ラグジュアリークルーズの理想的環境

「過程 = プロセス」を重視するホスピタリティ事業では、旅行者との接点は、常に 「ヒト」が中心でなければなりません。

新会社がこのラグジュアリー・クルーズ 客船の業界で認められるためには、船上での滞在環境を構成する「ヒト」に旅(ヒトや出来事との邂逅)に参加する歓びを体験してもらうためには、「船上での商品開発」が全てで、この開発力が成否を決める!!!との言ってま過言ではありません。

クルーズ旅行に参加した思い出は、いつまでも旅行者の脳裏に刻まれ、思い出深い永遠の旅の感動を創るに違いないと思われます。

そのためには従来のラグジュアリー・クルーズ会社の真似避けたいものです。

船上でのコンテンツを構成する食事や娯楽のみならず、個性に溢れる多国籍クルーの採用も含め、彼らの持つ多様性や独自性を 積極的に露出して、新会社が絞り込んでいるクルーズ客船マーケットに、常に100%以上の満足を提供できるような仕掛けが必要があります。

クリスタル・クルーズ社が狙うべき客層から、彼らのライ フ・スタイルに対する分析は出来ていた。その上で、クルーズ船客が、クルーズ旅行に求めるものは、船、サービス、社交、エンターテイメントを含めた環境でした。

とりわけ新会社の主対象とするラグジュアリー・クルーズ・マーケットでは、彼らのライフスタイルゆえ、船上におけるサービスと他の乗船客やクルーとの出会いに非常に大きな期待を持って乗船してくる人たちです。

ゲストの船上における体験価値の評価においては、このサービスとソーシャルが、非常に大きな影響を与える事を理解していたので、この 2 つの分野で、 その舞台の仕掛けを考える必要がありました。

その舞台では、
(1) 船上で共に滞在を楽しむ「ヒト」(乗船客同士) 

(2) クルーズ船客とサ ービスを提供する側に居る従業員(乗組員)が、密接に交流して創られる環境でもある。

対象 がヒトである以上、船上での舞台装置には、船上での人間関係が 

(a) サービスをされる人たち 同士の相性。

(b)サービスをする人、される人との相性。

 (c) 多国籍船員を中心とした乗組員の適性や相性。

豊かな「船上滞在体験」向上の要だと言うことです。

(1) クルーズ旅行の主役は「クルーズ船客」 :「彼らの「客相」ライフスタイルを知ること

長期滞留しながら船上生活を楽しむ多くのゲストにとって、その「ライフ ・スタイル」と言う基準を通して、快適な人間関係が創られる事が望ましいのです。

確かに、 モノを買うのも旅の楽しみの一つであろうが、新会社の想定していたアメリカ人富裕層旅行者にとって、究極の旅とは「旅の過程を大事にして、 体験を心に刻むこと」であると言う答えにたどり着いたのです。

特に、彼らは夫婦で乗船した場合、その体験を通して、 人生の足跡を「同期化」することにより、夫婦の喜びや失敗も共有できるのです。

ラグジュアリークルーズのゲストは、船上での滞在生活の中に人生の物語を求めている傾向があります。

思い出を心に刻みたいと思っている人たちである。「記憶に、人生の価値や感動を刻む」仕掛けが至上の要請です。

その実現のためには、彼らの船上におけるライフスタイルに最大限に配慮をしつつ、クルーズ客船による旅行の主人公としてクルーズゲストがいるという、船上での“舞台”を演出するのです。

船上で彼らが持つ ライフスタイルや生活や文化と船上で提供する舞台装置の融合する「仕掛け」が 成功の可否 を決める。

サービスという船上のプロダクトの評価は、多くは人的要因で左右される傾向が強いのです。

相性がよければ、訴求力もあり永続性が高いのです。

従って、競争船社よりも優位に立つためには、この 人的要因にメスをいれ、新会社が絞り込んだアメリカ人富裕層旅行者のライフスタイルを理解して、クルーズゲストと船で働くクルーの「ケミストリー」の結びつきを強化することが重要であるとの判断であった。

クルーズゲストとの関係においては、人間関係を基本としたサービス、それがホスピタリティ・サービスの基本です。

それは、双方の 信頼関係や相性で成り立つものです。

クルーズゲストは、自らの支払うクルーズ料 金に対して、クルーズ会社からのこのケミストリーとそれ相応のサービスの提供に期待を込めているのです。

「ソーシャル(社交・人的交流)」についてみると、船上における「ヒトとヒトの織り成す人的な要因となります。

従って、新会社として、この事業を長く続けるためには、先ず ソーシャルの分野で他社と大きな違いや特徴を生み出そうと考えたのです。

この充実度が、将来の戦略の核となる、他社 との差別化で決定的な差となるとなります。

それは、船上におけるコンテンツのみならず、営業の面における販売網における戦略なとも連動させます。

この確信を元に、「ソーシャル」の面から、船上の滞在環境を考える際に、下記のようなシナリオを描いてみた。

船上の滞在環境は、クルーズ船客が主役で、「全ての中心にいる」滞在環境とする。その上で、クルーとの親密な環境を演出。

ファミリー的雰囲気を創り出します。

サービスは、クルーズ客船運航会社の仕掛けである程度対応できるにしても、ソーシャルは、そこにいる人間性の交流です。

新しい仲間との交遊の楽しみや人情の発見や歓楽欲を満たすような食後のロマンチックな環境が必要です。

これを円滑にするためには、主役であるクルー ズ船客を支える多様な文化的歴史的な背景を持った多国籍クルーやアメリカ以外の国から来たクルーズゲストの心地よいハーモニーが必要です。

これは日本的で同質的な「おもてなし」を越えて、 国民性の違いを通して、驚きや感心、そして新しい発見などがこの事業に活力を与えるものです。

このようなクルーズ客層の中から、彼らのライフ・スタイルに合わせて、最も快適な環境を創り出します。

その環境を創るということは、これらの人たち の客層のライフスタイルを理解し、彼らが日常どのような生活をしているのかを知り、どのようなものに興味を持っているかなどを知ることでもあります。

サービスを提供する側としても、例えば食事のテーブル・ホストとしての役割は、食事の質やサービスに加えて、その場で2時間余を、彼らが興味を持っている朝のワイドショーや テレビ番組「ベイ・ウオッチ」「ダラス」等のソープ・オペラなどの話題にも積極的 に参加できるような、ある程度の「彼らの常識」を基にした社会知識と英会話力を要します。

サ ービスを提供する船会社立場としては、船上での社交を通して、彼らが快適と思う滞在と「パッセンジャー・ミックス」の本質を常に見極める必要があったのです。

ソーシャルを演出するには、贅沢な選択肢の提供を考える必要も。

ラグジュア リー・クルーズでは長期滞在が基本で、ゲストとって、滞在中の食事をはじめ、人の 出会いや多彩な娯楽など、感動と感性を覚醒する滞在環境を演出する必要がある。  

お仕着せの企画ではなく、多くの選択肢の中なら、彼らが 「気の向くまま」選べるだけの潤沢なメニューを満たす商品企画力が必要となります。

既存のラグジュアリー・クルーズ運航会社との差別化のために、新しい試みとして、競合他社のプロダクトのみならず陸上のリゾート・ホテルなどのサービスやそのコンセ プトも積極的に導入する必要がありました。

これは、多彩な食事の面でも考慮されねばならないものです。

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クリスタルクルーズの輝かしい幕開け

三菱重工業長崎造船所で建造が進められている新造船のデザインおよびネーミングも、新会社にとって大仕事でした。

この船名決定後は、次から次へと宣伝を打つ段取りが出来ていたので、こ の船名決定は、それら一連のマーケットへの浸透作 戦展開のキック・オフに当たる大きなステップ への第一歩という位置付けであったのです。

1988 年の 6 月、東京で三菱重工との間で新造船の正式調印式があった(6 月 10 日)。7 月には、新造船のデザインも固まりつつあった。ここで日本郵船としては、外から 見た本船のデザインが気に なってきた。まずはファンネル(煙突)のデザインが議論の的となったのです。

これは家の門構えと同じで、 その船がまず注目を集める箇所であったからです。東京本社は、日本郵船の「二引き」のマークをつ けたい、と主張した。これに抵抗したのはアメリカ側である。二引きのマークでは、アメリカマー ケットに対するインパクトに欠けるし、何のために「ロゴ・マーク」を決めたのかと言った議論でした。

対象顧客であるクリスタルクルーズゲストにも、クリスタル・クルーズのアイデンティ ティとしては 「ミラード・シーホース」との関係がよくわからず、混乱する。やはりここは、クリ スタル・クルーズのシンボルである「ミラード・シーホース」とすべきだと言う。結局、アメリカ側の意見が通ったのです。
ファンネルに付けるマークについては、東京側が折れたかたちになったが、日本郵船の船であることを明確にするために二引きの線を船体に入れたい、という強い要請には変わりがなかったのです。

そこで、船首のところにブイマークの NYK マークを入れ、船首部のマストに二引きのマークが入るこ とで決着を見た。

その前後、1988 年 7 月は、日本側に客船準備室が設営され、一方アメリカにおい ても、クリスタ ル・クルーズ会社がセンチュリー・シティの FOX・PLAZA ビル 2 階設立。 いよいよクリスタル・クルーズ第一船のネーミングでした。

1988 年 10 月、全米 1905 社の旅行代理店が参加した「ネーム・ザ・シップ(Name The Ship)」コン テストが展開された。

740 ものネーミング案がクリスタル・クルーズに寄せられたのです。

方針として船 名は、各種コンテストや調査を経てラグジュアリー・クルーズ客船としてのイメージに富み、クル ーズ船客やマーケットでも受け入れやすい船名の候補を選び、最終的には日本郵船で決めてもらうことを決定。

この事業が20 年先のベビーブーマー層を想定した長期的なプロジェクトとの認識のもと、将来の三隻体制を念頭に入れていたので、第一船だけでな く 3 つの パッケージとした下記 2 案に絞り込まれ、下記の両案が残ったのです。

A 案 クリスタル・ホライズン クリスタル・リフレクション クリスタル・エクサレンス

B 案 クリスタル・ハーモニー クリスタル・セレニティ クリスタル・ラプソディー

他に、ブリーズとかエレガンス、メロディ、ドーンなども候補線上にあがったが、それぞれ日米の感覚の差やイメージで調整が行われました。

ミストもあったが、当時の 日本政界を揺るがすスキャンダルの「黒い霧」を思い出させるとして、これは却下された。

「クリスタル・クルーズとしては、独創性・創造性

・妥当性、その言葉の持つラグジュアリー商品の優雅さなどを念頭に三隻の名前の適合性を重視した。

とりわけ、独創性にはこだわりを持たせたかったのです。

この業界でポピュラーなサン、 スカイ、シー などは回避したい。

適合性では名前の響きなどを選考ポイントとして、 三隻とも末尾が Y で終わる B 案が良いのではという意見が大勢を占める。

こうして 1989 年 1 月 15 日、新造船の名前が「クリスタル・ハーモニー」 

この船名決定に際して当時の「日本海事新聞」は下記のようなコメントを載せている。

—郵船の大型クルーザー船名決まる。 光り輝く太平洋の世紀をイメージ CRYSTAL HARMONY ・ ・・・・・宮岡社長は次の通り語った。
一、 船名の選定に当たっては日本のお客さんも、アメリカのお客さんもわかりやすく、覚えや すい名前である事を第一に考えた。次の本船が最新鋭の設備を持ち、欧米の一流デザイナーに よるエレガントな設備、ハード面が良いのと同時に、乗組員 のサービスつまりソフト面でも 調和(ハーモニー)がとれると。日本、台湾、韓国、中国など太平洋沿岸諸国のお客さんと船上 で忘れがたい友情を融和(ハーモニー) を導くものとした。
ー.またハーモニーの NY で終わる語尾は外国人にとって語感が良いらしい。それに第2、第3船をシリーズ建造する場合、たとえばシンフォニー、メロディなどに繋がることを考慮に入れた。米国 の代理店、本社でも船名を募集し、ハーモニーに多数の応募が寄せられた。第一位ではなかったが 最終的に私が選定した。

1、2隻目の建造は、第一船の実績を見た上で決めたいとのこと。世界の客船経営を一隻で やっている所は、ドイツのハパグ・ロイド社しかなく、当面、最低二隻は必要と感じている。それにロサンゼルスに60 人、日本約10人いるクルーズ客船事業の要員規模からみれ ば、2〜3隻までの運航が可能で、経費が安くなる。

帰りの航空運賃は船会社で負担するため、数が多くなれば航空会社との航空運賃の交渉もしやすくなろのです。

1989 年 1 月 「ロイヤル・バイキング・サン」のサンフランシスコ入港
クリスタル・クルーズの事業の段取りも、着実に前進してきた。当時の記録を紐解いてみると、当時のラグジュアリー・クルーズの代名詞であった ロイヤル・バキング社の最新鋭船 ロイヤル・バイキング・サンがワールド・クルーズの基点港サンフランシスコに入港。

この機会を捉え,クリスタル・クルーズの チェックリストを元に、彼らのハード・ウエアとの徹底的 な比較検証を行ったのです。

その後、1 月 10 日には、フロリダ、オーランドで、CLIA の会議、1 月 16 日には購買関連の新会社設立に関しては、パートナー明治屋との関係やクリスタル・クルーズ内 の組織、購買部門との仕事の振り分けなどを議論したのです。

1 月 19〜20 日は、翌年 7 月に予定されるクリスタル・ハーモニーのロサンゼルスでの命名式のイ ベントの為に、どの PR 会社と提携をするかの内部的なプレゼンテーションに費やされていました。

第一船 「クリスタル・ハーモニー」予約開始
この船名決定から半月後にクリスタル・ハーモニーのクルーズ予約受付が始まりました。

当日、予約係は東海岸との時差の関係で午前 7 時から 業務を開始した。こ の日、午後 5 時までの間に全米の旅行代理店から約 250 件の電話があった。

しかしこの段階ではまだ料金レベルなどに関して最終的なものではなく、仮予約てという段階でした。

彼らは、料 金が未公表にも拘らず、最上層階のペントハウスから仮予約を始めた。特に、最上の部屋、クリスタル・ペントハウスは、翌日全額支払うと言う乗船客で即完売となったのです。

仮予約の電話は、いままでのクリスタル・クルーズのブランド構築活動などを通して、 どのようにマーケットが反応するかを測る指針として、きわめて 重要なものであった。

彼らの予約 の客層が、今までどのクルーズ会社に乗船しているか、あるいはクルーズ船客の乗船経験の有無などが、非常に重要なポイントでした。

また、アメリカのどの地域からの予約かも、今後の集客 活動にとって大きな意 味を持っていた。かなりの予約が、今までロイヤル・バイキング社の乗船経 験者で有ったが、一部には、シザーズ・パレスのカジノがあることで予約して来た初めてのゲストもいました。

プリンセス・クルーズ社の上層階のゲストも多かった様子です。

特にアラスカクル ーズの売れ行きは当初の予想以上の反応だったのです。これらの傾向を通して上層階の部屋から売れていくということは、クリスタル・クルーズが狙いを定めた、富裕層が反応しているということが 判り、今までのマーケッティングやセールス戦略の正しさを示しており幹部らは安堵したのです。

クルーズを予約しないまでも、多くの質問もあった。これらの質問は、今後のマー ケッティング やセールス活動の為に、極め重要なポイントを突いていた。早速マー ケットに正確な認識を提示す ることにより、今後このような質問を回避するようなコミュ ニケーション戦術をとり、実情を周 知徹底することにした。当時の主な質問は下記のような点で あった。

・ クリスタル・クルーズのホーム・オフィス、船上における主要スタッフは誰か? ・主要ターゲットマーケットは?

・ クリスタル・クルーズと親会社の関係は?

・ 旅行代理店に対する基本方針/インセンティブなどはどうなっているのか?

・ 本船のハードウェアは? ホテルは誰が面倒を見るのか?

・ 船長はどこの国の出身者か? 主要乗組員構成は?

・ ダイニングスタッフは?

・ メインダイニングルームでは、ワン・シーテングかツー・シーテングか?

・ スペシャリティ・レストランはどう運用するのか?

・ 料金はいくらなのか?

・パンフレットを早くもらいたい(これは料金を最終的に決めていないので、まだ作れない。

翌日、全米のセールスの幹部と各地のセールス・スタッフ候補生を、センチュリー・ シティのレ ストラン Jimmy’s に集め編成会議を開催し、今後のセールスの戦略に関して詳細を詰めた。初日の 好反応にも満足せず、私たちは、クリスタル・クルー ズのプロモーションを推し進めるのです。

とくに力 点を置いたのはメディア対策であった。「ニューヨーク・タイムス」「ロサンゼルス・タイムス」 など全国紙のみならず、とりわけクルーズ客層に密着した、全国紙より週末の団らんで話題になりやすい地方紙に重点的に焦点を当て、積極的に「Crystal Age Begins」(クリスタル・エイジ・ビギンズ、クリスタル時代の幕開け)を宣伝したのです。

まだクルーズ客船がない状態では、その船上の滞在環境を作る人材を前面 に出し、それも今までの幹部のみならず、セールスの核となる現場のスタッフを前面に出し、クリ スタル・ クルーズを支える人材の露出でマーケットの信頼を得る戦略でした。

さらに、フリーランス記者の積極的な活用も、戦略の一つである。

クリスタル・ハーモニー建造時から、このプロジェクト参画者としての立場で、進捗状況などを頻繁に記事にしてもらい、そのネットワークで配信。このようなメディア反応を、旅行代理店とのネットワーク作 りにおいては数値管理し、効果を挙げるという方法をとったのです。

当時の状況を、平成元年 2 月 15 日「海事プレス」の報道は、下記のように伝えている。

1日だけで問合せ1千件が殺到。
郵船の新造客船人気は予想以上。料金は12段階平均370ドルに一

日本郵船の CRYSTAL CRUISES(本社:米国カリフォルニア州センチュリー・シテイ)は先週 6 日、米国 で、アラスカ・クルーズ 12 日間のブッキング受けを開始した。

新造船クリスタル・ハーモニー(乗客定員 960 人)に対する関心は、予想以上に高 く 「一日だけで 1 千件に上る問合せが殺到した」という。アラスカ・ク ルーズサンフランシスコ発着の料金は航空 料金込みで一人一日310〜1,000ドル、平均370ドル。 人気の高さから見て、年内 に 6〜7 割の予約を確保できる見込み。

“Crystal Age Begins”

ロサンゼルスでは、この船名発表と予約開始に際して “Crystal Age Begins” を合 言葉に、各種 のパンフレット、ビデオ・プロモーションを一斉に展開し、その他、「プ レースメイントアドバー タイズメイント」などの手法も駆使した。クルーズ船客や マーケットに対して、クリスタル・クル ーズの事業企画が、着々と進んでいることを発信した。クルーズ業界およびクルーズ船客への情報 提供には、イメージのみならず、商品の中身を知って貰うべく「インフォマーシャル」を多用した。 プロダクト内容を熟知してもらい、既成クルーズ客船とのデフェレンシェーション(差別化) に活用 したのである。多彩な宣伝手法の活用で、船上における滞在環境の認知度を高めることとした。
また、2 月 5 日には、前田さんが、ロサンゼルスに入り、翌日は河村さんが合流して、ウエストウ ッドのリージェンシー・クラブ(Regency Club)で「クリスタル・クルーズ」プロジェクトの進捗状 況の検証と今後の対応、特に、船上の組織及び配船問題、 長崎におけるクリスタル・ハーモニーの 建造の段取りや処女航海などの段取りに時間が割かれた。この頃長崎では、クリスタル・ハーモニ ーのメイン・エントランス、パームコート等のモックアップが完成、利便性や居住性など、チェックされ、12月に完 成していたクリスタルペントハウスなどの客室では、三菱重工 業の社員カップルによる試験滞在などをしている頃であった。

1989 年 2 月 カイ・ユルセン船長任命
「クリスタル・ハーモニー」船長として、サガ・フィヨルド号などに乗船し、その後アドミラル・ クルーズ社で、現役の船長であったカイ・ユルセン。副船長として、ロイヤル・バイキング社から、 レイドルフ・マーレン、機関長ジョン・エドバーグを 引き抜き、任命し発表した。当時はまだ、こ の新造船の最高責任者は、日本人船長 が中心となって運航すべしとの意向も強く、ロイヤル・バイ キング社のノルウェー色を薄め、政治的な判断も働いた。

一般的に、クルーズ客船の船長は運航部門の最高責任者であると同時に、船上での接客に最も忙しいという役割でした。

自薦他薦を含め、ロイヤル・バイキング社の首席船長やこの業界の主要な船長と直接面接し、ある時は、間接的ににコンタクトを取り、アメリカ側としては、当初はアメリカ人ゲストに、好評なノルウェー人船長で、ロイヤル・バイキングの首席船長、オーラ・ハーシャイム 船長か、次席船長レイド ルフ・マーレン船長を最優先候補としていたのです。

最終的に、同じ北欧系であるがロイヤル・バイキング社ではなく、サガ・フィヨルド 号などを運航している NAC社などの船長を続け、当時は、アドミラル・クルーズ 社の船長を務めていたカイ・ユルセン船長で決定。

この様にして決まった船長カイ・ユルセンのほか、副船長のレイドルフ・マーレン、 機関長のジョン・エドバーグ等は、6 月 1 日には長崎の造船所に派遣されました。

現場での調整と機器などに対する慣れが重要な仕事であったので、運航関連以外のホテル部門の人選も行っていたのです。

長崎の造船所では、4 月 14 日クリスタル・ハーモニーの船体にコインをはめ込むキール・ コインセレモニ ーが開催された。

この儀式はヨーロッパに於ける新造船に対する祈願と祝福を兼ねて行われ、船体の竜骨部(キール)にコインを溶接するものでした。

船上ホテル備品及び食材購買部門と「MY NYK International」

3 月 3 日には、ロサンゼルスに「MY NYK International」が設立されました。日本郵船 51%、明治屋 49% の株式を保有する船食納入会社。

このプロジェクト初期の構想で、この部門に関しては、日本側として「環太平洋クルーズ」構想の下に、シンガポールの新会社に購買関連業務を一括して任せ るとの発想だったのです。

日本側では戦前の客船時代の購買部資金の流れ複雑さと管理システムを認識していたので、 クリスタル・クルーズ組織内に購買部を設ける事で、計数管理が不透明になり、担当者の予期せぬ事故などに巻き込まれかねないと主張していたのです。

クリスタル・クルーズとしては、それでは運航業務をアメリカで行い、ホテル部門の運営も、アメリカが主体的にやるにも拘らず、購買部門だけを運航業務本体からはなれたシンガポールで行うのでは機能しないこと。

また大きな予算の動きに関しては現在のクル ーズ客船におけるホテル購買システムは、計数的な管理が進んでおり、購入と消費がハッキ リと判るシステムの構築が出来るとして、このシンガポール購買事務所案には反対意見を申し出。 日本郵船と明治屋との提携で、MY NYK 社の設立で対応しようとしたのです。

1989年4月10日、ロドニーとロサンゼルスでのハーモニーの命名式の段取 り担当のダーレイン・パパリーニなどが、三本さん(副社長)等と面談の席上も、これが話題になっ たようであった。

この案件は、その 2 カ月後に起こる世界的事変によって解決することとなる。

コンピューター・システムによる陸上での運営管理・船上での諸処理などの一括システムや寄港地手配などの構築

この頃、新会社として、独自の予約システムや、船上でのホテルシステムを構築することを決め ていたコンピュータ関係のシステム・プログラムが完成しつつあった。

(1) 陸上の管理部門のシステム
(2) 船上での運航・ホテル営業部門のシステム
(3) 世界各地から調達する数万点に及ぶ船用品や将来の食材などの 調達するシステム
(4) 旅行代理店などとの予約システム、全て自前で構築すべく計画していた。

また、集客したゲストのロジステックスの面で最も重要なアメリカの航空会社とのボリュ ームに基づく、特別割引契約などの取り決め交渉が続けられていたが、これらも目処が立ち役員会で承認された。

クルーズ客船には寄港地手配が付いて廻るが、そのそれぞれの寄港地における諸 手配の為に港湾代理店やクルーズ船客の観光などを手配するランド・オペレーターと言うツアー会社の選定も重要な仕事であった。

処女航海の寄港地、アラスカは、ホーランド・アメリカ社系とプリンセス・ク ルーズ社系のランド・オペレーターが独占していた。彼らの手配する運転手やヘリコプター、水上機のパイロットの多くは、夏のアラスカ、秋・冬季のカリブ海で、ツアーの仕事を支えている渡り 鳥スタッフ であった。

このため、ランド・オペレーターも人的手配に制約があり、寡占状 態でもあったのでどうしても割高にならざるを得なかったのです。

アラスカの州政府は、クルーズ客船 の大型化に対して危惧を示していた。

大型クルーズ客船で観光客が大入すると、アラスカの自然が守れない。

もし、アラスカ観光をしたいと言うのであれば、入頭税を設けるというも のであった。

当時のアラスカ州選出のボーランド系実力上院議員、フランク・マルコウスキーなど にクルーズ会社として陳情攻勢も激しくなった。

この様な時に、アラスカのアンカレジの南、プリンス・ウイリアムズ・サウンドで、 タンカー「エクソン・バルデス」による未曾有の石油流出事故が発生し(1989 年 3 月 24 日) クルーズ客船の安全性にまで話が飛び出したのです。

アラスカで最も氷河の崩落の激しくクルーズのハイライトと言われていたグレシア・ベイに寄るクルーズ客船に過去の配船実績を元に、寄港制限をつ けると言い出したのもこの頃でした。

クリスタル・クルーズの様な新生の会社にとっては、厳しい制限でした。

処女航海のアメリカ人クルーズ船客は、最上のクルーズ会社であれば、当然、このグレシア・ベ イに寄るものと思い込んでいる。ここへの寄港権は、彼らの第一印象や評価にも影響するのです。

そこで、 関係先と調整する目的で、ロビーイストを活用することとした。彼らを通して、過去の実績はあるものの、この年には配船をしないキュナード社の権利を譲り受ける事を工作した。

幸い、年末まで に取得が確認でき、クリスタル・ハーモニーの就航に間に合わせる事が出来た。

1989 年 5 月「客船レジャーの情報誌」創刊号と「クルーズ元年」

日本で「クルーズ』(隔月刊海事プレス社)の創刊号が発行された。その『クルーズ」5 月号で「客船時代、再び」と銘打って「クリスタル・ハーモニー」の特集を組んでいる。その記事によると、 ー「クリスタル・ハーモニー」は日本最大でかつ最も長い歴史を持つ海運会社・日本郵船がこれも 日本最大で最古の歴史を持つ造船所・三菱重工長崎造船所で建造している。

日本郵船は戦前 「浅間丸」「龍田丸」「鎌倉丸」をはじめ、世界各地に豪華客船を配船戦後もし ばらくは、いま横浜に係留している「氷川丸」で船客を運んでいたのです。

その会社が昨年アメリカに「クリスタル・クルーズ」と言う客船会社を設立し、客船の発起から就航まで 3 年以上の準備期間をかけて来年 6 月に新時代の豪華船「クリスタル/ハーモニー」を登場させようとしている。

東京サンシャイン60より1メートル長い241 メートルの長さを持ち、普通の外国客船であれば、 1800 人も乗船できる大きさなのにこの船では乗客定員をわずか 960 人に抑えている。

それだけぜいたくな造りになっている。

「太平洋文化の架け橋に」がキャッチフレーズの「クリ スタル・ハーモニー」。

春は 日本・韓国・中国、夏はアラスカ、秋はパナマ運河経由カリブ海、冬 は南太平洋と、太平洋沿岸をそれぞれ最も美しい時期に訪れる。

処女航海は来年 7 月のホノルルクルーズでした。

クリスタル・クルーズ以外にも、日本の貨物船会社が、独自のクルーズ客船運営構想を持って華々 しく、花開こうとしている先賭けでもあった。この年の日本はクルーズ元年と言われクルーズ 客船に対して熱い期待が集まっている時でもあっ た。

ホテル部門幹部の採用開始

1988 年年末、三菱重工業の作業も順調で、パームコートなどのモックアップも完成し長崎での船 上における施設や設備に対して、多方面からの検討を加えている頃、 ロサンゼルスでは、幹部船員や乗組員の採用が本格化してきたのです。

1989 年 2 月 3 日には、船上における商品開発と採用戦略(船上での滞在環境)の会議を行った。

適材適所の人材を求めて:ノルウェーやオーストリアの古城へ

創業幹部らは、ホテル部門の採用幹部と船上でのスタッフを求めて、オーストリアのザルツブルグに飛んだ。目的はクルーズ関連のホテル経営を専門にしている経営者に会うためでした。

ロイヤル・バイキング社もオーストリア人のマネージメントスタッフをホテル・オペレーションの核になるポストで、採用している。

オース トリアは、観光立国であり、国内に散らばる古城や山小屋 の地下を改装して、ホテ ル学校を兼営している所が多い。

当時は9 校あり、その中でもシ ャコーシが経営するホテル・マネージメント会社が、ロイヤル・バイキング社の優秀な人材の供給源になっていたのだ。

当時、シャコーシは、海上でのホテル要員 250 人、陸上でのホテル要員500 名を抱えていたが、 彼らの多くは、オーストリアのレストランやホテルで実習生としての経験を積んだ 即戦力部隊でした。

このオーストリア・システム の強みは、料理なども著名なレストラン等の 所謂「徒弟制度」で技術を習得するのではなく、このマネージメント会社のマニュアルに従ったシステムで教育されていた事でした。

ハプスブルク家の伝統の味など、いろいろなところで継承されていました。

ここの主力スタッフを、クリスタルクルーズ社の新造船ホテル部門や料理部門に勧誘する事に成功したのです。

食に関しては、彼らの助けがあれば、少なくともロイヤル・バイキング社のレベルは維持できると予測。その後も、この人脈が、クリスタル・クルー ズの船上でのダイニングのシェフとして活躍くれたのです。

日本料理レストラン「京都」の挑戦……「生の魚には、虫がいる?」

クリスタル・クルーズの和食レストランの導入というチャレンジは、この頃も続けられていたのです。

クリ スタル・ハーモニー就航前1989年、 NRS (National Restaurant Assn)の人気度調査によるとア メリカにおけるエスニック料理とは、ベスト 3 が 1 位イタリアン 36%、2位中華 23%、3位メキシコ20% 以下の4位ギリシャ、5 位ラテンアメリカ、6 位スペイン、7 位フレンチ、8 位カリビアンのあとに日本料理であり、「日本食」は、一般のアメリカ人というより日系人を中心としたマーケット に過ぎなかったのです。

ちなみに上位 3 種は全体の 8 割を占めていることからも、そのマーケットの小ささが推測されたのです。

アメリカにおける日本料理といえば魚料理・鉄板焼き・しゃぶしゃぶ・懐石料理な どがニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコなど一部の日系人を中心とした社会では受け 入れられていた。全米規模でみると、日本食は、マニアックなジャンルでした。

特に日本の食生活から最も遠いのが、ラグジュアリー・クルーズのゲストであり、大きな比重を占めるユダヤ系アメリカ人であり、食生活に厳しい規律が求められる彼らにはまったく受け入れられていなかったんおでした。

第一号船、クリスタル・ハーモニー建造が決まった後も船上に設けられる予定の和食レストランをどのように運営するかは大きな挑戦でした。日本郵船の見解は世界最高級の客船だから、当然和食レストランも、東京都心の超高級和食レストランと同等のものを作るというポリシーがあったのです。

クリスタル・クルーズは試行錯誤で、 当時のクルーズ業界では画期的な日本料理レストラン「京都」を設けることとなったのです。

しかし、この要請には、マーケットに無縁な新しい日本食を、日本食に最も遠いものです。

クルーズの乗船客に食させると言う難題が付き纏っていたのです。この実現には非常に多くの障害が横たわっていました。

当時は、アメリカでは寿司が健康食であるとの報道の一方で、生の魚には虫がいるだとか、素手で寿司を握るのは不潔ゆえビニールの手袋をすることなど、生の魚やそれを料理することに対するネガティブな見方か非常に多かったのです。

ロサンゼルスタイムズによると、生の魚を食べる寿司は不健康である等といった記事も掲載していた。

アメリカ人、特に主要客層で有ったユダヤ系のクルー ズ船客 にとって、日本食の食材への無知識は酷く、塩辛は「虫」だと言い出す人もいたちなみに、今のア メリカでは、日本人が描く”なま”寿司ではなく、アメリカ人に食べやすい巻物を中心とした寿司がブームなのです。

当時は、連邦衛生局(USPH)も、クリスタル・クルーズが、日本食を出すことに 対して懸念をしていたのです。また、日本食の分布も、上述のようにニューヨーク・ロサンゼルス・サンフランシスコな ど限られた大都会偏重が顕著であった。また、「すいび」レストランでのダグラス・ワードのアド バイスにもあったように鉄板焼きやしゃぶしゃぶ・すき焼きはクルーズ客船では問題が多く、懐石料理も困難が大きかったのです。

この様な中で、サンフランシスコの日系ホテルの中にある日本食レストランを指揮していた酒井君を引き抜き、限られた条件の中で、日本食のメニューを考えてもらう事とした。

彼のメニュー作成の過程で、食材のみならず、食器などに対する手配の問題が発生した。

日本食には、多彩な食器 が必要なのであった。

それを船上の 限られたスタッフで如何に、洗浄し管理するか新しい問題も生 じた(ここで重要な事は、酒井君の働いていたレストランの客は、ある程度の日本食を試食経験のお 客が対象であった。船上の環境とは、大きな違いが有った。

日本食の問題点とは

上述のように、新造船には世界に冠たる豪華クルーズ客船を造るのだから、日本の食文化を世界 に広める為にも、豪華な料亭のような料理を提供すべしと言う意見であった。

生魚に疎いアメリカ人にはすしが、生の魚を扱う、その匂いに対する嫌悪感や内臓に虫が居るとか、今では想像も付かないような見方が溢れていたのです。

(1) 『割烹懐石料理』 東京が言う懐石料理は、非常に難しい。レストランを選ぶ動機を観察すると、日本では、割烹懐石料理の多くは、食材の多様さと料理の技量で作られておりその屋号とかシェフの名前で、レ ストランを選び、料理は彼らにお任せの料理であり、 店のブランドとシェフの技量を信頼して、 口にしているものである。一方、アメリカでは、日本食の食材に疎いアメリカ人にとっては、料理の中身が分からなく、好まれないし、醤油味に対する拒否反応やアレルギーもあったのです

また、 固苦しいフォーマリティが感じられると言う。日本食を初めて口にするアメリカ人の多くは、食材が気になり「これは何」との質問攻めでこれに答えるシェフは、一般的に、英語力不足、また、ウ ェイターは、日本食を経験したことのないヨーロッパやフィリピン人で、料理とクルーズ船客のコ ミュニケーションが成立しないのです。

宗教的な戒律の厳しいユダヤ人も含め、イメージの浮かばない食 材を基に食べる習慣が少ない人達にお任せで料理の中身が判り辛い料理を、クルーズゲストに、 喜んで気楽に食べても らうこと事は至難の業でした。

徒弟制度的な料理法習得の為、シェフが代われば、料理の作法が変わり、味付けも異なるのでは、 クルーズ船客からの評価も定着しない。食材の調達方法も、陸上でのオペレーションと全く異なり難問であった。

(2) 「アメリカ人のレストラン観」 アメリカ人の「レストランに対する期待/見方」も、壁となって立ちはだかっていた。アメリカ人は、レストランでの食事の時間を大事にし、団欒や社交の場として捉えており、自分たちの気分で、 長居したがる傾向があります。最低でも 2 時間は掛けるのです。

その点、和食のレストランでは、コースもの のメニューも限定されがちで、酒などの飲み物などで場を持たせるしかない。
日本の料理の中で、割烹などや大型料亭などの料理以外では、「しゃぶしゃぶ」「すき焼き」「鉄板焼」なども考えられるが、これらは、どちらかと言うと家庭料理的で、 基本的にセルフ・サービス的でもある。

鉄板焼きやしゃぶしゃぶなどで 2〜3 時間の場を持たせるのは非常に難しいのです。
日本で生活しているなじみの人たちには、それでも良いが、日本料理に疎いアメリカ人には、日本のこ のような環境と、まったく無縁な人たちが多かったのです。

匂いにも厳しい、焼き物も匂いが強いし、時 にはアメリカ人になじみの薄く、匂いが嫌われているしょう油なども使用しなければならない し、クルーズ船客のほとんどが和食を口にしたことがない人たちである。

活きた魚に、しょう油を つけて食べさせるなどといったことはできるはずもなかっ た。しょうゆの味や匂いが耐えられない と言うアメリカ人も多かった。
(3) サービス運営面での難しさ
80 年代の当時は、鉄板焼き料理が流行していたが、ブームは下降期でその代表格 「ベニハナ」等も、飽きられ大衆路線化に舵を切っていた。

特に、セルフ・サービス的で華やかさが出づらい。フォーマルに不向きに加え、高級イメージも低く、相席の可否・席に詰め込まれるスケジュールが、 シェフ主導で、食事の時間に制約があり追われる感じなどの不満もあったのです。

タキシードやドレ スに匂いがつき、タレものも多くテーブル・クロスが、汚れや臭気が付く、又、船上であるが故に 換気に注意、最大の注意を払わねばならぬ。鉄板焼きには、サービス品目としては、ビーフ、照り焼きなど、単品指向でメニューに広がりを生み辛く弁当箱的でもあったのです。

肉料理主体の鉄板焼き、すき焼、しゃぶしゃぶや、てんぷら料理には、タキシードとかイブニン グドレスには、不釣合いで、航海中の船での料理には、危険も伴い、不似合いであった。シャブシ ャブなどは、これは、料理を経験した事のある人にしか、上手く運用できないし、これもフォーマ ルに向かない「匂い」と言う大敵が付いて回るのです。

しゃぶしゃぶやすき焼きには、基本的にセルフサービス的なサービス形態でありサービスをする外国人サーバーにはなじみの無いサービス形態でした。

アメリカでは、バーベキューなど一部の食事を除いて、レストラ ンで は、サービスをする人、サービスをされる顧客の立場の違いが明確でした。

これらに加え、食材調達などの難しさ(世界各地での調達能力)も議論となった。クルーズの航路 によって、どのように和食の食材を調達するか。それに加え、サービスをする外国人スタッフのそ の食材に対する知識程度と、周知する際、その説明 の難しさも問題であった。アメリカで成功して いる多くの日本料理屋には、しっかりした、料理の食材を(英語で)説明できるウェイターやウェイトレスがいます。

アメリカでは、料理はエンターテイメントであり、食べ物の説明も重要な仕掛けの 一部なのです。

エスニックとしての日本食に対する経験がない外国人サーバーのサービスをする支援体制にも問題があると思われた。船上でサービスする(イタリア人やフィリピン人 は日本食を一度も食べた事のない人たちでした。


日本食の食材に対する知識レベルを(特に懐石料理)を如何にトレーニングするか、議論されたが、 妙案は無かった。

例えば、酒はワインとは異なり、長くは保管できないし、船側でサービスする外 国人には、欧米の知識はないこともあり、日本人客からは「酢」化した酒のコンプレインを受ける事になる恐れもあったのです。

日本食のサービス形態とアメリカ人の馴染みのアベタイザー(前菜)からメ イン・コースへの区別が不透明で、サービスの仕方に問題が出る可能性がある。味噌汁がスープ と思い、アペタイザーで出てきたり、遺物を、サラダと思い込んだり、生活習慣も違い、緑茶を頼むとセイロンの紅茶のようにスプーンと砂糖とミルクを持ってくる。


和食のメニュー構成においても困難を極めたのです。焼き物も匂いが強いし、時には醤油等も使用しなければならないので、クルーズ乗船客のほとんどが、和食を食べた事が無い人達なので活きた魚を食べさせるなどと言った事は難事でした。

多くのクルーズゲストは、宗教的な理由で自分が納得できないものや好みで 魚貝類や得体の知れないものを食べる事が出来なかったのです。

メニューは、加熱をした物を中心とした日本食のメニューを用意することにしたが、限られた船内の調理スペースでもあり、シェフにとっては厳しい料理環境であった。

アメリカのレストランでは、一般的に、アペタイザーは、他の人と同時にサービスされるが、船上のスタッフでは、和食の場合、料理が遅いと一品料理がバラバラ 出てきて、同じタイミングでは出てこないことも多かったのです。

その結果、出来るだけ前菜とメインコースに、サービスをする形態にせ ざるを得ないかったのです。シェフの試作品であった炒め物は、食材が不透明で米は副食だと言い主食ではないと考えているのです。

寿司はアペタイザーで主食ではないとか、味噌汁はスープゆえ最初に出すべきであるなどの見方の違いもあり、その運営に関しては多くの課題を抱えていた。

(4) 船上勤務の人材確保と日本的料理手法の難しさ、シェフの雇い入れも問題でした。日本料理には、前段階の準備が必要でそのためにスタッフも
十分居なければならず、一般的にロサンゼルスの陸上のレストラ ンで働くより、厳しい環境で、待遇も競争力がないとすれば、良いスタッフを探す事は待遇も含め難しい仕事です。

日本食 の料理手法に、手間が掛かる事も、レストラン運営を難しくしたが、それに加え料理の職人が、多 くは徒弟制度で料理の手法が、人によって異なる事や食材の調達などが障害として横たわったのです。

独自の作業流儀があったり、味付けが異なったりしている現実と、懐石料理の専門家に寿司やうどんを作ることを勧めるのはかなりの勇気が必要であった。

作業をする仕事場も制限があり、当初望んだような、高級料理を提供するような設備や舞台裏になっていなかった。それに加えて、職場陸上とは大きく異なる船上での勤務体制も大きな問題であった。

雇い入れも労働条件などから、難しいことは明らかで、また、アメリカ人やヨーロッ パ人では、言葉の問題もあるのです。

一方、表向きは日本人でも、日系米人は、日本の事も判らぬことも多く、料理法の異なる船上料理場での厳しい挑戦でした。

クリスタル・クルーズ独自の「プロダクションショー」の準備

クルーズ客船で旅行中、船上での楽しみの一つに、ロマンスの中心になる夕食後の大劇場におけるプロダクション・ショー。

食後の雰囲気を盛り上げ、船上での滞在経験をより快適に、濃 密にする舞台装置、パフォーミング・アートです。

クリスタル・クルーズは、既存のクルーズ会社とは異なり、自前のプロダクション・ショーを提供する事を決めたのです。

クルーズ客船社によっては、このようなショーを専門とする会社に外注で依頼するケースも多いが、クリスタル・クルーズの場合、このパフォーミング・アートは、演じる者と観客に一体感が重要であり、そこに微妙なケミス ト リー効果があり、プロジェクトの具体化と共に自前制作を目指した。

制作監督・ 振り付師・コン ピュータ制作担当・舞台監督をはじめ男女歌手・男女歌手兼ダンサーおよび専属バンド等を入れると、乗り出し時、総勢役 20 人、3隻体制になれば、80 人前後の規模の大所帯のプロダクションチームが出来、この運営や各制作にはかなりの費用と日数を要することとなるのです。

男女歌手やダンサー等は、一隻に 2 セット(二隻の場合、約 3 セット)分(船上 のキャストとして は男性、女性それぞれのリード・シンガーと 8 人の踊り手 + 歌手 の 10 人構成で更に、2 人が休暇の体制が必要で、乗船していない歌手/ダンサーは、ロサンゼルス・パサデナのスタジオにおいて、 毎日練習漬けでリハーサル、仮に船上の歌手あるいはダンサーに怪我など何か緊急事態が生じた場 合、いつでも補充が効くようなバックアップ体制を作る必要かでした。

歌手やダンサーは、もちろんプロとして生計を立てており(一般的に 18 週間契約となっている)。 ニューヨーク・ロサンゼルス・ラスベガス・ロンドン・シドニー等でオーデションを行い、採用の 可否を決めるが、一回のオーデションに大体 100〜200 人ぐらいの応募者があり、その中から 1 人か 2 人の採用となるのです。

給与体系(平均): ヘッドラインシンガー :1,500 ドル/週 バックグランドダンサー:300〜800 ドル/ 週。

通常 45〜60 分間のプログラムを制作するのに約 4〜6 か月を要し、これ以外に、衣装合わせや衣裳などの手配に、更に 2〜3 ヶ月を要することになるのです。

外注のプロダクション・ショーの場合 1 か月 もあれば、クルーズ客船会社として最高レベルの個性的なショーにするためには自前が望ましい判断があったのです。

最近はクルーズ客船が急激に増えている事もあり、マイアミを中心として、多くの契約歌手とか踊り子をそろえ外注専門のプロダクションショー会社が、取り仕切ってい るケースが多いのです。

ラスベガスとの提携で、大掛りなプロダクッションショーも増えています。

一つのショーに要する費用は、オリジナル作品の場合、著作権・制作費・衣装代などを含めて約2億円の予算が必要でした。

特にコンピュータ仕掛けの制作には、かなりのハイテク設備を投入 する事となる。また、コスチュームのデザイ ンも振り付師や衣裳デザイナーの重要な仕事でした。

衣装デザイナーは、ロサンゼルスでの映画や舞台の専門デザイナー会社と提携し、デザイン自体の素描から繊維素材の選別などもふくめ、振り付師との協業が基本となっているのです。

衣装は、観客か らの視覚的のみならず機能面においても着替えが簡単に出来るような特殊仕上げとなってい る。衣裳は見るだけにある訳ではなく、演技者にとって使い勝手がよいものでなければならない。 頭に乗せるカツラが重すぎないか、踊っている最中に落ちはしないか、カツラを支える紐が歌手の 首を締め付けていないか等にも十分な配慮が必要だ。

素材も高級繊維を多量に使っていることもあり、例えばスパンコールを使った 1 着百万円以上の 衣裳もありました。

衣裳の発注先も、アメリカで作ったり、あるいは中国に発注したりと多岐に渡りました。

これがダンサー分必要になるわけで当然衣裳コストが掛かる。通常 1 ステージ、5〜6 シーン位の情景 が出るがこれらの舞台装置も馬鹿にならないのです。

コスチューム・チェンジも、時には、一度のショーで 13〜15 回もありブロードウェイ的ショー、 バックステージでは3人の着替えのフィリピン人ドレッサーが必要となる。

クリスタル・ クルーズのコール・ポーターショーでは、続けて約 7 分間も歌い踊り続けるシーンがあるが、次の シーンに移るときの息づかいのコントロールにも細心の注意を払います。

踊りの種類もかな りのバラエティに富み、したがって幼いころからのバレー等の基本が必須である。歌手やダンサー の船上生活は華やかそうに見えるが、実はかなり過激な仕事で、ショーのあるときは、必ずリハー サルがあり、ショー自体は 45〜60 分の出し物が続けて 2 回あるプロードウェイやラスベガスでは、 曲目はいつも同じで良いが、クルーズ客船では、クルーズ船客が、毎日変わるわけではないので、 そのレパトリーは、クルーズで 200 曲 以上にもなる。それ加えてダンスも出来なければならないのです。

歌の方もかなりの広いレパトリーの曲目をこなし、一回45分の舞台で約25〜30曲、クリスタル・ クルーズのロックンロールのショーでは合計 120 曲もの歌を歌い踊るのです。

本来の歌や踊りの仕事以外 に、通常は船客の乗下船時の受け付けをしたり、本船来訪者のエスコートをしたりもする。彼らが個室でゆっくり骨休めが出来るスペースが欲しいと言う要望が多数あったのです。

クリスタル・クルーズのショーは、就航後極めて好評で、ゲストのスタンディングオベーションやパフォーミングアー トの雑誌や旅行業界紙等での高い評価が得られれば、出演者自身の勲章となるのです。これが彼らの次のブロードウェイやラスベガス等へのキャリアパスとなるのです。

多国籍従業員(乗組員)雇い入れ会社 ICMA 設立

ヨーロッパを中心とした上級幹部船員/従業員(乗組員)雇用システムの構築に 関連、新会社の船員の採用を、自由で柔軟に運用するために、長所の多い便宜置籍船制度を採用する事で決 めていました。

船上における上級幹部船員やホテル部門のクルーの採用を柔軟に実現する事で、 彼らの国民性を最大限に生かしながら、船上における運航・滞在環境を創る事に決めていた運航部門では、日本人幹部船員が加わる。このヨーロッパ人の体制を、フィリピン人船員や従業員の採用で下支えする体制を基本としていたのです。

ヨーロッパを中心とする多国籍従業員(乗組員)の採用が本格化しだしたこともあり、クリスタ ル・クルーズとしての雇い入れ会社が必要になった。幹部船員やホテル部門の従業員の採用が始まる前に、その雇用関係に対するリクルート・雇用契約・ 送り込みなどの手配が必要になるが、この 一連の作業をオスロとマニラに、それぞれ会社を設立し、そこで一元的に処理する方法を編み出した。日本郵船は、(1) ヨーロッパなどのクルー採用の為に、ノルウェーのオスロに設置する

(2) フィ リピン人従業員(乗組員)の為の雇用・管理事務所を、マニラに開設するという案 が作られたのです。

雇用専門会社 ICMA(International Cruise Management Agency 資本金 45,500 ドル)をノルウェー・オスロに設立。同社が、ヨーロッパ系幹部・上級船員とホテル部門の従業員などの雇用の受け皿となったのです。

一方、雇用人数としては、圧倒的な数を採用しなければならないフィリピンクルー に関しては、フィリピンの合弁会社を通しての採用となった。1990 年初めからスタートしたクリスタル・ハーモニーのクルー雇用に 関しては、ここを通して対応しました。

ICMA に関して言えば、雇用問題には、ITF(国際運輸労連)対策が重要であり、そのために、この雇 用事情を熟知している経験者が重要との判断が働いたのです。

ロイヤル・バイキング社から、ノルウェー 人スベン・ピターセンを引き抜く事とした。同じノルウェーの業界人としてクリスタル・クルーズ の副社長フライデンバーグや、当時のプロジェクト担当者とも旧知で、この分野では管理能力を 高く買われていたのです。

面接の時、”将来性のあるクリスタル・クルーズに賭けたいと言っていたました。クリスタル・クルーズのプロジェクトの姿が具体化した頃、仮想競争相手と考えていたロイヤル・バイキング社は、将来の展望が描けず、アメリカの旅行代理店網からも、見放されつつあり、経営的に混乱していた状況でした。

ロイヤル・バイキング社の事情 に精通している彼のこのコメントは、これから立ち上げるクリスタル・クルーズに対する彼らが見 る競争相手としてのイメー ジを測ることが出来、幹部船員や従業員の中に、クリスタル・クルー ズで働いてみたいと言う将来の移籍候補者がいることを示唆していると思ったのです。

船籍などに関して、後の 1989 年 10 月、バハマに「クリスタルシップ・バハマ」が設立さ れる。これを機に「クリスタル・ハーモニー」の船籍もバハマで登録されたのです。

バハマに現地法人が設立されたことは、税制のメリット以外に、40カ国におよぶ国際船員や従業員の雇用を可能にする大きな意味があったのです。

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顧客のライフスタイルを知る

長期滞在しながら船上生活を楽しむ多くのクルーズ船客にとって、その「ライフ ・スタイル」と 言う基準を通して、快適な人間関係が創られる事が望ましいのです。

これをパッセンジャー・ミックスといいます。

確かに、 モノを買うのも旅の楽しみの一つですが、クリスタルクルーズ社が想定していたアメリカの客層にとって、究極の旅とは「旅の過程を大事にして、 体験を心に刻むこと」であると考えたのです。

クルーズゲストの中で、特に夫婦参加の場合、その体験を通して、 人生の足跡を「同期化」することにより、夫婦の喜びや失敗も共有できることは前述しました。

ラグジュアリー・クルーズ乗船客は、船上での滞在生活の中に、人生の「物語」を潜在的に求めている傾向があります。

思い出を心に刻みたいと思っている人たちである。「記憶に人生の価値や感動を刻む」仕掛けが至上の要請です。

その実現のためには、彼らの船上におけるライフ・スタイル(客相)に最大限に配慮(乗客の世界を知らずして、心配りはできない)をしつつ、クルーズ客船による旅行の”中心”に 「クルーズ船客がいる」という、船上での“舞台”を演出することでした。

船上で彼らが持つライフスタイルや生活・文化と船上で提供する舞台装置の融合する「仕掛け」が 成功の可否を決めるのです。

「サービス」という(船上の)プロダクトの評価は、多くは「人的要因」で左右される傾向が強い。 相性がよければ、訴求力もあり永続性が高いのです。

従って、競争船社よりも優位に立つためには、この 「人的要因」にメスをいれ、新会社が絞り込んだアメリカ人船客層のライフスタイルに基づく「客相」を理解して、クルーズ船客と船で働く従業員(乗組員)との「ケミストリー」の結びつきを強化することが重要。

クルーズ船客との関係においては、「人間」関係を基本と したサービス、それがホスピタリティサービスの基本です。

それは、双方の信頼関係や相性で成り立つものです。

クルーズ船客は、自らの支払うクルーズ料金に対して、クルーズ会社からのこのケミストリーとそれ相応のサービスの提供に「期待」を込めているのです。

「ソーシャル(社交・人的交流)」についてみると、船上における「ヒトとヒトの織り成す人的な要因。

それもお互いのライフスタイルが理解できる客層」がその宿泊・滞在経験価値の核をなす。

従って、新会社として、この事業を長く続けるためには、先ず 「ソーシャル」の分野で他社と大きな違い・特徴を生み出そうと考えたのです。

この充実度が、将来の戦略の核となる、他社との差別化(デフェレンシェーション・差異化)で決定的な差となると考えました。

それは、船上におけるコンテンツのみならず、営業の面における販売網における戦略なとも連動させるのです。 

この確信を元に、「ソーシャル」の面から、船上の滞在環境を考える際に、下記のようなシナリオを描いてみました。

a)船上の滞在環境は、クルーズ船客が主役で、「全ての中心にいる」滞在環境とする。その上で、 従業員(乗組員)との親密な環境を演出し、「ファミリー(後のクリスタル・ファミリー)」的雰囲気を創り出す。「サービス」は、クルーズ客船運航会社の仕掛けである程度対応できるにしても、「ソーシャル」は、そこにいる人間性の交流である。

新しい仲間との交遊の楽しみや人情の発見や歓楽 欲を満たすような食後のロマンチックな環境が重要。

これを円滑にするためには、主役であるクルー ズ船客を支える多様な文化的歴史的な背景を持った多国籍従業員(乗組員)や他の国から来たクルーズ船客の心地よいハーモニーが必要である日本的で同質的な「おもてなし」を越えて、 国民性の違いを通して、「驚き」「感心」「新しい発見」などがこの事業に活力を与えると考えたのです。

b)このようなクルーズ客層の中から、彼らのライフ・スタイル(「客相」)に合わせて、最も快適 な環境を創り出す。

その環境を創るということは、これらの人たち の客層のライフスタイルを理解し、彼らが日常どのような生活をしているのかを知り、どのようなものに興味を持っているかなどを知ることでもあるのです。

サービスを提供する側としても、例えば食事のテーブル・ホストとしての役割は、食事の質やサービスに加えて、その場で2時間余を、彼らが興味を持っている朝のワイドシ ョーや テレビ番組「ベイ・ウオッチ」「ダラス」等のソープ・オペラなどの話題にも積極的 に参加できるような、ある程度の「彼らの常識」を基にした社会知識と言葉(会話力) が必要になリマス。

サービスを提供する立場としては、船上での社交を通して、彼らが 快適と思う「逗留体験」と「パッセンジャー・ミックス」の本質を常に見極める必要があるのです。

c) 「ソーシャル」を演出するには、「贅沢な選択肢」の提供を考える必要もある。 

ラグジュア リー・クルーズでは、「長逗留」が基本で、彼らにとって逗留中の食事をはじめ、人の 出会いや多彩な娯楽など、感動と感性を覚醒する滞在環境を演出する必要がある。

お仕着せの企画 ではなく、多くの選択肢の中なら、彼らが 「気の向くまま」選べるだけの潤沢なメニューを満たす 商品企画力が必要となる。

既存のラグジュアリー・クルーズ客船社との差別化のために、新しい試みとして、競合他社のプロダクトのみならず陸上のリゾート・ホテルなどのサービスやそのコンセプトも積極的に導入する。

これは、多彩な食事の面でも考慮されねばならないのです。

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「ウェルネス」は富裕層インバウンドの理想

ウェルネスとは

「ウェルネスビジネス」について考えるときは、「ウェルネス」と「ビジネス」を分けて考える と理解しやすくなります。まずウェルネスとは、身体的・精神的・社会的に良好な健康状態のこ とです。もともとは身体の表面だけでなく、総合的に健康について考えた概念であり、アメリカ のハルバート・ダン医師が考案しました。そしてウェルネスをビジネスに、つまり商業的に活用 しようとした概念がウェルネスビジネスです。ウェルネス資源の多い日本において、富裕層に向 けたインバウンドのブランド戦略としても、効果的だと考えらえます。

改めてウェルネスビジネスとは、病院など体調を崩したときに利用するサービスではなく、健康 維持や病気予防といった視点でサービスを提供することを指します。 日本においても少子高齢化 などを理由に、健康寿命への関心が高まっています。そこで考えたいのが、世界的に注目を集め る「ウェルネスビジネス」への参入です。ウェルネスビジネスの代表的な例としては、スポーツジ ムやヘルスカウンセリング、社会的に交流するコミュニティ活動などが挙げられます。人生100年 時代といわれる昨今、日々さまざまなメディアで健康寿命の重要性が取り上げられており、日本だ けでなく世界でもウェルネスビジネスは注目されているのです。

ウェルネスビジネスの市場予測

ウェルネス業界の研究機関「Global Wellness Institute (GWI)」の調査によれば、2018年時点で ウェルネス業界の世界市場規模は4.5兆ドル、日本円にして約500兆円にのぼるとのことです。こ れは世界の総医療費(7.8兆ドル)の約57%に相当し、非常に高い割合を占めていることがわかります。

また、この数字はウェルネス・メンタル産業や、ウェルネスフード・栄養・ダイエット産業、ウェ ルネスツーリズム、パーソナルケア・ビューティー・アンチエイジングなども含んでおり、これら の分野はさらなる成長が予想されます。たとえばウェルネスツーリズムの世界市場は、イギリスの リサーチ企業「TechNavio」のレポートによると、2020年~2024年の間に約3,155億ドルもの 成長が見込まれています。

少子高齢化が進む日本では今後、シニア・高齢者層が社会の主要構成員となるため、健康寿命に 関する取り組みは避けて通れません。これを疎かにすれば、社会保障費をはじめとする負担の増加は免れないでしょう。こうした事情を考慮すると、日本における今後のウェルネス業界の成長性はきわめて高いといえます。

ウェルネスビジネスの具体例:パーソナライズドフード

「パーソナライズドフード」とは、人それぞれの趣味や嗜好、体型、健康状態などに合わせた食 べ物のことをいいます。昨今の日本では、健康的な食事に絶対的なものがあると思われがちです が、当然ながら人それぞれに合う・合わないがあります。

たとえば、屋外で土木・建築などの肉体労働をしている人と、屋内でデスクワークをしている人 とでは、必要な栄養素やカロリーは異なるでしょう。前者は一定の脂質や糖質を取らなければ1日 もたないことも多く、後者は肉体労働の人と同じ食事だとカロリーオーバーで食べすぎです。この ように各々のライフスタイルや職業、体型など、あらゆる点において考えられた食事が求められ ているのです。
その点、パーソナライズドフードは個人に最適化されており、今よりもっと幸せな暮らしをもた らす可能性があるほか、環境問題・食糧危機・フードロスなどの社会問題の解決にも寄与します。

パーソナライズドフィットネス

「パーソナライズドフィットネス」とは、パーソナライズドフードと同様に、個々人の健康状態 や生活スタイルに合わせたフィットネスのことを指します。
わかりやすい例としては、アスリートと一般人との運動強度(トレーニングの強さ)の違いが挙 げられます。一般人がアスリートのようなトレーニングをすれば、怪我をする可能性が高まりま す。逆に、アスリートが一般人と同様のトレーニングを行っても、強度が足りず体を鍛えるには足 りません。
パーソナライズドフィットネスでは、日々のトレーニング具合や成果をデータで保存すること で、長期的な成長を確認でき、モチベーションが続きやすいメリットがあります。ほかにも、 個々人に最適化されたトレーニングゆえ短期間で効果が出やすい点も特徴です。

ウェルネスツーリズム

「ウェルネスツーリズム」とは、心身の健康維持を目的として行われる、温泉・ヨガ・スパ・瞑 想・ヘルシー食などを取り入れた観光のことです。日本ではあまり聞き慣れない言葉ですが、 フィンランド政府観光局が2020年5月、自然豊かなフィンランドの暮らしを疑似体験できるオン ラインプログラム「バーチャル Rent a Finn」を開始したことで、にわかに話題となりました。

一般的な旅行でも、温泉や瞑想を目的とした観光は可能です。温泉地に行き、ヨガや簡単なト レーニングをしてから温泉に入り、瞑想をするといった計画を立てれば、立派なウェルネスツー リズムといえるでしょう。それゆえ上記2つと比べ、一般人でも気軽に取り組みやすいのがウェル ネスツーリズムの特徴で、よりスムーズな参入が見込めるでしょう。

日本の魅力とポストコロナ

若いころさまざまな理由で日本を離れていたものの、老後は故郷で暮らしたいと考える人が増えているそうです。在留邦人のみならず、日本は海外の外国人からも移住地として人気があります。 エキゾチックな国に旅行して、その伝統的なライフスタイルに魅せられ日本をホームにしたいと考 える人もいるようです。

海外送金サービス会社「Remitly」が101カ国に住む人たちを対象とした調査を行いました。、 Google検索データから「海外移住について調べるときによく使われる検索ワード」の月平均検索 量を分析した結果、移住先として人気がある国1位がカナダ、ついで日本は2位であることがわかりました。

日本への移住を検討する理由としては、「医療の充実」「治安の良さ」「風光明媚な景観」など が挙げられています。

治安がいい、安全、秩序、ハイテク

もう少し丁寧に追ってみると、日本は地球上で最も犯罪率が低い国の1つです。社会学者、心理学者から一般の人まで、誰もが日本をとても安全だと証言します。安全性の低い国から来た外国人 にとって、犯罪の発生率が低いことは、日本の日常生活において気が休まります。東京のような大 都市での犯罪率が驚くほど低く、秩序が保たれています。犯罪に巻き込まれる心配なしに生活できます。

日本では夜間に出歩くときですら心配する必要はありません。車に鍵を置いたまま放置していて も、家のドアを開けっぱなしにして出かけても、無事です。2019年、グローバルピースインデッ クスは、163カ国のうち日本を世界で9番目に安全な国としてランク付けしています。

また主要都市には病院があります。緊急事態が発生して医師の診察を受ける必要を感じたら、すぐに予約して診てもらうことができます。

日本は世界で最も近代的で技術的に進んだ国の1つです。たとえば、 東京と横浜は、テクノフィリアや大都市愛好家にとって完璧な都市です。この国は伝統と現代が混ざり合っています。豊かな文化と歴史を持つ土地だけでなく、技術の先進国でもあります。東京と横浜は、ファッション、アー ト、フードの世界的に有名な中心地です。そして東京はミシュランの星を世界で最も多く持ってい る都市です。日本には繁栄している産業がたくさんあります。ハイテク産業やロボット工学だけでなく、金融や観光業でも仕事を見つけられます。英語を話す人や英語の先生がしばしば求められ ます。外国人の雇用は東京で生まれており、東京には多くの外国人が住んでいます
日本の公共交通機関は世界一と言ってもいいでしょう。

電車は、世界で最も信頼性が高く、時間 厳守で効率的なシステムであるため、日本で最も人気のある交通手段です。新幹線には外国観光客 向けのレールパスがあり、自由な時間に国を探索するのに役立ちます。短時間で、あなたは国のす べての目的地を探索することができます。東京はとても素晴らしいインフラを持っています。車を 運転する必要はありません。電車は10分おきに到着するので、移動はとても簡単です。他のオプ ションはバスとタクシーです。しかし、タクシーの運転手は英語が上手ではありません。 日本で 生活していると、車社会ではないのでよく歩きます。

この利便性と秩序が行き届いた国で暮らしていると、日本国外に住むことができないことに気づ きます。何があっても、スムーズに運行されるので、予期せぬ事態を想定したりせずに済みます。

自然が美しい

日本の自然景観は世界的に有名です。それは無数の芸術家や詩人に影響を与えました。屏風や版 画、多くの絵画で風光明媚な日本の自然をとらえています。日本は地理的な多様性に富み、有名な スキーのリゾート地があり、また他方で火山活動の恩恵を受けた温泉もあるのです。日本は緑の 森が多く、湖、川や海など、訪れる場所がどこであっても自然との調和を感じます。

特に日本の寺院や庭園では、平和と静けさを見い出します。有名な寺院や庭園には、鎌倉市の鎌 倉大仏殿、龍安寺、兼六園などがあります。外国人観光客が迷子になったり混乱したりした場合 でも、日本ではほぼ全員が非常に親切で丁寧に対応してくれます。例外なく。

地震や台風などもありますが、日本の長い歴史で自然災害と上手に付き合ってきたように、多少
の一時的な不具合をしのげば、それほど不自由でもありません。

日本人は世界で最も長い平均余命を持ちます。健康的な日本食が注目されています。自然の豊かさ が育む、食材と健康には関連があると思います。日本では、食べ物は常に短時間で調理され、生 で提供されるものも多いです。ご飯、魚、野菜・果物が中心です。砂糖はあまり消費せず、抗酸化 物質が豊富な緑茶を毎日飲みます。またメニューにはバラエティがあり、発酵食品が日本食を豊か にしています。

先進国の中でも日本の物価は低い

有料老人ホームの費用アメリカの都市部では、高齢者向けの施設に入居するには月額3000ドル、 4000ドルの入居費用がかかります。日本の場合、都心部でも20万前後で入居できます(各施設やサービス内容によって料金は異なります)。

他の先進国と比べて日本の物価は格段に安いです。日常生活に必要な衣食住の値段は、だいたい アメリカや欧州の先進国と比べると3分の2ほどの値段です。もちろんピンからキリまであり、高級な寿司店やレストランなどは別として、吉野家の牛丼の並盛りが388円。タイや台湾などの屋台 料理の値段とさほど変わりません。東京ではドリンクやデザートも込みで美味しい1000円以下で ランチが食べられる店も多いですが、ロンドン、パリ、ニューヨークなどではありえない話です。

パーマネントトラベラーの『ウェルネス』フラッグを日本に立てる

移住したくなるほどに快適で安心で、そして物価も安い、そんな日本の魅力は1、2週間の短期観 光だけにとどめておくのではもったいないです。日本はPTの旗国としても魅力があります。

Wikipediaを参照すると、PTにはパーペチュアル・トラベラーが当てられています。個人が複数国を拠点に分散的に旅をし続けることで、所得税や資産税、社会保障負担金、陪審義務、兵役など、居住に伴う法的義務を回避することができます。必ずしも、節税といった消極的なアプロー チのためのPTばかりではなく、むしろ国家から自立し、世間の価値観に振り回されず、個人の自 由な生き方を突き詰めることができます。まさに、クリエイティブな富裕層にピッタリはまる生き 方とも言えます。PTライフを充実させるサービスはオフショア金融サービス、租税回避スキー ム、個人のプライバシーサービスを売りにする企業の定番商品になっています。『Luxury Travel』分野においても、その視点を狙った大胆な商品開発があっても面白いと思います。

投資のスペシャリスト、ハリーD.シュルツにより『フラグ理論』が提唱されています。初めは、フラグは3つで、誰もが2つ目のパスポートとタックスヘイブンの住所を持ち、資産を母国の外に保 管するというアイデアでした。後に、お金を稼ぐ場所とレクリエーションの場所が含まれるよう になり『5つのフラッグ理論』として定着しています。

パスポートと市民権:国外で稼いだお金に課税したり行動を管理したりしない国。

法定居住地: タックスヘイブン。
事業基盤: お金を稼ぐ場所、理想的には法人税率の低い場所。
資産の天国:お金を貯める場所、 理想的には受動的所得とキャピタルゲインへの課税が低い場所。
遊び場:お金を使う場所、理想的には消費税の安い場所。

パスポー トを持つ国、居住書類を持つ国、ビジネスを行う国、資産を持つ国、快楽を追求する国。 PTは、これらを分散して棲み分けていくわけです。この5つのうちの『快楽を追求し、お金を 使って遊ぶ』国として日本の『ウェルネスクオリティ』のコスパの素晴らしさを認知してもらう のです。ここでは『PT』を先駆的でエッジが立っている自由な旅行者という意味で『パイオニ ア・トラベラー』と呼びます。PTには、貧困PT、中間層PT、ハイクラスPTと階層がありますが、 その3クラスのうちのハイクラスのPLT(Pioneer Luxury Traveler)に日本に度々訪れてもら うのです。

快楽の追求には2種類あります。いずれも日本には理想的なほど十分なポテンシャルが埋まっています。

・リラックスできる(マッサージ、風俗、食事、サウナ、瞑想など)
・体を動かす、集中力を必要とする
(トレーニング、スポーツ、畑、語学学校など)

日本は旅先としての魅力があり、安心・安全への信頼も高い国です。一方で、富裕層旅行の領域では情報発信が少なく、「謎めいた国」でとどまっているのも事実です。

コロナ感染症やロシアの ウクライナ侵攻などこれからの世界情勢が読めきれないことなど課題はあるものの、日本の観光立国としてのポテンシャルが高いことは間違いありません。

まずはアメリカの富裕層PLTに向けた 日本の『ウェルネス』フラッグ戦略を立て、しっかりとそして1つずつ『Luxury Travel』の ニーズに応えていくことで、コロナ回復期の軌道を切り拓くことができると考えます。

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ラグジュアリークルーズの黄金律.2

最良の船上体験価値を演出する滞在環境とは、以下の6つが掲げられるかと思われます。

  1. プロダクト
  2. コンテンツ
  3. ソフト
  4. 旅行商品
  5. 商品企画
  6. 滞在価値

そしてこれらの要素が織りなす演出によってゲスト一人ひとりの人生観を加えることによって構成されるのです。

ラグジュアリークルーズのゲストはストーリを評価する

ラグジュアリー・クルーズのゲストは、旅のストーリーとゲスト自身が歩んできた人生を旅の「ストーリー」として作り上げることを好まれる傾向があります。

今から遡って約30年以上前の1988 春、クリスタルクルーズ社は、これから造る新造船の建造と同時に、船上での滞在環境の構築に多くの時間が割かれていた様子でした。

まったくゼロから立ち上げる新会社の、それも新造船を導入する以上、その構想は 2〜3 年のレンジで描く必要性があったのです。

新造船の建造は設計段階がある程度まとまれば、後は造船所の強い意思の元で、予定通りのプログラムで建造が可能かと思われていたのです。

その新造船の就航まで 2 年間の準備期間の間は、この新しいクルーズ運航会社の将来の勝負が決まると考えていたのです。

そこにはクルーズ客船事業を構成する、客船というハードと船上での滞在環境というソフトの 2 つの側面からのアプローチが必要でした。

これから始めるクルーズ客船会社に乗船するクルーズ船客の滞在の舞台は、船 (ハード部分)と、 その配船先や船上での滞在環境(ソフト部分)で構成されているのです。

特に船は、船主、投資家である NYK(日本郵船)が中心に主導的に展開する部分であるが、 営業活動に加えて目的地・配船先や船上での滞在環境・舞台環境の構築は、その運航会社が主として担う仕事です。

ハード部分の客船の基本デザインにおいては、既に対象とされたロイヤル・ バイキング社の船など想定競合船社が存在していたので、その前例と具体的に相対的検証ができ、その対応は容易であったのです。

日本の持つ”モノ造り”の技術を積極的に取り入れることにより、費用対効果や利用者の 利便性などを考慮しても、方向性の確認に、それほどの議論は無かったのです。

しかし船という「モノ」の部分は、当初は珍しく感激を与える事が出来ても慣れやすくて、飽きられやすい傾向があるのです。

客室をはじめとする船上における各種の公室や施設などは、技術革新を基にした利便性と目新し さなどにありがたみを感じても、1週間も滞在していれば慣れで新鮮さも薄らぎ、その 優越性に対する評価も忘れられやすいモノです。

また、造船所で図面が書かれた段階で、その技術革新の提案は、他の会社が模倣し追従したりされやすいので、その客船の持つ利便性や長所だけで長い間売り込むことには限りがあるのです。

クルーズ船客の嗜好やライフスタイルの変化などの進 化の度合いによっては、折角の船上の居住環境(特に部屋のサイズ)も、数年で陳腐化するのです。

クルーズ会社は旅のメモリークリエータ

これから始めるクルーズ客船事業は、物流とは異なり、船だけでは成り立たないのです。

このプロジェクトの成否を決めるのが、船上における滞在環境です。クルーズという旅行商品は、これを利用する顧客の旅のドラマであり、ゲストのストーリーを演出する商品なのです。

ゲストの多くは、旅が持つプロセスを3D化したストーリーに期待して、数ヶ月、長ければ数年前から、旅の過程を想像することから始まるのです。

これからこのラグジュアリー・クルーズ業界で生きていく為には、 船上でクルーズ乗船客が楽しめる環境創りを指す滞在環境こそが、この事業の要なのであり、クルーズ運航会社がその責任を担うことになるのです。

クルーズ旅行に魅せられたアメリカのクルーズ乗船客は旅の目的地のみならず、 船上での人との交流など、旅のプロセスに、より興味を示す人たちが中心なのです。

船上でのライフスタイル を求めてくるクルーズ船客に対して、今まで経験した事のないような快適な環境と充実した船上での日々を演出しなければならないのです。

この新しい事業は旅行者に、船上での体験と社交の時を刻み、旅の記憶を売る仕事であり、アメリカのラグジュアリー・クルーズ業界に参入し成功するためには、その旅の記憶を脳裏に刻む環境づくりと怯むことのない革新的な発想の導入が必要なのです。

その実現のためにはホスピタリティ事業の心臓部であるソフト(船上での生活体験の演出)の仕掛け作りが最優先の課題である事を認識する必要があったのです。

クルーズ会社は旅のメモリークリエーターと言える所以なのです。

既存の有力競争相手と互角、あるいは彼らの上を行くためには、これから誘客するクル ーズ乗船客層に、強烈なインパクトと感動を与えるような船上での滞在環境の仕掛けが必要でした。

サ ービスとソーシャルの基本に在る「ヒトとヒト」のケミストリーを前面に出した船上での滞在環境を演出し、クルーズ旅行者が人との出会いで織り成す感動と、心に思い出を刻む仕掛けが求められるのです。

その演出には、新会社の”個性”が、最も重要であったのです。その個性は、 この新会社が、船というハードの上に実現されるサービス・コンテンツ。

即ち、サービスの中身と船上で生活する人たちが醸し出す生活・ソーシャルが、既存のラグ ジュアリー・クルーズ客船社を凌駕するような独自性に溢れた舞台装置であり、それがこの事業の成否を決めると理解していたのです。

他社にない独自性が 実現できれば、当初の目標である新会社のブランドの価値が、この業界やゲストに認知されるに違いないと認識していたのです。

各種の調査を通してこの船上での体験価値を演出する最重要なポイン トは、客層と彼らのライフ・スタイルの分析であり、この願いを定めた客層の絞込んだ顧客が「何を望むか」が最も重要です。

しかも数年先も予見しながら見極めると同時に何を嫌がるかのネガ ティブな要因を出きるだけ取り除く商品構成にあると判断していたのです。

しかし、船上でのサービス・プロダクト、すなわち「船上での滞在体験」を演出する知識は、クリスタルクルーズの親会社のNYK(日本郵船)は全く持ち合わせていなかったのです。

すでに各種の調査や専門家との交流を通して、この企画・構想の段階からある程度の共通認識は持っていたが、その細部にまで思いが至らなかった。この分野は日本郵船が優れた貨物船を多く所有し運航していても、それが生かされない 未経験の分野でした。

既存事業の成功事例は役に立たない

クルーズ事業は貨物輸送と違い、目的地に早着が至上と言うものではなく、物言わぬ貨物 と異なり、個々のクルーズ船客がそれぞれ「主観」を持っている以上、限られた空間にクルーズ船 客を詰め込めば採算が上がるというものではないのです。

詰め込みにより消率席を追及しがちな「モノ」 の輸送とは全く違うビジネスである。

乗船客には、効率や詰め込みなどは馴染まないものです。乗船中も広い生活空間を利用して、クルーズゲストがゆったりと自らのライフスタイ ルを維持しながら満足するような舞台装置が極めて重要です。

採算向上のために、サービスの中身やそれを演出する備品の手抜きは、何度も乗船するリピーターにとっては、前回と何かが違うと疑念を生むのです。

その結果、次回のクルーズは無言でこの船から離れて行き、他の会社の船に移るというのがこの 業界の常識でもあったのです。

その離反船客や販売網の傾向が強まればこの業界では敗者となり、 他社の手に落ちる事になる。ここに、高額商品であればあるほどコストパフォーマンスが重要になるのです。

船上滞在コンテンツの構築が要

この船上プロダクトの構想には、この業界を熟知する人たちのノウハウを「蔵き台」 にするのが良かろうという判断であった。この視点から、早い段階 から適任者を仲間に入れる必要がありました。

船上でのホテルプロダクトと言う環境滞在の構築と共に、実証するプロダクトを持ち合わせない新会社が描く船上コンテンツというソフトに対する構想を、新造船が就航するまでの 2年間のうちにアメリカ・マーケットの旅行代理店網などに対して、期待を持続させる仕掛けが必要だったのです。

旅行代理店網に提示するホテルコンテンツがないゼロから出発する会社としては、 マーケットに対してひたすら期待と納得をさせ続ける必要があったのです。

そこで新しいラグジュアリー・クルーズのコンセ プト を作るキャステングを前面に出す戦略を考えたのです。

新会社のコン サルタント・チームなど幹部に対するこの業界における信用度と、これから雇う 船上で働く人材を前面に出して、船上のパーフォーマーである乗組員という人財で、 マーケットや販売網に訴え掛ける方策を考えたわけです。

また同時に、これから、船上のプロダクト構築の過程で、早い段階から将来のクルーズ乗船客のみならず、共存共栄の不可欠な関係にある旅行代理店など販売網を取り込むことが重要でした。

このため、新造船の建造スケジュールやタイム・ラインに合わせ、彼ら の知識や宣伝・プレスなどの積極的な参加を促し、マーケットが新しいクルーズ客船運航会社の商品企画に積極的 に参加する環境を作るという工程を描いていたのです。

これにより、新しいプロダクトに対する期待感を更に高め、クルーズゲストにとって快適な環境を演出する努力を重ねたのです。 

またブランド構築の過程でも、船上の滞在環境構築の段階から、彼らの力を大いに活用することが、この事業には必要でした。

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ザ・リッツ・カールトンヨットコレクションがデビュー

ザ・リッツ・カールトンヨットコレクション初のクルーズ客船、「エヴリマ」号が処女航海に出港します。就航予定の2019年から3 年の遅れで、メガ ヨットはスペインのバルセロナ港でゲストを迎えています。

処女航海はスペインからフランスへの 7 泊のクルージング。パルマ・デ・マヨルカとサントロペの両方への 2 日間の訪問が含まれます。

クルーズの最終目的地であるニースに到着する前に、エヴリマ号はアルクディアとアンティーブにも出航する予定です。この地域では珍しいクルーズの目的地です。

初のクルーズ プログラムを継続するこの豪華客船は、11 月初旬に大西洋を横断する前に、地中海とカナリア諸島を経由する大西洋横断クルーズを行います。その後、「エヴリマ」号は、2022 年から 2023 年の冬季シーズンの一環として、さまざまなカリブ海の旅程を提供します。

また、南アメリカとバハマを訪れるクルーズは、ブリッジタウン、サンファン、セント マーチンなどの複数の寄港地から出航します。

このプログラムには、コスタリカ、パナマ、ニカラグア、グアテマラなどを訪れる旅程とともに、一連のパナマ運河と中央アメリカの出発も含まれています。2 月初旬には、298人乗りの客船がフォートローダーデールから出発する一連のクルーズで米国にデビューする予定です。

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ザ・リッツ・カールトンヨットコレクションで2番目に広い「グランドスイート」

リッツカールトンによると、クルーズスケジュールはすべて、各寄港地でより多くの時間を特徴としており、「よりゆったりとしたクルーズスペース」を可能にしています。

第一船の「エブリマ」は、豪華なヨットとして設計されました. 一連の公共エリアと十分なオープン デッキ スペースに加えて、26,500 トンの船はロフト スイートなどの高級宿泊施設を提供しています。

リッツカールトンによると、12室所有する 2 階建ての「ロフト・スイート」キャビンはスイート内での娯楽に最適で、広々としたリビングエリアと 2 つの入り口を備えた豪華でモダンな体験が特徴です。

この船には、オープンエアのステーキハウスやシーフードの会場、いくつかの親密な専門レストランなど、10の異なる料理体験を含む、ダイニングレストランがあります。

ザ・リッツ・カールトン ヨット コレクションが艦隊を拡大する中、「エヴリマ」号に続いて、2024年と 2025年にさらに 2 隻の豪華客船が就航する予定です。

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リッツ・カールトンヨット処女航海

リッツ・カールトン・ヨットコレクション所有のスーパーヨット「エブリマ」号が2022年10月処女航海します。

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298人乗りのエブリマは、リッツカールトンホテルの快適さとサービスを洋上で実現
© 2022 The Ritz-Carlton Hotel Company, L.L.C. All rights reserved.

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リッツ・カールトンヨットコレクション概要

乗客定員298 人乗りのリッツ・カールトンヨットの第一号船「エヴリマ」号は、リッツ・カールトンホテルの快適さとサービスを洋上で実現することを目指しています。

リッツ・カールトン・ヨット・コレクションの第一船は、洗練されたモダンなデザイン、豊富な素材、広いラウンジスペース、パーソナルなサービス、ミシュランの3つ星シェフがメニューを考案したレストランを備え、3年近く遅れてデビューすることになった。298人乗りのエブリマ号は、10月15日にバルセロナからニースへの7泊クルーズで最初のゲストをお迎えする予定です。

スペインの造船所での建造の遅れと、コロナ禍によるサプライチェーンのトラブルで、就航日は8回延期されました。何千人もの乗客が初期の予約をキャンセルまたは延期されましたが、このスーパーヨットは、特にリッツカールトン愛好家の間で、ここ数年で最も期待されているラグジュアリークルーズ客船の一つであることに変わりはありません。

マリオット・インターナショナル社の高級ブランド担当上級副社長のクリス・ガバルドン氏は、「私たちは、多くの富裕層旅行者が行きたいと思いながらも、それをサポートするブランドがなかったと思われる空間に進出している」と語っていました。

何百万人ものリッツカールトンの顧客は、ブランドの次の革新の準備ができており、予約の面でも、私たちと一緒に来ることを望んでいることを実証しています」。ほとんどの予約は、これまでクルーズの経験をしたことがない人たちからのものだとガバルドン氏はさらにコメントを付け加えました。

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ベッドルームが階下、リビングルームが階上にある2階建てのロフトスイート
© 2022 The Ritz-Carlton Hotel Company, L.L.C. All rights reserved.

創業秘話

リッツ・カールトン・ヨット・コレクションの創設者兼最高経営責任者は、海運業界で長年携わっているダグラス・プロセロ氏であり、クルーズ会社はリッツ・カールトン・ホテル・カンパニー(マリオット・インターナショナル傘下)とプロセロ氏のヨットの共同運営事業による海事投資グループのポートフォリオです。

オークツリー・キャピタル・マネジメントLPが主な投資家です。フランスのアトランティック・シャンティエ造船所から乗客定員456人乗りのスーパーヨット2隻が追加注文され、それぞれ2024年と2025年完成予定です。

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船のマリーナにあるオープンエアの空間で、海の景色を眺めながらカクテルや軽食が楽しめます。© 2022 The Ritz-Carlton Hotel Company, L.L.C. All rights reserved.

コンセプト

高い評価を得ているスウェーデンの海事建築および設計会社「ティルベリ」は、ホテル会社のチームと協力して、水上に浮かぶリッツカールトン ホテルを建造しました。「それは陸上のリッツ・カールトンホテルをカジュアルかつモダンなラグジュアリーな雰囲気を海へとゲストを導きます」とプロセロ氏は言います。「しかしクルーズ業界に何か一石を投じて物申すということではありません」とさらにコメントを付け加えました。

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スイートはリッツ カールトン レジデンスの現代的な外観にインスパイア設計
© 2022 The Ritz-Carlton Hotel Company, L.L.C. All rights reserved.

広々とした居住空間

ゲストは、通常のクルーズ船よりも高い天井のスイートに滞在し、キングサイズのベッドとダブルシンクのバスルーム、海を見下ろすプライベート屋外テラスを備えています。

また、3時間のセッションあたり45ドルの子供専用プレイルームを備えた監視付きのリッツキッズプログラム や、屋内と屋外のトリートメントルームを備えたリッツカールトンが運営するスパなどのリゾートのような機能や、395 ドルのサージカルリフトフェイシャル、ノンフィットネスなどの贅沢なプログラムも提供されています。

プロセス氏によると、全長190mのこの客船は、乗客 1 人あたりのスペース・レイシオが他社クルーズ船よりも広いのです。「思う存分静かに過ごすすことも、大勢で集まることもできます」とプロセロは言います。

10人用の静かなテーブルで、プライベートディナーパーティーを開催することも可能です。

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船のマリーナテラスではカヤックやパドルボードなどのレンタルが可能
© 2022 The Ritz-Carlton Hotel Company, L.L.C. All rights reserved.

どこまでも果てしなく海

ゲストは、インフィニティプールの周りのラウンジでシャンパングラスを傾けながら、海の景色を眺めたり、船が停泊しているときに手作りのカクテルや軽食を提供するマリーナテラスの水辺に近づいたりすることができます。

マリーナからは、パドルボード、ウィンドサーフィン ボード、カヤック、ヨット、シュノーケリング用具を借りることができます。「エヴリマ」号周辺に点在する 4 つのプール は、景観を楽しみながらひと泳ぎするなど優雅なクルーズライフを堪能することができます。

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10名様までのご宴会をご予約いただけるプライベートスペース 
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ファーストクラスのダイニング

リッツ・カールトンヨットコレクションのメインダイニングである「エブリマルーム」では、各寄港地にちなんだテーマの料理を提供します。

特にスペシャリティ・レストランのSEA (Sven Elverfeld Aboard) でのワインとシャンパンのペアリングを含む 5 コースのテイスティングメニューは、ドイツのヴォルフスブルクにあるリッツカールトン内にあるミシュラン3つ星レストラン「アクア」のシェフ。スヴェン・エルバーフェルド氏によって作成されました 。(1 人あたり285ドルの追加料金が必要)

「ターン・ナムレストラン」では、屋内または屋外で東南アジア料理または、寿司を堪能することができます。ルームサービスは 24 時間年中無休でご利用いただけます。

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最上階の展望室は社交とカクテルのスポットで、夜遅くにはナイトクラブに変身
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ナイトライフ

船のデッキ 10 の屋内と屋外の展望テラスは社交の場であり、日中は景色を眺め、夜はカクテルを飲みながらライブ エンターテイメントを楽しむことができます。

夜遅くになると、このスペースはナイトクラブに変わり、星空の下でダンスが楽しめます。エブリマ号には独自のジャズやクラシックミュージシャンが常駐しており、地元のエンターテイナーが寄港地で演奏するために乗り込みます。

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屋上デッキでは、昼は景観を楽しみ、夜は星空の下でダンス
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リッツ・カールトンのサービス

エブリマのすべてのスイートルームでは、コーヒー1杯から寄港地観光の手配まで、さまざまなリクエストに応えるパーソナル・コンシェルジを利用できます。リッツカールトンのホテルと同じようなパーソナルなサービスを目指しているのです。

船には宿泊客とほぼ同数のクルーがいるが、プロセロ氏はホテル会社との提携が人材確保に役立っていると言います。

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トリートメントの前に、スパのジャグジー付きテラスでくつろぐ
© 2022 The Ritz-Carlton Hotel Company, L.L.C. All rights reserved.

航行スケジュール

初年度、エブリマは地中海とカリブ海を7泊から10泊の旅程で航海。イビサ、サントロペ、ベキア、セント バーツなどの人気寄港地に立ち寄ります。

停泊するコースも設定されているので、陸上での滞在時間が長くなり、通常とは異なる寄港地観光に重点が置かれています。

たとえば、アルバ島のアロエ施設のツアーの後には、リッツ・カールトン・アルバ でアロエベースのトリートメントを受けたり、カナリア諸島のテネリフェ島での夜の小旅行ではカクテルカルチャーに焦点を当てています。

クルーズ料金は 1 人 1 泊 1,000 ドルからですが、航海によってはもう少しお手頃なクルーズもあります。

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プールサイドではランチとシーフードのグリルとステーキを提供。
© 2022 The Ritz-Carlton Hotel Company, L.L.C. All rights reserved.

競合するラグジュアリークルーズ

シーボーン( カーニバルコーポレーション)やシルバーシー(ロイヤル・カリビアン社傘下)などの主要な豪華クルーズ会社だけが競合するわけではありません。

先月末、フォーシーズンズ・ホテルズ アンドリゾーツは、マイアミを拠点とするフォートパートナーズ (フロリダ州サンライズのフォーシーズンズ サーフクラブ) のオーナーであるナディム・アシ氏と元マイアミビーチ市長のフィリップ・レヴィーン氏が提携して、イタリアのフィンカンティエリ社が建造する190人乗りの客船3隻であるフォーシーズンズ ヨットを発表しました。 、最初の予定は2025年後半です。

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ヨットのメインダイニングでは寄港地によってローカルメニューを提供
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マリオット・ボンボイポイント

マリオット・ボンボイプログラムのメンバーは、180,000 ポイントをクルーズ料金の1,000ドルに引き換えることができ、その後は 90,000 ポイントごとに 500 ドルになります。

プロセロによると、約 200万ポイントで 10 日間のクルーズの支払いが可能です。クルーズ料金、およびリッツカールトン ヨットコレクションを通じて予約したMarriott Bonvoy 参加ホテルのホテル パッケージ料金で、1 ドルごとに 5 ポイントを獲得できます。

エリートクレジットもあり、エリートステータスを持つ人は、特別なカクテル パーティーへの招待や、メンバー ステータスに応じて無料のランドリーなどの特典を受け取ります。

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人生に必要なことはすべてリッツカールトンが教えてくれた

リッツカールトンの存在を初めて知る

リッツカールトンといえば、日本のみならず、世界中のラグジュアリーホテルの代名詞として名を馳せています。

なぜ飛躍的な成長を成し遂げ、長い間成功を収め続け、なおかつホテル業界での確固たる地位や名誉を欲しいがままに受け取っているホテルは稀ではないかと思われるのです。

美味しい料理や高価な調度品を備ている高級ホテルは数多く存在しています。

ザ・リッツ・カールトン大阪のメインダイニング フランス料理 「ラ・ベ」

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ザ・リッツ・カールトン大阪のメインダイニング フランス料理 「ラ・ベ」ディナー

しかし、リッツカールトンはそれ以上に大切にしているのが従事しているスタッフなのです。

リッツカールトンでは従業員のことを「紳士淑女」と呼んでいます。

常に従業員に対して敬意を表している名称かと思われます。

人材こそがビジネスの基盤と顕著に表しており「紳士淑女(従業員)を大切する」企業理念が根付いているのです。

仮にお客様と従業員どちらが大切かと尋ねたら、迷うことなく「従業員です」と即答されるのです。

つまり従業員を大切にするから、お客さまに対して立派なサービスが提供できるということです。

私がリッツ・カールトンの存在を知ったのは今から30年前のこと。

当時シティホテルの宴会セールス仕事に従事していたこと、とある富裕層のご夫婦とご縁あり、その方を通じて初めてリッツ・カールトンの存在を知りました。

まだ日本にはリッツ・カールトンが存在していなかったのですが、そのご夫婦がマウイ島のリッツカールトンでの宿泊体験されたエピソードを聞いたり、その写真を拝見して非常に感銘を受けた記憶があります。

その数年後に大阪に日本第1号のリッツカールトンが開業。

身銭を切ってエグゼクティブスイートに3連泊して、今までにない興奮と感動したことを昨日のように記憶が蘇ってくるのです。

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クルーズ乗船前に宿泊したホテル・アーツ・バルセロナもリッツ・カールトン

その後、大阪だけでは物足りず世界中のリッツカールトンを訪ねてみたいと衝動に駆られて、欧米やアジアのリッツカールトンの巡礼を旅をしたり、パッケージプランを企画して、集まったお客様をエスコートしたりと猛烈なフアンになっていました。

一人の旅好きの人間を熱狂的なファンにさせたリッツ・カールトンのビジネスモデル。

このビジネスモデルは、単に企業の業績向上のみならず、突き詰めていくと人生を豊かにするエッセンスが凝縮されていることに気づいていくのです。

どこの企業も発展のために、ビジョンや目的、そして価値観を成功の指針を掲げています。

リッツ・カールトンの場合、それを従業員に可視化できるようにまとめたのが「ゴールド・スタンダード」です。

この「ゴールド・スタンダード」こそホテル業界のみならず、ホスピタリティ業界の基準となっているのです。

リッツ・カールトンが提唱する「ゴールド・スタンダード」を区分けしたのが3つあります。

  • クレド
  • ザ・リッツ・カールトンベーシック
  • サービスの3ステップ 

最初にリッツ・カールトンのベンチマークとも言われる「クレド」について記載します。

リッツ・カールトの「クレド」とは

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© 2022 The Ritz-Carlton Hotel Company, L.L.C. All rights reserved.

一般的にクレド(Credo)とは、企業全体の従業員が心がける信条や行動指針のことを指します。

1986年米国フロリダ南西部のネイプルズにリッツ・カールトン初のリゾートホテルがオープンしました。

当時、ネイプルズは地図にも載っていないのどかな漁村だったのです。

今やこの「ザ・リッツ・カールトン・ネイプルズ」はリッツ・カールトンを代表するリゾートホテルとして評価が高いのです。

リッツカールトンのクレドはこのネイプルズで出来たのです。

このネイプルズのオープニングには約600名の従業員がいました。

オープニングの日には、わずか3時間前に社員になった人ばかりだったのです。

そこで彼らにリッツ・カールトンの企業理念を2〜3行まとめられないモノなのかと当時のザ・リッツ・カールトンホテルカンパニー社長ホルストシュルツイ氏が「クレド」と命名したのです。

クレドとは「私は信じる」というラテン語から由来。

ボーイスカウトの誓いのようにリッツ・カールトンで働く従業員に3つの実践を誓う形式で 「究極のゲスト体験」をまとめた文章なのです。

リッツ・カールトンのクレドは以下の通りです。

リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。

私たちは、お客様に心温まる、くつろいだ、そして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。

リッツ・カールトンでお客様が体験されるもの、それは感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしてお答えするサービスの心です。

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このクレドはベルボーイ、コンシェルジュ、ランドリー担当など仕事の違いに関係なく、すべての従業員にリッツ・カールトンの紳士淑女(従業員)として何をすべきかをはっきり表しているのです。

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ザ・リッツ・カールトン東京のアフタヌーンティー

サービスの3ステップ

最高級ラグジュアリーホテルとして、常に質の高いサービスを提供することでリッツ・カールトンは他の追随を許さなかったのです。

例え相手が一個人のゲストでも法人であってもサービスの基本は変わりません。

リッツ・カールトンではサービスを単純化戦略は業績向上には不可欠だと理解しており、従業員が常に携帯している「クレド」にサービスの3ステップが記載されている。

サービスの3ステップ
1.あたたかい、心からのごあいさつを。お客様をお名前でお呼びします。

2.一人一人のお客様のニーズを先読みし、おこたえします。

3.感じのよいお見送を。さようならのごあいさつは心をこめて。
お客様のお名前をそえます。

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上記のサービスの3ステップは従業員が、取引先や納品業者など、リッツ・カールトンに関わるすべての人に接する時の対応のみならず、従業員が新入社員として入社した時から、異動や退職する時にもこの考え方が浸透しているのです。

「家族や友人のように丁寧に接してくれた」と業界を超えての定評があるリッツ・カールトンの根底に「サービスの3ステップ」があるからだと思われます。

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ザ・リッツ・カールトン東京のロビー

ザ・リッツ・カールトンベーシック

「ザ・リッツ・カールトンベーシック」とは上記の「クレド」や「サービスの3ステップ」をさらに進化させたものです。

そして、リッツ・カールトンの過去の成功の要因でもあり、事業が発展し継続していくテクニックでもあります。

ザ・リッツ・カールトンベーシックは以下の通りです。

1、クレドは、リッツ・カールトンの基本的な新年です。全員がこれを理解し、自分のものとして受け止め、常に活力を与えます。

2、モットーは「私たちは紳士淑女をおもてなしする紳士淑女」です。サービスのプロフェッショナルとして、お客様や従業員を尊敬し、品位を持って接します。

3、サービスの3ステップは、リッツ・カールトンのおもてなしの基本です。お客様と接するたびに、3ステップを実践し、お客様に満足していただき、常にご利用いただくことでロイヤリティーを高めましょう。

4、「従業員への約束」は、リッツ・カールトンの職場環境の基本です。すべての従業員がこれを尊重します。

5、すべての従業員は、自分のポジションに対するトレーニング終了認定を受け、毎年再認定を受けます。

6、カンパニーの目標は、すべての従業員に伝えられます。これをサポートするのは、従業員一人ひとりの役目です。

7誇りと喜びに満ちた職場を作るために、すべての従業員は、自分が関係する仕事のプランニングに関わる権利があります。

8、ホテル内に問題点がないか、従業員一人ひとりがいつも隅々まで注意を払いましょう。

9、お客様や従業員同士のニーズを満たすよう、従業員一人ひとりには、チームワークラテラル・サービス(部門を超えたサービス)を実践する環境を築く役目があります。

10、従業員一人ひとりには、自分で判断し行動する力(エンパワーメント)が与えられています。お客様の特別な問題やニーズへの対応に、自分の通常業務を離れなければならない場合には、必ずそれを受け止め、解決します。

11、妥協のない清潔さを保つのは、従業員一人ひとりの役目です。

12、最高のパーソナル・サービスを提供するため、従業員には、お客様それぞれの好みを見つけ、それを記録する役目があります。

13、お客様をひとりとして失ってはいけません。すぐにその場で、お客様の気持ちを解くほぐすのは、従業員一人ひとりの役目です。苦情は自分のものとして受け止め、お客様が満足されるよう解決し、そして記録します。

14、「いつも笑顔で、私たちはステージの上にいるのですから」。いつも積極的にお客様を見て対応しましょう。お客様にも、従業員同士でも、必ずきちんとした言葉遣いを守ります。(「おはようございます」「かしこまりました」「ありがとうございます」など)

15、職場にいる時も、ホテルの大使であるという意識を持ちましょう。いつも肯定的な話し方をするよう、心掛けます。何か気になることがあれば、それを解決できる人に伝えましょう。

16、ホテル内でお客様に場所を聞かれたら、ただ指さすのではなく、その場所までお客様をご案内します。

17、リッツ・カールトンの電話対応エチケットを守りましょう。呼び出し音3回以内に「笑顔で」電話を取ります。お客様の名前をお呼びしましょう。保留にする場合は、「少々お待ちいただいてもよろしいでしょうか」とお尋ねしてからにします。電話の相手によって接し方を変えてはいけません。電話の転送はなるべく避けましょう。またボイスメールのスタンダードを守りましょう。

18、身だしなみには誇りを持、細心の注意を払います。従業員一人ひとりにはリッツ・カールトンの身だしなみの基準に従い、プロフェッショナルなイメージを表す役目があります。

19、安全を第一に考えます。従業員一人ひとりには、すべてのお客様と従業員に対し、安全で、事故のない職場を作る役目があります。避難・救助方法や非常時の対応すべてを認識します。セキュリティに関するあらゆる危険な状況、直ちに連絡します。

20、リッツ・カールトン・ホテルの資産を守るのは、従業員一人ひとりの役目です。エネルギーを節約し、ホテルを良い状態に維持し、環境保全に務めます。

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上記の「ザ・リッツ・カールトン・ベーシック」には、如何に会社に依存せず、自主性を持って積極的に仕事をすることを求められています。

ここで一番注目されるのは、従業員の創造力無くして「ザ・リッツ・カールトン・ベーシック」を実践しても、お客様のニーズの先読みをすることは不可能であると思われます。

「ああなったらこうなる」

「こうなったらああなる」

など、様々なパターンのシミュレーションの連続ですので、絶えず創造力をフルに発揮していかないと、お客様の想定外の問題を解決したり、変化し続けるお客様のニーズに応えることは難しいと思われます。

これを自然にできる人がリッツ・カールトンが求めている「才能」ではないかと思う次第です。

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ザ・リッツ・カールトンとクリスタル・クルーズのラグジュアリーサービスの共通点

30年以上、観光関連の仕事に従事していた者として、ひとつの結論としてサービス業で成功する黄金律とは、旅を人生のライフスタイルを旨としているお客様が、『私の履歴書』のような自伝書を書くごとく、旅にストーリーを描くことを人生の証としています。

その旅のストーリーの演出を担う旅に携わるスタッフ、ホテルや交通機関、飛行機やクルーズのクルー等との相性の良さが最も重要な要素です。

人と人とのマッチング。
これを仕組み化して構築させる。

これを旅のケミストリーと呼び、このケミストリーこそ、サービス業の本質だと理解しております。

旅も施設や交通手段等のハードとサービスを提供するスタッフとのコミュニケーションのソフトと2つの要素があります。

ハードとしての施設や乗り物はいづれ飽きられてしまう。

しかしソフトとして人と人との強い繋がりは途絶えることはないのです。

そのケミストリーを構築する際に、サービスを提供する側と受ける側との相性や価値観は同じでしょうか?

そして目指すものが同じベクトルを向いているかどうか確認してみると良いかと思われます。

世界中の富裕層に支持されているラグジュアリーホテル『ザ・リッツカールトン』もゲストと運営会社の相性、価値観、そして同じベクトルを向いて、その世界観をゲストが理解しないとリピートに結び付かないのです。

相手に差し入れを含めたプレゼントを送る際には、『WOW』と感動を与えた時にも同じ効果がある。

ありきたりのものでなく、意外性と希少性。

そして贈る相手への損得勘定のない真心は不可欠です。

コンサルティング業は企業と企業との相性を探すマッチングビジネス。

出会い系ビジネスと合い通じるものがあります。

顧客とサービススタッフとのケミストリーを生み出すには、顧客のことを褒めて、褒めて、とことんリスペクトすることから始まります。

どんなにゲストを褒めまくっても相手が反応しない場合は、褒めまくりがまだまだ足りないと思われます。

真心込めて、浮き足立つまで褒めまくる。

しかし、うわべのお世辞は通用しないことを肝に命じなければなりません。

長期滞在旅行の一つとして、クルーズがケミストリーが生まれやすいのです。そして一回の旅行で2つの異なるバケーションを同時に堪能できるのです。

これをワントリップ・ツーバケーションと呼びます。

サービス業のスタッフは、自分が所属する会社からリスペクトされると、その企業に忠誠心を持ち始める。

そして顧客のライフスタイルに共感できると、ケミストリーが生まれる、

ケミストリーとカリスマの組みあわせ。

単独行動に比べて格段に良い効果が引き出される協調関係といったニュアンスで用いられることが多いケミストリーと個人の魅力カリスマの合わせ技でサービス業は大きく繁栄する。
その代表例がリッツカールトン。

ケミストリーとは良い相乗効果とか、互いに好影響を及ぼす、相性が抜群等という意味合いで用いられることもあります。

単独行動に比べて格段に良い効果が引き出される協力・協調関係といったニュアンスで用いられることが多いのです。

反対にケミストリーがないということは、相手に”ビビッ”とときめくものを感じない、惹かれない、どうもしっくりこない”と説明するときのフレーズです。

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ラグジュアリークルーズの黄金律.1

ゲストは常にストーリーを求めている

時に1988年の春、クリスタル・クルーズ社はこれから造る新造船の建造と同時に、クルーズでのライフスタイルのコンセプトの構築に多くの時間が割かれたのです。

新しい客船の建造は、設計段階がある程度まとまれば、後は造船所の強い意思の元で、予定通りのプログラムで建造が可能であると見込まれるのです。

その新造船の就航まで通常 2 年。この間に新しいクルーズ運航会社将来の運命が決まると思われていたのです。

そこにはクルーズ客船事業を構成し、 客船本体のハードウェアと、船上におけるゲストのライフスタイル構築のソフトウェアの2つの側面からのシミュレーションが必要でした。

これから始めるクルーズ客船会社に乗船するクルーズ船客の滞在の舞台は、船本体のハード部分と、 その配船先や船上でのソフト部分で構成されているのです。

特に、クルーズ客船は、船主であり投資家であるNYKが中心として主導し、事業展開するですが、セールス活動に加え目的地・配船先や船上でのゲストの滞在環境・舞台環境の構築を担うのです。

その船の基本デザインにおいては、既に対象とされた当時のロイヤル・ バイキング社の船 など想定競合船社が存在していたので、その前例と具体的に相対的検証ができ、その対応は容易でした。

日本人が得意とするモノ作りの技術を積極的に取り入れることにより、費用対効果や利用者の利便性などを考慮しても、方向性の確認にそれほどの議論は無かったようです。

しかし、客船というハードの部分は、当初は珍しく感激を与える事が出来てもゲストも時間が経つにつれて飽きられやすいものでした。

客室をはじめとする船上における各種の公室や施設などは、技術革新を基にした利便性と目新しさなどにありがたみを感じても、1 週間も滞在していれば新鮮さも薄らぎ、その優越性に対する評価も忘れられやすいのです。

また、造船所で図面が書かれた段階で、その技術革新の提案は、他の会社が模倣し追従したりされやすいので、そのハードの持つ利便性や長所だけでは事業継続は限界があります。

クルーズ船客の嗜好やライフスタイルの変化などの進化の度合いによっては、折角の船上の居住環境は数年で陳腐化するのでしたが、これから始めるクルーズ客船事業は、ハードでは成り立たないものです。このプロ ジェクトの成否を決めるのが、船上における滞在環境あるソフトウェア構築が要だと確信したのです。 

これは実際に乗船するゲストのドラマであり、ストーリーを演出するための商品なのです。彼らの多くは、旅が持つプロセスを3D化し、ストーリーを演習することに期待しつつ数ヶ月、長ければ数年前からクルーズスケジュールを計画し、旅のプロセスを想像することから始まるのです。

そして船の舞台で主役を演じ、多くのストーリー に出会う旅が出来上がるのです。これからこのラグジュアリー・クルーズの業界で生きていく為には、 船上でゲストが楽しめる環境創りを指す滞在環境こそが、この事業の「命」であると理解することなるのです。

クルーズに魅せられたゲストは、旅の目的地のみならず、 船上での交流など旅のプロセスにより興味を示す人たちが中心です。船上でのライフスタイルを求めてくるゲストに対して、今まで経験した事のないような快適な環境と充実した船上で の日々を演出しなければならないのです。

この新しい客船事業は、ゲストに船上での体験を刻み、旅の思い出を売る仕事であり、アメリカのラグジュアリー・クルーズ業界に参入し成功 するためには、その旅の記憶を脳裏に刻む環境づくりとひるむことのない革新的な発想の導入が必須とされます。その実現のためにはホスピタリティ事業の心臓部である船上での生活体験のの仕掛け作りが最優先の課題です。クルーズ会社は旅の「メモリ ー・クリエイター」なのです。

既存の競合他社より上を行くためには、ゲストに強烈なインパクトと感動を与えるような船上では人との出会いで織り成す感動と、心に思い出を刻む仕掛けが求められるのです。

その演出にはクルーズ会社の個性が求められるのです。船というハードの上に実現されるサービスの中身と船上で生活する人たちが醸し出す生活及び交流環境が、既存のラグジュアリークルーズ客船会社を凌駕するような独自性に溢れた舞台装置であり、それがこの事業の成否を決めるのです。この差別化が実現できれば、当初の目標である新会社のブランドの価値が、認知されるに違いないと思っていたのです。

各種の調査を通して、船上での体験価値を演出する最重要なポイントは、ゲストのライフスタイル分析であり、この狙いを定めた客層の絞込んだ顧客が何を望むかなどニーズの先読みする能力が必要なのです。ゲストが出発の数年先も予見しながらそれを見極め、同時進行として、ゲストは何を嫌がるか等の、ネガ ティブな要因を出きるだけ取り除く商品企画にあると考えていたのです。

クルーズビジネスが浸透していない日本マーケットの中で、クルーズ船上のサービスプロダクト、滞在体験を演出する知識は皆無でした。各種の調査や専門家との交流を通して、この企画・構想の段階かある程度の共通認識は持っていてもその細部にまでその思いが至らなかったのです。この分野に関しては日本を代表する海運事業を行なっているNYKでさえ、それが生かされない未経験の分野がアメリカマーケットを対象とした客船事業だったのです。

クルーズ事業は貨物輸送と違い、目的地に早く到着することが至上と言うものではありません。物言わぬ貨物と異なり、ゲスト一人一人がそれぞれ持っている価値観を持っている以上、限られた空間にゲストを詰め込めば採算が上がるというものではないのです。

クルーズ客船には、効率や詰め込みなどは馴染まないのです。乗船中のゲストは広い生活空間を利用し、クルーズ船客がゆったりと自らのライフスタイ ルを維持しながら満足する演出が極めて重要なのです。

 採算向上のために、サービスの中身やそれを演出する備品の手抜きは、何度も乗船するリピーターにとっては、「前回と何かが違う」と言う懐疑心を生み、その結果として彼らは、次回のクルーズは何も言わずに離れて行き、他のクルーズ会社の船に移ってしまうのです。

その客離れの傾向が強まれば、この業界では敗者となり、高額商品であればあるほど、コストパフォーマンスが重要になります。

クリスタル・クルーズ社が船上でのホテル滞在環境と言うノウハウ、ソフトの構築と共に、実証するプロダクトを持ち合わせない創業当時、船上コンテンツに対する構想を就航するまでの2年余りの間、これから誘客活動を展開するアメリカマーケットの旅行代理店網などに対して、期待を持続させる仕掛けが必要があったのです。

旅行代理店網に提示するホテル・コンテンツがない、ゼロから出発する会社としてはマーケットに対して、期待と納得させ続けていったのです。

そこで新しいラグジュアリー・クルーズのコンセプトを作る人材を前面に出す戦略を考え出したのです。マーケットが興味を持っている、新会社の描く船上における体験価値を演出するソフト面の構想を彼らの人材を表に出して、誰がこの舞台創りの演出家であり、登場人物であるかを明確にすることでした。

新会社のコン サルタント・チームなど幹部に対するこの業界における信用度とこれから雇う船上で働く人材を前面に出して、船上のパーフォーマーである乗組員を全面的にアピールし、マーケットや販売網に訴え掛ける方策を考えたのです。

また、船上のプロダクトの構築の過程で、早い段階から将来のクルーズゲストのみならず、共存共栄の不可欠な関係にある旅行代理店など販売網を取り込むことが必要でした。

新造船の建造スケジュールやタイム・ラインに合わせ、彼らの知識や宣伝・プレスなどの積極的な参加を促し、マーケットが、新しいクルーズ客船運航会社の商品企画に積極的に参加する環境を作るという工程を描いていた。

これにより、新プロダクトに対する期待感を更に高め、クルーズゲストにとって快適な環境を、演出する努力を重ねるのです。

 ブランド構築の過程でも、船上の滞在環境構築の段階から人材の力を大いに活用することが必要であったのです。共存共栄をシステム化し、それを構築を考えたのです。

船上滞在環境のイメージとは、プロセスを重視するホスピタリティ事業では、常に人が中心でなければならないと思われます。

クリスタル・クルーズ社がこのラグジュアリークラスに特化し、アメリカにおけるクルーズ業界のオピニオンリーダーとして認められるためには、船上での滞在環境を構成する人に旅に参加する歓びを体験してもらうためには、船上でのプログラムが全てでした。

クルーズ旅行に参加した思い出は、ゲストの脳裏に刻まれ、永遠の旅の感動を創るに違いないと考えていたのです。

そのためには従来のラグジュアリークルーズ会社の真似は避けたいのです。船上でのコンテンツを構成する食事やエンターテイメントのみならず、個性に溢れる多国籍乗組員の採用も含め、彼らの持つ多様性や独自性を積極的に露出して、新会社が絞り込んでい るクルーズ客船マーケットに、常に 100%以上の満足を提供できるような仕掛けが必要であった。

今までの各種の事前調査が生かされる時が到来し、狙うべき客層から、彼らのライフスタイルに対する分析は出来ていたのです。

その上で、クルーズ船客が、クルーズ旅行に求めるものは、サービス、コミュニティ、エンターテイメントを含めた食後の環境でした。

新会社の主対象とするラグジュアリークルーズマーケットでは、上記の船内環境に大きな期待を持って乗船してくるのです。

その舞台演出のポイントは以下の通りです。

 (a) サービスをされる人たち同士の相性
船上の滞在環境は、クルーズゲストが主役と認識。その前提で乗組員との親密な環境を演出し、ファミリー的雰囲気を創り出すのです。サービスは、クルーズ客船運航会社の仕掛けである程度対応できるにしても、コミュニティ面では、人間性の交流を求めているのです。

新しい仲間との交遊の楽しみや人情の発見や歓楽欲を満たすような食後のロマンチックな環境が重要なのです。これを円滑にするためには、主役であるゲストを支える多様な文化的歴史的な背景を持った多国籍乗組員や他の国から来たクルーズ船客の心地よいハーモニーが日本的な「おもてなし」の領域を越えて、 国民性の違いを通して、驚きと感心そして新しい発見がこの事業に活力を与えると察知したのです。

(b)サービスを提供する人と受ける人との相性 
このようなクルーズ客層の中から、客層のライフスタイルに合わせて、最も快適な環境を創り出す。そのためには客層のライフスタイルを理解 し、彼らが日常どのような生活をしているのかを知り、どのようなものに興味を持っているかなどを知ることです。

サービスを提供する側としても、例えば食事のテーブル・ホストとしての役割は、食事の質やサービスに加えて、その場で2時間程度の時間を、彼らが興味を持っているアメリカのTV番組のワイドショーやオペラなどの話題にもついていけて、乗船客ゲストの常識を基にした社会知識と会話力など船内におけるコミュニケーション能力が必要になるのです。サービスを提供する立場としては、船上での社交を通して、彼らが 快適と思う滞在体験の本質を常に見極める必要があります。

(c)多国籍船員を中心としたサービスを提供する人の適性が鍵。
ラグジュア リー・クルーズては長期滞在が基本で、ゲストにとって、滞在中の食事をはじめ、人の出会いや多彩なエンターテイメントなど感動と感性を覚醒する滞在環境を演出する必要があるのです。

多くの選択肢の中なら、彼らが気の向くまま選べるだけの豊富な選択肢があり、ゲストの知的好奇心を満たす商品企画力が求められるのです。既存のラグジュアリー・クルーズ客船社との差別化のために、新しい試みとして、競合他社のプロダクトのみならず陸上のリゾート・ホテルなどのサービスやそのコンセプトも積極的に導入。これは、多彩な食事の面でも考慮されねばならないものなのです。

1:クルーズ旅行の主役であるゲストのライフスタイルを理解する

長期滞在しながら船上生活を楽しむ多くのゲストにとって、そのライフ スタイルを基準にして、快適な人間関係が創られる事が望ましいのです。

確かにお土産などを買うのも旅の楽しみの一つと考えられますが、新会社の想定していたアメリカの客層にとって、究極の旅とは旅のプロセスを大事にして体験を心に刻むことです。

特にご夫婦で参加される場合、共に歩んだ人生の足跡を同期化することで喜びや失敗も共有できるものです。

ラグジュアリークルーズのゲストは、船上での滞在生活の中に人生の物語を求めており、その物語の中に旅の思い出を心に刻みたいと思っているのです。

記憶に人生の価値や感動を刻む仕掛けが、 至上の要請であると考えてます。その実現のためには、ゲストの船上におけるライフスタイルに最大限に 配慮し、乗客の世界を知らずして、心配りはできないものです。

クルーズ旅行の主人公としてゲストが存在するという舞台演出することが必要なのです。

彼らが持つライフスタイルや生活・文化と船上で提供する舞台装置の融合する「仕掛け」が 成功の可否が決まるのです。

ゲストとクルーが、密接に交流して創られる環境。

サービス対象 が人である以上、船上での人間関係の多くは人的要因で左右される傾向が強いものです。 

相性がよければ訴求力もあり、永続性が高いのです。しかし同業他社よりも優位に立つためには、この人的要因にフォーカスし、新規参入のクルーズ会社が客層を絞り込んだアメリカ人ゲストのライフスタイルを理解し、客船で働く乗組員との相性との結びつきを強化することでした。

クルーズゲストとの関係においては、人間関係を基本としたサービスがホスピタリティサービスの基本と言われてます。それは、双方の信頼関係や相性で成り立つものです。

クルーズのゲストは、自らの支払うクルーズ料金に対して、クルーズ会社との相性と相応のサービスの提供に期待を込めているのです。

コミュニティについてみると、船上における人と人の織り成す人的な要因とは相性、しかもお互いのライフスタイルが理解できる客層が、滞在経験価値の中核を成すものです。この事業を長く続けるためには、ソーシャルの分野で他社と大きな違いや特徴を創造したのです。

この充実度が、将来の戦略の核となる、他社との差別化で決定的な差になると考えた。船上におけるコンテンツのみならず、営業の面における販売網における戦略なとも連動させる必要があったので、下記のようなシナリオを描いてみたのです。

ゲストが求める価値観と出会いを創る環境

乗船客は、常に「ストーリー」に価値を求めているのです。ラグジュアリークルーズ業界のターゲットとする客層はモノの所有よりも、 船上における人との出会いや滞在中の体験などを心に刻むことにより価値や感動を求める人たちなのです。船上での「人との出会い」の出会いを、より感動深いものと感じてもらう仕組み作りです。 その場を作るためには、食事の後の充実したロマンスやエンターテイメント、そして食後酒も必要になります。

クルーズ旅行のリピーターは、極めて主観的な旅行経験や体験、新しい発見や 感動”に加え、 自らがどのような扱いを受けたかなどで、クルーズ旅行の価値を考える傾向があります。例えば、あの従業員の態度が悪いとか、テーブルに着いてから食事の時間までが長いか短いか。隣の旅行者の食事の量は自分のものと比べどうか。ウエイターのサービスは自分に対して差別的でないかとか、そ れぞれの能力とは別の所で評価されうる事もあるのです。

どれもかなり主観的旅行経験であるが、彼らはこのような主観で旅行自体の満足度を評価するのです。ゲストの旅のストーリーの充足度に価値を求めているのです。

この事業は、主としてアメリカ人クルーズ船客を対象とした彼らの「文化」を取り込む事業なので、まず何としてもアメリカ人マーケットから受け入れられる仕掛けが必要でした。これを理解していれば、クルーとの相性の織り成す親密さが創れるのです。自分の身の回りでサービスをする乗組員や毎日食事の際に、テープル・ホストとして 2 時間余も会話をこなす幹部社員の役割は極めて重要である。100%のサービスでゲストに 受け入れられて、120%で初めて高い評価を得る関係でもある。

ゲストとの相性と忠誠心

クルーズ旅行は、船上での「体験価値」が重要な要素となっており、当然クルーズ会社としては、ゲストが主役の感動のドラマをどのように演出するかストーリーを構築しなくてはならないのです。その多くの分野では、主役であるゲストと脇役となる多国籍乗組員との相性で決まると言っても過言ではありません。

ゲストの期待が高ければ高いほどやりがいは大きいのです。この相性の濃さこそが、 ラグジュアリー・プロダクトの世界では最重要である、とアメリカのビジネスコンサルタントが各ラグジュアリークルーズ客船会社から指摘を受けているようです。

ここで他社と差別化し、同業他社と異なるケミストリーを構築する必要性を悟っていた。そして他の既存ラグジュアリ ー・クルーズ客船会社のプロダクトとの差異化も図りつつも、ゲストと乗組員の間での 感情面でのつながりを強化するのです。

ここの評価が定着すれば、新会社の顧客層に新会社のプランドが 認知され、会社に対する忠誠心も強化されるに違いないとの判断されるのです。

一方、ゲストが船上において人間関係の織りなす相性がうまくいっているときは良いのですが、些細なことでも思い出の心に傷付き、非常に厄介な問題に発展していく場合もあり得るマイナスの要素も潜んでいることも重要であった。プラスだけでなく、そのマイナスの部分に無関心であると、折角の乗船客を顧客離れになりかねないのです。

ラグジュアリー・クルーズ旅行では、年に数回も乗船するような多くのリピーターで支えられている旅行商品なのです。このリビーターの多さは、ゲストの満足度や感動度の高さと比例しているのです。

統計的にこの理由を掘り下げていくと、船上での生活体験とそこで織り成すゲストとクルーとの相性にたどり着くのです。従業員にとって、 クルーズ客船での勤務は、職業と居住が一緒となる逃げ場がない場所です。また年に二度 三度と同じクルーズ客船に乗ると前回と同じ顔ぶれの乗組員が、「お帰りなさい」と 言いながら出迎え、家族の一員のように、親しみを持って旅行の手助けをしてくれるところもクル ーズ客船による旅行の最大の特徴のひとつです。

 クルーとリピーターとの多くの交流が、クルーズ会社の「一族」としての強い絆になるのです。クルーズ客船の乗組員は、同じ船の家族の一員であると同時に、旅行をより快適にするための添乗員の役割も果たしてい ると言えます。ゲストとクルーとの出会いが新しい滞在価値を呼び覚ますのです。

多国籍クルーとゲストが同じ釜の飯を食う

旅行代理店等の販売網との調査分析を通して、主要ゲストのライフスタイルを前面に出し、乗組員の交流や接触の機会を高め、深める仕掛けが必要であるとの判断をしたのです。

ホスピタリティ産業を構成する要素の中で最も重要なものは、人との相性により構成される想像力とそれを行動に移す実行力なのです。

そこには、クルーズ客船運航会社の種々のノウハウが凝集さ れるわけで、仕掛けで模倣は出来ても、「心」まではそう簡単には真似されません。新会社のブラン ド構築とそれを定着させるその「心」の仕掛けとブランドの持つ価値を最大限に高める環境作りが極めて重要でした。この舞台づくりには、それを構成するサービスする側の人材の発掘と採用、多国籍人材の国民性や多様性を充分発揮させ、クルーズ船客との相性を醸し出し、この会社独特のゲストとクルーのケミストリーを作り出すことを最優先にしたのです。幸い、クリスタル・クルーズ社では便宜置籍の導入を決めていたので今後造成する商品企画の成功の可否を握る大きな柱となったのです。

新規クルーズ客船事業は、今まで経験のないような「滞在型のリゾート」のコンセプトを基本としたクルーズ客船運航会社を創造すると謳っているのです。この実現のために、サービスコンセプトの基本に、有能な多国籍乗組員の採用と運用でゲストを満足させる船上での体験環境を考え出したのです。

サービスに関しては、ゲストにとってコストパフォーマンスが評価しやすい環境、 ゲストのニーズに合わせたサービスの提供により満足度や感動を高め、その結果リピーター率の向上と彼らを通しての「ロコミ」客などの新規客の誘客層の拡大など、将来の万全の態勢に備えていたのです。

その長期滞在の場を提供するクルーズ客船事業を舞台裏で支えるのは、多国籍 乗組員が持つその多様性と感受性の豊かな人材力に賭けることにしたのです。感動は期せぬ出 来事などが生み出すものです。そして失敗が成功へのヒントになるのは、この予期せぬ出来事のお陰である。

考え方も多様であればその対応も異なるものです。日本でよく話題になるマニュアルでの格式的な対応は、多くは問題の処理に目が行きがちで、多様な人種や文化的背景で育ってきたアメリカ人ゲストの相手により異論を生みやすい。感動には現場での問題の処理よりも解決が重視されなければならないのです。陸上のホテルの労働環境と異なり、クルーズゲストと同じ生活環境を共有する船上では、ホテル部門の乗組員の個性や国民性をゲストに露出することによって事業が成り立っています。

船上における滞在環境も含めて、従業員の満足度の高い労働環境と忠誠心があればリピーターの多くは、彼らの仲間になり満足度も刺激し彼らも ファミリーの一員になるのです。ファミリーになれば、阿吽の呼吸が機能するのです。船上の従業員は、新会社のクルーズ商品の船上における旅行商品の伝道者であり、セールスマンでもあります。日本で言うなら「同じ釜の飯を食う」という表現が適切かも知れません。

サービスを提供する多国籍クルーによるダイバーシティ

アメリカの旅行経験の豊富なクルーズゲストに、今まで経験のないような充実した船上での滞在経験を提供するには、世界の人的マーケットから、最善の適材適所の人材を調達する事が不可欠でした。

適材適所の多国籍乗組員の採用が可能であれば、最適な乗組員と乗船客の比率を構築でき、新事業に成功の鍵となります。そしてクルーズ業界で採用されている便宜置籍船としての有利さを十分に発揮する必要があるのです。

便宜置籍船としての最大のメリットを活用することで多様な人材のリクルートを容易にすると考えていたので、船籍はバハマである事が重要でした。

良質なサービスの提供を、多国籍乗組員の採用により、その国民性を背景とした個性に溢れたダイバーシティを最大限に発揮できるサービス環境と主役であるゲストに充分に心配りが出来るような船上でのホテル組織を構築する際、アメリカ人ゲストを念頭に、例えばサービス部門で言うと、メインダイニングでのクルーの配置一つとっても最も適した国民性は何処か、クルーズ客船の台所であるギャレーのマネージメントは、どこの出身者に任せるか。部屋周りのスチュワーデスなどはなぜ北欧系の女性が好まれるのかなどを、精査の上、乗組員の国民性などを中心とした混成チームを考えた経緯があったのです。

クルーズ事業において、船上で働くサービスを提供する人は、彼らの生活やコミュニケーション能力はもとより、 サービスをする側の感性や行動に対する予見力が重要になります。 エンターテイメントの世界で言えば、映画の俳優のような、切り貼りが出来、一方通行の役では務まらない。彼らが職業と住居を共にするので、ゲストの反応を冷静に読み取り、その場で柔軟に対応しながら、臨機応変さに裏づけされた、船上生活と言う舞台周りを創り出す「パフォーミング・アーティスト」でなければならないのでした。

ラグジュアリークルーズ船上の生活環境は、例えていうとコンサートでアーティストが、観衆を前にしながら、感謝の心とともに、最高のパフォ ーマンスを見せる舞台と同じ考えです。そこでクルーズ会社としては、常に優秀な乗組員を確保する事が、サービスの向上のためには必須の要件になるのです。

ゲストに対する計らいのみならず、同時進行してクルーが毎日快適に生活できる環境作りも重要です。自分が運航会社からリスペクトされたていると認識している従業員は、多数のゲストにより多くの感動を与える事を知っていたのです。

このようにクリスタル・クルーズ社は船上サービスの「命」である優秀な人材確保は、ゲストにとっても最善の配置を望まれ、国籍的な適材適所主義とし、世界の人材マーケットから採用したのです。多国籍船員の背景にある国民性の特性を最大限に生かすのです。

当時は欧州系クルーが多く存在し、国籍のそれぞれの国民性の持つ個性や特性を残しつつ、クリスタル・クルーズのサービスミッションを均一化することをを目指す戦略を描いたのです。(これは後の「クリスタル・ベーシック」というサービスマニュアルとして一貫されました。)

多国籍混成の人材を確保する

船上でのサービスの基本をなすスタッフの構成に関しては、適材適所を旨として 白紙に絵を描く作業から始まりました。

旅行代理店、他のラグジュアリー・クルーズ客船 に乗るクルーズ船客等との接触で新会社にとっての相性を考えたのです。多国籍乗組員間の相性のみならず、ゲストとの相性、すなわちマーケッ トに聞くという基本姿勢を貫いたのです。

船上ホテルにおける、サービス・システムに関しては、アメリカ人ゲストが高く評価する欧州スタイル採用を決めていたのです。具体的にはノルウェーシステムとオーストリアシステムの良いところを併用し、後に「クリスタル・スタンダード」として新会社を構築することになったのです。

適材適所の人材を世界各地から集めるといっても、闇雲に手当たり次第とはならないのです。クルーの国民性や生活環境、個性、経験などが複雑に絡み合って、アメリカ人ゲストに、快適なケミストリーを発信する必要があるのです。 クルーズ船の乗組員の構成は、アメリカマーケットの意見を聞くこととしたのです。

世界でも最上級を狙う以上、ヘッドハントも含めそれを実現できる人材を確保することを基本方針としてこれから採用戦略を練る必要もあったのです。

アメリカ人が見る国民性やイメージを一例にすると以下の通りです。

・イタリア人は人との交流を得意とする
・ドイツ人 = 几帳面さが売りもの
・ノルウェー = 清潔感あふれている

以上の点を十分に配慮して決定したのです。

クルーズプロジェクトが、具体化する過程で、多くのクルーズ客船の乗組員構成などに関して、現状とそれに対するクルーズ船客側・旅行代理店などの集客組織側の意見を集めていたが、 それらのデータなどを元に、基本的なクルーミックス(従業員構成)の基本構成を描くこととなった。

本船運航部門
マーケットを席巻している仮想競争船社としての ロイヤル・バイ キング社や NAC 社が念頭に有り、北欧系の船長を含め、日本郵船の優秀な乗組員も乗せ、幹部船員 については、ノルウェー船長他、ノルウェー・日本人の混乗とすることとしたのです。つまりノルウェー人クルーは接待要員としての船長。運航の実務はNYKの副船長が握るとの発想で始まったのです。

船上におけるホテル部門については、ヨーロッパ系ホテル従業員の起用を次のように考えたのです。

・ ホテル、ダイニング従業員:ヨーロッパ系
・ スチュワーデス:北欧
・ ダイニングのギャレー:オーストリア人シェフ 
・エンターテイメント部門トップ:上品な英語国出身者

このようにクルーの国民性を考慮して配属を決定していたのです。

ゲストとクルーの乗船比率

長期滞在の場を提供するクルーズ客船事業は,滞在型のリゾートのコンセプト が基本になっているのです。クルーズ船客層を絞り込んだライフスタイルを基準にしたゲストに合わせて最も快適な環境をづくりを考えると、今までの調査などで、適材適所の国民性以外に、サービスする乗組員の人数の試算も重要になります。これは、サービスに加え、コストや乗組員の居住空間にも影響を与えることになるのです。

主役であるクルーズ船客に充分に心配りが出来るような、船上でのホテル組織とクルーズ船客の比率も重要な指標になる。その船上における、クルーズ船客と乗組員比率を、2対1 と、ラグジュアリー・クルーズの中では最大級のレベルを目指すこととしたのです。これは新造船の従業員は乗組員の部屋の数にも影響を与えたのです。

 日常的滞在環境
クルーズ旅行において、常に主役は乗船客です。クルーズ客船は、船長や乗組員だけのものではないのです。クルーズ客船は、寄港地での観光以外に、船上でのライフスタイルの体験環境の舞台裏の演出が大事です。

その舞台裏とは、主役であるゲストの客層の共通の文化的・ 社会的背景、すなわちライフスタイルが、常に反映されたものでなければならない。クルーズのような滞在型の旅行には非日常的環境は無理があり、長続きしないし、堅苦しく 飽きかやすいのです。気楽さがより重要です。

クルーズ客船会社がセグメントしている客層で、船上での多数を占めるクルーズ船客の国籍や文化的共通性をベ ースにしたものになる。したがって、旅行商品をつくる立場のクルーズ会社としては、ターゲットとなる客層のライフスタイルを充分理解した上で、構想を練る必要があったのです。

ラグジュアリー・クルーズ・マーケットに於けるクルーズ旅行商品の革新には、クルーズ客船会社に、ゲストを合わせるのではなく、運航会社がライフスタイルの時代の先取りを提案する先見力が求められるのです。

アメリカ人ゲストを客層とするクルーズ会社から見ると、彼らにとっては、船上での生活は、英語が通じて、食事もエンターテイメントもアメリカでの生活そのものであり、まさに日常の状況を海上と海外にまで延長したに過ぎないのです。

クルーズ旅行を通じてアメリカでの日常生活をそのまま外国に延長し、その上で、新しい国々・異国を訪ね、深夜までの食事やエンターティメントを楽しんでもその間船は移動し、翌朝は新しい観光地に着いていることなどが、クルーズ旅行の醍醐味であると考えます。クルーズ会社の役割は、アメリカにおける日常性を前提に舞台回りを設営し、寄港地に着いたら海外、船に戻ればアメリカ。これの舞台演出を創造していくのです。

アメリカ人旅行者を対象としたクルーズ客船が、アメリカ的雰囲気に溢れているのは、これらの要素を運航会社が理解した上で舞台づくりを仕掛けているからです。

そして滞在型休暇の宿命として、船上で大多数を占めるゲストの国民性や文化性が前面に出た旅行商品であるとの現実を無視し、クルーズ客船運航会社が自らの主観的経営哲学だけで事業を始めてもなかなかうまく行かない場合が多いのです。

ゲストは、1 人 1 人が異なった価値観に基づき旅行を楽しんでいるが、クルーズ客船会社としては出来るだけ最大公約数的基準を設定し、潜在的船客需要が何処にあるのか十分事前に調査する必要があるのです。

寄港地・行き先・船上での乗組員の構成やサービス方法、食事、船内イベントなどを考えながら、船自体の建て構え・雰囲気を備えた舞台づくりを心掛けているのです。クルーズはこのような多数を占める国籍の旅行者・クルーズ船客を主役としたショ ービジネスであると言っても過言ではありません。まさに洋上に浮かぶラスベガスと言った方が適切かも知れません。

乗船客と乗組員との相性が全て

クルーズ客船は、クルーズ旅行者のライフスタイルの延長線上に存在することは前記しました。しかし、各社がターゲットとするゲストの客層によって滞在環境は全く異なってくるのです。

陸上のゴルフクラブや社交クラブの場合、その入会金として入会料を徴収することで会員などのセレクションが可能化tと思われます。しかしクルーズ客船 はそのような「会員制」方法は取れないのです。船上のライフスタイルが例えゴルフのカントリークラブのような雰囲気であっても、それは閉ざされた会員だけのものではない。すべてがアメリカの消費者マーケッ トに対してオープンなので以下の通りの検証を行なったのです。

上記の様なライフスタイルを持ち、同じような価値観を持つクルーズゲストにとっては、船客同士の居心地がよく、お互いの社交や 交流も活発になる。これが、クルーズ客船社の滞在環境に良い意味の刺激を与えるのです。

プリンセス・クルーズ社の「アイランド・プリンセス号」を舞台とし、その船上での出来事をテレビドラマ化した「ラブ・ ボート」は、船上で起こる人と人の出会いのをロマンチックに描きアメリカで長期間の人気番組でした。

このようなテレビ番組を通じて、主役であるゲストにとって心地よい交流はまさにヒューマン・ ビジネスと位置づける事ができるのです。

全く異なった価値観を持った乗船客が、異なったコンセプトをもとにでき上がったクルーズ客船に乗ると不快な事も多く、滞在型の休暇を台無しにしてしまいがちです。どのクルーズ客船に乗船するかは、その旅行の楽しみ方にも影響を与えるのです。

理由は、一旦船に乗ってしまえば、船の雰囲気が違うといって、下船するわけにはいかないし、予定の変更も効かないのです。それゆえ、このゲストとクルーズ客船会社のミスマッチを避けなければならないのです。

ラグジュアリー・クルーズ客船会社としては、販売網の中核をなす旅行代理店などに、自らセグメントしたゲストは、クルーズに対してどのようなイメージを抱いているのか、そして滞在中の生活環境は、他のラグジュアリークルーズ客船会社に比べて何が違うのかなど、営業面や運航面における特徴を前面に出し、試乗など乗船活動を活発化させ、その違いを具体的に知って貰う必要があるのです。

クルーズ旅行経験者都旅行代理店等を味方につけ、彼らの顧客と新会社のクル ーズ旅行商品との相性を知ってもらい、適切なシステムを構築するのです。

こうしてラグジュアリークルーズの黄金律とはゲストとクルーが織りなす相性が命という結論に至ったのです。

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