水素ガス吸入療法

免疫療法。体内に蓄積する酸化力(悪玉活性酸素)を水素の力で治療する

活性酸素とは、「喫煙」、「大気汚染」、「紫外線」、「放射線」、「激しい運動」、「身体的/精神的ストレス」などで発生する体内に蓄積する酸化力が強いヒドロキシルラジカルという物質を、総じて悪玉活性酸素といいます。

細胞内に過剰に発生した悪玉活性酸素は、細胞を内部から酸化させ遺伝子や細胞膜を破壊します。

●活性酸素があるとどうなる?
活性酸素が健康な細胞を次々と死滅させていきます。これが俗に言う「体がサビる」という現象です。これにより以下のような現象・病気が引き起こされます。

糖尿病、高血圧、メタボリック・シンドローム、悪酔い、二日酔い、肌のシミやシワ、アレルギー、内臓の老化、DNA損傷による発がん。

治療法の特徴

水素ガス吸入により、抗がん剤投与によるの副作用や放射線治療による副作用の低減、更に抗腫瘍効果も期待できるとされています。

活性酸素の毒性は間違いないのですが、ではどうやって除去すればいいのでしょうか?

実は医学界でも水素の研究は大変活発に行われており、人体に対する効果はここでは語りつくせないほどあります。

水素は非常に小さな分子で、脳や細胞、ミトコンドリアまで行き届くのが特徴で、細胞内レベルまで効果を出すことができます。

その水素は悪玉活性酸素と結合し、無害に変えることが研究の結果立証されています。

水素は悪玉活性酸素を選択的に除去することができるということです。

施術方法

水素の効能は数多くの論文で証明されていますが、水素水などは濃度がいい加減なものがあったり、実際にはほとんど摂取できないものも数多くあります。

1分間で水素水3000L分もの水素ガスを発生する専用水素発生機などを用いて、水素と酸素を同時に吸引する方法が効率的であると考えられます。

がんへの水素吸入療法の場合、毎日2-3時間の吸入にて慢性疲労除去やがん予防、倦怠感改善など活性酸素除去による体質改善効果が認められています。

ラグジュアリークルーズの最高級ブランド.2

クリスタルダイニングルームにて

リピーターや旅行代理店への約束に忠実に

クリスタル・クルーズに乗船するリピーターが多くなっている現実は、このリピー ターとなるクル ーズ船客が、クリスタル・クルーズの提供する旅行商品に、高い満 足度と理解、それに評価を与え てくれているという事を示しているのです。

まだ、噂を聞きつけた乗船経験のない旅行者にとっては、「クリスタル・クルーズの船に乗ってみたい」と思わせる「憧れ」も生んでいるのでした。

このよう に、クリスタル・クルーズの周りには、非常に多くの好意的なポテンシャルなマーケットが形成されていたのです。 したがってこのようにして、この業界で定着した「ブランド価値」をどのように 維持するかは、アメリカでは「ブランド価値」が企業の売買の対象 となっているように、クリスタルクルーズ社の将来に関わる重要な課題と使命になると思われるのです。

「ブランド」に対する認知やそれが生み出す「企業価値」は、そのサービス商品 に対する評価の 結果でもあります。この事業の創業の頃からの船上における多くの体験や出会いの積み重ねが、それを 経験したクルーズ船客や旅行代理店などを通して、 彼らのこの会社やその提供する旅行商品に対する「思い」が「メッセージ」となり「クリスタル・クルーズ」の企業イメージは、ラグジュアリー 旅行の「プランド」と化したのです。

彼らのクルーズ客船上で受けたサービスなどを含めた乗船経験から得た多くの人との出会いが、彼らの琴線に触れ、旅の感激や残像がクリスタル・クル ーズの社名やロゴママーク・コーポレートカラーなどともに、クリスタル・クルー ズ・ブランド として、脳裏に刻まれ、長く彼らの心の中に刻まれていくのです。

その名前を通して、 船上で出会った人たちや船上で働いていたクルー等の顔を思い浮かべるのです。その感激が、年に 4 回も 5 回もクリスタル・クルーズの船に乗り、まだ見ぬ世界に船出したいという 感情を刺激するのです。

このブランド力は 30年前、親がクリスタル・クルーズに乗船してい たという記憶が、世代を超えてベビーブーマー世代にも、自分も是非試乗したいと思わせる、世代を跨ぐリピーターを育んでいるのです。

ラグジュアリークルーズビジネスにおけるブランド力は、外部の人がクリスタル・クルー ズ客船に乗船している人に敬意を表し、優越感に満ち溢れたな気持ちさせてくれるのです。

自分の宝物を持つと 同じように、クリスタル・クルーズに乗船する人たちは乗船をしたこと」がステータスです。

そこで得た記憶や人との接触が心に刻まれている限り自分の心の中で、そのシンボルが発散され、外からはその幸せな体験が想像できるのです。

クリスタル・クルーズは、リピーターの輪を広げる事で、20 年後の今日まで来た。 そのリピータ ーは、数回、数十回となくクリスタル・クルーズの船に乗り始めて、今や 20 年間で、200 回を越えるクルーズゲストも増えてきました。

1回のクルーズを 12 日間とすると、2,400 日以上をクリスタル・クル ーズの船で旅をした人たちです。彼らはリピーターの域を超えて、クリスタル・クルーズでなければクルーズは出来ないと言うクリスタル・クルーズでの旅を人生の中枢においてくれるロイヤリティ、つまり忠誠度の高いクルーズゲストでもあるのです。

日本人ゲストの中に、処女航海クルーズにおいてクリスタル・クルーズの現地の旅行代理店 の混乱を招いた経緯もあり、本当に不愉快な思いがおありであったのですが、その後引き続き、20 年間も毎年多くの期間乗船頂いていらっしゃったのです。

御二方はクリスタル・クルーズの歴史の生き字引であるし、どの船長よりも多くの国を訪れ、 多くのクルーやゲストと接してきたのです。

このような例えば、クリスタル・クルーズに100 回以上乗船されているロイヤリティーが高く、義理堅いゲストは、1,000名以上はいらっしゃると思われます。 このお客様方はクリスタル・クルーズの船に乗って、世界を漫遊する事が生活であり、人生をより充実した気分で楽しんでいらっしゃったのです。

企業にとってはブランドとは、リピーターとその集客携わる販売網との約束事です。そのブランドに正当な評価を下してくれるのです。

それが、自分が支払ったクルーズ料金に対する価値と理解して頂いているのです。このような人たちが、クリスタル・クルーズの核をなす忠誠度を刺激していたのです。しかも、これからの客層は、ソーシャル・ネットワークなどを通して、発信力の強い人たちであり、彼らを味方にする事も必要になるかと思われるのです。

ホスピタリティビジネスの場合、クルーズゲストの心理的な側面を無視はできません。体験価値が重要であればなおさらです。クリスタル・クルーズのブランドは、その船上での経験 や、サービス、従業員の個性、社交などから構成されていたのですが、それだけでは不十分。

船上でのライフスタイルを充分に体験する為の舞台装置が重要になってくるのです。船上での居住性や利便性などがゲストのニーズにあったものかどうかが非常に大きな要因となるのです。

これから激戦区であるラグジュアリー・クルーズの分野で生きぬくためには、クリスタル・クル ーズとして原点に戻り、この事業の過去に辿った道を振り返り、現在を冷静に見る秋が来た。クル ーズ客船事業における「ブランド維持」には、”カスタマー・リテンション(維持)”と”サービス改革が、変化を恐れない事も重要です。

どんなブランドもこの対応を怠ると模倣の対象となり潮の変化に乗り遅れ、後退の道を歩むしかないのです。

幸い、クリスタル・ クルー ズは業界で最も高い評価を得ているのです。しかしこのブランドも、20 年続 いてき た節目でもある。この機会に、今一度このクルーズ客船事業の原点に戻り「クルーズ船客とその販売網との約束事」を考える事が必要かも知れません。

クルーズゲストの維持と変化に対応するためにこの事業はクルーズゲストのライフスタイルを反映させた旅行商品であり、その上で、ラグジュア リー・クルーズの基本である「リピーターを囲い込む事で成り立っているのです。

幸いクリスタル・ク ルーズは、この業界の販売網の中心である旅行代理店などとクルーズ船客層に、絶大な支持と評価を得てきたのです。しかしこの事業では、その販売網(デストリビューション・システム)は、極めて過酷で厳しい状況でした。

旅行会社の後ろにいるリピーターや旅行者の為であれば今のパートナーに、将来性が無いと判断すれば、あっという間に競争船社とでも手を組むのです。

この事業がクルーズ船客を中心としたライフ・スタイルを反映した事業であり続けるためには、 クルーズ船客は、自分のライフスタイルにより近い新旅行商品を選びたくなる特質を持っていることを充分理解する必要性があります。

その対応を緩慢にするとリピーターや販売網のこの会社に対する考え方も変わってきます。さらに新規顧客を開拓するためには、このカスタマーリテンション に対する積極的な分析と今後の対応が重要になります。

この分析にはクリスタル・クルーズがクルーズ業界に参入した時にとったマーケットリサーチの仕掛け、競合船社を離れたクルーズゲストの分析と同じ手法が参考になるかもしれません。

迷った時は、「ヒト」を中心としたマーケットに聞く姿勢が、ラグジュアリークルーズビジネスには最も大事なことです。その中でクリスタルクルーズのゲスト、特にその何も言わず離れていったゲストの意見を慎重に分析する必要があります。

ホスピタリティビジネスで、重要なことのひとつとして「何も言わずに離れてしいくゲストに潜む心理の追求です。ゲストの本音を知らずして次の発展はあり得ないのです。

クルーズ運航会社の立場から見ると、この事業のブランド力は、ホスピタリティビジネスの必然ではあるが、ライフ・スタイルに大きく依存しており「人的要因」 によって、大きく性格を変えやすい商品でもあることを今一度検証することです。

クルーズ客船事業創業時から、 30年を経てこの「人的要因」にも変化の兆しが見られます。この国際的多国的なクルーの構成の変化や、多国籍ゲストの対応を誤ると、 多くの今まで快適と思っていたリピーターのクルーズ客層の顧客離れを招き、結 果としてクルーズ商品の変質につながる傾向が強いのです。

ラグジュアリークルーズのオピニオンリーダーであり続ける為には、他社との差別化戦略をいかに展開し、独自性を構築するかと言うことと密接に関連しているのです。クリスタルクルーズは旅行商品が他社のクルーズ商品と明らかに違うのです。

それで「The Difference is “Crystal Clear 」として宣伝をしてきた。乗船してみれば他社と何が違うのか、その特徴を具体 的にアピールできなければ、この会社も他社と同列になり競争の世界に突入することとなる。

さらに洞察力が必要とされる時代

現在のコアになる客層の維持のためには、この後のライフスタイルを予見しさらに磨きを掛ける必要があります。今後のクリスタルクルーズとして、このブランド価値の維持は、今までの 30年の成功体験のみならず、新しい視点でライフスタイルに対する「予見力」を発揮して、時代のオピニオンリーダー として、新しい客層も誘致する必要性があります。

創業から 30年以上経過した現在は、新しい挑戦の 始まりでも言えます。

ブランド 価値の維持の為には、次の改革の姿勢と実行が重要 な役割を果たすに違いない。その基本をなすのは、投資をする会社側、のこの事業に掛けるグランドデザインと新造船を投入する決断に至るのです。これだけは、いくら、アメリカのマーケットでの営業や船 上での体験価値に大きな責任を負っている営業母体の運航会社が頑張っても、超えることの出来ない評価の原点です。

そのブランドの維持のために、次のようなことを考慮すべきかと思われます。

(1)時代の流れからの乖離やクリスタル・クルーズの旅行商品としての陳腐化などを、何としても避けなければならないのです。

ラグジュアリークルーズビジネスでは、クルーズゲストや旅行代理店などからの高い評価や心地よいYes に快感を覚えるが、ブランドの維持の為には実はNo!!に成功へのヒントが潜んでいるのです。

「No!!」の意見の方が建設的な示唆に富むものが多いのです。コンプレインやクレームこそ、改善運動の基本であり、今後の更なる成長の秘訣でもあるのです。

クリスタル・クルーズは草創期に、多くの市場調査を元に既存の競争クルーズ客船社のNo!!の意見を集めて、新会社の商品開発の段階で大いに活用した経験があります。

これからの「プランド維持」の為には、クルーズ船客の傾向を見ながらリピーターや販売網に対して、冷静な聞く耳が必要です。

特に高い評価は、将来の船隊の拡充に参考にもなりますし、一方批判的なコメントには、その改善と言うヒントを与えてくれるのです。

なぜ、無関心なのか?

無関心の客を追うという精神も必要です。

心配りには客層のそれぞれの個人客の生活感覚の把握という予見力が必要で無関心の謎が、解決されれば次の行動が先取りできるのです。

クリスタル・クルーズのリビーターの多くやクリスタル・クルー ズの販売を販売する旅行代理店の多くの人たちは、その旅行商品との関わりに身内のプライドが刺激され成長を願う気持ちが、新しい提言に繋がることもあるのです。

「ブランド価値」への検証は立ち止まって、停止しては陳腐化の道を歩むしかありません。常に、マーケ ットの変化を冷静に見つめ、それに基づきコンセプトを構成する多くの要素を検証し、対応し続 ける事が必要になります。

クルーズゲストや、その販売網も変化や成長をしている訳で、彼らの意見に聞く耳は、非常に多くのヒントを与えてくれるに違いないのです。

クリスタル・クルーズ内部の仕掛けの中で、クルーズ商品の更なる改善のための身近な対応として、早くからクルーズ船客が、言ってくる苦情を現場で解決できる権限委譲(エンパワーメント)を付与する事で、迅速に対応できるような体制となっているのでした。

その苦情の記録が蓄積されているのです。

これらの記録を言ってきた現場とそこに集まる情報を分析する必要性があるのです。現場のタッチポイントが、一番事情を知っている。サービスの利用者であるクルーズ船客の声に耳を傾け、耳障りな意見を積極的に吸収する姿勢が重要になります。

多くの場合、彼らの持つ警告が改善への第一歩につながることも多いのです。なぜならクルーズゲスト心理の最先端にいるに違いないのだから、客層の変化と共に、クルーズゲストの持つ不満や不便さ、そして不安とか不信などを常に見つめなおし、改善する努力が必要です。

このように、ブランドが確立された会社にとっては、そのブランドに対する検証と改革の精神が徹底している必要があります。

(2) アメリカのホスピタリティ事業においては、クルーズゲストの将来性などを分析するために、 実際に乗船したクルーズゲストの評価分析とは別にマーケットの嗜好調査の中で、全米の主要都市における同業他社の客層調査やライフスタイル調査、その旅行代理店などの業界の調査などを積極的に展開することも重要です。

新しい顧客層を把握し、ビジネスの青写真を描く事が効果的です。

この調査を通して顧客のニーズに合わせて時代を先取りする仕掛けが必要になります。

クルーズ旅行のように、顧客の主観によって、クリスタル・クルーズのブランド 価値が認められている商品に対しては、常に、供給側の意図は乗船客の主観や意見を最大限に理解し、反映したものでなければならないのです。

クルーズの場合、ゲストの客層やコンセプトの検証に基づいた、最低でも2年以上先の将来のマーケットに対する予見力と、それ対する投資を考える必要性があるのです。

(3) クルーズ旅行は、ライフスタイルに基づいた商品であり、過去30年の間 に、時間を刻みながら変化をしてきたのです。

これからの世界を考えると、その顧客の客層の変化や嗜好、世間の流行や関心や居住性に関わる技術や滞在環境などの変化に乗り遅れると、彼らからの反感を招き、 ブランドの崩壊と言う取り返しの付かぬ結果を招く事もあるでしょう。

毎年行われる、マーケットに於ける世界の「ブランドランキング」も存在します。その顧客の構成 の変化を理解することが、非常に重要な旅行商品なのである。同じ、アメリカ人に中でも、30年で大きく変わってきたのです。

アメリカ人ゲストを対象 としてきたクリスタルクルーズも、創業30年で日本からの固定客やアメリカ人以外の客層も含め、数十万人ものリピーターの世界に広がっているのです。

新しいゲスト世代のコンセプトとの融合が必要になってくるのです。

クリスタル・クルーズの経営における集客戦略の核には、

(a) リピーター戦略(充実した新規寄港地企画)

B) 新しい客層の開発と言う2つがある。

この両輪が上手くかみ合って始めて、将来への発展に期待が持てるようになるのです。

リピーター戦略は、 クルーズ客船隊の拡充と密接に結びついており、この戦略を軽視すれば核となっている忠誠心の高いゲストやその背後にある販売網にとって、新規寄港地の選択肢が減り、この戦略は崩壊する可能性も潜んでいるのです。

新しい客層の開発に際しても、従来のリピーターが存在して、初めて、 ラグジュアリー・クルーズ商品を維持できることを認識する必要がある。新しい客層の多くは、従来 から築いて来た船上での滞在体験の大きな変化を求める傾向がある。それが、特に国民性を背景と すれば、なおさらそのような変化に対応する「予見力」が必要になるでしょう。

この事業は人的な要因が、経済性より時に優先されやすい事業でもあるから、人的要因がマーケットを決める傾向が強く、船上体験の変容などにより、クルーズ旅行者の心変わりが起こりやすいのです。

これが 口コミでマーケットに蔓延し、結果としてラグジュアリークルーズの世界から消えて行ったクルーズ会社も多いのです。

新しい競争船社や新造船の出現など、この事業にはさらに先を見ながら、虎 視眈々とクルーズ船客を狙っているクルーズ会社も多いのです。

このホスピタリティビジネスの旅行商品はおもてなしが、評価基準のひとつになるように、受け手の心理的側面が大きく、経済性よりも彼らの持ちを掴むことが、この社会での競争に勝ち残る為には必要です。

これが、一般的な「モノ」ブランドとは異なるところです。

(4) クリスタル・クルーズのブランドの大きな柱をなす、クルーズの滞在環境を前出するクルーにおいても、それぞれの人材ソースの変化やその人材と接するゲストとの新しいケミストリーが存在するのです。今まで以上に、クルーの組み合わせに労力を要することになるかと思われます。

クルーズゲストの多様性などにより、クルーズゲストに関わる事の多い船上滞在環境を指揮するホテルダイレクターの立場は、船長の立場に限りなく接近してきたのです。

クリスタルクルーズの草創期に、ホテル関連の責任者であったフライデンバーグ副社長がホスピタリティ事業であるからには、ホテルダイレクターが、船長と同じような権限を持つべし」との発言していたのです。

人材やゲストなど、人と人との繋がりの力を活かす誇り高き事業としてブランドは、栄枯盛衰が激しい競争の上に成り立っているものです。

軌道に上手く乗っているときは良いのですが、一度この歯車が狂うとその威力は急激に衰え衰退の道をたどる傾向があります。特にブランドは時に後から来る会社の模倣の対象となりえます。

特に「モノ」のブランドと異なり、ホスピタリティビジネスのブランドは、その顧客層であるクルーズゲストや、それを支えている販売網である旅行代理店などの価値基準に見られるように、飽きや慣れなどの陳腐化や、将来に対する期待度など、主観的な支持を失うと、急激な顧客離れが発生し、急激に”衰退の道をたどることになりやすいのです。

クルーズ旅行商品は、時代を生きる旅行者のライフ・スタイルと密接に繋がった商品であるので、陳腐化や飽きには警戒心を持っていなければならないのです。

常に彼らの新しい動向に謙虚に接し、革新の努力も必要になる。時代を先取りする変化への対応が出来ないブランドは衰退しかないと言っても過言ではありません。

その柔軟な考え方がブランド価値を高める波及効果を生むに違いないのです。なぜなら今までのラ グジュアリークルーズ客船会社の衰退の経験を学びました。

リピータ ーに対する満足に甘んじて、新しい客層を切り開く努力が不足し、新しい客層を獲得できなかった所にも大きな原因があったことを学んできたのです。

ブランドの維持の為には、クリスタル・クルーズの最先端で働くクルーズゲストとの接点である乗組員に、この会社の将来を明確にする事により、そのブランドの力は、彼らのプライドなどが感情移入され、タッチポイントにおけるクルーズゲストとのケミストリーがより強固なるのです。

ブランドの維持は、クルーズゲストに対してのみではなくこの事業を支える乗組員との企業文化や将来のグランドデザインの共有が不可欠だからです。

将来に対して、ブランド力が見えない企業は、タッチポイントでの衰退を招き、その雰囲気がクルーズゲストにも、無意識のうちに広がるものなのです。 販売ネットワークを握る旅行代理店などの信頼関係にも影響を与えるのです。

ホスピタリティビジネスであれば、その中心に常に変化に敏感なヒトがいることを忘れてはならないのです。ヒトとの交流が好きなヒトが、ラグジュアリークルーズビジネスの鍵を握っているのです。

———————————————————————————————-

旅行手配の旅行会社様からのご依頼はこちら

旅行手配以外の官公庁及び法人様お問合せこちら

———————————————————————————————

ラグジュアリークルーズの最高級ブランド.1

クリスタル・セレニティのプライベートダイニングはワインが主役

アメリカのクルーズ人口も、この事業プロジェクト検討開始の時期(1987 年)の 288 万から、今や 1,100 万人にもなり、クルーズ客船の船型も大型化の一途で、23 万 トン、船長 360 メートル、乗 船客 6 千人を乗せる船(ロイヤル・カリビアン社(RCI) Oasis of The Seas (2009 年就航)や姉妹船 Allure of the Seas (2010 年末)が就航しました。

このような拡大し続けるアメリカのクルーズ業界においても、クリスタル・ クルーズは、そのラグジュアリーマーケットのクルーズ客船社として、圧倒的な地位を維持し続けてきたのです。

創業以来30年、アメリカの旅行業界やクルーズ愛好家の中ではクリスタル・クルーズといえば、ラグジュアリークルーズと連想がなされるようなクルーズ旅行商品としてトップブランドとしての定位置を維持してきたのです。

クリスタル・クルーズの 30年間の足跡の中で、多くの不幸な事件にも遭遇した。就航間もない船上での火事もありました。2001年9月11日アメリカ同時多発テロ(9・11)がアメリカ観光業界に大打撃を与え、 クリスタル・クルーズも大きな影響を被ったのです。

フランスの造船所の工期遅延の結果、予約客へのクルーズ料金の全額返済と言う事態も経験したのです。湾岸戦争やイラク戦争など国際政治の急変の急変 に翻弄され、 SARS、鶏インフルエンザなどの変病で大きな影響も受けたのです。

一方で、ベルリンの壁や、ロシア東欧圏の開放や中東におけるオスロ合意など、政治が新しいクルーズの世界を広げてきた現実も認識する必要があるのです。

しかし、これらの変化や出来事を、その時々の果敢な対応で、呑み込みながら、クリスタルクルーズのブランドは、クルーズゲストの間で、年に数回も乗船するようなコアー・リピーターのみならず、代理店など販売網の支持を得て、認知度を高めることができ、最高級ブランドとしての不動の地位を得ることができたのです。

今、私なりに振り返ると”ゼロから始めた新会社”による”新造船の投入など、当時の業界の常識からすれば、”無謀”と言われた構想でしたが、このプロジェクトの企画段階から、このクルーズビジネスは人と人とを繋げることを対象とする位置付けが、日本郵船本社と運航会社であるクリスタル・クルーズ との間で共有されていたのです。

マーケットに聞く姿勢が貫かれていたのです。

その実績のない、白紙から始める会社にとって、各種の調査を通して、マーケットを絞込み、その上で、サービス・プロバイダーであるクルーズ客船社と販売網である旅行代理店などの棲み分けが明確なアメリカ市場において、マーケットの形成に最も影響力 の有ると思われる販売網を味方に付けることが出来たのです。

その絞り込んだ市場にあわせて市場優先でクルーズ商品を構築する手法が上手く行ったように思われたのです。クリス タル・クルーズ)側と販売網の共創効果が十分に発揮されたようです。

当初の計画は、日本郵船本社が描く主観的な感覚やイメージをもとにした「太平洋客船会社」構想、「日本郵船が建造する新造船と新会社を中心において、クルーズ船社が起爆剤となって、日本でのクルーズ船客を創り出したいと言う強い願望を抑え 現実に顧客の存在するアメリカのマーケットを、この事業推進の主戦場に選んだのです。

そこには、日本 マーケットの置かれたビジ ネス環境の改革やその先に存在する船客への啓蒙体制の整備に期待しながらも、時 間が掛かるとの判断でもあったのです。マーケットが存在するアメリカ市場で、顧客の徹底的分析で、船客や販売網の要請に合わせた方向に、大きく舵を切ることによって、今日のクリスタル・クルーズがあったのです。

草創期から、ライフ・スタイルの変化を予見しつつ、マーケットの要請に合わせる努力も惜しまなかったのです。多彩な国民性や個性を持った国際クルーを積極的に採用し、船上での滞在環境の演出の中心に、エキサイテングなケミストリーを生む人材を置いたのです。

その結果、過去や既存のクルーズ客船会社の観念にとらわれず、他社とは違う独自性に満ちた、全く新しい時代のクルーズ会社とクルーズ客船のコンセプトの構築が実現したのです。

この船上で織りなす人材ファクターが、船上で創り出す旅のプロセスである長期滞在する環境の滞在価値を最高域まで高め、コストパフォーマンスが更に評価され、クリスタル・クルーズのブラ ンド・アイデンティティを維持し高めてきたのです。

このクルーズ商品を利用するクルーズ旅行者や販売網である旅行代理店などの関􏰂業界の中で、クリスタル・クルーズに関わってきた人材がミッションや規範を信じて、自分の役割を理解 し日々に尽力をしてきた結果です。

この足跡が、クリスタル・クルーズ はラグジ ュアリークルーズの代名詞とポジティブ・イメージを確立させ、現在の評価を不動のものにしたのです。

「クルーズ旅行商品」の核に、流行などに陳腐化しやすい「モノ(ハード)」よりも、「ヒト」に 投資を続け、個々の「人間力」を精一杯活用する仕掛けが、 20 年後の現在も高く評価されたのです。

狙いをブランドを創ることに絞込み、この新しいクル ーズ旅行商品を、クルーズゲストや販売網などマーケットを巻き込んで構築する構想が、幸いにして成功してきたのです。

クリスタル・ クルーズとその顧客を構成するクルーズ旅行者や旅行代理店に、 ロゴ・マークであるミラード・シーホースとして刻まれたブランド価値が共有されている事が、この事業の発展にも重要な鍵であることを学んできたのです。

最近では、この業界の評価の基準の一つといわれる旅行雑誌、コンデ・ ナスト (Conde Nast)の「ゴールド・リスト(Gold List)」では、船というハード面では、他の新造船の後塵を拝しつつあったのです。

2010 年の最新版では、ついに総合評価点 (92.3)で、リージェント・セブン・シーズ社に並ばれた。そのような状況でも「モノ」の劣勢を超える寄港地企画や船上での滞在環境などのソフト面での評価が、何とかこの業界のトップを走らせているのでした。

将来のクルーズ旅行者の掘り起こしが必須

最近の市場調査では、アメリカの旅行代理店を中心とした販売網は、他の旅行商品に対して、クルーズ商品を売りたいと願っているが、その動機は下記にあるという統計がある。

・ 予約手続きが簡単で、売りやすい旅行商品である(69%)

・ 利益率が高い(25%)

・ 旅行者にとって、グッド・バリュー(21%)

・ 旅行者の満足度が高い(30%)

初めてクルーズ旅行を計画する人たちに関わる旅行代理店のスタッフの予約から販売完了までの時間に関し、初めてのクルーズ経験者にはクルーズ 30 分、リピーターは大幅減、 他の旅行 45 分と言う統計もありました。

しかし、クルーズ旅行の場合は初めて乗船するゲストの多くは、 船上での滞在環境に魅了して、その結果次回の仮予約は船上での予約となると思われ、送客をした旅行代理店としては、クルーズ船社からの予約の可否の反応を待つだけで良いのです。

クルーズ旅行は、クルーズ旅行者を虜にし「麻薬」に喩えられる事もあるが、それは実は、旅行代理店なども同じ状況です。

彼らは一度クルーズ旅行を経験し た人たちを見ると、多分またリピーターとして、繰り返しクルーズ客船に乗船してくれると言う手応えの予感がある。ラグジュアリークルーズ旅行が、他の旅行のスタイルよりも、遥かに満足度が高いという事を知っているからです。

将来の旅行者マーケットに対しては、アメリカの CLIA(アメリカクルーズ客船主協会)を通してニューズ・ウイーク誌など一般誌などを大いに活用して、クルーズ旅行の魅力を宣伝した 事も効果があった。その謳い文句は、クルーズ旅行が訪問先とリゾート旅行を兼ねている、いわゆる「ワントリップ・ツーバケーションズ」なのです。

陸上での定点型リゾー ト旅行に比べ、どれだけエキサイテングで、お買い得が多いか、滞在型リゾート地におけるホテル代・税金・外食・車利用などを考えると、「トータル」料金のクルーズ料金は簡単で、その充実度も納得感が高いものであると、既存の旅行形態との違いを鮮明にする方針が徹底されていたのです。

これにより、今まで の先入観、つまり一部の特権階級向きと思われていた旅行のスタイルが意外と安価で満足度が高いことに気づいたのです。

この結果クルーズは、昔のように大西洋を横断する富裕層のものだけではなく、クルーズ客船社を選ぶ事によって、家族でディズニーランドに行くような気分でクルーズを楽しむことも出来る事を知ったのです。

しかも乗り継ぎなどの不安もなく、非常に簡単でストレスフリーな旅行であることをクルーズ経験者が仲間に、口コミで触れ回ったのです。

具体的な値段面での損得に加えて、クルーズに対する先入観や偏見の除去の努力も重要であった。 アメリカでの実験では、「クルーズはライフスタイルを前提にした旅行商品である。特に、非日常性でもなく、もっと気楽なものでなければならない」と主張していたのです。

ヨーロッパに、陸上のホテルなどを利用して旅行すれば、 言葉の問題、食事の問題や人との接点上の文化の違いなどが、気になるものであろ うが、アメリカ人船客の多いクルーズ客船では、アメリカの生活がそのまま、クルーズ客船で移動し、日常性を強調したのです。

実際に言葉や食事の問題も、陸上の旅行より、遥かに障害は少ないのです。パリのホテルに泊まった処で、言葉や食事にしても、その予約やメニューに気を使うのです。

予約での手間、フランス語のメニューや静かな環境での食べ終わるまでの当事者間の会話、サービスする側とサービスをされる側の立場などなど堅苦しさを覚えることも多いのですが、船上では、数日も交流が深まったウェイターなどと接していれば、自然に言葉を超えて交流が可能になるのです。

騒がしさは時に心地よい慣れた臨場感に繋がるのです。日替わりで訪ねる街角の堅苦しいレストランと異なり、クルーズ客船では、毎日馴染みのメイン・ダイニングであることにもよるものです。

もちろん、そこで出されるメニューは、レストランの限られた固定メニューと異なり、メインダイ ニングルームでのメインコースだけで、 10 日間、150 種類もの「アラカルトメニュー」を用意して、クルーズ船客が飽きることのない選択肢を提供しているのです。

それを、数日のお付き合いで交流が出来た旅行者やウェイターなどと会話をしながら注文をする喜びもあるのです。慣れぬクルーズゲストとって、言葉の不安などが有るにしても、それは、数日で解消するに違いないのです。

確かに、ラグジュアリークルーズ船社は、その個性を強調する余りフォーマルなスタイルを主張したりするが、それはクルーズ船社の都合であり、クルーズを楽しむ人たちには、寄港地での新しい発見と船上での出会いなどに重点を置いてもらう仕掛けを船上で構築したのです。

テレビなどや他の機会を通して、クルーズ客船を、アメリカの社会に露出させる事も効果があったのです。テレビの定番モーニングショーを、船上から実況したりもした。 クルーズを経験した人たちの生の声をマーケットに伝える事も効果が高かったのです。

各クルーズ船社や販売網は、既にクルーズを旅行した人たちに旅行後の感想を聞き、それを彼らのパンフレットやプライス・リストに載せる事も行いました。また、新規顧客は船を知らない事による躊躇指向が強いが、クルーズ客船を遠望するだけではなく、 身近にクルーズ客船を見る仕掛けも必要なのです。

船酔いの不安も、最近のような新鋭大型船の進出で、一昔前の木の葉のように揺れる􏰂絡船のよ うなこともなくなったことを周知させる必要です。

映画「タイタニック」が流行った頃、アメ リカのカリブ海クルーズでは、積極的にこの映画を船上の TV で流した。彼らの宣伝の幹部が言って いた。この映画を見て、現在のクルーズ客船がどれだけ安全か」と悟り良い宣伝出来たということです。

旅という好奇心・体験と感動を売る事業としてこの事業の草創期のプロセスに関わった頃、いろいろな先人の意見を集約している過程で、ラグジュアリークルーズビジネスとはブランドを創る事業との位置付けをしていたのです。

クルーズ客船事業における「ブランド」とは、100%バイオロジカルな「ヒト」を中心とした世界で織り成されるということです。

クリスタル・クルーズと言う響きのよい会社名と旅行商品だけでは、ブランド化を実現したとはいえません。

ブランドは、他の競合相手との識別の為の証であること。その証の為には他のクルーズ会社との違いや独自性を鮮明にしこのクルーズ客船会社の将来の在るべき姿を明確にして、大構想のその成長のプロセスの中に参加することです。

それを利用したクルーズゲストや旅行代理店が、そのサー ビスなどの内容や情報に共鳴し、体験した時に初めてそれぞれの心の中に記憶され刻まれて行くものなのです。

それが他の利便性や外形などのイメージが優先する商品ブランドと、 人間との出会いや自分の五感を刺激して触れることで築かれた感触や体験など、人間の内面と共鳴した経験型の旅行商品のヒトとブランドとの違いなのです。

創業当初からクリスタル・クルーズのバックボーンに位置づけた「人的なファクター」は、バイ オロジカルな要因で構成されているから、それぞれのヒト・人の感情や言葉などを通して、人間的 な交流を生み、そこから信頼関係が生まれる。それがクルーズ船客のみならず、販売網などにも影響を与える。

これがクリス タル・クルーズのブランド化の深層に流れていたのです。多くのクルーズ船客にとって、クリスタル・クルーズに乗ったと言うことを話すことは喜びであり快感になるのです。

このようにブランドとは人間の深層心理にある、自尊心をくすぐり、クリスタル・クルーズの船が目の前にあればそれに乗りたいと言う憧れに連なるものです。

その滞在体験から得る価値「体験価値」の中でも、「ブランドとしてのパーソナリテイ」を、クリスタル・クルーズとしての他社との違いや独自性の中心に「ヒト」すなわち「人間力」を置きエレガントで、開放的で親しみの持てる環境を創り出しているのです。

旅行商品は対象とするものは、サービスをされる側も「人」であり、サービスをする側も「ヒト」なのです。

即ち「ヒト」を知らねば、この仕事は成立しません。 これから対象とする客層は「モノを買う」事よりも「体験を買う」ことにより関心が 行くと言われる世代です。

「ブランド価値」は、模倣されやすい性質を持っているので、ラグジュアリークルーズ客船会社も、 ますますこの「ヒトと人」の交わりにこだわる世代への対応をマーケッターの先見の明を発揮すべきかと思われます。

「ウェルネス」は富裕層インバウンドの理想

ウェルネスとは

「ウェルネスビジネス」について考えるときは、「ウェルネス」と「ビジネス」を分けて考える と理解しやすくなります。まずウェルネスとは、身体的・精神的・社会的に良好な健康状態のこ とです。もともとは身体の表面だけでなく、総合的に健康について考えた概念であり、アメリカ のハルバート・ダン医師が考案しました。そしてウェルネスをビジネスに、つまり商業的に活用 しようとした概念がウェルネスビジネスです。ウェルネス資源の多い日本において、富裕層に向 けたインバウンドのブランド戦略としても、効果的だと考えらえます。

改めてウェルネスビジネスとは、病院など体調を崩したときに利用するサービスではなく、健康 維持や病気予防といった視点でサービスを提供することを指します。 日本においても少子高齢化 などを理由に、健康寿命への関心が高まっています。そこで考えたいのが、世界的に注目を集め る「ウェルネスビジネス」への参入です。ウェルネスビジネスの代表的な例としては、スポーツジ ムやヘルスカウンセリング、社会的に交流するコミュニティ活動などが挙げられます。人生100年 時代といわれる昨今、日々さまざまなメディアで健康寿命の重要性が取り上げられており、日本だ けでなく世界でもウェルネスビジネスは注目されているのです。

ウェルネスビジネスの市場予測

ウェルネス業界の研究機関「Global Wellness Institute (GWI)」の調査によれば、2018年時点で ウェルネス業界の世界市場規模は4.5兆ドル、日本円にして約500兆円にのぼるとのことです。こ れは世界の総医療費(7.8兆ドル)の約57%に相当し、非常に高い割合を占めていることがわかります。

また、この数字はウェルネス・メンタル産業や、ウェルネスフード・栄養・ダイエット産業、ウェ ルネスツーリズム、パーソナルケア・ビューティー・アンチエイジングなども含んでおり、これら の分野はさらなる成長が予想されます。たとえばウェルネスツーリズムの世界市場は、イギリスの リサーチ企業「TechNavio」のレポートによると、2020年~2024年の間に約3,155億ドルもの 成長が見込まれています。

少子高齢化が進む日本では今後、シニア・高齢者層が社会の主要構成員となるため、健康寿命に 関する取り組みは避けて通れません。これを疎かにすれば、社会保障費をはじめとする負担の増加は免れないでしょう。こうした事情を考慮すると、日本における今後のウェルネス業界の成長性はきわめて高いといえます。

ウェルネスビジネスの具体例:パーソナライズドフード

「パーソナライズドフード」とは、人それぞれの趣味や嗜好、体型、健康状態などに合わせた食 べ物のことをいいます。昨今の日本では、健康的な食事に絶対的なものがあると思われがちです が、当然ながら人それぞれに合う・合わないがあります。

たとえば、屋外で土木・建築などの肉体労働をしている人と、屋内でデスクワークをしている人 とでは、必要な栄養素やカロリーは異なるでしょう。前者は一定の脂質や糖質を取らなければ1日 もたないことも多く、後者は肉体労働の人と同じ食事だとカロリーオーバーで食べすぎです。この ように各々のライフスタイルや職業、体型など、あらゆる点において考えられた食事が求められ ているのです。
その点、パーソナライズドフードは個人に最適化されており、今よりもっと幸せな暮らしをもた らす可能性があるほか、環境問題・食糧危機・フードロスなどの社会問題の解決にも寄与します。

パーソナライズドフィットネス

「パーソナライズドフィットネス」とは、パーソナライズドフードと同様に、個々人の健康状態 や生活スタイルに合わせたフィットネスのことを指します。
わかりやすい例としては、アスリートと一般人との運動強度(トレーニングの強さ)の違いが挙 げられます。一般人がアスリートのようなトレーニングをすれば、怪我をする可能性が高まりま す。逆に、アスリートが一般人と同様のトレーニングを行っても、強度が足りず体を鍛えるには足 りません。
パーソナライズドフィットネスでは、日々のトレーニング具合や成果をデータで保存すること で、長期的な成長を確認でき、モチベーションが続きやすいメリットがあります。ほかにも、 個々人に最適化されたトレーニングゆえ短期間で効果が出やすい点も特徴です。

ウェルネスツーリズム

「ウェルネスツーリズム」とは、心身の健康維持を目的として行われる、温泉・ヨガ・スパ・瞑 想・ヘルシー食などを取り入れた観光のことです。日本ではあまり聞き慣れない言葉ですが、 フィンランド政府観光局が2020年5月、自然豊かなフィンランドの暮らしを疑似体験できるオン ラインプログラム「バーチャル Rent a Finn」を開始したことで、にわかに話題となりました。

一般的な旅行でも、温泉や瞑想を目的とした観光は可能です。温泉地に行き、ヨガや簡単なト レーニングをしてから温泉に入り、瞑想をするといった計画を立てれば、立派なウェルネスツー リズムといえるでしょう。それゆえ上記2つと比べ、一般人でも気軽に取り組みやすいのがウェル ネスツーリズムの特徴で、よりスムーズな参入が見込めるでしょう。

日本の魅力とポストコロナ

若いころさまざまな理由で日本を離れていたものの、老後は故郷で暮らしたいと考える人が増えているそうです。在留邦人のみならず、日本は海外の外国人からも移住地として人気があります。 エキゾチックな国に旅行して、その伝統的なライフスタイルに魅せられ日本をホームにしたいと考 える人もいるようです。

海外送金サービス会社「Remitly」が101カ国に住む人たちを対象とした調査を行いました。、 Google検索データから「海外移住について調べるときによく使われる検索ワード」の月平均検索 量を分析した結果、移住先として人気がある国1位がカナダ、ついで日本は2位であることがわかりました。

日本への移住を検討する理由としては、「医療の充実」「治安の良さ」「風光明媚な景観」など が挙げられています。

治安がいい、安全、秩序、ハイテク

もう少し丁寧に追ってみると、日本は地球上で最も犯罪率が低い国の1つです。社会学者、心理学者から一般の人まで、誰もが日本をとても安全だと証言します。安全性の低い国から来た外国人 にとって、犯罪の発生率が低いことは、日本の日常生活において気が休まります。東京のような大 都市での犯罪率が驚くほど低く、秩序が保たれています。犯罪に巻き込まれる心配なしに生活できます。

日本では夜間に出歩くときですら心配する必要はありません。車に鍵を置いたまま放置していて も、家のドアを開けっぱなしにして出かけても、無事です。2019年、グローバルピースインデッ クスは、163カ国のうち日本を世界で9番目に安全な国としてランク付けしています。

また主要都市には病院があります。緊急事態が発生して医師の診察を受ける必要を感じたら、すぐに予約して診てもらうことができます。

日本は世界で最も近代的で技術的に進んだ国の1つです。たとえば、 東京と横浜は、テクノフィリアや大都市愛好家にとって完璧な都市です。この国は伝統と現代が混ざり合っています。豊かな文化と歴史を持つ土地だけでなく、技術の先進国でもあります。東京と横浜は、ファッション、アー ト、フードの世界的に有名な中心地です。そして東京はミシュランの星を世界で最も多く持ってい る都市です。日本には繁栄している産業がたくさんあります。ハイテク産業やロボット工学だけでなく、金融や観光業でも仕事を見つけられます。英語を話す人や英語の先生がしばしば求められ ます。外国人の雇用は東京で生まれており、東京には多くの外国人が住んでいます
日本の公共交通機関は世界一と言ってもいいでしょう。

電車は、世界で最も信頼性が高く、時間 厳守で効率的なシステムであるため、日本で最も人気のある交通手段です。新幹線には外国観光客 向けのレールパスがあり、自由な時間に国を探索するのに役立ちます。短時間で、あなたは国のす べての目的地を探索することができます。東京はとても素晴らしいインフラを持っています。車を 運転する必要はありません。電車は10分おきに到着するので、移動はとても簡単です。他のオプ ションはバスとタクシーです。しかし、タクシーの運転手は英語が上手ではありません。 日本で 生活していると、車社会ではないのでよく歩きます。

この利便性と秩序が行き届いた国で暮らしていると、日本国外に住むことができないことに気づ きます。何があっても、スムーズに運行されるので、予期せぬ事態を想定したりせずに済みます。

自然が美しい

日本の自然景観は世界的に有名です。それは無数の芸術家や詩人に影響を与えました。屏風や版 画、多くの絵画で風光明媚な日本の自然をとらえています。日本は地理的な多様性に富み、有名な スキーのリゾート地があり、また他方で火山活動の恩恵を受けた温泉もあるのです。日本は緑の 森が多く、湖、川や海など、訪れる場所がどこであっても自然との調和を感じます。

特に日本の寺院や庭園では、平和と静けさを見い出します。有名な寺院や庭園には、鎌倉市の鎌 倉大仏殿、龍安寺、兼六園などがあります。外国人観光客が迷子になったり混乱したりした場合 でも、日本ではほぼ全員が非常に親切で丁寧に対応してくれます。例外なく。

地震や台風などもありますが、日本の長い歴史で自然災害と上手に付き合ってきたように、多少
の一時的な不具合をしのげば、それほど不自由でもありません。

日本人は世界で最も長い平均余命を持ちます。健康的な日本食が注目されています。自然の豊かさ が育む、食材と健康には関連があると思います。日本では、食べ物は常に短時間で調理され、生 で提供されるものも多いです。ご飯、魚、野菜・果物が中心です。砂糖はあまり消費せず、抗酸化 物質が豊富な緑茶を毎日飲みます。またメニューにはバラエティがあり、発酵食品が日本食を豊か にしています。

先進国の中でも日本の物価は低い

有料老人ホームの費用アメリカの都市部では、高齢者向けの施設に入居するには月額3000ドル、 4000ドルの入居費用がかかります。日本の場合、都心部でも20万前後で入居できます(各施設やサービス内容によって料金は異なります)。

他の先進国と比べて日本の物価は格段に安いです。日常生活に必要な衣食住の値段は、だいたい アメリカや欧州の先進国と比べると3分の2ほどの値段です。もちろんピンからキリまであり、高級な寿司店やレストランなどは別として、吉野家の牛丼の並盛りが388円。タイや台湾などの屋台 料理の値段とさほど変わりません。東京ではドリンクやデザートも込みで美味しい1000円以下で ランチが食べられる店も多いですが、ロンドン、パリ、ニューヨークなどではありえない話です。

パーマネントトラベラーの『ウェルネス』フラッグを日本に立てる

移住したくなるほどに快適で安心で、そして物価も安い、そんな日本の魅力は1、2週間の短期観 光だけにとどめておくのではもったいないです。日本はPTの旗国としても魅力があります。

Wikipediaを参照すると、PTにはパーペチュアル・トラベラーが当てられています。個人が複数国を拠点に分散的に旅をし続けることで、所得税や資産税、社会保障負担金、陪審義務、兵役など、居住に伴う法的義務を回避することができます。必ずしも、節税といった消極的なアプロー チのためのPTばかりではなく、むしろ国家から自立し、世間の価値観に振り回されず、個人の自 由な生き方を突き詰めることができます。まさに、クリエイティブな富裕層にピッタリはまる生き 方とも言えます。PTライフを充実させるサービスはオフショア金融サービス、租税回避スキー ム、個人のプライバシーサービスを売りにする企業の定番商品になっています。『Luxury Travel』分野においても、その視点を狙った大胆な商品開発があっても面白いと思います。

投資のスペシャリスト、ハリーD.シュルツにより『フラグ理論』が提唱されています。初めは、フラグは3つで、誰もが2つ目のパスポートとタックスヘイブンの住所を持ち、資産を母国の外に保 管するというアイデアでした。後に、お金を稼ぐ場所とレクリエーションの場所が含まれるよう になり『5つのフラッグ理論』として定着しています。

パスポートと市民権:国外で稼いだお金に課税したり行動を管理したりしない国。

法定居住地: タックスヘイブン。
事業基盤: お金を稼ぐ場所、理想的には法人税率の低い場所。
資産の天国:お金を貯める場所、 理想的には受動的所得とキャピタルゲインへの課税が低い場所。
遊び場:お金を使う場所、理想的には消費税の安い場所。

パスポー トを持つ国、居住書類を持つ国、ビジネスを行う国、資産を持つ国、快楽を追求する国。 PTは、これらを分散して棲み分けていくわけです。この5つのうちの『快楽を追求し、お金を 使って遊ぶ』国として日本の『ウェルネスクオリティ』のコスパの素晴らしさを認知してもらう のです。ここでは『PT』を先駆的でエッジが立っている自由な旅行者という意味で『パイオニ ア・トラベラー』と呼びます。PTには、貧困PT、中間層PT、ハイクラスPTと階層がありますが、 その3クラスのうちのハイクラスのPLT(Pioneer Luxury Traveler)に日本に度々訪れてもら うのです。

快楽の追求には2種類あります。いずれも日本には理想的なほど十分なポテンシャルが埋まっています。

・リラックスできる(マッサージ、風俗、食事、サウナ、瞑想など)
・体を動かす、集中力を必要とする
(トレーニング、スポーツ、畑、語学学校など)

日本は旅先としての魅力があり、安心・安全への信頼も高い国です。一方で、富裕層旅行の領域では情報発信が少なく、「謎めいた国」でとどまっているのも事実です。

コロナ感染症やロシアの ウクライナ侵攻などこれからの世界情勢が読めきれないことなど課題はあるものの、日本の観光立国としてのポテンシャルが高いことは間違いありません。

まずはアメリカの富裕層PLTに向けた 日本の『ウェルネス』フラッグ戦略を立て、しっかりとそして1つずつ『Luxury Travel』の ニーズに応えていくことで、コロナ回復期の軌道を切り拓くことができると考えます。

————————————————————————————————

旅行手配の旅行会社様からのご依頼はこちら

旅行手配以外の官公庁及び法人様お問合せ: info@celebrityworld.jp

※個人の方からのお問合せはお答え出来かねます。

————————————————————————————————-

旅行需要の回復に向けて

富裕層のリベンジ・トラベル

世界では旅行需要の力強い回復が見られるようになりました。 2021年12月、世界各国の富裕層 旅行関係者が集まり商談を行うイベント「International Luxury Travel Market」かまフランス・カンヌで開催され、1000を超える出店ブースが並び盛況を収めました。

富裕層は非常に力強い「リベンジ・トラベル」のパワーをマグマのように溜めていて、Luxury Travel(上質な観光サービスを求める富裕層旅行)へのトレンドが見てとれます。 

それでは世界の富裕層は、旅行に何を求めているのでしょうか。

富裕層の間では数年前から「ウェルネス」への関心が高まっています。

その流れはコロナ禍でいっそう加速しました。

ウェルネスという言葉は、今やスパやエステにとどまりません。

肉体的な健康だけでなく、感情、精神、知性、職業、環境、ライフスタイル、社会的なウェルネスにまで及びます。

インバウンド向けのブランド戦略を考えるときに、日本のクオリティ高い『ウェルネス』環境は 大きな武器になりそうです。

日本の上質なサービス、真心こもったホスピタリティで、富裕層のリベンジ・トラベルの熱い期待を一身に受けとめる体力を持っています。

画像
リッツ・カールトンホテルのスイートルーム

スイートルーム、需要に追いつかず

旅行業界には『リベンジ消費』の兆しはあるのでしょうか?

コロナ禍で変わった点について、パレスホテル代表取締役社長の吉原大介さんの談を紹介します。

「基本的には都心にお住まいの方が、週末利用あるいはステイケーション(近場で休日を過ごす旅行スタイル)で、ホテルでゆっくりされます。

それにしても、インバウンドの穴埋めをするほどの需要はない。企業の出張もまだ制限されていますし。宿泊にリベンジ消費が起きている感はないですね。

唯一あるのは、通常の部屋と比べると、スイートルームの稼働率が高いことです。

コロナ禍になって、あちこち観光するというよりもホテル滞在を旅の目的にする人が増えました。お客さまのホテル滞在時間がものすごく長くなったのが、何よりも大きな変化です。

そういった背景もあり、既存の客室を一部改装してスイートルームを増設しました。広さ90平方メートルの「プレミアスイート」を新しく6部屋造ったことで、スイートルームが18室に増えました。

実はもともと、全客室数290のうちスイートルームが12室だけでは足りず、海外の富裕層を取り逃がしていたという課題があったんです。コロナ禍が収束したら、そこはしっかり取っていきたい。」と述べていました。

2030年に訪日客数6000万人、15兆円

訪日観光はコロナ禍で壊滅的打撃を受けています。

日本政府観光局(JNTO)が発表した2021年 12月の訪日外国人数(推計値)は、1万2100人でした。新型コロナウイルス感染症の影響が出る前の2019年同月比では99.5%減に相当します。

1月から12月までの累計は2019年比、99.2%減 (2020年比では94%減)の24万5900人となりました。

オミクロン株の登場で日本の水際対策は強化され、2021年11月30日以降は外国人の新規入国が 停止となっており、12月はその影響で前月を大きく下回っています。

12月の訪日数を市場別に見ると、中国からの1800人、インドの1200人、韓国の1100人、アメリカの1000人、それ以外は 200~300人で、二桁の国・地域も多くありました。

オミクロン株による感染再拡大で各国・地域から日本への直行便は引き続き大幅な運休・減便となっています。

2021年を1年間通して見ると、1月は4万人台、2月~6月は1万人前後と低迷、東京五輪の始まった7月は年間最多となる5万人を超えたものの、その後は減少し、年間訪日客数の過去最低を 記録しました。 

JNTOの統計にある最も古い記録は、前回の東京五輪開催の1964年、奇しくもその年の35万2832人をも下回る結果でした。

国・地域別では中国、ベトナム、アメリカ、韓国が2万人以上、そのほかは1万人以下でしたが、 トップ5常連の台湾や香港というヘビーリピーターのいる市場からの訪日が少なかったのが目立ちました。総数的にはどこも2019年の1%に満たないところばかりでした。

しかしながら、欧米諸国と比べてコロナの被害抑制に成功したこともあり、各種メディアの調査 などでも、コロナ後に訪問したい国として日本は常に上位にランクインしています。

コロナが収束に向かえば、世界中から日本に観光客が押し寄せることが予想されます。2025年に予定されて いる大阪・関西万博で好機をつかみたいところです。

さて、政府は2030年までに訪日客数『6000万人』『15兆円』という目標を掲げていました。パンデミックという予想外の出来事で目標ははるか彼方に、オミクロン株による感染再拡大で、インバウンド観光業界の明るい展望が描けない状況にあります。そんななか富裕層の『Luxury Travel』需要に期待が集まる理由があります。

Luxury Travel(富裕層旅行)市場からの再興

コロナ禍がある程度収束したとしても、水際対策を考えると一気に数千万人規模の訪日客を受け 入れることは現実的ではありません。

富裕旅行者から段階的に受け入れを再開することで、国際観光を復活させていくのが合理的だと見込まれています。プライベートジェットや隔離された宿泊施設など、安全な旅行手段を確保できる経済力があるからです。

彼らの多くは企業経営者や投資家でもあるため、日本に対する関心・好感度の向上は、日本への 投資拡大につながると期待されます。またインフルエンサーである富裕旅行者による発信は、効果 絶大なプロモーションとなり、日本のブランド価値を高めることにも貢献します。

1人100万円以上を使う富裕層とは一体どんな人たちなのか?

現在は新型コロナウイルスの感染拡大により大打撃を受けているインバウンド業界ですが、それ 以前の政府の取り組みに目を向けてみると、インバウド促進による経済活性化に注力し、中でも1 人あたり単価の高い富裕層の誘致を盛んに行っていたことがわかります。

富裕層とはどんな人々でどういった思考のもと旅行をしているのでしょうか。そして、その富裕層は日本で満足をし、 日本のインバウンド業界に恩恵をもたらすことになるのでしょうか。

JNTO(日本政府観光局)が膨大なリサーチをして捉えた世界の富裕層の姿、行動の実態につい て、またなぜ政府が『Luxury Travel』誘致に注力しているのか、JNTO市場横断プロモーション 部の小林大祐氏は次のように話しています。

政府は2020年に訪日外国人数4000万人、訪日消費額8兆円を目標に掲げています。しかし、 2019年の訪日外国人数は約3188万人、消費額は約4.8兆円という結果でしたので、特に消費額が 目標に届いていないという状況です。

1人あたりの単価は中国人観光客の「爆買い」ブームをピー クに緩やかに下がっていますので、人数が増えても消費額全体は伸びないというのが現状です。

そこで、いかにして消費額を上げていくのかを考えた時に、1人あたり単価の高い「富裕層」という キーワードが浮かび上がってきました。支出する余力のある人たちは、旅行先でも価値あるものに対してお金を惜しみません。

こうした理由から、JNTOでは富裕層への取り組みに力を入れてい ます。

消費額が上がるという直接的な効果はもちろんですが、それ以外にも副次的な効果があります。 富裕層の中には社会で活躍している方々や芸能人など、トレンドを作っている人が多いため、トレンドセッター的な役割を果たしてくれます。彼らの間で特定の旅行先が流行りだすと、一般の旅行者や消費者もそれに追随するのです。

富裕層マーケットの訴求キーワードには「特別な体験」や 「本物の価値」というものがありますが、日本はアジアの競合国をはじめとした他国にはない独自の観光魅力を有しているため、富裕層旅行者の取り込みが増加するポテンシャルは十分にあると考えています。

世界の地域別に見ると、富裕層が最も多いマーケットはアメリカで、次に多いのがヨーロッパです。

そして最近勢いがあるのはアジアで、中国を中心にどんどんマーケットが大きくなっていますし、将来的にはさらに市場が膨らんでいくという予測が立てられています。

マーケットサイズは小さいけれど「超富裕層」が多く存在するのは、カタールやクウェート、UAEなどに代表される中東です。中東には超富裕層が多いため、富裕層の中でも1人あたり単価が特に高いということです。

例えばUAEのエリートたちは大学を卒業した直後の初任給が約1000万円で、医療費や教育費、固定資産税、相続税などが一切かからないため、お金がどんどん貯まっていくそうです。彼らの中には、昼間からショッピングモールのカフェでのんびりしている人がすごく多い。

なぜなら、お茶をしながら電話で仕事の指示を出して、細かい仕事は部下や外国からの移民労働者に任せているからです。

お金も時間もある彼らですが、イスラム教徒なので「お酒を飲んではいけない」「ギャンブルをしてはいけない」など、自国では厳しい戒律のもとで暮らしています。

普段の生活では欲求を制限している分、海外に出た時ぐらいは少し羽を伸ばしたいという方も実は多い。

お金と時間があって旅行好きとなると、マーケットとしては非常に有効ですので、JNTOとしては昨年から 中東マーケットの開拓に取り組んでいます。

明確なプロモーションを打ち出すため、JNTOではまず調査に基づいたターゲットの定義づけをし ています。

「お金を持っている」「海外旅行をよくする」「旅行先でお金をたくさん使ってくれる」 人に絞り込みます。

さらに「海外旅行先で1人1回あたり100万円消費する人」をプロモーション ターゲトットとなる富裕旅行者と位置付けました。

昨年の訪日外国人の1人あたり単価が約15万円でしたので、100万円という金額が現実からかけ離れているように感じられるかもしれません が、調査によると実際にこれだけのお金を1回の旅行で使っている人がそれなりの規模で存在するということもわかっています。

富裕層の多い「欧米豪」マーケットの中でもアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアの5市場に限定した調査では、1年間で1回以上海外旅行をしている人が、約3億4100万人いたという結果が出ています。

そのうち、1回あたり100万円を使った人は全体の1%、

つまり約 340万人存在するという数字が割り出されました。

3億4100万人の人が海外旅行で消費した額は 年間35.8兆円ですので、1%の富裕旅行者は全体の13%に相当する約4.7兆円を消費していること がわかります。

JNTOではこの4.7兆円が狙いに行くマーケットだということを整理してプロモーション活動をしています。

さらに国別の数字を見てみると、やはり最も大きな富裕旅行市場はアメリカで、人数・消費額と もに5カ国計(340万人、消費額4.7兆円)の半数以上を占めています。

JNTOが行った調査では1人あたり単価が1回136万円となっているため、現在の平均15万円と比べると約9倍であることがわかります。オーストラリアは数のボリュームは少ないのですが、1人あたり単価は296万円と なっています。

富裕層の旅行ニーズに対応するもっとも大きな狙いは観光収入の向上を通じた経済成長です。世界の富裕旅行市場は、国際観光の中でも高い成長率を示すセグメントになっています。

JNTOの調査でも、一般の訪日客の10倍以上を消費する旅行者が多数存在することが明らかになりました。 

1000万円以上の消費行動が見られる層も一定数確認されています。

実際、現代アートや古美術品、伝統工芸、高級衣服、宝飾品などを購買する主力は富裕層です。インバウンド富裕旅行の増加は地域の消費拡大、国民所得の向上に大きく貢献します。

————————————————————————————————

旅行手配の旅行会社様からのご依頼はこちら

旅行手配以外の官公庁及び法人様お問合せ: info@celebrityworld.jp

※個人の方からのお問合せはお答え出来かねます。

————————————————————————————————-