ユダヤ人富裕層に不人気の日本食

クリスタル・セレニティ船上で提供されたNOBU監修の本格的日本食

クリスタル・ハーモニーの就航以来、不幸にして、当初の心配が当たってしまったのです。船上和食レストラン「京都」は最も批判の多いレストランでした。

アメリカ人ゲストの反応は、極めて冷たかったのです。

当時のアメリカ人ゲストにとって、日本食は最も疎い食事の一つであった。年配 者が主たるクルーズ客層で、特に食事に厳しい注文がつくユダヤ系アメリカ人も多く、初めて日本 食を試食するアメリカ人のクルー ズ船客や、特に食事制限の厳しいユダヤ人には受け入れられず、 その運営は困難が続きました。

試行錯誤の過程で、当初は、「火を通す事を大前提に」割烹料理的な和食や、懐石的なメニューも工夫をして出して見たが、これも限られた船内の調理スペースの中で、 料理に段取りに時間を要する日本食の難しさもあり、非常に曖昧な中、いわゆる「和食」を提供す る平凡なレストランとして「京都」の料理メニューを作り上げたのです。

懐石的なメニューもできるだけ 「火」を通すなど工夫をして出してみたが、 これもクルーズ船客の多くは初めて日本食を試食する アメリカ人で、その運営は困難が続いたのです。

運用面においても苦労が続いたのです。

食材の調達方法も、陸上でのオペレーション と全く異なるのです。 料理を作るシェフが希望する日本食の食材調達の難しさや、とりわけ懐石料理における食材の説明の難しさ、日本の懐石料理の多くはその屋号とかシェフの名前で料理を口にしている訳で、日本食 ビギナーのアメリカ人の多くは

「これは何?」

との質問攻め。

これにこたえるシェフは英語力不足出会ったり、ウェイター は日本食を経験したことのない欧州人やフィリピン人で料理とゲストのコミュニケーションが成立しなかったのです。

日本酒はワインと異なり長く保存で きないので、日本人客からはお酢のような酒のクレームを受けることになるのです。

船側でサービスする外国人には日本酒の知識はないということも重なりました。

割烹料理は食材の多様さと料理を作るシェフの技量で作られており、シェフのお任せ料理である。私たちは、同じ日本人であるが故に、店のブランドとシェフの技量を信頼して口にしているのです。

しかし船上では、宗教的な戒律の厳しいユダヤ人も含め、イメージの浮かばない食材を基に食べる習慣が少ない人達に、食べてもらうことは至難の業でした。

食事に厳格なユダヤ人等も「使えないレストラン」と批判されていたのです。
シェフが数ヶ月毎交替すればメニューも全て変わり、料理の方法も変わるのです。

味付けも異なるのでは、ゲストからの評価も定着しないのです。

また、後任のシェフを探すのも難渋した。 特にアメリカ人にとって陸上のレストランならば日本料理はいろいろなチョイス のなかの一つであるが、船上では、他の選択肢が少ないなかでの日本料理であり、 ゲストのリクエストは限りなく

アジア料理= 中華料理

となったのです。

最終的には、家庭料理的な日本食のレストランにならざるを得なかったのです。単品指向でメニューが広がらない。当然のことながらリピーターには不満。

フォーマルドレスで、食べるレストランには程遠いものになったのです。

日本食を期待して乗ってくる日本人ゲストは、世界で有数の豪華クルーズ 客船で口にする日本食を期待してくるのであるが、これが期待はずれと指摘され厳しい評価を得ることとなったのです。

クリスタル・ハーモニー(当時)の数少ない苦い教訓となった日本食レストラン「京都」。

しかしこの貴重 な経験は後に生かされることとなる。 この運営の難しさは、クリスタル・ハーモニーの日本への配転(現在:飛鳥Ⅱ)まで続いたのです。


クリスタル・ハーモニーの「京都」の運営では評価も低かったので、第2船クリスタル・シンフォニーは、ロサンゼルスのセレブリティシェフ、ウルフガング・パックの指導でオリエンタルレストランとして、ジェードガーデン(Jade Garden) を開設しました。

アメリカ人ゲストにとっては「京都」より高い評価を受けたのです。

その後、クリスタルクルーズの和食レストランは大幅な大改造を得て、大好評を博するようになったのです。そのエピソードはこちら

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