「過程 = プロセス」を重視するホスピタリティ事業では、旅行者との接点は、常に 「ヒト」が中心でなければなりません。
新会社がこのラグジュアリー・クルーズ 客船の業界で認められるためには、船上での滞在環境を構成する「ヒト」に旅(ヒトや出来事との邂逅)に参加する歓びを体験してもらうためには、「船上での商品開発」が全てで、この開発力が成否を決める!!!との言ってま過言ではありません。
クルーズ旅行に参加した思い出は、いつまでも旅行者の脳裏に刻まれ、思い出深い永遠の旅の感動を創るに違いないと思われます。
そのためには従来のラグジュアリー・クルーズ会社の真似避けたいものです。
船上でのコンテンツを構成する食事や娯楽のみならず、個性に溢れる多国籍クルーの採用も含め、彼らの持つ多様性や独自性を 積極的に露出して、新会社が絞り込んでいるクルーズ客船マーケットに、常に100%以上の満足を提供できるような仕掛けが必要があります。
クリスタル・クルーズ社が狙うべき客層から、彼らのライ フ・スタイルに対する分析は出来ていた。その上で、クルーズ船客が、クルーズ旅行に求めるものは、船、サービス、社交、エンターテイメントを含めた環境でした。
とりわけ新会社の主対象とするラグジュアリー・クルーズ・マーケットでは、彼らのライフスタイルゆえ、船上におけるサービスと他の乗船客やクルーとの出会いに非常に大きな期待を持って乗船してくる人たちです。
ゲストの船上における体験価値の評価においては、このサービスとソーシャルが、非常に大きな影響を与える事を理解していたので、この 2 つの分野で、 その舞台の仕掛けを考える必要がありました。
その舞台では、
(1) 船上で共に滞在を楽しむ「ヒト」(乗船客同士)
(2) クルーズ船客とサ ービスを提供する側に居る従業員(乗組員)が、密接に交流して創られる環境でもある。
対象 がヒトである以上、船上での舞台装置には、船上での人間関係が
(a) サービスをされる人たち 同士の相性。
(b)サービスをする人、される人との相性。
(c) 多国籍船員を中心とした乗組員の適性や相性。
豊かな「船上滞在体験」向上の要だと言うことです。
(1) クルーズ旅行の主役は「クルーズ船客」 :「彼らの「客相」ライフスタイルを知ること
長期滞留しながら船上生活を楽しむ多くのゲストにとって、その「ライフ ・スタイル」と言う基準を通して、快適な人間関係が創られる事が望ましいのです。
確かに、 モノを買うのも旅の楽しみの一つであろうが、新会社の想定していたアメリカ人富裕層旅行者にとって、究極の旅とは「旅の過程を大事にして、 体験を心に刻むこと」であると言う答えにたどり着いたのです。
特に、彼らは夫婦で乗船した場合、その体験を通して、 人生の足跡を「同期化」することにより、夫婦の喜びや失敗も共有できるのです。
ラグジュアリークルーズのゲストは、船上での滞在生活の中に人生の物語を求めている傾向があります。
思い出を心に刻みたいと思っている人たちである。「記憶に、人生の価値や感動を刻む」仕掛けが至上の要請です。
その実現のためには、彼らの船上におけるライフスタイルに最大限に配慮をしつつ、クルーズ客船による旅行の主人公としてクルーズゲストがいるという、船上での“舞台”を演出するのです。
船上で彼らが持つ ライフスタイルや生活や文化と船上で提供する舞台装置の融合する「仕掛け」が 成功の可否 を決める。
サービスという船上のプロダクトの評価は、多くは人的要因で左右される傾向が強いのです。
相性がよければ、訴求力もあり永続性が高いのです。
従って、競争船社よりも優位に立つためには、この 人的要因にメスをいれ、新会社が絞り込んだアメリカ人富裕層旅行者のライフスタイルを理解して、クルーズゲストと船で働くクルーの「ケミストリー」の結びつきを強化することが重要であるとの判断であった。
クルーズゲストとの関係においては、人間関係を基本としたサービス、それがホスピタリティ・サービスの基本です。
それは、双方の 信頼関係や相性で成り立つものです。
クルーズゲストは、自らの支払うクルーズ料 金に対して、クルーズ会社からのこのケミストリーとそれ相応のサービスの提供に期待を込めているのです。
「ソーシャル(社交・人的交流)」についてみると、船上における「ヒトとヒトの織り成す人的な要因となります。
従って、新会社として、この事業を長く続けるためには、先ず ソーシャルの分野で他社と大きな違いや特徴を生み出そうと考えたのです。
この充実度が、将来の戦略の核となる、他社 との差別化で決定的な差となるとなります。
それは、船上におけるコンテンツのみならず、営業の面における販売網における戦略なとも連動させます。
この確信を元に、「ソーシャル」の面から、船上の滞在環境を考える際に、下記のようなシナリオを描いてみた。
船上の滞在環境は、クルーズ船客が主役で、「全ての中心にいる」滞在環境とする。その上で、クルーとの親密な環境を演出。
ファミリー的雰囲気を創り出します。
サービスは、クルーズ客船運航会社の仕掛けである程度対応できるにしても、ソーシャルは、そこにいる人間性の交流です。
新しい仲間との交遊の楽しみや人情の発見や歓楽欲を満たすような食後のロマンチックな環境が必要です。
これを円滑にするためには、主役であるクルー ズ船客を支える多様な文化的歴史的な背景を持った多国籍クルーやアメリカ以外の国から来たクルーズゲストの心地よいハーモニーが必要です。
これは日本的で同質的な「おもてなし」を越えて、 国民性の違いを通して、驚きや感心、そして新しい発見などがこの事業に活力を与えるものです。
このようなクルーズ客層の中から、彼らのライフ・スタイルに合わせて、最も快適な環境を創り出します。
その環境を創るということは、これらの人たち の客層のライフスタイルを理解し、彼らが日常どのような生活をしているのかを知り、どのようなものに興味を持っているかなどを知ることでもあります。
サービスを提供する側としても、例えば食事のテーブル・ホストとしての役割は、食事の質やサービスに加えて、その場で2時間余を、彼らが興味を持っている朝のワイドショーや テレビ番組「ベイ・ウオッチ」「ダラス」等のソープ・オペラなどの話題にも積極的 に参加できるような、ある程度の「彼らの常識」を基にした社会知識と英会話力を要します。
サ ービスを提供する船会社立場としては、船上での社交を通して、彼らが快適と思う滞在と「パッセンジャー・ミックス」の本質を常に見極める必要があったのです。
ソーシャルを演出するには、贅沢な選択肢の提供を考える必要も。
ラグジュア リー・クルーズでは長期滞在が基本で、ゲストとって、滞在中の食事をはじめ、人の 出会いや多彩な娯楽など、感動と感性を覚醒する滞在環境を演出する必要がある。
お仕着せの企画ではなく、多くの選択肢の中なら、彼らが 「気の向くまま」選べるだけの潤沢なメニューを満たす商品企画力が必要となります。
既存のラグジュアリー・クルーズ運航会社との差別化のために、新しい試みとして、競合他社のプロダクトのみならず陸上のリゾート・ホテルなどのサービスやそのコンセ プトも積極的に導入する必要がありました。
これは、多彩な食事の面でも考慮されねばならないものです。
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