーズも大きな影響を被ったのです。

フランスの造船所の工期遅延の結果、予約客へのクルーズ料金の全額返済と言う事態も経験したのです。湾岸戦争やイラク戦争など国際政治の急変の急変 に翻弄され、 SARS、鶏インフルエンザなどの変病で大きな影響も受けたのです。

一方で、ベルリンの壁や、ロシア東欧圏の開放や中東におけるオスロ合意など、政治が新しいクルーズの世界を広げてきた現実も認識する必要があるのです。

しかし、これらの変化や出来事を、その時々の果敢な対応で、呑み込みながら、クリスタルクルーズのブランドは、クルーズゲストの間で、年に数回も乗船するようなコアー・リピーターのみならず、代理店など販売網の支持を得て、認知度を高めることができ、最高級ブランドとしての不動の地位を得ることができたのです。

今、私なりに振り返ると”ゼロから始めた新会社”による”新造船の投入など、当時の業界の常識からすれば、”無謀”と言われた構想でしたが、このプロジェクトの企画段階から、このクルーズビジネスは人と人とを繋げることを対象とする位置付けが、日本郵船本社と運航会社であるクリスタル・クルーズ との間で共有されていたのです。

マーケットに聞く姿勢が貫かれていたのです。

その実績のない、白紙から始める会社にとって、各種の調査を通して、マーケットを絞込み、その上で、サービス・プロバイダーであるクルーズ客船社と販売網である旅行代理店などの棲み分けが明確なアメリカ市場において、マーケットの形成に最も影響力 の有ると思われる販売網を味方に付けることが出来たのです。

その絞り込んだ市場にあわせて市場優先でクルーズ商品を構築する手法が上手く行ったように思われたのです。クリス タル・クルーズ)側と販売網の共創効果が十分に発揮されたようです。

当初の計画は、日本郵船本社が描く主観的な感覚やイメージをもとにした「太平洋客船会社」構想、「日本郵船が建造する新造船と新会社を中心において、クルーズ船社が起爆剤となって、日本でのクルーズ船客を創り出したいと言う強い願望を抑え 現実に顧客の存在するアメリカのマーケットを、この事業推進の主戦場に選んだのです。

そこには、日本 マーケットの置かれたビジ ネス環境の改革やその先に存在する船客への啓蒙体制の整備に期待しながらも、時 間が掛かるとの判断でもあったのです。マーケットが存在するアメリカ市場で、顧客の徹底的分析で、船客や販売網の要請に合わせた方向に、大きく舵を切ることによって、今日のクリスタル・クルーズがあったのです。

草創期から、ライフ・スタイルの変化を予見しつつ、マーケットの要請に合わせる努力も惜しまなかったのです。多彩な国民性や個性を持った国際クルーを積極的に採用し、船上での滞在環境の演出の中心に、エキサイテングなケミストリーを生む人材を置いたのです。

その結果、過去や既存のクルーズ客船会社の観念にとらわれず、他社とは違う独自性に満ちた、全く新しい時代のクルーズ会社とクルーズ客船のコンセプトの構築が実現したのです。

この船上で織りなす人材ファクターが、船上で創り出す旅のプロセスである長期滞在する環境の滞在価値を最高域まで高め、コストパフォーマンスが更に評価され、クリスタル・クルーズのブラ ンド・アイデンティティを維持し高めてきたのです。

このクルーズ商品を利用するクルーズ旅行者や販売網である旅行代理店などの関􏰂業界の中で、クリスタル・クルーズに関わってきた人材がミッションや規範を信じて、自分の役割を理解 し日々に尽力をしてきた結果です。

この足跡が、クリスタル・クルーズ はラグジ ュアリークルーズの代名詞とポジティブ・イメージを確立させ、現在の評価を不動のものにしたのです。

「クルーズ旅行商品」の核に、流行などに陳腐化しやすい「モノ(ハード)」よりも、「ヒト」に 投資を続け、個々の「人間力」を精一杯活用する仕掛けが、 20 年後の現在も高く評価されたのです。

狙いをブランドを創ることに絞込み、この新しいクル ーズ旅行商品を、クルーズゲストや販売網などマーケットを巻き込んで構築する構想が、幸いにして成功してきたのです。

クリスタル・ クルーズとその顧客を構成するクルーズ旅行者や旅行代理店に、 ロゴ・マークであるミラード・シーホースとして刻まれたブランド価値が共有されている事が、この事業の発展にも重要な鍵であることを学んできたのです。

最近では、この業界の評価の基準の一つといわれる旅行雑誌、コンデ・ ナスト (Conde Nast)の「ゴールド・リスト(Gold List)」では、船というハード面では、他の新造船の後塵を拝しつつあったのです。

2010 年の最新版では、ついに総合評価点 (92.3)で、リージェント・セブン・シーズ社に並ばれた。そのような状況でも「モノ」の劣勢を超える寄港地企画や船上での滞在環境などのソフト面での評価が、何とかこの業界のトップを走らせているのでした。

将来のクルーズ旅行者の掘り起こしが必須

最近の市場調査では、アメリカの旅行代理店を中心とした販売網は、他の旅行商品に対して、クルーズ商品を売りたいと願っているが、その動機は下記にあるという統計がある。

・ 予約手続きが簡単で、売りやすい旅行商品である(69%)

・ 利益率が高い(25%)

・ 旅行者にとって、グッド・バリュー(21%)

・ 旅行者の満足度が高い(30%)

初めてクルーズ旅行を計画する人たちに関わる旅行代理店のスタッフの予約から販売完了までの時間に関し、初めてのクルーズ経験者にはクルーズ 30 分、リピーターは大幅減、 他の旅行 45 分と言う統計もありました。

しかし、クルーズ旅行の場合は初めて乗船するゲストの多くは、 船上での滞在環境に魅了して、その結果次回の仮予約は船上での予約となると思われ、送客をした旅行代理店としては、クルーズ船社からの予約の可否の反応を待つだけで良いのです。

クルーズ旅行は、クルーズ旅行者を虜にし「麻薬」に喩えられる事もあるが、それは実は、旅行代理店なども同じ状況です。

彼らは一度クルーズ旅行を経験し た人たちを見ると、多分またリピーターとして、繰り返しクルーズ客船に乗船してくれると言う手応えの予感がある。ラグジュアリークルーズ旅行が、他の旅行のスタイルよりも、遥かに満足度が高いという事を知っているからです。

将来の旅行者マーケットに対しては、アメリカの CLIA(アメリカクルーズ客船主協会)を通してニューズ・ウイーク誌など一般誌などを大いに活用して、クルーズ旅行の魅力を宣伝した 事も効果があった。その謳い文句は、クルーズ旅行が訪問先とリゾート旅行を兼ねている、いわゆる「ワントリップ・ツーバケーションズ」なのです。

陸上での定点型リゾー ト旅行に比べ、どれだけエキサイテングで、お買い得が多いか、滞在型リゾート地におけるホテル代・税金・外食・車利用などを考えると、「トータル」料金のクルーズ料金は簡単で、その充実度も納得感が高いものであると、既存の旅行形態との違いを鮮明にする方針が徹底されていたのです。

これにより、今まで の先入観、つまり一部の特権階級向きと思われていた旅行のスタイルが意外と安価で満足度が高いことに気づいたのです。

この結果クルーズは、昔のように大西洋を横断する富裕層のものだけではなく、クルーズ客船社を選ぶ事によって、家族でディズニーランドに行くような気分でクルーズを楽しむことも出来る事を知ったのです。

しかも乗り継ぎなどの不安もなく、非常に簡単でストレスフリーな旅行であることをクルーズ経験者が仲間に、口コミで触れ回ったのです。

具体的な値段面での損得に加えて、クルーズに対する先入観や偏見の除去の努力も重要であった。 アメリカでの実験では、「クルーズはライフスタイルを前提にした旅行商品である。特に、非日常性でもなく、もっと気楽なものでなければならない」と主張していたのです。

ヨーロッパに、陸上のホテルなどを利用して旅行すれば、 言葉の問題、食事の問題や人との接点上の文化の違いなどが、気になるものであろ うが、アメリカ人船客の多いクルーズ客船では、アメリカの生活がそのまま、クルーズ客船で移動し、日常性を強調したのです。

実際に言葉や食事の問題も、陸上の旅行より、遥かに障害は少ないのです。パリのホテルに泊まった処で、言葉や食事にしても、その予約やメニューに気を使うのです。

予約での手間、フランス語のメニューや静かな環境での食べ終わるまでの当事者間の会話、サービスする側とサービスをされる側の立場などなど堅苦しさを覚えることも多いのですが、船上では、数日も交流が深まったウェイターなどと接していれば、自然に言葉を超えて交流が可能になるのです。

騒がしさは時に心地よい慣れた臨場感に繋がるのです。日替わりで訪ねる街角の堅苦しいレストランと異なり、クルーズ客船では、毎日馴染みのメイン・ダイニングであることにもよるものです。

もちろん、そこで出されるメニューは、レストランの限られた固定メニューと異なり、メインダイ ニングルームでのメインコースだけで、 10 日間、150 種類もの「アラカルトメニュー」を用意して、クルーズ船客が飽きることのない選択肢を提供しているのです。

それを、数日のお付き合いで交流が出来た旅行者やウェイターなどと会話をしながら注文をする喜びもあるのです。慣れぬクルーズゲストとって、言葉の不安などが有るにしても、それは、数日で解消するに違いないのです。

確かに、ラグジュアリークルーズ船社は、その個性を強調する余りフォーマルなスタイルを主張したりするが、それはクルーズ船社の都合であり、クルーズを楽しむ人たちには、寄港地での新しい発見と船上での出会いなどに重点を置いてもらう仕掛けを船上で構築したのです。

テレビなどや他の機会を通して、クルーズ客船を、アメリカの社会に露出させる事も効果があったのです。テレビの定番モーニングショーを、船上から実況したりもした。 クルーズを経験した人たちの生の声をマーケットに伝える事も効果が高かったのです。

各クルーズ船社や販売網は、既にクルーズを旅行した人たちに旅行後の感想を聞き、それを彼らのパンフレットやプライス・リストに載せる事も行いました。また、新規顧客は船を知らない事による躊躇指向が強いが、クルーズ客船を遠望するだけではなく、 身近にクルーズ客船を見る仕掛けも必要なのです。

船酔いの不安も、最近のような新鋭大型船の進出で、一昔前の木の葉のように揺れる􏰂絡船のよ うなこともなくなったことを周知させる必要です。

映画「タイタニック」が流行った頃、アメ リカのカリブ海クルーズでは、積極的にこの映画を船上の TV で流した。彼らの宣伝の幹部が言って いた。この映画を見て、現在のクルーズ客船がどれだけ安全か」と悟り良い宣伝出来たということです。

旅という好奇心・体験と感動を売る事業としてこの事業の草創期のプロセスに関わった頃、いろいろな先人の意見を集約している過程で、ラグジュアリークルーズビジネスとはブランドを創る事業との位置付けをしていたのです。

クルーズ客船事業における「ブランド」とは、100%バイオロジカルな「ヒト」を中心とした世界で織り成されるということです。

クリスタル・クルーズと言う響きのよい会社名と旅行商品だけでは、ブランド化を実現したとはいえません。

ブランドは、他の競合相手との識別の為の証であること。その証の為には他のクルーズ会社との違いや独自性を鮮明にしこのクルーズ客船会社の将来の在るべき姿を明確にして、大構想のその成長のプロセスの中に参加することです。

それを利用したクルーズゲストや旅行代理店が、そのサー ビスなどの内容や情報に共鳴し、体験した時に初めてそれぞれの心の中に記憶され刻まれて行くものなのです。

それが他の利便性や外形などのイメージが優先する商品ブランドと、 人間との出会いや自分の五感を刺激して触れることで築かれた感触や体験など、人間の内面と共鳴した経験型の旅行商品のヒトとブランドとの違いなのです。

創業当初からクリスタル・クルーズのバックボーンに位置づけた「人的なファクター」は、バイ オロジカルな要因で構成されているから、それぞれのヒト・人の感情や言葉などを通して、人間的 な交流を生み、そこから信頼関係が生まれる。それがクルーズ船客のみならず、販売網などにも影響を与える。

これがクリス タル・クルーズのブランド化の深層に流れていたのです。多くのクルーズ船客にとって、クリスタル・クルーズに乗ったと言うことを話すことは喜びであり快感になるのです。

このようにブランドとは人間の深層心理にある、自尊心をくすぐり、クリスタル・クルーズの船が目の前にあればそれに乗りたいと言う憧れに連なるものです。

その滞在体験から得る価値「体験価値」の中でも、「ブランドとしてのパーソナリテイ」を、クリスタル・クルーズとしての他社との違いや独自性の中心に「ヒト」すなわち「人間力」を置きエレガントで、開放的で親しみの持てる環境を創り出しているのです。

旅行商品は対象とするものは、サービスをされる側も「人」であり、サービスをする側も「ヒト」なのです。

即ち「ヒト」を知らねば、この仕事は成立しません。 これから対象とする客層は「モノを買う」事よりも「体験を買う」ことにより関心が 行くと言われる世代です。

「ブランド価値」は、模倣されやすい性質を持っているので、ラグジュアリークルーズ客船会社も、 ますますこの「ヒトと人」の交わりにこだわる世代への対応をマーケッターの先見の明を発揮すべきかと思われます。

NOBUの味が洋上で味わえる

松久信幸氏が特別ゲストとして「クリスタル・セレニティ」乗船された時の一コマとメニュー

クリスタルクルーズ船上で提供された「NOBU」の料理の数々

日本食に南米料理のエッセンスを取り入れて、創造性あふれるノブ・オリジナルを確立させたシェフ、ノブこと松久信幸氏。その世界的に有名なシェフが、2003年クリスタル・セレニティのレストラン&すしバーをプロテュースしました。

その時のエピソードをご紹介します。

―クリスタル・クルーズには10年前にシドニーからニュージーランドまでゲストシェフとして乗船したのが最初だという伺いました。

フランス人の友人、ミッシェル・フランシエがクリスタル・ハーモニーのコンサルタントをしていたことから話がきたそうです。

「2日間乗船しましたが、船はひとりで乗るものじゃないですね。奥さんか女性と乗りたいと思った」

と当時を振り返るノブシェフだが、その後、クリスタル・クルーズの高橋光彦会長と知り合うことで、より深い付き合いをしていくことになっていくのです。

松久氏:それまでもゲストシェフとして何度か乗船したり、ニューヨークやロサンゼルスに停泊中のクリスタル・ハーモニーでランチに呼んでいただいたり、と時々船に行く機会はありました。

今回高橋さんにセレニティでぜひ僕の料理でやりたいといわれ、そこまで言っていただけるなら、と引き受けました。

高橋さんとは長いつきあいですが、彼のクリスタルへの熱意に感動して、何か僕が役に立てることができないかと思ったんです。

セレニティでやることが決まってから、シェフは丹波君、中口君とNOBUアスペンで働いていて8月から乗船する小林君の、3人のマツヒサ卒業生を送り込むことにしました。

NOBU東京の共同経営者ロバート・デ・ニーロ氏が好物のNOBU看板料理の一つ「銀鱈の西京焼き」もゲストに好評

―新鮮なネタが命のすし屋を洋上で開く。そこには陸上とはまったく違う食材の調達方法があり、陸上のようにはいかないことがたくさんあるはずです。客船ならではの問題にどのように取り組んでいくのでしょうか。

松久氏: できるだけ各港で新鮮な食材を積み込んでそれを出せるようにしたいが、来ていただいたお客さんすべてに出せるほど十分かどうかはわからない。

最初はベーシックなメニューコンセプトでやっていこうと思います。

7月7日からの処女航海に僕も乗船し、丹波君や中口君と一緒に船の上で考えながらチャレンジできるようにしていきたいですね。

ただ世界中をまわるクルーズですから、各寄港地で出会ったものも生かしていきたいと思っています。

でもその国に行くからそこの料理を作るのではなくて、それぞれの土地で出会う食材を使った僕なりの新しいメニューができあがると思うので、どんどんクリエイトしていきたいですね。

―「モットーは、ビジネスの基本である『今日は一日何人入って、いくら売れてもうかった』ということよりも来ていただいたお客さんにどれだけ喜んでもらえるか、ということ」と言い切り、どこまでもゲストの満足にこだわるノブシェフ。

陸上のレストランと違って料金はなく、2週間のクルーズ中、同じゲストが何度もやってくるという特殊な状況の中で、その旺盛なサービス精神は存分に発揮されそうです。

松久氏:そういった食材の調達以外でできることならば、メニューにあるものだけを作るのではな、お客さんとコミュニケーションを取りながら料理を作っていければいいですね。

日本人のお客さんでしたら「お茶漬けとかおそば、またあとで部屋でおにぎり食べたいとか必ずあると思うんですよ。そういうリクエストにも応えていきたいです。

お客さんの中には自前で何か持ってきて「これで作ってくれるか」と言ってきたりしたものにも、もちろん作ってあげたいなと思います。

田楽や冷奴など日本人ゲストにも好評のNobu Styleの和食 

すしバーというのは普通のレストランと違って、シェフが直接お客さんとコミュニケーションできる窓口ですから、いろいろとお客さんの意見を聞くことができる。

お客さんにとっても今までのクルーズと違った雰囲気を味わえると思います。

どこまでお客さんが心を開いてその要求を伝えてくれるかが、どこまでそのお客さんに入り込むことができたかという答えになります。

できる限りの食材の中で、どこまでそういった要望を満たしてあげられるかというのがポイントで、「ありません、できません」とは言いたくないですね。

―世界中に60店舗近くあるNOBUをこまめに回り、その間にテレビに出演したり、映画の話もあったりするノブ・マツヒサは忙しい。

そんなめまぐるしい生活を送るセレブリティシェフが持つクルーズのイメージとは「夢」。何もすることのない時間はとてもぜいたくなのだといいます。

松久氏:船内にいる時間は、次は何をしなきゃいけないというスケジュールがないし、急ぐ旅ではない船の中のあの空間の贅沢さは乗ってみないとわからない気がします。

仕事ではなく、将来的には2~3カ月でも乗りたいですね。今は飽きてしまうかもしれないけど。ただ、今こういった旅ができる人がいるというのはとてもうらやましい。

船内では静かに過ごしていますよ。普段がインドアなので、好きな時に日にあたって、たまにゴルフをして……。

仕事をしているとそうもいかないのですが、携帯電話もない状態でゆったりとした時間を過ごすというのが今の僕が必要としていることだと思います。

またクルーズの楽しみといえば、着いた港で市場に寄ること。

いろいろな場所に行くことはあっても時間がなくて市場に行けなかったりするのですが、クルーズでは下船して何をするのも自由ですからね。

ただ1人で乗った時には退屈してしまい電話代だけで4000ドルくらいしてしまいました。

といっても船上で生活していく中で、毎日デッキやジムで同じ会う人がいるんですね。いろんなところでいろんな人に知り合うことができた、それがクルーズのまた一つの魅力でしょうね。

―船ならではの特徴として「船では雨だとか電車の事故だとかでキャンセルされることがないから、何人来るかというのが陸上よりわかりやすいですね」と笑うノブシェフだが、そのほか世界を股にかける仕事をするノブ・マツヒサならではの「移動型洋上レストラン」の利用の仕方も考えているようですが。

ノブ:セレニティにはほかのレストランと同じように定期的に見に行きたいと思いますが、ロサンゼルスからロンドンのNOBUまで行く時に、スケジュールが合えば途中でセレニティに乗っていったりすることができたりもするでしょう。

そういった可能性はこれからたくさんあると思うので、考えると楽しいですね。

NOBUはマイアミ、ニューヨーク、イギリス、イタリア、アジアなどにありますので、例えばそういった港にクルーズでやって来たときにNOBUに行ってみようということになったら、たまたまレストランに僕がいたりして、ということもあるかもしれません。

―船上で新鮮な食材を入手して最高の料理を作るのはとても難しいことではないか、という質問に、「何か新しいことを始めるときには問題が必ずあるもの」

今から心配しても仕方ないし、いろいろなことが起きる中で学ぶことも多い。むしろたくさん出てきたほうがいい。

チャレンジを楽しむ。何事にもポジティブに取り組むその姿勢が、世界中を魅了するNOBUレストランのパワーなのだろう。

「年に3~4回は乗って、そのたびにクオリティーを高めていきたい」と語るノブシェフ。

【プロフィール】

埼玉県生まれ。東京・新宿の「松栄鮨」に住み込みで修業した後、ペルーやロサンゼルスのすし屋などで働く。87年にビバリーヒルズに第1店舗「マツヒサ」をオープン。93年にはニューヨークタイムズ紙による全米ベスト10レストランにランクインするなど、セレブリティにも大人気のレストランとなり、現在世界に57店舗のレストランとホテルを経営する。伝統的な日本料理をベースに、南米料理のテイストを混ぜ、トリュフなど高級食材と組み合わせた斬新で新しい食のスタイルを生み出した。

また友人で俳優のロバート・デ・ニーロに誘われて映画「カジノ」に出演したり、NOBU常連のスティーブン・スピルバーグ監督とマイク・マイヤーズが一緒にやってきたのがきっかけで映画「オースティン・パワーズ~ゴールドメンバー」に出演するなど、幅広い交友関係から、活動の幅を広げている。

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和食のカリスマ「NOBU」を船上に

クリスタル・セレニティ和食レストラン「Silk Road」にて

クリスタル・セレニティの建造計画が、具体的に進展していた2001 年 2 月クリスタル・セレニティの船上のソフトに付いても、新しい試みを演出する事となったのです。この頃はクリスタル・クルーズの客層も大きく変化しました。

より活動的で、新しいものに挑戦をしたがる客層が増えてきたのです。

特にスペシャリティ・レストランは、 イタリアン・レストラン・プレーゴ(Prego)は、流行の最 先端のハリウッドのセレブにも人気の「ヴァレンチーノ・レストラン」のオーナー・シェフ、セルバッジオの特別メニューを中心として検討を始めたのです。

一方、2002 年ごろはこの事業を開始した 1990 年ごろと比べると、アメリカの社会でも、日本食に対する見方が変わってきたのです。

そのアメリカ人の 食習慣に大きな影響を与えた日本食のシェフがいた。

松久信幸さん、通称「ノブ」さんです。

ノブは、 日本料理を主としたレストランを、ロサンゼルス、ビバリー・ヒルズで展開し、高 い評価を得ていた「松久」のオーナーシェフです。

クリスタル・ハーモニーの就航間もない、 1992 年 2 月のオーストラリアやニュージーランドのクル ーズの際ノブを、船上のゲストシェフとして招待。その目的は評判の芳しくない「京都」レ ストランのメニューの見直しと、彼が提供する料理がアメリカ人に受け入れられる理由を知りたかったのです。

このように、多くの機会を通して、クリスタル・ハーモニー 船上での、日 本食レストラン「京都」での苦労、その後のクリスタル・シンフォニー 船上における「ジェード・ ガーデン」の運営などに関して、よく松久氏に相談をしていたのです。

ビバリー・ヒルズに店を構える「松久」は、その料理の独創性と、未経験の和 メニューを試食するアメリカ人へのスタッフの対応力などから、店内はアメリカ人客であふれていたのです。そして彼が関わる新しいレストラン・チェーン「NOBU」の料理は、欧米では圧倒的な評価を受けいるカリスマシェフでした。

なぜ、彼の店はアメリカ人であふれている理由は、料理の内容や素材の質、プレゼンテーション、優秀なシェフと初めての客にも食材を説明できるウェイターなどや、尋ねてくるお客様の相性と彼らが織し出す独特の臨場感にあったのです。

また「松久」には、ベビー・ブーマー 世代の食に対する感覚を先取りする進取性や先見力があったのです。特に寿司の巻物のみならず、アメリカ人のお客様が生の寿司を、 未経験お客様にも食べやすい料理にする独創性があったのです。

日本食はその食材の手配に困難がともない、高級素材をもとにする「松久」や 「NOBU」並みの食材を維持するとなると、クルーズ客船上のメインダイニングルームやイタリアンレストランなどで供する食材コストの数倍もかかるのです。

クルーズ客船社にとって平均1日1 人10 ドル〜15ドルの予算が目安の料理コストを大幅に上回っており、それも食べ放題 がクルーズでの食生活の基本です。

それに加え、席数 80 人が時間代わりで最低3シフトものクルーズゲストが訪れるとなると、コストはイタリアンレストランの数日分に相当するのです。

このように世界各地を周遊するクルーズ客船で、日本食を提供しながら採算的に維持することは非常に難しい挑戦だったのです。

第三船の建造の機会に、「NOBU」の協力を打診してみた。クリスタルクルーズの幹部は、船上での手配となる食材コストに制約があり、通常の日本食に掛けるような予算は無いことをノブに話した上で、このように切り出したのです。

「Matsuhisaスタイルの料理とサービスをクリスタルクルーズ客船上で導入し、世界に紹介したい。わが社の新しい船に協力していただけませんか」と打診したとこる松久氏は即座に無償で協力をすると快諾してくれたのです。

この協力が実現すれば、世界にも広がりつつある「松久」や「NOBU」のブランド力を得て、この食材コストを充分にカバーできるような仕掛けができるのです。

クリスタル・クルーズとして、”松久スタイル”の日本食を提供するに当たり食材費のコストア ップについては、松久信幸としてのシェフのカリスマ価値と「松久」や 「NOBU」のブランド価値を宣伝費と割り切ってしまうという思考でした。

通常「NOBU」で食事をすれば通常100ドル以上もするが、クリスタル・ セレニティ船上では無料でしかも食べ放題と言う寄せ効果と、そのコストを天秤に掛けた発想でもあったのです。

こうして、第3船クリスタル・ セレニティでNOBU監修の「シルク・ロード」が誕生したのです。その後、クリスタ ル・ シンフォニーも、スペシャリティレストラン「ジェード・ガーデン」を「シルク・ロード」へ変更しました。

この結果、クリスタル・セレニティ船上での「シルク・ロード」は、誘客の仕掛けでは「マーケットでの効果」を発揮した。オーナー側には批判的な人たちもいるので、余り彼の名前を出さぬ方が良いのでないかとの意見もありました。

「松久」での客層を考えると、クリスタル・クルーズの発行する「クルーズ・アトラス」という年間航海スケジュールを網羅したパンフレットのみならず、多くの社外向け出版物に、ノブ自身を積極的に露出し紹介すべきと、マーケッティングの窓口に提案していたのです。

クリスタル・クルーズの宣伝を通して、欧米に広がる「NOBU」への援護射撃であると同時に、世界各地の「NOBU」で試食する食通な客層に、クリスタル・ クルーズを売り込む事が必要と考えたのです。

NOBUの提供する日本食を世界を漫遊する クリスタル・クルーズの船やそのゲストを通して、世界に広く知らしめ日本食の世界で、「ウイン・ウイン」の関係を構築を望んでいたのです。

日本食は、新しいエスニックへの挑戦であっ たが、クリスタル・クルーズに乗船する日本食 に不慣れな客層、特にクリスタル・ クルーズの主要顧客であるユダヤ系クルーズゲストからも彼の独特な料理手法は高い評価を得たのです。

彼の持つカリスマ性は、ハリウッド映画界や音楽界などへの露出度も高いのです。

クリスタル・クルーズの日本食導入のための食材コスト上昇を相殺 するに充分と判断していたのです。「松久」や「NOBU」としてのブランド価値を最大 限に利用できることも意味があったのです。

就航後は、クルーズゲストにとっては「松久」や「NOBU」 並みの高級素材の食事を、それも陸上の「NOBU」等で食事をすれば、1 人100ドル以上に相当する食べ放題かつ無料であり好評を得たのです。

かなり過剰サービス的と思われたのですが、クリスタル・セレニティ就航後、以下の点でクリスタル・クルーズにとってはかりしれないポジティブ効果があったのです。

・「NOBU」のトレードマーク価値シェフとしての松久氏の個人の魅力や「松久」「NOBU」社員の彼に対する尊敬の念と忠誠度。

・松久氏自身の社員に対する配慮、船上で働くことの苦労や厳しさ。

・他社との差異化。

・ 運営面このプロジェクトを進める上で、ノブの推薦するシェフの中口氏が、このこのプロジェクトの中枢で、「NOBU」スタイルと定着させる事に非常に大きな貢献をしてくれたのです。

また、アメリカ人が好きなものを食べてもらうに当たり、ウェイターが食材をよく説明する・創意工夫や世界的なロジステックス網や人材調達、ウェイターの説明力アップも各段に改善されたのです。

NOBUの起用の話を打診した初期の段階から、このコンセプトの採用には、本社側から異論が多々出ていた。

彼らは、東京に展開している「NOBU TOKYO」を数度尋ね試食し、その料理は、日本郵船が求めているようなものではないという厳しい要求が来ていたのです。

日本郵船の上層部の描く日本料理は「稲菊」とか「吉兆」のような日本を代表する純和風料理であり、それを船上でも同等のものが出せないのか?

「NOBU」の料理は日本食ではなく「創作料理」 じゃないか?

日本人乗船客は、「NOBU」の料理よりもっと、高級感と知名度の有るメニューを期待している等、日本の中に有る議論やパーセプションで、何とか”純和風のレストラン”か、割烹料理的なものができぬのかと言う。

本社が、まがい物の日本食を出しているのでは「サマ」にならないと言う意見。日本郵船がメニューを創り、それを「NOBU」で創ってもらってはどうか等といった暴論もあったほどです。

クリスタル・ハーモニーの和食レストラン「京都」導入 時と同じ議論が繰り返されたのでした。日本郵船本社の幹部は、クリスタル・ハーモニー建造の時から「純和風」に強いこだわりがあったのは事実でした。

日本郵船が配船するクルーズ客船でサー ビスをする以上、戦前の貨客船時代からの日本食を広めたような使命を持って、正統な日本食を提供し、その日本食の良さを世界に広めるべきだと言う肩に力の入った意見が大勢を占めていたようです。

当初は同じ主張をしていた幹部陣が「吉兆」などに 接触し純和風料理を模索したが、そのロジステックスも含めた運営面での難しさを知ったのです。

日本食にこだわる気持ちは理解できるのですが、 クリスタルクルーズのマーケットマーケットであるアメリカ人ゲストの嗜好を優先に考えるべきであるとして、議論はしばらくの間平行線を辿っていたのです。

創業の頃議論したアメリカ人クルーズゲストのマーケットに聞くべきだと現場再度では主張していたのです。アメリカで成功している「松久」「NOBU」を見る目はクリスタル・クルーズの主要客層であるアメリカ人と、東京に居る日本人とに、大きなギャップがあったのです。
投資側の日本郵船本社の幹部がロサンゼルスに来た際、松久氏が経営するレストランに案内してそのコンセプトを体験させたのです。その結果アメリカ側のニーズを優先すべしと、反対の意見も多かった上司や社内説得を展開となったのです。

2年余の時間を経て、アメリカ人にとってブランド 価値がある松久信幸氏のコンセプトが採用に至ったのです。

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船上日本食レストランへの挑戦

「クリスタル・セレニティ」の建􏰀計画の過程で、この業界において「ワオ」と唸らせる仕 掛けが必要がありました。

その仕掛けを見つけ出すために、クリスタル・クルーズの最も弱点を検討したのです。

その結果、クリスタル・クルーズの特徴は何か。その今までの歴史や或いは経営の背後に居る日本郵船本社とも議論した経緯があります。

創業の頃、このアメリカのホスピタリティ業界で、日本の企業としてのプレゼンスは、なかなか、 評価されなかったが、創業 10 余年を過ぎ、今や、数々の高い評価を得て、このラグジュアリー・ク ルーズでは最先端を行くまでになったのです。

常に、トレン ド・セッターとして、世界の海を駆け巡らなければならない使命を感じていたのです。そのような中で、アメリカのクルーズ業界やクルーズ船ゲストに、日本郵船が構想している、日本食に挑戦しようとの判断に至ったのです。

それが「クリスタル・セレニティ」の船上の一角 を占める「シルク・ロード」 +「スシバー」でなのです。

第一船、クリスタル・ハーモニーで苦戦を強いられた日本食レストランについては、「京都」の 運営面で、問題百出したこともあり、第二船クリスタル・シンフォニーでは、オリエンタル・レス トランとしてジェイド・ガーデン(Jade Garden)を開設しました。

これは、ロサンゼルス・サンタモニカ に、「シェノワ(Chenois)」を経営していたアメリカのセレブレティ・シェフ、ウルフギャング・パックの指導によるものであった。アジアンフージョンと言えるものであったのです。

クリスタル・クルーズ はこの様な食の文化にも挑戦をしてきたのです。

しかし、創業以来、日本郵船として何とか船上で上等な和食の提供が出来ぬものかというのが、まだ解決されていない大きな課題がありました。

特に、日本郵船としてのこだわりは和食。

「クリスタル・ハーモニー」で、当初のサイズを半分にして始めた「京都」は、極めて不評であった。これには主に4つの問題がありました。

(1) クリスタル・クルーズの主要客層であったユダヤ系アメリカ人や年長者にとって、日本食は、極めてエスニック食の強い料理という印象。

(2) 料理の段取りの複雑さ、スペース、シェフの個性

(3) 人材や食材の調達の難しさ

4) ク ルーズ船客へのコミュニケーションの難しさ

などなどもあり、和食色を抑えて、アジア風フージョ ン料理に提供などを試みてきたが、どれも不満足の様子でした。

アメリカ人クルーズゲストにとっては、 クリスタル・シンフォニーの中華料理「ジェード・ガーデン」 の方がクリスタル・ハーモニーの「京都」よりも相対的に高い評価は得られたのです。

しかし乗り出し時期から試行錯誤を重ねてきて、問題点も判ってきたのです。

新造船の建造のプランが具体化する過程で、アメリカ人ゲストにも受け入れられる和食の提供が出来るかも知れないと考えていた。

当時のアメリカのレストラン関連のマーケティングの専門書を読んでいて、アメリカ的な キッチンという舞台裏で料理をつくり、その作られた料理をサーバーがテーブルに持ってくるサー ビスをクリスタル・クルーズの基本姿勢である舞台裏の「ヒト」を前面に露出するシステムが出来ぬかと思っていたのです。

シェフの個性や魅力や、料理をつくるプロセスや技術に責任を持っ ているパフォーマーとしての魅力を前面に出して、観客であるゲストの前で、 披露できないのかと試行錯誤していたのです。

ロサンゼルスのハリウッドの近くには、何の特徴もない小さなホットドッグは (Pink’s Hot Dog) が、行列のできる店になって一日中繁盛していた。

この大盛況が、 数十年も続いているというのです。

この小さなホットドッグ屋には、ホットドッグをつくっている人とそれを食 べる人たちの交流(ケミストリー) にあると発見するのに時間はかからなかった。

日本の寿司屋スタイルは、板前さん(料理をつくる人)と顧客の持つヒトの取り持つケミストリー の露出が特徴になっている。

これこそクリスタルクルーズが求めていた究極のヒトを中心とし た食事の環境であると考えたのです。

日本的な寿司屋ほど究極のオープンキッチンはないと思ったのです。

この個人好みの発想をアメリカのレストラン雑誌の幹部と、今後の世界のレストラントレンドを話した時にいろいろ打診してみたのです。

アメリカ人はバーベ キューなどや鉄板焼きや等以外、魚などの食材に接する機会が少ないので、自分好みの料理をつくる板前さんと相談して試食できるレストランスタイルは、新しいトレンドになる可能性を秘めていると思われたのです。

最上級の寿司カウンターをつくって、 そこで、板前さんが顧客と会話をしながらサービスを提供する仕掛けを考える過程で、大きな確信にまで変えたのです。

ヒトの魅力を前面に出した、「オープン・キッチン」の発想でした。

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企業の永続的な成功をもたらす7つの方法

前述

クリスタル・クルーズはアメリカ合衆国ロサンゼルスに本社を置く日本郵船により1988年に設立されたラグジュアリークルーズ客船運行会社です。中型の高級クルーズ船を2隻運行していたのですが、2015年にゲンティングループのゲンティン香港に売却されたのです。

その後、2020年に新型コロナウイルス感染症の世界的流行により経営が悪化。2022年1月19日オーナーであるゲンティン香港は会社清算を申請したことを受けて運航を停止。その後2022年6月A&K Travel Groupがクリスタルクルーズの「クリスタル・セレニティ」と「クリスタル・シンフォニー」の2隻を取得し現在に至ります。

このように売却を繰り返すものの、クリスタルクルーズはアメリカをはじめとする世界中の富裕層旅行者に支持されていることが見受けられます。その永続的な成功には及ばなかったものの、売却価値のある企業の秘訣を以下の通りにまとめてみました。

1 企業ミッションの確立と販売網の囲い込み

新造船建造による新規事業への進出が、結果として時間に余裕が出来、
(1) アメリカ側での徹底的なマーケット・リサーチと僚社の分析
(2) 最適任の人材を集めることが出来た。

同時に旅行代理店などアメリカの販売網をこのプロジェクトの仲間として抱き込むことに成功し、 この親密な関係でマーケットに対して新会社の将来への展望も含めた中長期的なビ ジョンの提示をしてきたのです。

親会社のトップマネージメントのお墨付き事業でもあり、会社としての意思が明確で、それが、 現場であるアメリカ側(運航会社クリスタル・クルーズ)の対応を容易にした。

親会社のこの事業に 関わった担当者たちが人事異動で交替しても、アメリカにおけるこの事業を推進している幹部の方向付けやバックボーンは揺るがない体制が短期間で構築できたことで、クリスタル・クルーズと それを支える販売網との間で、明快な企業のミッションを共有し、新興企業として目指すビジョン を業界や消費者マーケットに伝えることができたのです。

当地の日本人幹部や米人組織に対する明確な権限委譲によるところが大きいと思われたのです。

この事業の企画設計を担っていた日本側幹部陣はこの状況を理解する寛容さを持ち合わせていた事はとても意義のあることでした。

この事業の始める際に成功の基は人材次第と理解しており、試行錯誤しながらミッションを全社内で共有できていたのです。

この事業に携わるコンサルタン トやラグジュアリークルーズの質を決定付ける、アメリカ側の幹部社員や国際乗組員の採用を容易にするとともに、彼らの長所や特性を生かした仕掛け・配置が可能となったのです。

その結果、全 くゼロから始めるクルーズ会社の利点を生かし、マーケットに耳を傾けることを優先する姿勢を堅持し人材を中心に置いた基本コンセプトの構築が遂行できたのです。

マーケットが主張し、現地クリスタル・クルーズは、その要請に柔軟に対応 日本郵船は投資家と しての自己主張を抑え、現地事情に最大限配慮するというシステムがしっかりしていたのです。

クリスタルクルーズ事業の初期段階からマーケットを囲い込んで参画。マーケットの意見を聞くと言う発想は新興のクルーズ客船会社にとって、彼らの全面的な支持という掛替えの無いものを得たのです。

消費者マーケットを対象とするこの事業にとって最も大切な販売網を、早くから味方に付けることが出来たのが要因です。言い換えると、マーケット価値を常に頭に描きながら方針を決める手法に徹したのです。 これは 今までの B TO B の基本であるサービスプロバイダーが中心にあるサプライヤーマー ケットの思考からすると大きな違いでもあったのです。常にマーケットに聞く姿勢があったのです。

この事業のコンセプトや企業ミッションの浸透にも心を砕いた。投資主で有る日 本郵船の意図も あれば、オペレーターとしての意図もあります。

クルーズ事業知識に乏しい日本郵船は、あくまでも黒子に徹し最終的に「結果が評価を呼ぶことでよし」としたのです。気がつけば日本郵船路線は、本船就航のあと 1 年後には、大きな成功を収める事となったのです。

アメリカ式と日本式の経営方針の棲み分けが、非常にうまくいった例と言えるでしょう。

その棲み分けの円滑な運営は、本社とロサンゼルス側の邦人幹部間での意思の確認を徹底した成果でした。

定期的にクリスタル・ハーモニーを訪れ、現場である船上スタッフに、コンセプトと将来の展望などの浸透も怠らなかったのです。

これらの機会を通しての現場の声の吸収も、大事な仕事でした。とりわけ縁の下の力持ちであるフィリピン人クルーとの接触やプロモーションの機会に時間を費やしました。

乗組員には人種的なランクや差別を作らせない欧米人贔屓の排除ことを考慮し、フィリピン人クルーの意識改革を促すことも必要でした。

乗組員としては、彼らフィリピン人が一番多い現実がありました。

2.雇用人材と社外人脈

「クリスタルクルーズ」と言うブランドの構築の柱に、「ヒト」=「人間力」を置き、どのよ うな舞台を提供すれば、彼らが人間力を存分に発揮して、それを船上での滞在環境の構築に結びつけることが出来るかを模索してきたのです。

異文化を背景した国際従業員の多様性を最大限に生かしながら、ブランドへの求心力を強化。

勿論、この背景には、幹部船員や船上従業員の経験や改善力を最大限に活用する体制が構築できたことが大きいものです。

まだ船も出来ていない新しいクルーズ客船運航会社にとって、新造船建造から就航までの 2 年間、クルーズ商品の基本である船上滞在環境構築には、多くの人材を既存クルーズ客船会社から引き抜くしかないのです。

人材情報の入手の為には、競合相手の中にも情報源の仲間を作る姿勢を常に心掛けていた。全米に広がる旅行代理店のプライベートな会に積極的に出席し、その都度競争他社の幹部との接点を深めていったのです。

クルーズ会社や全米の旅行代理店のスタッフが集まるクルーズソサエティなどは、 人材の輪を創るのに好都合でした。これでクルーズ業界の幹部も集まり高度な話題が溢れるのです。

日本郵船の本業である物流ビジネスと違い、人間性や人柄、そして個性的な魅力を売る事業であることに早くから気がついたのは、クリスタル・クルーズの事業を展開するのに好都合だったのです。

クリスタル・クルーズを動かす人材、人脈をクルーズ産業を支える業界、とりわけ旅行代理店ネットワークとマスコミが高く評価してくれたのです。

クルーズ客船会社としての運営上のコンセプトを、クルーズ客船の運営プロ集団 で構成するクリスタルクルーズ社に委ね、その人材を中心とした社内組織と徹底的なタッチ・ポイントである現場主義に任せる仕掛けがこの人材と人脈による戦略に大きく寄与した。

経験豊かな 欧米業界経験者の採用とその後の彼らの自発的主導力につながる。

少数精鋭主義を掲げたクリスタルクルーズのロサンゼルス本社での「方針の即決」は、顧客の変化への対応もきわめてスムーズにした。その徹底した現場主義が プロダクトに対する権限委譲を より効果的なものにした。さらに、船という現場でのサービス・マニュアルも「タッチ・ポイント・ マネージメント」の導入で、明確でかつ即決即断主義が徹底できた。

 3 .マーケティング技術の駆使とフレンドリーなセールス体制の構築

種々のマーケット・リサーチを駆使して絞り込んだクルーズ客層に(クルーズ客層や客相とプロダクトにマッチしたコンセプトが評価されたのです。 特に売れ筋に関する情報収集 に効果的なマーケティング手法を使って調査し、現場での客の動向を把握する仕掛けができた。

この事業に対する経験が不十分な日本郵船としても、重要な判断や決定の前に、まずマーケットの判断などを探る方法を 優先した。この業界のライバルに対しても、相手の分析を徹底的に行ない、 船上で の「滞在価値」の充実は、他社が模倣できない分野(ソーシャルを中心とした人的 交流の密度とエンターティンメイントなどで、新たな独自性を前面に出し、

このプロジェクト初期から、PR 会社などを巻き込んで、クリスタル・クルーズのクルーズ商品を企画する体制を確立し、既存社の長・短所を徹底的に分析する仕掛けが日常業務でも機能していたのです。

無名のクルーズ客船社の誕生に当たってはクリ スタル・クルーズの戦略は際立った効果があったと思われているのです。

CNN の船上での放映権、あるいは、イタリアン・レストランの運営に際して、アカデミー賞などで 必ず話題になる「スパーゴ」(Spago)のウルフギャング・パック氏などからの積極的なアドバイスなど、クルーズ 業界におけるイメージ作りでも WAO「ワオ」効果をもたらしたのです。

セールスの分野では、販売網である旅行代理店との関係においても、実績のない新会社として、 「新会社を旅行代理店と共に創る」姿勢を徹底し、会社の創業前から彼らの積極的な商品開発への参加を促したのです。

「マーケッティング」と「セールス」と 言う営業の両輪に基本に、販売網の積極的な参加と、彼らの「口コミ」戦略を徹底したのです。

この口コミ戦略には、旅行代理店の窓口担当者など の試乗会などへの積極的な勧誘が効果を発揮。

乗船客の試乗体験の口コミ効果も大きな波となって、全米の富裕層の客に伝わり、これが将来のリピーター戦略の核となって行くのです。

4. リピーターを逃さない販売システムの構築

この事業の拡大には、販売網の確固たる信頼と支持で、我々の味方にすることリピーターを対象とした「クリスタル・ソサエティ」と言うリテンション・システムの導入とゲストをリピーターの層を確保する仕掛けが必要になる事を、この事業準備段階から頭に刻み込まれていたのです。

販売網の核を成す旅行代理店では、クリスタル・クルー ズ新造船建造の時から積極的に参加してもらう仕掛けが上手く機能したのです。

船が出来上がって、彼らはクリスタル・ハーモニーは、自分が推薦した従業員である等 と、親しみを込めて彼らのゲストの勧誘の際の話題にしているのです。

旅行代理店網はクルーズ船客に対する有効な口コミ・コミュニケーター」の機能を持っている。主要マーケットでの評価の高いセ ールスマンのリクルートが上手くいった ことで、セールス・スタッフの効果的な配置が実現しました。 主要客層としてユダヤ人マーケッ トなどの囲い込みも成功したのです。

潜在的リピーターは、半年から1 年以上前に予約をしてから乗船するまでの長い時間待ち続けるのです。

実はこの期間が、旅行代理店やクルーズ会社にとっては重要な種まき期でもあったのです。

クリスタル・クルーズを熟知した旅行代理店は、クリスタル・クルー ズと他社との違いなどを、積極的に宣伝し、新しい船客の期待心の高揚を図り、結果として、下船したゲストから高い納得度を得たのです。

更にクリスタル・クルーズを支持する旅行代理店の集客を容易にするために、船上には商品知識が豊かなクルーズ・コンサルタント(船上でのセールス担当= 陸上のセールス部門の配下)を配置し、船上予約を受け付けたことが、お得意様を増やしリピーター率の高さを保つ秘訣でした。

自らが送り込んだゲストが、船上での次のクルーズを予約します。この船上での予約システムは、自動的に旅行代理店に還元される仕掛けも、旅行代理店としては非常にありがたいことなのです。船上での仮予約のキャンセル率は約15%。かなりの高い確率で次回もクリスタル・クルーズに乗船するというパターン が一般的でした。

船客を送り出した旅行代理店は、帰郷した船客の満足度の高さに、クリスタル・ クルーズと仕事をする喜びを感じていたのです。

クルーズ船客にとって船上の滞在で感 動が得られ、至高を与えられたと思えば、船上での次の予約に繋がるのです。

体験価値が高くなればな ほど、船上での予約率も高くなります。

リピータービジネスの方程式は、寄港地など旅行の目的地と旅の過程や船上での滞在環境などを織りあった結果が支払った料金に見合う感動を得られたかによる満足度によるものです。つまり世間でよく言われているコストパフォーマンスと言われるものです。

この満足度が高ければ、高いほどリピーター率は高くなるのです。つまりクルーズ料金に見合ったサービスや感動を享受したと判断した結果と思われたのです。

この満足度は、試乗を経験したゲスト感動が脳裏に刻まれた指針となり,ゲストの口コミなどにより、世間に広まると確信したのです。

ゲストが新規顧客を勧誘してくれるシステムの構築も重要である。この様な環境の実現 のためには、ゲストとの接点で彼らが感じた不満点なども聞く仕掛けが構築されていなければならないのです。

不満がサービス改善のカンフル剤ともなるのです。

1 年目は、このシナリオ通りの経過をたどっているのです。

しかし、このリピーター戦略はリピーター が増えれば良いというものではないのです。

次の段階、一度試乗を経験したゲストに新たな感動を提供し、 初乗船したゲスちが次世代の家族に、「クリスタル・クルーズの船で旅行したのよ」と自慢のできるようなシステムの特染で考えなけれはならない。ゲストの満足度に 安心しているとこの事業は衰退する可能性があります。

その評価を受ける立場になれば顧客満足度は、船上での人間関係などによって大目に高く評価される傾向もあるのです。

満足とはゲスト一人一人の生き方が変化していると同じように、彼らの受ける満足感の質や程度は変化し、飽きが来やすいのです。

常に改革の気持ちを持ち続けなければならいのです。

クリ スタル・クルーズのリピーターをクリスタル・クルーズの一員として、つまり家族のように接遇できるような環境への挑戦が次のステージの重要な仕事になるのです。

 5.便宜置籍船制度と船上滞在環境の独自性

この事業の開始に当たり、便宜置籍船の仕掛けを最大限に活用する事に決めたことが、乗船客と船上での滞在環境の調和を演出する際に大きな効果を発揮したのです。

経験豊かで強力な幹部船員やヨーロッパなどのホテル部門の幹部の採用を中心とした国際労働市場からの人材の採用を可能にし、これが船上における滞在環境の高い評価に繋がったのです。

同業他社の模倣を極力避け、常にゲストや旅行商品企画の中心に置き、人間力溢れた多国籍従業員を配して、ゲストの船上滞在環境の充実度を高めることに尽力したのです。

そしてプロダクトの独自性や差別化に有効に機能し、乗船客の理想的な環境をカスタムメイドし、クリスタル・クルーズとして独自のサービススタイルが定着したのです。

船上でよりラグジュアリーなクルーズ会社を演出するためのポイントは、 社交とか人的交流の舞台にフレンドリーな環境を持ち込みながら、それを演出するスタッフをマスコミや社外向け宣伝資料に積極的に露出させる事。これを企業イメージ定着のスタンダードに仕上げたのです。

ゲストと船上体験環境の裏方スタッフとの繋がりを通して、ブランド・パーソナリ ティを更に高めることが出来たのです。

他の会社とどこかが違うという差別化する意識を常に念頭を置き、 これを宣伝面においても徹底したのです。

プランド・イメージを構築の過程では、この人との繋がりに重点を置いた宣伝を展開したのです。

船上での滞在体験を構成する乗組員が演出するソーシャルとロマンスの舞台に不可欠な娯楽の面でも、 既存社には無い仕掛けを考える事が出来た。 船上でのショーや歌手やダンサーなども、 クリスタル・クルーズの直接採用を徹底し、演出も振り付けも全て自前で、パサデナの職住一体のスタジオで仕込んだ。

スタッフに対しては、変化に対する対応、新鮮な目線と細部へのこだわりを 徹底させたのです。

「ゲストをハッピーにするには何をすればいいのか」と常に革新的な発想をするように心がけ、ライフスタイルの変化に着目できる先見力を磨かせたのです。

他よりも変わったことを先取りする勇気と先見力。


つまり積極的思考がクリスタル・クルーズ躍進の原動力となったのです。

6.人材投資と乗組員への繊細な対応

将来の発展を不動のものにするためには、造船に投資することも大事ですがが、 同時に他社にも真似が出来ない様な人材への投資が重要であったのです。

つまりハードとソフトの関係 は、この事業推進の両輪であったが、特に後者においては、多くの優秀な幹部船員や従業員を国際人材市場から採用してきた経緯があります。

その彼らに、十分に活躍してもらうために、タッチ・ポイント・マネ ージメントと権限委譲を徹底した。問題を見つけて、現場の接点で即決・解決することが重要であって、レベルの問題ではないのです。

「行動が大切だ」を徹底した。船上で働く一人ひとりのクルーはブランド価値のメッセンジャーであるという信念から乗組員の働く現場や船上 での従業員居住区などの生活環境への投資などの検証も怠らなかった。

クリスタル・クルーズの他社との違いは、 クリスタル・クルーズがクルーの事をどこよりも理解していることにあるとの自負もありました。

優良従業員(乗組) の表彰認知、従業員を対象としたクルーやアンケートや調査により改善策や意見の取りこみ、雇用契約内容の明確化と公平な評価などには力を入れていたのです。

ハッピーなクルーが、ゲストに生涯忘れえぬ思い出を創って頂く陰の演出を常に意識してきたのです。

7.ホスピタリティ事業の世界基準と日本の常識との棲み分け

当初から仕事の仕方などを巡って、東京本社と現地会社の間では多くの軋轢を生んできた。 特に「日本の日本の会社組織の在り方(日本の常識)やオーナー側の日本郵船のクルーズ客船における思い込みや先入観などの延長線上で、アメリカのマーケットを対象として事業を起こそうとすれば、その対応も大きく異なるのです。

しかも、日本郵船における事業経験と言っても、戦前の「輸送手段としての クルーズ客船事業」であり、 現在のクルーズ事業とは全く異質なもので、戦前のクルーズ客船事業の延長線上で考えることは出来なかった。

それでも、客船に対する漠然としたイメージや客船先進国の模倣を通して我々にも出来ると言う気持ちも日本側に有ったに違いないのです。時にはこの思い込みに執心しても、日本国内では通用してもより大きな国際マーケットで通用するとは限らないガラパゴス現象に陥りやすいのです。

この新規事業には、日本の客船時代のイメージで描かれている表層的な客船のイメージとは全く異なり、日本で一般的に思 われているようなクルーズ事業が客船の世界から更に発展し高級ホテルのようなホスピタリティ事業の範疇である事に気が付くには時間を要しなかったのです。

しかもその延長線上には、ラスベガスのような船上での総合エンターテイメント事業への道が描かれていたのです。

日本郵船は、船を運航するには専門家ではあるが、数年間という限られた時間で、この高級ホテルのような滞在環境と旅行者を楽しませるエンターテイメントの世界を演出する力があるとは思えなかったのです。

新造船の設計から就航までの2年間で、全く実績の無いアメリカのマーケットで、この事業のカタチを作り、 就航後はフルスイングで業績に寄与するためには、既存の業界などの経験者を中心とした即戦力集団を編成するしかないと判断した。

この即戦力集団の採用は、時に日本における運航部門の経験者との軋轢を生む事となったのです。

アメリカ的経営を核としたクルーズ客船運航のプロ集団や経験者が中心となった欧米の幹部は、ホスピ タリティ事業やクルーズ業界での世界基準の中で育ってきたのです。

日本的な雇用形態を背景とした会社文化との考え方には、簡単に埋めることの出来ない大きな違いがあったのです。

親会社と子会社の関係で言えば、この事業の意図するところでは、全く逆の立場であった。アメリカを主市場として事業を開始するには、親会社の知識は全くゼロでした。

本社としては当初は円高などの会社環境の変化もあり、 日本的な世界や仕掛けに拘った日本人船員と本社東京対アメリカ支店構想のもとでクルーズ客船事業に進出して、日本郵船の名前や在米日系事業会社などの組織網を駆使すれば、アメリカ人マー ケットも獲得できると考えたのです。

しかし、アメリカから見るとこの事業計画自体はマーケットの要請から離れて、運航会社側の一方的な独りよがりのクルーズ事業で、最も重視されるべき販売網や船客の意向とは別のところにあると思われたのです。

この事業の成功への第一歩は、「日本郵船太平洋客船会社」構想の段階で、幹部社員の一人がアメリカでの事業の現状を理解し、便宜置籍船システムの導入に踏み切った事です。

これによりこの事業で世界一を狙うスタートをきることが出来たのです。世界基準でトップを狙うための最初の関門が開かれたのです。

最も経験豊富で、マーケットの信認を得やすい欧米人幹部船員の登用により、比較的短期間に世界一の座を狙う最低限の基盤が出来たのです。

この窮状を救ったのは、本社側が、アメリカでのビジネスの実態を十分把握し、アメリカのマーケットの要請を最優先に受け入れる決断でした。

危機の際には現場主義を元に世界基準を事業推進の中心に置き、相互の信頼関係の上で、問題を解決することが出来たのです。

またサービス開始間もない時期に発生したパナマ沖での船上火災は災難であったが、 マーレン船長他、船上での国際船員の危機対応が、高く評価されることとなった。ピンチをチャンスに変える効果があったのです。

この危機対応が親会社と現地会社の信頼関係を強固な ものにしたことは間違いない。勿論、この火災は危機管理能力が業界から高く評価される ことになり、旅行代理店ネットワークやクルーズゲストにも高く評価された。 そして今後、重要になると考えたのは投資側の先見力なのです。

この事業に進出 1 年で、この業界での最高級の評価を得てしまったが、この評価を今後維持し続けることができるか否かが、 クリスタル・クルーズの中長期の戦略の命運を握っていると思っていたのです。

この維持には、その旅行代理店ネットワーク販売網との友好的な関係も重要ですが、 それ以上に常に 2 年、3 年先の乗船客のライフスタイルを見る先見力が今まで以上に 必要である事もあったのです。

クリスタル・クルーズのブランドを信ずる販売網に加え、クルーズ客層が拡大している事も心強いのです。

クリスタル・クルーズの 1 年目の実績を見るとクリスタル・ ハーモニーに初乗船したゲストの65%が「またクリスタル・クルーズの船に乗りたい」そして、94%のクリスタル・ ハーモニーのゲストが「友人などにクリスタル・クルーズ」を薦めるといっているのでした。

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世界最高「ファイブスター・プラス」獲得

アラスカクルーズでの処女航海に始まり、エンジン・ルームの火災などといった予期せぬ出来事もあったが、初年度の評価は、当初の目論見通りの反応であったのです。

特に絞り込んできたクルーズ 客層での評価が高く、日本郵船としても、ロサンゼ ルスのクリスタルクルーズとしても将来へ の展望への確信が持てました。

1991 年初め、ダグラス・ワードから電話があった。

自分の格付け本である「べ ルリッツ・コンプ リート・ハンドブック・トゥ・クルージング (Berlitz Complete Handbook to Cruising)」で「フ ァイブスター・プラス」という世界最高の格付けを予定していると。

今までのファイブスターを、 既存のクルーズ会社との違いを明確にする為に、クリスタル・クルーズにファイブスター“プラ ス”の新カテゴリーを設けたと言う。

日本に於いても、クリスタル・ハーモニーは、第 1 回日本造船学会「シップ・オブ・ザ・ イヤー」 を受賞した。

クリスタル・クルーズ設立からわずか 3 年後という快挙であった。
クルーズの本場ロサンゼルスで行われた、プレス関連の「乗ってみたい船」アンケートでも 1 位を獲得し、営業の初年度から、世界トップクラス の客船に躍り出たのである。

アメリカにおけるクルーズ業界やデストリビューションの中心にいる旅行代理店などに、クリスタル・クルーズの評価は 瞬く間に拡がった。

クリスタル・クルーズの初年度「格付け評価」に関して、当時の評価の一部を「輝きの航海」(佐藤早苗)から引用してみよう。

「蘇った日本の豪華客船」 世界のホテルレストランのランク付けに「ミシェラン」があるように、クルージングの世界には、ダグラス・ワードの世界の客船採点がある。

この採点は、ダグラス・ワードが個人でやっているものだが、世界的に最も権威あるものとされているのである。

ダグラス・ワードは、1 年の3 分の2 は船に乗っているというが毎年すべての客船に自ら乗って採点しその年の採点結果を本にして出版しているのです。

クリスタル・ハーモニーがデビューした一年後、その評価でクリスタル・ハーモニー は「5 つ星プラス」に輝いたのです。

戦後初めて世界の海を走った日本の豪華客船クリスタル・ハーモニー。 海国日本は生きていた事を証明した日本郵船と三菱重工のクリスタル・ハーモニー。それにしても、無から出発して、初めて作った客船がいきなりトップの座に輝くとはたいしたものです。

ダグラス・ワードの採点は、ハードとソフトとの両方がそろわなければ五つ星は得られないのです。 船のハードだけがずば抜けて良くても、サービスが悪ければ合格できないし、その反対もまた落第になりかねません。

外観、安全、インテリア、清潔、スペース、デコレーション、食べ物、寝心地、エンター ティン メイント、サービス……全て揃って最高点を獲得するのは並大抵の事ではないのです。

クリスタル・ハーモニー関係者がどんなに喜んだことか。重なる徹夜も、どんな苦労もこの評価 でだれもが報われたことであろう。 ある人がこんな事をいっていた。本当のクリスタル・ハーモニーの実力は七つ星である。

7つ星の価値があるから5つ星がもらえたのだというのである。
つまり誰が見ても、どう叩いても5つ星以下には出来ないほどクリスタル・ハーモニーは格段に優れていたと言うのだ。

実力が5つ星程度だったら日本船は、3つ星にされているはずだと言われています。

言い換えると、以下に世界のクルーズ界の中に日本が参入する事が難しいかを如実に物語っているのです。

クルーズ愛好者の人気投票で No.1 の栄誉に輝く もう一つ、クリスタル・ハーモニーに名誉なことがあったのです。

「ロサンゼルス・タイムス」紙が行ったクルーズ愛好者の人気投票で、乗ってみたい船にクリスタル・ハーモニーがトップに踊り出たのである。これは「五つ星プラス」を獲得したことと同じくらいに、嬉しい出来事です。

クリスタル・ハーモニー の噂は、じわじわと確実に、世界のクルーズ・ファンの仲間に広がっているのです。

この様な驚異的とも言える評価の秘密は、プロジ ェクトの企画力、及びリーダーシップと、プロジェクトを推進するクリスタル・クルーズの絶妙なチームワークの結果の賜物と思われます。

東京本社が考えたアメリカマーケッ トへの進出構想は、”日本に本社を置き、「環太平洋クルーズ」を企画運営する”、”アメリカはあくまでも支店で、日系企業などを対象とする集客専門会社とする”というものであったけれども、これらの構想に固執することなく、現地のこの業界の専門家集団の意見に耳を傾け現実的な対応に舵を切り、転進をすることに対して、本社が勇気を持って対応した事が、 1 年目のクリスタル・クルーズの船出の成功への道を切り開いたのです。

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ユダヤ人富裕層に不人気の日本食

クリスタル・セレニティ船上で提供されたNOBU監修の本格的日本食

クリスタル・ハーモニーの就航以来、不幸にして、当初の心配が当たってしまったのです。船上和食レストラン「京都」は最も批判の多いレストランでした。

アメリカ人ゲストの反応は、極めて冷たかったのです。

当時のアメリカ人ゲストにとって、日本食は最も疎い食事の一つであった。年配 者が主たるクルーズ客層で、特に食事に厳しい注文がつくユダヤ系アメリカ人も多く、初めて日本 食を試食するアメリカ人のクルー ズ船客や、特に食事制限の厳しいユダヤ人には受け入れられず、 その運営は困難が続きました。

試行錯誤の過程で、当初は、「火を通す事を大前提に」割烹料理的な和食や、懐石的なメニューも工夫をして出して見たが、これも限られた船内の調理スペースの中で、 料理に段取りに時間を要する日本食の難しさもあり、非常に曖昧な中、いわゆる「和食」を提供す る平凡なレストランとして「京都」の料理メニューを作り上げたのです。

懐石的なメニューもできるだけ 「火」を通すなど工夫をして出してみたが、 これもクルーズ船客の多くは初めて日本食を試食する アメリカ人で、その運営は困難が続いたのです。

運用面においても苦労が続いたのです。

食材の調達方法も、陸上でのオペレーション と全く異なるのです。 料理を作るシェフが希望する日本食の食材調達の難しさや、とりわけ懐石料理における食材の説明の難しさ、日本の懐石料理の多くはその屋号とかシェフの名前で料理を口にしている訳で、日本食 ビギナーのアメリカ人の多くは

「これは何?」

との質問攻め。

これにこたえるシェフは英語力不足出会ったり、ウェイター は日本食を経験したことのない欧州人やフィリピン人で料理とゲストのコミュニケーションが成立しなかったのです。

日本酒はワインと異なり長く保存で きないので、日本人客からはお酢のような酒のクレームを受けることになるのです。

船側でサービスする外国人には日本酒の知識はないということも重なりました。

割烹料理は食材の多様さと料理を作るシェフの技量で作られており、シェフのお任せ料理である。私たちは、同じ日本人であるが故に、店のブランドとシェフの技量を信頼して口にしているのです。

しかし船上では、宗教的な戒律の厳しいユダヤ人も含め、イメージの浮かばない食材を基に食べる習慣が少ない人達に、食べてもらうことは至難の業でした。

食事に厳格なユダヤ人等も「使えないレストラン」と批判されていたのです。
シェフが数ヶ月毎交替すればメニューも全て変わり、料理の方法も変わるのです。

味付けも異なるのでは、ゲストからの評価も定着しないのです。

また、後任のシェフを探すのも難渋した。 特にアメリカ人にとって陸上のレストランならば日本料理はいろいろなチョイス のなかの一つであるが、船上では、他の選択肢が少ないなかでの日本料理であり、 ゲストのリクエストは限りなく

アジア料理= 中華料理

となったのです。

最終的には、家庭料理的な日本食のレストランにならざるを得なかったのです。単品指向でメニューが広がらない。当然のことながらリピーターには不満。

フォーマルドレスで、食べるレストランには程遠いものになったのです。

日本食を期待して乗ってくる日本人ゲストは、世界で有数の豪華クルーズ 客船で口にする日本食を期待してくるのであるが、これが期待はずれと指摘され厳しい評価を得ることとなったのです。

クリスタル・ハーモニー(当時)の数少ない苦い教訓となった日本食レストラン「京都」。

しかしこの貴重 な経験は後に生かされることとなる。 この運営の難しさは、クリスタル・ハーモニーの日本への配転(現在:飛鳥Ⅱ)まで続いたのです。


クリスタル・ハーモニーの「京都」の運営では評価も低かったので、第2船クリスタル・シンフォニーは、ロサンゼルスのセレブリティシェフ、ウルフガング・パックの指導でオリエンタルレストランとして、ジェードガーデン(Jade Garden) を開設しました。

アメリカ人ゲストにとっては「京都」より高い評価を受けたのです。

その後、クリスタルクルーズの和食レストランは大幅な大改造を得て、大好評を博するようになったのです。そのエピソードはこちら

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リピータービジネスを支えるスタッフ

クルーズ業界における、リピーターとは、お得意様であり同じクルーズ客船会社の船に乗る客層を指します。

他のクルーズ会社も含めてクルーズ会社を特に選り好みせず、クルーズが好きなクル ーズ客で、繰り返しクルーズを愉しむ客を、クルーズ愛好者と区別しているのです。
この区別は、多くのクルーズ客船会社がそのクルーズ会社の乗客に相応しい客層を反映した船上での体験を提供しているからでもあるのです。

アメリカでのクルーズ船客関連統計では、一度クルーズ客船に乗船した人の満足度は、乗船前の期 待度をはるかに越えている。これが、ラグジュアリー・クルーズ事業が、リピーター産業といわれれる所以です。

アメリカ人にとって、クルーズ旅行で、その「いつもの」クルーズ客船会社の に乗っていること が、既に、社会における「スタイル」を示してお図り、このようか 核になる客層を抑えリピーター を増やしていく事により、このクリスタル・クルーズのブランドにはまっていくのです。

このよ うな他の会社に浮気をしない、ロイヤリティが高く、核になるリピーター(Core Repeaters)が増えるような仕掛けが必要なのです。

カリブ海の船で、クルーズを愉しんだというより、例えば、 ロイヤル・バイキング社の船やクイーン・エリザベス号で大西洋を横断してきたという方が、ステータスとして、誇らしげな気分で他人に与えるインパクトは大きいのです。

これは、ロイヤル・バイキン グ社の船やクイーンエリザベスのブランド力が、クルーズの船旅の世界で定着しているからでもあります。

新会社が求めるステータスはまさにこのようなブランドなのである。クリスタル・クルーズのブランド力には、クリスタルクルーズに何度となく乗船するゲストの潜在的な自尊心をくすぐり、一方まだ乗船したことのないクルーズゲストに、「クリスタル・クルーズの船に乗ってみたい」と言う憧れを提供するような秘薬がなければならないのです。

この事業はホスピタリティビジネスであり「ブランド」を創るビジネスであり、今までNYKが係わってきた貨物や物流の世界とは全く異質なものです。

ホスピタリティビジネスで ある以上、ライフスタイルを優先しマーケットを絞って彼らのライフスタイルに合わせる形でビジネスが設計されているのです。

船というハ ード・ウェア、船上での体験を充実させるサービスの質、そして、その船上で生活をしているクルーズ船客同士、あるいは、乗船客と乗組員との快適な交流が最も重要で、それに加えて、船上生活にアクセントを与えるエンターテイメントがあれば、船上での生活はよりロマンチックなものになる事は間違いないという事でもある。

その上で、クリスタル・クルーズとしては、船上における交流とロマンチックな舞台を演出するエン ターテイメントなどに、先行他社以上に配慮した商品開発で、デフェレンシェーションを徹底する戦略を図っていたのです。

サービスをまず体験して貰うことから、クルーズゲストとのコンタクトが始まるものです。

このリピーター の増加は、このクルーズ客船会社の提供するサービスにゲストが、その滞在価値に満足していることを示しており、彼らを維持することがまず至上の要請でした。

この維持のためには、ネガティブなコメイントや現場での失敗などを早く汲み取り、その間違いを大胆に修正する努力が常に求めれるのです。

このタッチ・ポイントにおけるネガティブコメイントはホスピタリティビジネスにとって最も重要なアドバイスでもあります。

この試乗を繰り返して貰う必要がある。これにより、どれだけ、このように繰り返し乗船してくれるリピーターを増やせるかが、この事業の将来を左右すると言っても過言ではありません。

なぜなら、このリピーターは業容を拡大する為の大きな動機付けとなるだけではなく、クルーズ客船運航会社は新規のクルーズ客を誘致することの難しさを知っているのです。

一度試乗すれば、そのクルーズゲストをリテンションし続ける事が、採算的にも圧倒的に儲かることを知っているからでもあります。

これは、何もクルーズ客船運 航会社だけの認識ではなく、ラグジュアリー・クルーズ事業 に関わるアメリカの旅行代理店など販売網(デストリビューションシステム)の認識も同じです。

彼らの背後にいるクルーズ旅行予備軍をライフ・スタイルに合ったクルーズ 運航会社を紹介することでクルーズ旅行の虜にすることを知っているし、それが彼らの利益を支える事をより絞り込んだ客層に対してより効率的な集客が出来、その結果として少ないコストで客層を増やせるを認識しているのです。

このようなリピーターが、大き な瘤のような核(コアリピーター)になって、この新会社のブランド価値やブランド力は、マーケ ットやクルーズ愛好者の間で「雪だるま」のように大きくなるものです。

このリピーターを増やすためには、会社としてのミッションや営業方針なども重要であるがゲストの多くが船上での滞在価値を求めている以上、船上で 毎日接する乗組員の感性が、非常に大きな要素となります。

なぜなら、乗船しているクルーズ船客にはロサンゼルスのクリス タル・クルーズの幹部よりも、現場にいる乗組員を介して、新会社との信頼関係を構築するのです。

それが思い出として、永遠に心に刻まれるのです。

ターゲットとして 絞り込まれた客層に対しては、この船上ホテル部門の国際乗組員の相性が、 決定的な影響を与えることが多いのです。

特に、クルーズゲストの主観的旅の評価も、船上での人的ケミス トリーの織り成す親密さに支えられているのです。

クルーズ客船会社は、下記のようなリピーターとしてのクルーズ船客の特徴を把握しています。

これらの知識を、現場に就いているスタッフ一人一人が理解していることが重要なのです。

例えば食事の時に ヘッド・ウエイターなどとの会話で、「来年は南極方面に行きます」と言うと、彼の経験話がゲストを刺激して、その気にされるのである。

ヘッド・ウエイター他、船上の個々のスタッフは、最もリピーターになる可能性の高いクルーズゲストの最前線の最も強力なセールスマンなのです。

従って以下のような特徴を周知してもらわねばならないのです。

1.リピーターの客層とは→彼らの船上体験価値が優先する
3.リピーターになる要因→船上体験価 値の評価・評判と航海先、クルーズ船客の船上での体験価値を求めている。
5.人的な要因、食事、催し物、寄港地→新しい寄港地を求める。

ゲストと乗組員のケミストリーの上に成り立ち、クルーズ旅行 を終えて故郷に帰ったゲスト乗組員、それぞれのノスタルジックな出会いの思い出やライ フスタイルの創造と感動こそが、クルーズ客船会社に求められる発想なのです。

昨年経験したノス タルジーな旅を求めて、翌年も乗船するレトロマーケッティングの手法と仕掛けが、船上における「体験」の中の至るところに配されているです。

クルーズ事業においては最も重要な事は、試乗したゲストが乗船中に、あるいは下船した後に、また、クリスタル・クルーズの船に乗りたくなるような環境を創れるか否かであリマス。

下船したクルーズ船客が、自らの乗船中の滞在体験や感動を通して、このクル ーズを紹介した旅行代理店にその感動に感謝し、その口コミとかを通して、更に新しいゲストの誘致に繋がることが望ましいことです。

幸い、クリスタル・クルーズの就航 1 年目においては、90%以上のゲストは、このクリスタル・クルーズで得た感動を友人などに、伝えたいと言っているのです。

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クルーズ客船事業は社会心理学

時は1988年 5月、サンフランシスコでの旅行代理店等とクリスタル・クルーズ幹部陣のはロジェクト関連の話題に関して直接意見を聞く機会がありました。

この意見交換会での議論の多くは、アメリカ人乗船客に対する接客能力に関しての話てがメインでした。

クリスタル・クルーズの経営首脳陣は、NYKが運航するクルーズ客船でもあり、何とか日本人幹部船員を新造船に乗せたいと考えていたのです。

しかし、サンフランシスコなどでアメリカの旅行代理店などの率直な意見を聞いているうちに、NYKの海務関係者の説得には、更に中立的な調査による分析が必要として、更なる調査を命じたのです。

1990年になって、アメリカとして客観的な調査を開始。

まずはクリスタルクルーズ社の在り方や組織問題等の話題になりました。

日本とア メリカを駆使して、幹部国際船員の混乗や英会話力なども含め、アメリカのクルーズの販売の前線にいる旅行代理店網やクルーズ乗船客などです。

特にラグジュアリー・クルーズの主客層であるユダヤ系アメリカ人乗船客などの「本音」を聞く事にしたのです。

主観的な議論を避け、できるかぎりアメリカマ ーケットに聞き、彼らの見方・客観的な分析との対応を優先したのです。

アメリカ市場が最も求めるプロダクトを作らねば生き残れない事を当時のクリスタル・クルーズの幹部は知っていたのです。

旅行代理店や乗船客の見方・価値など買い手価値をどれだけ実現できるか?

この事業で生き延びて、アメリカの起業コンサルタントなどとの接点を通して、この事業を成功させるため残る鍵であると感じていたのです。

先ず、販売網である旅行代理店などのマーケットの反応を調べる事とした。

アメリカでのクルーズ客船の集客は旅行代理店を中心としたデストリビューション・ ネットワークに依存している以上、仮に彼らの意見がきわめて偏見に満ちて溢れていたのです。

就航実績のないクリスタル・クルーズの現状下では黙って謙虚に聴くしか方法はなかったのです。

調査で、旅行代理店からは以下のような多くの厳しい質問が浴びせられました。

・日本郵船の日本人幹部船員の語学対応およびクルーズ客対応能力については一切判らないが、在米日本人駐在員等や家族との接触などから推察すると国際レベルで中以下ではないのか?

・ノルウェー人船長と一緒に働くと言うが、緊急時にノルウェー船長の指示に基づき、自分たちが 送り込む)アメリカ人クルーズ船客に迅速に対応できるのか?

・クリスタル・クルーズは、ラグジュアリー・クルーズとは言っているが、乗船客を初めての試み(日本人とノルウェー人上級船員の混乗)の「実験台」にするとはどういうことか?

以上、旅行代理店の多くは、貨物船の経験と接客が重要視されるクルーズ客船とでは、安全運航への対応がまったく異なるのです。

そのコミュニケーション能力が重要ではないかと、緊急時の 日本人幹部船員のランゲージ・コミュニケーション」能力はどの程度かをとりわけ危惧していたのです。

まず、新会社の在り方、組織問題などの話になりました。

文化や価値観、考え方が日本とアメリカの溝を埋める方法を模索されていたようです。

例え話としてコンサルタントから得ていた情報などを元に、アメリカのメジャーリーグの野球チームの組織などの話をした。

球団経営とその現場である野球場での監督選手の行動責任などの明確な分離について首脳陣に話したのです。

現場の監督が活動しやすいように、現場の選手に対する差配は球団はしない。 しかし、勝負の結果に関しては、契約を元に口を出すといった、棲み分けを明確にする必要がある のではないかとお話をしたのです。

販売網である旅行代理店には、アメリカ人幹部などのノウハウや経験を中心に置き展開することが必須条件でした。

彼らが、ある程度自由な判断で活動できる環境が重要ではないかと言う意図でもあり、乗り出し時は、ブランドが確立するまで、NYKというの会社のブランドより、アメリカで採用した欧米の幹部経験者の力を優先する仕掛けではなかったのかが懸念材料でした。

このプロジェクトの素案創りの段階から、アメリカ市場を前提にすれば知識も経験も少ない投資家側の主張よりも、「郷に入っては郷に従う」仕掛けが、重要だったのです。

日本には、NYKや他の会社が築いてきた日本の常識やスティタス・歴史は有るだろうが、この事業は、アメリカで展開する以上、投資家であるNYKが、アメリカの仕掛けに あふ程度任せる寛容さが無ければ、将来もこの異文化の軋轢は残り、上手くいかない可能性が高いと思われたのです。

ここは日本の常識を超えた、新しい世界基準に基づいた組織や仕掛けを考えるのです。

このような日本の常識が、世界基準では必ずしも受け入れられていないことを経験的に理解していたのです。

この会社経営に横たわる日米間の考え方の違いに加え、日本郵船が採用した「便宜置籍船」を基にした新会社の船舶運営やこのところ顕在化していた日諾幹部船員問題についても話をすることが出来たのです。

しかし、他のアメリカの有力クルーズ会社の経営から得た知識を元に議論すると、この事業 は、クルーズ先進国やマーケットを攻めながら、新しい会社としてのプランドを創る必要があったのです。

投資家である日本郵船の自社都合で、マー ケットの意向と対立することは、全くゼロから始める会社にとって本末転倒ではないのかと思われていたようです。

今回のNYKの英断である便宜置籍船の持つ特性を最大限に活用して、他社の追従を許さぬ地位を確立するという発想があったのです。

その実現のためには、この業界で経験が豊かで、ラグジュアリー・クルーズの基本をなす幹部人材に対するアメリカの販売網の評価が高いノルウェー人幹部船員たちの経験を軽視・無視する考えは成立しません。

彼らの経験を最大限に使い、それに更なる革新を加えて、既存の船社に対抗する戦略が賢明かと思われたのです。

新造船や建造や営業開始等、時間的な要因を考慮して、アメリカクルーズ業界にて未経験である以上、我々の置かれている立場を謙虚に理解するしか他に無かったのです。

米国クルーズ業界で最も評価の高いといわれるノルウェーの幹部船員を核にして、この事業を乗り出し、NYKとしての日本人幹部船員の登用については、5〜10 年後を目処に見直すことも可能にする方法もあるのではないだろうか。

NYKの運航部門が熱意を持って、世界に通用するクルーズ会社の運航を主導したいと主張しているのであれば、具体的な目標を立て、幹部船員候補生に積極的に、他の欧米の客船での長期研修やアメリカ社会にどっぷり浸かるような長期英語・文化研修制度を導入する事なども考慮すべきかと思います。

このアメリカや世界の最高レベルでのクルーズ事業の挑戦が今後も続くという事であれば、クルーズ客船向け幹部船員の養成に関しても、日本郵船として、抜本的な体制を検討する必要があるのではないだろうかなどと話をした。

明治時代に、NYKが日本で始めて外航海運を始めたころ、航海に対する知識が無かったそうです。

その窮状を解決するために、イギリス人船員などに任せたエピソードがあったそうです。

同様にクルーズも、運航面以外の多くの船上における業務や乗船客との交流を考えると、将来を見て、じっくりした対応が必要かと思われたのです。

乗船客とそれを接客する船上の幹部船員との関係は、社会心理学のケミストリーの世界だと実感したのです。

ラグジュアリークルーズ事業は、高いクルーズ料金にもかかわらず、自前で、船上での滞在中の時間を楽しみを求める乗船客で成り立っているのであって、それを満足させる仕掛けが不可欠なのです。

乗船客の大半は、アメリカでの生活形態の”日常性”をそのままクルーズ客船と言う滞在空間に持ち込み、その環境で世界を周遊する人たちなのです。

彼らの日常の生活において、彼らの交流の基本である言葉の問題(英語)などで苦労があってはならないのである。使 い勝手の利便性などで、相対的に判りやすいモノの価値観とは異なり、船上で経験するソフトや コンテンツには、それに参加する乗船客の主観的意向が働きやすく、まさに人間関係が織り成すケミストリー(相性)の世界なのです。

企業側の”主観的な”判断や経験で良いと思って も、対応される乗船客の主観は別のところにあるのです。

彼らがクルーズを楽しむために用意した旅行資金を、新会社のために使ってくれるかどうかは、彼らしか決められないからです。

世界を舞台にしている日本郵船の幹部船員も、この分野においては全く素人であり、言葉の問題 に加え、この経験不足は即戦力を活用し、世界基準の実現には、時間が掛かりすぎたのがネックだったようです。

マーケットや相手が何を考える かを予見して、出来るだけネガティブな環境を避ける舞台づくりを優先せざるを得ないのでした。

より客観的なデ ータを下に議論を詰める事にしていたが、船も就航していない段階、つまりサービスの実績を示す前にイメージだけで不要な先入観を商品開発の過程で入れないほうが良い」と言うのが、PR 会社や各種の覆面調査を経た旅行代理店や将来の潜在的な乗船客の意見でもあったのでした。

当時クリスタル・クルーズは、まだスタートしていないのでした。

理想は日本郵船の船長が前面出て、接客の面でも堂々とアメリカ人乗船客とやりあえて、ノルウェー人幹部船員などを自由に使えればよい ので あると思ったこともある。

しかし、当時のアメリカ人幹部が、日本から出張してくる 船員などとアメリカ人幹部との日常会話などを通して、現在の英語力・会話力 では彼らは残念なが ら納得しなかった。

戦前の日本郵船の欧州航路の客船は、行き先が決まった日程で、そこに辿りつく事が最優先されていたのです。

そのためには、船上の会話や滞在環境などよりは、目的地に少しでも早く着くことが最優先されたのである。

それに対して、自分のポケットマネーで好きなことを自由に楽しみ、時間に対する満足度が勝負の現代的なクルーズとは全く目的が異なったものであった。

ここに、戦前の日本郵船の客船と戦後の周遊を目的とした時間を買うクルーズとの違いがあったのです。

その第一番に乗る日本人の英語力などが今問題になっているのである。

まずは第一船の事業展開を成功させなければならなかったのです。

次の段階として第2、第3船も建造し、就航させてこの道で成長することを望んでいたのです。

乗船客のニーズを満たし、同業他社との競争に勝ち残ってこそ、未来を開けてくるものです。

これら現実を前に、NYK本社も決断した模様でした。

船上の組織、特に指揮系統に関しては「マーケットの要請」を受け入れ、ノルウェー・システムすなわちノルウェー船長の下でノルウェー副船長と日本人副船長を配し3 人の船長体制を構成し、機関部についても ノルウェー・システムを日本人幹部機関員が補佐する体制が出来上がったのです。

またNYKから派遣されるクリスタル・クルーズの海務担当執行副社長は経営・監督業務に専任する事になったのです。

この方向性に関してはクリスタル・クルーズのアメリカ人幹部も全く異論が挟めなかったのです。

新規事業の立ち上げでもあり、これからの事業の方向性と自分たちの置かれている状況を、客観的に見詰める事が重要であり最初のボタンの賭け違いを何としても避ける必要があったのです。

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ゲストとクルーの相性

ゲストとクルーの織り成すケミストリーとは

クルーズゲストの求める主観的価値観と出会いを創る環境。クルーズゲストはストーリーに価値を求めているのです。

ラグジュアリークルーズのターゲットとする富裕層旅行者は、モノの所有よりも、クルーズ客船上における人との出会いや滞在中の体験などを心に刻むことに、より価値や感動を求める人たちです。

船上での人との出会いをより感動深いものと感じてもらうことが重要です。 その場を作るためには、食事の後の充実したロマンス、エンターテイメントや食後酒も必要になります。


クルーズ旅行のリピーターは、極めて”主観的な旅行経験や体験、新しい発見や感動に加え、 自らがどのような扱いを受けたかなどで、クルーズ旅行の価値を考える傾向があります。
彼らは このような主観で旅行自体の満足度を評価するのです。自分の旅のストーリーの充足度に価値を求めているのです。

この事業は、主として、アメリカ人クルーズ船客を対象とした彼らの文化を取り込む事業な ので、まず何としてもアメリカ人マーケットから受け容れられる仕掛けが必要がありました。

これらのことを理解していれば、船上でのクルーの人的 ケミストリーの織り成す親密さが創れます。

自分の身の回りでサービスをするクルーや、毎日食事の際に、テープル・ホストとして 2 時間余も会話をこなす船長をはじめとする幹部乗組員の役割は極めて重要です。

100%のサービスでクルーズ船客に 受け入れられて、120%で初めて高い評価を得る関係でもあるのです。

ゲストはストーリーを求めている

クルーズ旅行は、船上での体験価値が重要な要素となっており、当然クルーズ客船社として は、クルーズゲストが主役の感動のドラマをどのように演出するかを考えなければなりません。

その多くの分野では、主役であるクルーズゲストと、彼らの脇役である多国籍クルーとの相性で決まると言っても過言ではありません。


クルーズゲストの期待度が高ければ高いほど、脇役の遣り甲斐は大きいのです。

各種の調査やこの道のエキスパートから、このケミストリーの濃さこそが、ラグジュアリー・クルーズの世界では最重要であると指摘を受けたくらいです。

ここを個性化し、他のクルーズ客船社とは違うケミストリーを構築する必要性を悟ってました。

他の既存ラグジュアリ ー・クルーズ客船会社のプロダクトとの差異化も図りつつ、クルーズ船客と乗組員間での感情面でのつながりを強化することを旨とします。

ここの評価が定着すれば、クリスタルクルーズ社の顧客層にプランドが認知され、ロイヤリティ (リピーター)も強化されるに違いないとの思われたのです。

一方、クルーズゲストが船上にお いて人間関係のおりなすケミストリーがうまくいっているときは良いが、1度でも、あるいは些細なことでも思い出の心に傷がつくという、非常に厄介なことになるリスクが潜んでます。

ケミストリーとは、正の部分で効果が発揮できればこれほど強力なものはないのです。

しかし負の部分もあることを理解する事も重要でした。

その負の部分に無関心であると、折角のクルーズゲストや旅行代理店を逃しかねないのです。

この負の部分、彼らが何故離反するのかの追及し、生産工程のようなゼロ・デフェクト効果でサービスの質の向上を心がけるシステムの構築も必要です。

ラグジュアリー・クルーズ旅行では、年に数回も乗船するような多くのクルーズリピーターで支えられている旅行商品です。

このリビターの多さは、旅行者の満足度や感動度の高さと比例しているものです。

統計的にこの理由を掘り下げていくと、船上での生活体験と其 処で織り成すゲストと乗組員との相性にたどり着きます。

クルーにとって、客船での勤務は職住が一緒の逃げ場がない舞台でもあります。

また年に二度、三度と同じクルーズ客船に乗ると前回と同じ顔ぶれの乗組員が、”ウエルカム・ホーム”と言いながら出迎えます。

まるで家族の一員のように、親しみを持って旅行の手助けをしてくれるところもクル ーズ客船による旅行の最大の特徴のひとつでもあります。

彼らとこのリピーターとの多くの交流が、この クルーズ会社の「ファミリー」としての強い絆になるのです。

言い換えれば、クルーズ客船のクルーは、同じ船の家族の一員であると同時に、旅行をより快適にするための添乗員の役割も果たしていると言えます。

クルーズ客船上での出会いが新しい滞在価値を覚醒するのです。

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