
ウェルネスとは
「ウェルネスビジネス」について考えるときは、「ウェルネス」と「ビジネス」を分けて考える と理解しやすくなります。まずウェルネスとは、身体的・精神的・社会的に良好な健康状態のこ とです。もともとは身体の表面だけでなく、総合的に健康について考えた概念であり、アメリカ のハルバート・ダン医師が考案しました。そしてウェルネスをビジネスに、つまり商業的に活用 しようとした概念がウェルネスビジネスです。ウェルネス資源の多い日本において、富裕層に向 けたインバウンドのブランド戦略としても、効果的だと考えらえます。
改めてウェルネスビジネスとは、病院など体調を崩したときに利用するサービスではなく、健康 維持や病気予防といった視点でサービスを提供することを指します。 日本においても少子高齢化 などを理由に、健康寿命への関心が高まっています。そこで考えたいのが、世界的に注目を集め る「ウェルネスビジネス」への参入です。ウェルネスビジネスの代表的な例としては、スポーツジ ムやヘルスカウンセリング、社会的に交流するコミュニティ活動などが挙げられます。人生100年 時代といわれる昨今、日々さまざまなメディアで健康寿命の重要性が取り上げられており、日本だ けでなく世界でもウェルネスビジネスは注目されているのです。
ウェルネスビジネスの市場予測
ウェルネス業界の研究機関「Global Wellness Institute (GWI)」の調査によれば、2018年時点で ウェルネス業界の世界市場規模は4.5兆ドル、日本円にして約500兆円にのぼるとのことです。こ れは世界の総医療費(7.8兆ドル)の約57%に相当し、非常に高い割合を占めていることがわかります。
また、この数字はウェルネス・メンタル産業や、ウェルネスフード・栄養・ダイエット産業、ウェ ルネスツーリズム、パーソナルケア・ビューティー・アンチエイジングなども含んでおり、これら の分野はさらなる成長が予想されます。たとえばウェルネスツーリズムの世界市場は、イギリスの リサーチ企業「TechNavio」のレポートによると、2020年~2024年の間に約3,155億ドルもの 成長が見込まれています。
少子高齢化が進む日本では今後、シニア・高齢者層が社会の主要構成員となるため、健康寿命に 関する取り組みは避けて通れません。これを疎かにすれば、社会保障費をはじめとする負担の増加は免れないでしょう。こうした事情を考慮すると、日本における今後のウェルネス業界の成長性はきわめて高いといえます。
ウェルネスビジネスの具体例:パーソナライズドフード
「パーソナライズドフード」とは、人それぞれの趣味や嗜好、体型、健康状態などに合わせた食 べ物のことをいいます。昨今の日本では、健康的な食事に絶対的なものがあると思われがちです が、当然ながら人それぞれに合う・合わないがあります。
たとえば、屋外で土木・建築などの肉体労働をしている人と、屋内でデスクワークをしている人 とでは、必要な栄養素やカロリーは異なるでしょう。前者は一定の脂質や糖質を取らなければ1日 もたないことも多く、後者は肉体労働の人と同じ食事だとカロリーオーバーで食べすぎです。この ように各々のライフスタイルや職業、体型など、あらゆる点において考えられた食事が求められ ているのです。
その点、パーソナライズドフードは個人に最適化されており、今よりもっと幸せな暮らしをもた らす可能性があるほか、環境問題・食糧危機・フードロスなどの社会問題の解決にも寄与します。
パーソナライズドフィットネス
「パーソナライズドフィットネス」とは、パーソナライズドフードと同様に、個々人の健康状態 や生活スタイルに合わせたフィットネスのことを指します。
わかりやすい例としては、アスリートと一般人との運動強度(トレーニングの強さ)の違いが挙 げられます。一般人がアスリートのようなトレーニングをすれば、怪我をする可能性が高まりま す。逆に、アスリートが一般人と同様のトレーニングを行っても、強度が足りず体を鍛えるには足 りません。
パーソナライズドフィットネスでは、日々のトレーニング具合や成果をデータで保存すること で、長期的な成長を確認でき、モチベーションが続きやすいメリットがあります。ほかにも、 個々人に最適化されたトレーニングゆえ短期間で効果が出やすい点も特徴です。
ウェルネスツーリズム
「ウェルネスツーリズム」とは、心身の健康維持を目的として行われる、温泉・ヨガ・スパ・瞑 想・ヘルシー食などを取り入れた観光のことです。日本ではあまり聞き慣れない言葉ですが、 フィンランド政府観光局が2020年5月、自然豊かなフィンランドの暮らしを疑似体験できるオン ラインプログラム「バーチャル Rent a Finn」を開始したことで、にわかに話題となりました。
一般的な旅行でも、温泉や瞑想を目的とした観光は可能です。温泉地に行き、ヨガや簡単なト レーニングをしてから温泉に入り、瞑想をするといった計画を立てれば、立派なウェルネスツー リズムといえるでしょう。それゆえ上記2つと比べ、一般人でも気軽に取り組みやすいのがウェル ネスツーリズムの特徴で、よりスムーズな参入が見込めるでしょう。
日本の魅力とポストコロナ
若いころさまざまな理由で日本を離れていたものの、老後は故郷で暮らしたいと考える人が増えているそうです。在留邦人のみならず、日本は海外の外国人からも移住地として人気があります。 エキゾチックな国に旅行して、その伝統的なライフスタイルに魅せられ日本をホームにしたいと考 える人もいるようです。
海外送金サービス会社「Remitly」が101カ国に住む人たちを対象とした調査を行いました。、 Google検索データから「海外移住について調べるときによく使われる検索ワード」の月平均検索 量を分析した結果、移住先として人気がある国1位がカナダ、ついで日本は2位であることがわかりました。
日本への移住を検討する理由としては、「医療の充実」「治安の良さ」「風光明媚な景観」など が挙げられています。
治安がいい、安全、秩序、ハイテク
もう少し丁寧に追ってみると、日本は地球上で最も犯罪率が低い国の1つです。社会学者、心理学者から一般の人まで、誰もが日本をとても安全だと証言します。安全性の低い国から来た外国人 にとって、犯罪の発生率が低いことは、日本の日常生活において気が休まります。東京のような大 都市での犯罪率が驚くほど低く、秩序が保たれています。犯罪に巻き込まれる心配なしに生活できます。
日本では夜間に出歩くときですら心配する必要はありません。車に鍵を置いたまま放置していて も、家のドアを開けっぱなしにして出かけても、無事です。2019年、グローバルピースインデッ クスは、163カ国のうち日本を世界で9番目に安全な国としてランク付けしています。
また主要都市には病院があります。緊急事態が発生して医師の診察を受ける必要を感じたら、すぐに予約して診てもらうことができます。
日本は世界で最も近代的で技術的に進んだ国の1つです。たとえば、 東京と横浜は、テクノフィリアや大都市愛好家にとって完璧な都市です。この国は伝統と現代が混ざり合っています。豊かな文化と歴史を持つ土地だけでなく、技術の先進国でもあります。東京と横浜は、ファッション、アー ト、フードの世界的に有名な中心地です。そして東京はミシュランの星を世界で最も多く持ってい る都市です。日本には繁栄している産業がたくさんあります。ハイテク産業やロボット工学だけでなく、金融や観光業でも仕事を見つけられます。英語を話す人や英語の先生がしばしば求められ ます。外国人の雇用は東京で生まれており、東京には多くの外国人が住んでいます
日本の公共交通機関は世界一と言ってもいいでしょう。
電車は、世界で最も信頼性が高く、時間 厳守で効率的なシステムであるため、日本で最も人気のある交通手段です。新幹線には外国観光客 向けのレールパスがあり、自由な時間に国を探索するのに役立ちます。短時間で、あなたは国のす べての目的地を探索することができます。東京はとても素晴らしいインフラを持っています。車を 運転する必要はありません。電車は10分おきに到着するので、移動はとても簡単です。他のオプ ションはバスとタクシーです。しかし、タクシーの運転手は英語が上手ではありません。 日本で 生活していると、車社会ではないのでよく歩きます。
この利便性と秩序が行き届いた国で暮らしていると、日本国外に住むことができないことに気づ きます。何があっても、スムーズに運行されるので、予期せぬ事態を想定したりせずに済みます。
自然が美しい
日本の自然景観は世界的に有名です。それは無数の芸術家や詩人に影響を与えました。屏風や版 画、多くの絵画で風光明媚な日本の自然をとらえています。日本は地理的な多様性に富み、有名な スキーのリゾート地があり、また他方で火山活動の恩恵を受けた温泉もあるのです。日本は緑の 森が多く、湖、川や海など、訪れる場所がどこであっても自然との調和を感じます。
特に日本の寺院や庭園では、平和と静けさを見い出します。有名な寺院や庭園には、鎌倉市の鎌 倉大仏殿、龍安寺、兼六園などがあります。外国人観光客が迷子になったり混乱したりした場合 でも、日本ではほぼ全員が非常に親切で丁寧に対応してくれます。例外なく。
地震や台風などもありますが、日本の長い歴史で自然災害と上手に付き合ってきたように、多少
の一時的な不具合をしのげば、それほど不自由でもありません。
日本人は世界で最も長い平均余命を持ちます。健康的な日本食が注目されています。自然の豊かさ が育む、食材と健康には関連があると思います。日本では、食べ物は常に短時間で調理され、生 で提供されるものも多いです。ご飯、魚、野菜・果物が中心です。砂糖はあまり消費せず、抗酸化 物質が豊富な緑茶を毎日飲みます。またメニューにはバラエティがあり、発酵食品が日本食を豊か にしています。
先進国の中でも日本の物価は低い
有料老人ホームの費用アメリカの都市部では、高齢者向けの施設に入居するには月額3000ドル、 4000ドルの入居費用がかかります。日本の場合、都心部でも20万前後で入居できます(各施設やサービス内容によって料金は異なります)。
他の先進国と比べて日本の物価は格段に安いです。日常生活に必要な衣食住の値段は、だいたい アメリカや欧州の先進国と比べると3分の2ほどの値段です。もちろんピンからキリまであり、高級な寿司店やレストランなどは別として、吉野家の牛丼の並盛りが388円。タイや台湾などの屋台 料理の値段とさほど変わりません。東京ではドリンクやデザートも込みで美味しい1000円以下で ランチが食べられる店も多いですが、ロンドン、パリ、ニューヨークなどではありえない話です。
パーマネントトラベラーの『ウェルネス』フラッグを日本に立てる
移住したくなるほどに快適で安心で、そして物価も安い、そんな日本の魅力は1、2週間の短期観 光だけにとどめておくのではもったいないです。日本はPTの旗国としても魅力があります。
Wikipediaを参照すると、PTにはパーペチュアル・トラベラーが当てられています。個人が複数国を拠点に分散的に旅をし続けることで、所得税や資産税、社会保障負担金、陪審義務、兵役など、居住に伴う法的義務を回避することができます。必ずしも、節税といった消極的なアプロー チのためのPTばかりではなく、むしろ国家から自立し、世間の価値観に振り回されず、個人の自 由な生き方を突き詰めることができます。まさに、クリエイティブな富裕層にピッタリはまる生き 方とも言えます。PTライフを充実させるサービスはオフショア金融サービス、租税回避スキー ム、個人のプライバシーサービスを売りにする企業の定番商品になっています。『Luxury Travel』分野においても、その視点を狙った大胆な商品開発があっても面白いと思います。
投資のスペシャリスト、ハリーD.シュルツにより『フラグ理論』が提唱されています。初めは、フラグは3つで、誰もが2つ目のパスポートとタックスヘイブンの住所を持ち、資産を母国の外に保 管するというアイデアでした。後に、お金を稼ぐ場所とレクリエーションの場所が含まれるよう になり『5つのフラッグ理論』として定着しています。
パスポートと市民権:国外で稼いだお金に課税したり行動を管理したりしない国。
法定居住地: タックスヘイブン。
事業基盤: お金を稼ぐ場所、理想的には法人税率の低い場所。
資産の天国:お金を貯める場所、 理想的には受動的所得とキャピタルゲインへの課税が低い場所。
遊び場:お金を使う場所、理想的には消費税の安い場所。
パスポー トを持つ国、居住書類を持つ国、ビジネスを行う国、資産を持つ国、快楽を追求する国。 PTは、これらを分散して棲み分けていくわけです。この5つのうちの『快楽を追求し、お金を 使って遊ぶ』国として日本の『ウェルネスクオリティ』のコスパの素晴らしさを認知してもらう のです。ここでは『PT』を先駆的でエッジが立っている自由な旅行者という意味で『パイオニ ア・トラベラー』と呼びます。PTには、貧困PT、中間層PT、ハイクラスPTと階層がありますが、 その3クラスのうちのハイクラスのPLT(Pioneer Luxury Traveler)に日本に度々訪れてもら うのです。
快楽の追求には2種類あります。いずれも日本には理想的なほど十分なポテンシャルが埋まっています。
・リラックスできる(マッサージ、風俗、食事、サウナ、瞑想など)
・体を動かす、集中力を必要とする
(トレーニング、スポーツ、畑、語学学校など)
日本は旅先としての魅力があり、安心・安全への信頼も高い国です。一方で、富裕層旅行の領域では情報発信が少なく、「謎めいた国」でとどまっているのも事実です。
コロナ感染症やロシアの ウクライナ侵攻などこれからの世界情勢が読めきれないことなど課題はあるものの、日本の観光立国としてのポテンシャルが高いことは間違いありません。
まずはアメリカの富裕層PLTに向けた 日本の『ウェルネス』フラッグ戦略を立て、しっかりとそして1つずつ『Luxury Travel』の ニーズに応えていくことで、コロナ回復期の軌道を切り拓くことができると考えます。
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