ラグジュアリークルーズの理想的環境

「過程 = プロセス」を重視するホスピタリティ事業では、旅行者との接点は、常に 「ヒト」が中心でなければなりません。

新会社がこのラグジュアリー・クルーズ 客船の業界で認められるためには、船上での滞在環境を構成する「ヒト」に旅(ヒトや出来事との邂逅)に参加する歓びを体験してもらうためには、「船上での商品開発」が全てで、この開発力が成否を決める!!!との言ってま過言ではありません。

クルーズ旅行に参加した思い出は、いつまでも旅行者の脳裏に刻まれ、思い出深い永遠の旅の感動を創るに違いないと思われます。

そのためには従来のラグジュアリー・クルーズ会社の真似避けたいものです。

船上でのコンテンツを構成する食事や娯楽のみならず、個性に溢れる多国籍クルーの採用も含め、彼らの持つ多様性や独自性を 積極的に露出して、新会社が絞り込んでいるクルーズ客船マーケットに、常に100%以上の満足を提供できるような仕掛けが必要があります。

クリスタル・クルーズ社が狙うべき客層から、彼らのライ フ・スタイルに対する分析は出来ていた。その上で、クルーズ船客が、クルーズ旅行に求めるものは、船、サービス、社交、エンターテイメントを含めた環境でした。

とりわけ新会社の主対象とするラグジュアリー・クルーズ・マーケットでは、彼らのライフスタイルゆえ、船上におけるサービスと他の乗船客やクルーとの出会いに非常に大きな期待を持って乗船してくる人たちです。

ゲストの船上における体験価値の評価においては、このサービスとソーシャルが、非常に大きな影響を与える事を理解していたので、この 2 つの分野で、 その舞台の仕掛けを考える必要がありました。

その舞台では、
(1) 船上で共に滞在を楽しむ「ヒト」(乗船客同士) 

(2) クルーズ船客とサ ービスを提供する側に居る従業員(乗組員)が、密接に交流して創られる環境でもある。

対象 がヒトである以上、船上での舞台装置には、船上での人間関係が 

(a) サービスをされる人たち 同士の相性。

(b)サービスをする人、される人との相性。

 (c) 多国籍船員を中心とした乗組員の適性や相性。

豊かな「船上滞在体験」向上の要だと言うことです。

(1) クルーズ旅行の主役は「クルーズ船客」 :「彼らの「客相」ライフスタイルを知ること

長期滞留しながら船上生活を楽しむ多くのゲストにとって、その「ライフ ・スタイル」と言う基準を通して、快適な人間関係が創られる事が望ましいのです。

確かに、 モノを買うのも旅の楽しみの一つであろうが、新会社の想定していたアメリカ人富裕層旅行者にとって、究極の旅とは「旅の過程を大事にして、 体験を心に刻むこと」であると言う答えにたどり着いたのです。

特に、彼らは夫婦で乗船した場合、その体験を通して、 人生の足跡を「同期化」することにより、夫婦の喜びや失敗も共有できるのです。

ラグジュアリークルーズのゲストは、船上での滞在生活の中に人生の物語を求めている傾向があります。

思い出を心に刻みたいと思っている人たちである。「記憶に、人生の価値や感動を刻む」仕掛けが至上の要請です。

その実現のためには、彼らの船上におけるライフスタイルに最大限に配慮をしつつ、クルーズ客船による旅行の主人公としてクルーズゲストがいるという、船上での“舞台”を演出するのです。

船上で彼らが持つ ライフスタイルや生活や文化と船上で提供する舞台装置の融合する「仕掛け」が 成功の可否 を決める。

サービスという船上のプロダクトの評価は、多くは人的要因で左右される傾向が強いのです。

相性がよければ、訴求力もあり永続性が高いのです。

従って、競争船社よりも優位に立つためには、この 人的要因にメスをいれ、新会社が絞り込んだアメリカ人富裕層旅行者のライフスタイルを理解して、クルーズゲストと船で働くクルーの「ケミストリー」の結びつきを強化することが重要であるとの判断であった。

クルーズゲストとの関係においては、人間関係を基本としたサービス、それがホスピタリティ・サービスの基本です。

それは、双方の 信頼関係や相性で成り立つものです。

クルーズゲストは、自らの支払うクルーズ料 金に対して、クルーズ会社からのこのケミストリーとそれ相応のサービスの提供に期待を込めているのです。

「ソーシャル(社交・人的交流)」についてみると、船上における「ヒトとヒトの織り成す人的な要因となります。

従って、新会社として、この事業を長く続けるためには、先ず ソーシャルの分野で他社と大きな違いや特徴を生み出そうと考えたのです。

この充実度が、将来の戦略の核となる、他社 との差別化で決定的な差となるとなります。

それは、船上におけるコンテンツのみならず、営業の面における販売網における戦略なとも連動させます。

この確信を元に、「ソーシャル」の面から、船上の滞在環境を考える際に、下記のようなシナリオを描いてみた。

船上の滞在環境は、クルーズ船客が主役で、「全ての中心にいる」滞在環境とする。その上で、クルーとの親密な環境を演出。

ファミリー的雰囲気を創り出します。

サービスは、クルーズ客船運航会社の仕掛けである程度対応できるにしても、ソーシャルは、そこにいる人間性の交流です。

新しい仲間との交遊の楽しみや人情の発見や歓楽欲を満たすような食後のロマンチックな環境が必要です。

これを円滑にするためには、主役であるクルー ズ船客を支える多様な文化的歴史的な背景を持った多国籍クルーやアメリカ以外の国から来たクルーズゲストの心地よいハーモニーが必要です。

これは日本的で同質的な「おもてなし」を越えて、 国民性の違いを通して、驚きや感心、そして新しい発見などがこの事業に活力を与えるものです。

このようなクルーズ客層の中から、彼らのライフ・スタイルに合わせて、最も快適な環境を創り出します。

その環境を創るということは、これらの人たち の客層のライフスタイルを理解し、彼らが日常どのような生活をしているのかを知り、どのようなものに興味を持っているかなどを知ることでもあります。

サービスを提供する側としても、例えば食事のテーブル・ホストとしての役割は、食事の質やサービスに加えて、その場で2時間余を、彼らが興味を持っている朝のワイドショーや テレビ番組「ベイ・ウオッチ」「ダラス」等のソープ・オペラなどの話題にも積極的 に参加できるような、ある程度の「彼らの常識」を基にした社会知識と英会話力を要します。

サ ービスを提供する船会社立場としては、船上での社交を通して、彼らが快適と思う滞在と「パッセンジャー・ミックス」の本質を常に見極める必要があったのです。

ソーシャルを演出するには、贅沢な選択肢の提供を考える必要も。

ラグジュア リー・クルーズでは長期滞在が基本で、ゲストとって、滞在中の食事をはじめ、人の 出会いや多彩な娯楽など、感動と感性を覚醒する滞在環境を演出する必要がある。  

お仕着せの企画ではなく、多くの選択肢の中なら、彼らが 「気の向くまま」選べるだけの潤沢なメニューを満たす商品企画力が必要となります。

既存のラグジュアリー・クルーズ運航会社との差別化のために、新しい試みとして、競合他社のプロダクトのみならず陸上のリゾート・ホテルなどのサービスやそのコンセ プトも積極的に導入する必要がありました。

これは、多彩な食事の面でも考慮されねばならないものです。

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クリスタルクルーズの輝かしい幕開け

三菱重工業長崎造船所で建造が進められている新造船のデザインおよびネーミングも、新会社にとって大仕事でした。

この船名決定後は、次から次へと宣伝を打つ段取りが出来ていたので、こ の船名決定は、それら一連のマーケットへの浸透作 戦展開のキック・オフに当たる大きなステップ への第一歩という位置付けであったのです。

1988 年の 6 月、東京で三菱重工との間で新造船の正式調印式があった(6 月 10 日)。7 月には、新造船のデザインも固まりつつあった。ここで日本郵船としては、外から 見た本船のデザインが気に なってきた。まずはファンネル(煙突)のデザインが議論の的となったのです。

これは家の門構えと同じで、 その船がまず注目を集める箇所であったからです。東京本社は、日本郵船の「二引き」のマークをつ けたい、と主張した。これに抵抗したのはアメリカ側である。二引きのマークでは、アメリカマー ケットに対するインパクトに欠けるし、何のために「ロゴ・マーク」を決めたのかと言った議論でした。

対象顧客であるクリスタルクルーズゲストにも、クリスタル・クルーズのアイデンティ ティとしては 「ミラード・シーホース」との関係がよくわからず、混乱する。やはりここは、クリ スタル・クルーズのシンボルである「ミラード・シーホース」とすべきだと言う。結局、アメリカ側の意見が通ったのです。
ファンネルに付けるマークについては、東京側が折れたかたちになったが、日本郵船の船であることを明確にするために二引きの線を船体に入れたい、という強い要請には変わりがなかったのです。

そこで、船首のところにブイマークの NYK マークを入れ、船首部のマストに二引きのマークが入るこ とで決着を見た。

その前後、1988 年 7 月は、日本側に客船準備室が設営され、一方アメリカにおい ても、クリスタ ル・クルーズ会社がセンチュリー・シティの FOX・PLAZA ビル 2 階設立。 いよいよクリスタル・クルーズ第一船のネーミングでした。

1988 年 10 月、全米 1905 社の旅行代理店が参加した「ネーム・ザ・シップ(Name The Ship)」コン テストが展開された。

740 ものネーミング案がクリスタル・クルーズに寄せられたのです。

方針として船 名は、各種コンテストや調査を経てラグジュアリー・クルーズ客船としてのイメージに富み、クル ーズ船客やマーケットでも受け入れやすい船名の候補を選び、最終的には日本郵船で決めてもらうことを決定。

この事業が20 年先のベビーブーマー層を想定した長期的なプロジェクトとの認識のもと、将来の三隻体制を念頭に入れていたので、第一船だけでな く 3 つの パッケージとした下記 2 案に絞り込まれ、下記の両案が残ったのです。

A 案 クリスタル・ホライズン クリスタル・リフレクション クリスタル・エクサレンス

B 案 クリスタル・ハーモニー クリスタル・セレニティ クリスタル・ラプソディー

他に、ブリーズとかエレガンス、メロディ、ドーンなども候補線上にあがったが、それぞれ日米の感覚の差やイメージで調整が行われました。

ミストもあったが、当時の 日本政界を揺るがすスキャンダルの「黒い霧」を思い出させるとして、これは却下された。

「クリスタル・クルーズとしては、独創性・創造性

・妥当性、その言葉の持つラグジュアリー商品の優雅さなどを念頭に三隻の名前の適合性を重視した。

とりわけ、独創性にはこだわりを持たせたかったのです。

この業界でポピュラーなサン、 スカイ、シー などは回避したい。

適合性では名前の響きなどを選考ポイントとして、 三隻とも末尾が Y で終わる B 案が良いのではという意見が大勢を占める。

こうして 1989 年 1 月 15 日、新造船の名前が「クリスタル・ハーモニー」 

この船名決定に際して当時の「日本海事新聞」は下記のようなコメントを載せている。

—郵船の大型クルーザー船名決まる。 光り輝く太平洋の世紀をイメージ CRYSTAL HARMONY ・ ・・・・・宮岡社長は次の通り語った。
一、 船名の選定に当たっては日本のお客さんも、アメリカのお客さんもわかりやすく、覚えや すい名前である事を第一に考えた。次の本船が最新鋭の設備を持ち、欧米の一流デザイナーに よるエレガントな設備、ハード面が良いのと同時に、乗組員 のサービスつまりソフト面でも 調和(ハーモニー)がとれると。日本、台湾、韓国、中国など太平洋沿岸諸国のお客さんと船上 で忘れがたい友情を融和(ハーモニー) を導くものとした。
ー.またハーモニーの NY で終わる語尾は外国人にとって語感が良いらしい。それに第2、第3船をシリーズ建造する場合、たとえばシンフォニー、メロディなどに繋がることを考慮に入れた。米国 の代理店、本社でも船名を募集し、ハーモニーに多数の応募が寄せられた。第一位ではなかったが 最終的に私が選定した。

1、2隻目の建造は、第一船の実績を見た上で決めたいとのこと。世界の客船経営を一隻で やっている所は、ドイツのハパグ・ロイド社しかなく、当面、最低二隻は必要と感じている。それにロサンゼルスに60 人、日本約10人いるクルーズ客船事業の要員規模からみれ ば、2〜3隻までの運航が可能で、経費が安くなる。

帰りの航空運賃は船会社で負担するため、数が多くなれば航空会社との航空運賃の交渉もしやすくなろのです。

1989 年 1 月 「ロイヤル・バイキング・サン」のサンフランシスコ入港
クリスタル・クルーズの事業の段取りも、着実に前進してきた。当時の記録を紐解いてみると、当時のラグジュアリー・クルーズの代名詞であった ロイヤル・バキング社の最新鋭船 ロイヤル・バイキング・サンがワールド・クルーズの基点港サンフランシスコに入港。

この機会を捉え,クリスタル・クルーズの チェックリストを元に、彼らのハード・ウエアとの徹底的 な比較検証を行ったのです。

その後、1 月 10 日には、フロリダ、オーランドで、CLIA の会議、1 月 16 日には購買関連の新会社設立に関しては、パートナー明治屋との関係やクリスタル・クルーズ内 の組織、購買部門との仕事の振り分けなどを議論したのです。

1 月 19〜20 日は、翌年 7 月に予定されるクリスタル・ハーモニーのロサンゼルスでの命名式のイ ベントの為に、どの PR 会社と提携をするかの内部的なプレゼンテーションに費やされていました。

第一船 「クリスタル・ハーモニー」予約開始
この船名決定から半月後にクリスタル・ハーモニーのクルーズ予約受付が始まりました。

当日、予約係は東海岸との時差の関係で午前 7 時から 業務を開始した。こ の日、午後 5 時までの間に全米の旅行代理店から約 250 件の電話があった。

しかしこの段階ではまだ料金レベルなどに関して最終的なものではなく、仮予約てという段階でした。

彼らは、料 金が未公表にも拘らず、最上層階のペントハウスから仮予約を始めた。特に、最上の部屋、クリスタル・ペントハウスは、翌日全額支払うと言う乗船客で即完売となったのです。

仮予約の電話は、いままでのクリスタル・クルーズのブランド構築活動などを通して、 どのようにマーケットが反応するかを測る指針として、きわめて 重要なものであった。

彼らの予約 の客層が、今までどのクルーズ会社に乗船しているか、あるいはクルーズ船客の乗船経験の有無などが、非常に重要なポイントでした。

また、アメリカのどの地域からの予約かも、今後の集客 活動にとって大きな意 味を持っていた。かなりの予約が、今までロイヤル・バイキング社の乗船経 験者で有ったが、一部には、シザーズ・パレスのカジノがあることで予約して来た初めてのゲストもいました。

プリンセス・クルーズ社の上層階のゲストも多かった様子です。

特にアラスカクル ーズの売れ行きは当初の予想以上の反応だったのです。これらの傾向を通して上層階の部屋から売れていくということは、クリスタル・クルーズが狙いを定めた、富裕層が反応しているということが 判り、今までのマーケッティングやセールス戦略の正しさを示しており幹部らは安堵したのです。

クルーズを予約しないまでも、多くの質問もあった。これらの質問は、今後のマー ケッティング やセールス活動の為に、極め重要なポイントを突いていた。早速マー ケットに正確な認識を提示す ることにより、今後このような質問を回避するようなコミュ ニケーション戦術をとり、実情を周 知徹底することにした。当時の主な質問は下記のような点で あった。

・ クリスタル・クルーズのホーム・オフィス、船上における主要スタッフは誰か? ・主要ターゲットマーケットは?

・ クリスタル・クルーズと親会社の関係は?

・ 旅行代理店に対する基本方針/インセンティブなどはどうなっているのか?

・ 本船のハードウェアは? ホテルは誰が面倒を見るのか?

・ 船長はどこの国の出身者か? 主要乗組員構成は?

・ ダイニングスタッフは?

・ メインダイニングルームでは、ワン・シーテングかツー・シーテングか?

・ スペシャリティ・レストランはどう運用するのか?

・ 料金はいくらなのか?

・パンフレットを早くもらいたい(これは料金を最終的に決めていないので、まだ作れない。

翌日、全米のセールスの幹部と各地のセールス・スタッフ候補生を、センチュリー・ シティのレ ストラン Jimmy’s に集め編成会議を開催し、今後のセールスの戦略に関して詳細を詰めた。初日の 好反応にも満足せず、私たちは、クリスタル・クルー ズのプロモーションを推し進めるのです。

とくに力 点を置いたのはメディア対策であった。「ニューヨーク・タイムス」「ロサンゼルス・タイムス」 など全国紙のみならず、とりわけクルーズ客層に密着した、全国紙より週末の団らんで話題になりやすい地方紙に重点的に焦点を当て、積極的に「Crystal Age Begins」(クリスタル・エイジ・ビギンズ、クリスタル時代の幕開け)を宣伝したのです。

まだクルーズ客船がない状態では、その船上の滞在環境を作る人材を前面 に出し、それも今までの幹部のみならず、セールスの核となる現場のスタッフを前面に出し、クリ スタル・ クルーズを支える人材の露出でマーケットの信頼を得る戦略でした。

さらに、フリーランス記者の積極的な活用も、戦略の一つである。

クリスタル・ハーモニー建造時から、このプロジェクト参画者としての立場で、進捗状況などを頻繁に記事にしてもらい、そのネットワークで配信。このようなメディア反応を、旅行代理店とのネットワーク作 りにおいては数値管理し、効果を挙げるという方法をとったのです。

当時の状況を、平成元年 2 月 15 日「海事プレス」の報道は、下記のように伝えている。

1日だけで問合せ1千件が殺到。
郵船の新造客船人気は予想以上。料金は12段階平均370ドルに一

日本郵船の CRYSTAL CRUISES(本社:米国カリフォルニア州センチュリー・シテイ)は先週 6 日、米国 で、アラスカ・クルーズ 12 日間のブッキング受けを開始した。

新造船クリスタル・ハーモニー(乗客定員 960 人)に対する関心は、予想以上に高 く 「一日だけで 1 千件に上る問合せが殺到した」という。アラスカ・ク ルーズサンフランシスコ発着の料金は航空 料金込みで一人一日310〜1,000ドル、平均370ドル。 人気の高さから見て、年内 に 6〜7 割の予約を確保できる見込み。

“Crystal Age Begins”

ロサンゼルスでは、この船名発表と予約開始に際して “Crystal Age Begins” を合 言葉に、各種 のパンフレット、ビデオ・プロモーションを一斉に展開し、その他、「プ レースメイントアドバー タイズメイント」などの手法も駆使した。クルーズ船客や マーケットに対して、クリスタル・クル ーズの事業企画が、着々と進んでいることを発信した。クルーズ業界およびクルーズ船客への情報 提供には、イメージのみならず、商品の中身を知って貰うべく「インフォマーシャル」を多用した。 プロダクト内容を熟知してもらい、既成クルーズ客船とのデフェレンシェーション(差別化) に活用 したのである。多彩な宣伝手法の活用で、船上における滞在環境の認知度を高めることとした。
また、2 月 5 日には、前田さんが、ロサンゼルスに入り、翌日は河村さんが合流して、ウエストウ ッドのリージェンシー・クラブ(Regency Club)で「クリスタル・クルーズ」プロジェクトの進捗状 況の検証と今後の対応、特に、船上の組織及び配船問題、 長崎におけるクリスタル・ハーモニーの 建造の段取りや処女航海などの段取りに時間が割かれた。この頃長崎では、クリスタル・ハーモニ ーのメイン・エントランス、パームコート等のモックアップが完成、利便性や居住性など、チェックされ、12月に完 成していたクリスタルペントハウスなどの客室では、三菱重工 業の社員カップルによる試験滞在などをしている頃であった。

1989 年 2 月 カイ・ユルセン船長任命
「クリスタル・ハーモニー」船長として、サガ・フィヨルド号などに乗船し、その後アドミラル・ クルーズ社で、現役の船長であったカイ・ユルセン。副船長として、ロイヤル・バイキング社から、 レイドルフ・マーレン、機関長ジョン・エドバーグを 引き抜き、任命し発表した。当時はまだ、こ の新造船の最高責任者は、日本人船長 が中心となって運航すべしとの意向も強く、ロイヤル・バイ キング社のノルウェー色を薄め、政治的な判断も働いた。

一般的に、クルーズ客船の船長は運航部門の最高責任者であると同時に、船上での接客に最も忙しいという役割でした。

自薦他薦を含め、ロイヤル・バイキング社の首席船長やこの業界の主要な船長と直接面接し、ある時は、間接的ににコンタクトを取り、アメリカ側としては、当初はアメリカ人ゲストに、好評なノルウェー人船長で、ロイヤル・バイキングの首席船長、オーラ・ハーシャイム 船長か、次席船長レイド ルフ・マーレン船長を最優先候補としていたのです。

最終的に、同じ北欧系であるがロイヤル・バイキング社ではなく、サガ・フィヨルド 号などを運航している NAC社などの船長を続け、当時は、アドミラル・クルーズ 社の船長を務めていたカイ・ユルセン船長で決定。

この様にして決まった船長カイ・ユルセンのほか、副船長のレイドルフ・マーレン、 機関長のジョン・エドバーグ等は、6 月 1 日には長崎の造船所に派遣されました。

現場での調整と機器などに対する慣れが重要な仕事であったので、運航関連以外のホテル部門の人選も行っていたのです。

長崎の造船所では、4 月 14 日クリスタル・ハーモニーの船体にコインをはめ込むキール・ コインセレモニ ーが開催された。

この儀式はヨーロッパに於ける新造船に対する祈願と祝福を兼ねて行われ、船体の竜骨部(キール)にコインを溶接するものでした。

船上ホテル備品及び食材購買部門と「MY NYK International」

3 月 3 日には、ロサンゼルスに「MY NYK International」が設立されました。日本郵船 51%、明治屋 49% の株式を保有する船食納入会社。

このプロジェクト初期の構想で、この部門に関しては、日本側として「環太平洋クルーズ」構想の下に、シンガポールの新会社に購買関連業務を一括して任せ るとの発想だったのです。

日本側では戦前の客船時代の購買部資金の流れ複雑さと管理システムを認識していたので、 クリスタル・クルーズ組織内に購買部を設ける事で、計数管理が不透明になり、担当者の予期せぬ事故などに巻き込まれかねないと主張していたのです。

クリスタル・クルーズとしては、それでは運航業務をアメリカで行い、ホテル部門の運営も、アメリカが主体的にやるにも拘らず、購買部門だけを運航業務本体からはなれたシンガポールで行うのでは機能しないこと。

また大きな予算の動きに関しては現在のクル ーズ客船におけるホテル購買システムは、計数的な管理が進んでおり、購入と消費がハッキ リと判るシステムの構築が出来るとして、このシンガポール購買事務所案には反対意見を申し出。 日本郵船と明治屋との提携で、MY NYK 社の設立で対応しようとしたのです。

1989年4月10日、ロドニーとロサンゼルスでのハーモニーの命名式の段取 り担当のダーレイン・パパリーニなどが、三本さん(副社長)等と面談の席上も、これが話題になっ たようであった。

この案件は、その 2 カ月後に起こる世界的事変によって解決することとなる。

コンピューター・システムによる陸上での運営管理・船上での諸処理などの一括システムや寄港地手配などの構築

この頃、新会社として、独自の予約システムや、船上でのホテルシステムを構築することを決め ていたコンピュータ関係のシステム・プログラムが完成しつつあった。

(1) 陸上の管理部門のシステム
(2) 船上での運航・ホテル営業部門のシステム
(3) 世界各地から調達する数万点に及ぶ船用品や将来の食材などの 調達するシステム
(4) 旅行代理店などとの予約システム、全て自前で構築すべく計画していた。

また、集客したゲストのロジステックスの面で最も重要なアメリカの航空会社とのボリュ ームに基づく、特別割引契約などの取り決め交渉が続けられていたが、これらも目処が立ち役員会で承認された。

クルーズ客船には寄港地手配が付いて廻るが、そのそれぞれの寄港地における諸 手配の為に港湾代理店やクルーズ船客の観光などを手配するランド・オペレーターと言うツアー会社の選定も重要な仕事であった。

処女航海の寄港地、アラスカは、ホーランド・アメリカ社系とプリンセス・ク ルーズ社系のランド・オペレーターが独占していた。彼らの手配する運転手やヘリコプター、水上機のパイロットの多くは、夏のアラスカ、秋・冬季のカリブ海で、ツアーの仕事を支えている渡り 鳥スタッフ であった。

このため、ランド・オペレーターも人的手配に制約があり、寡占状 態でもあったのでどうしても割高にならざるを得なかったのです。

アラスカの州政府は、クルーズ客船 の大型化に対して危惧を示していた。

大型クルーズ客船で観光客が大入すると、アラスカの自然が守れない。

もし、アラスカ観光をしたいと言うのであれば、入頭税を設けるというも のであった。

当時のアラスカ州選出のボーランド系実力上院議員、フランク・マルコウスキーなど にクルーズ会社として陳情攻勢も激しくなった。

この様な時に、アラスカのアンカレジの南、プリンス・ウイリアムズ・サウンドで、 タンカー「エクソン・バルデス」による未曾有の石油流出事故が発生し(1989 年 3 月 24 日) クルーズ客船の安全性にまで話が飛び出したのです。

アラスカで最も氷河の崩落の激しくクルーズのハイライトと言われていたグレシア・ベイに寄るクルーズ客船に過去の配船実績を元に、寄港制限をつ けると言い出したのもこの頃でした。

クリスタル・クルーズの様な新生の会社にとっては、厳しい制限でした。

処女航海のアメリカ人クルーズ船客は、最上のクルーズ会社であれば、当然、このグレシア・ベ イに寄るものと思い込んでいる。ここへの寄港権は、彼らの第一印象や評価にも影響するのです。

そこで、 関係先と調整する目的で、ロビーイストを活用することとした。彼らを通して、過去の実績はあるものの、この年には配船をしないキュナード社の権利を譲り受ける事を工作した。

幸い、年末まで に取得が確認でき、クリスタル・ハーモニーの就航に間に合わせる事が出来た。

1989 年 5 月「客船レジャーの情報誌」創刊号と「クルーズ元年」

日本で「クルーズ』(隔月刊海事プレス社)の創刊号が発行された。その『クルーズ」5 月号で「客船時代、再び」と銘打って「クリスタル・ハーモニー」の特集を組んでいる。その記事によると、 ー「クリスタル・ハーモニー」は日本最大でかつ最も長い歴史を持つ海運会社・日本郵船がこれも 日本最大で最古の歴史を持つ造船所・三菱重工長崎造船所で建造している。

日本郵船は戦前 「浅間丸」「龍田丸」「鎌倉丸」をはじめ、世界各地に豪華客船を配船戦後もし ばらくは、いま横浜に係留している「氷川丸」で船客を運んでいたのです。

その会社が昨年アメリカに「クリスタル・クルーズ」と言う客船会社を設立し、客船の発起から就航まで 3 年以上の準備期間をかけて来年 6 月に新時代の豪華船「クリスタル/ハーモニー」を登場させようとしている。

東京サンシャイン60より1メートル長い241 メートルの長さを持ち、普通の外国客船であれば、 1800 人も乗船できる大きさなのにこの船では乗客定員をわずか 960 人に抑えている。

それだけぜいたくな造りになっている。

「太平洋文化の架け橋に」がキャッチフレーズの「クリ スタル・ハーモニー」。

春は 日本・韓国・中国、夏はアラスカ、秋はパナマ運河経由カリブ海、冬 は南太平洋と、太平洋沿岸をそれぞれ最も美しい時期に訪れる。

処女航海は来年 7 月のホノルルクルーズでした。

クリスタル・クルーズ以外にも、日本の貨物船会社が、独自のクルーズ客船運営構想を持って華々 しく、花開こうとしている先賭けでもあった。この年の日本はクルーズ元年と言われクルーズ 客船に対して熱い期待が集まっている時でもあっ た。

ホテル部門幹部の採用開始

1988 年年末、三菱重工業の作業も順調で、パームコートなどのモックアップも完成し長崎での船 上における施設や設備に対して、多方面からの検討を加えている頃、 ロサンゼルスでは、幹部船員や乗組員の採用が本格化してきたのです。

1989 年 2 月 3 日には、船上における商品開発と採用戦略(船上での滞在環境)の会議を行った。

適材適所の人材を求めて:ノルウェーやオーストリアの古城へ

創業幹部らは、ホテル部門の採用幹部と船上でのスタッフを求めて、オーストリアのザルツブルグに飛んだ。目的はクルーズ関連のホテル経営を専門にしている経営者に会うためでした。

ロイヤル・バイキング社もオーストリア人のマネージメントスタッフをホテル・オペレーションの核になるポストで、採用している。

オース トリアは、観光立国であり、国内に散らばる古城や山小屋 の地下を改装して、ホテ ル学校を兼営している所が多い。

当時は9 校あり、その中でもシ ャコーシが経営するホテル・マネージメント会社が、ロイヤル・バイキング社の優秀な人材の供給源になっていたのだ。

当時、シャコーシは、海上でのホテル要員 250 人、陸上でのホテル要員500 名を抱えていたが、 彼らの多くは、オーストリアのレストランやホテルで実習生としての経験を積んだ 即戦力部隊でした。

このオーストリア・システム の強みは、料理なども著名なレストラン等の 所謂「徒弟制度」で技術を習得するのではなく、このマネージメント会社のマニュアルに従ったシステムで教育されていた事でした。

ハプスブルク家の伝統の味など、いろいろなところで継承されていました。

ここの主力スタッフを、クリスタルクルーズ社の新造船ホテル部門や料理部門に勧誘する事に成功したのです。

食に関しては、彼らの助けがあれば、少なくともロイヤル・バイキング社のレベルは維持できると予測。その後も、この人脈が、クリスタル・クルー ズの船上でのダイニングのシェフとして活躍くれたのです。

日本料理レストラン「京都」の挑戦……「生の魚には、虫がいる?」

クリスタル・クルーズの和食レストランの導入というチャレンジは、この頃も続けられていたのです。

クリ スタル・ハーモニー就航前1989年、 NRS (National Restaurant Assn)の人気度調査によるとア メリカにおけるエスニック料理とは、ベスト 3 が 1 位イタリアン 36%、2位中華 23%、3位メキシコ20% 以下の4位ギリシャ、5 位ラテンアメリカ、6 位スペイン、7 位フレンチ、8 位カリビアンのあとに日本料理であり、「日本食」は、一般のアメリカ人というより日系人を中心としたマーケット に過ぎなかったのです。

ちなみに上位 3 種は全体の 8 割を占めていることからも、そのマーケットの小ささが推測されたのです。

アメリカにおける日本料理といえば魚料理・鉄板焼き・しゃぶしゃぶ・懐石料理な どがニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコなど一部の日系人を中心とした社会では受け 入れられていた。全米規模でみると、日本食は、マニアックなジャンルでした。

特に日本の食生活から最も遠いのが、ラグジュアリー・クルーズのゲストであり、大きな比重を占めるユダヤ系アメリカ人であり、食生活に厳しい規律が求められる彼らにはまったく受け入れられていなかったんおでした。

第一号船、クリスタル・ハーモニー建造が決まった後も船上に設けられる予定の和食レストランをどのように運営するかは大きな挑戦でした。日本郵船の見解は世界最高級の客船だから、当然和食レストランも、東京都心の超高級和食レストランと同等のものを作るというポリシーがあったのです。

クリスタル・クルーズは試行錯誤で、 当時のクルーズ業界では画期的な日本料理レストラン「京都」を設けることとなったのです。

しかし、この要請には、マーケットに無縁な新しい日本食を、日本食に最も遠いものです。

クルーズの乗船客に食させると言う難題が付き纏っていたのです。この実現には非常に多くの障害が横たわっていました。

当時は、アメリカでは寿司が健康食であるとの報道の一方で、生の魚には虫がいるだとか、素手で寿司を握るのは不潔ゆえビニールの手袋をすることなど、生の魚やそれを料理することに対するネガティブな見方か非常に多かったのです。

ロサンゼルスタイムズによると、生の魚を食べる寿司は不健康である等といった記事も掲載していた。

アメリカ人、特に主要客層で有ったユダヤ系のクルー ズ船客 にとって、日本食の食材への無知識は酷く、塩辛は「虫」だと言い出す人もいたちなみに、今のア メリカでは、日本人が描く”なま”寿司ではなく、アメリカ人に食べやすい巻物を中心とした寿司がブームなのです。

当時は、連邦衛生局(USPH)も、クリスタル・クルーズが、日本食を出すことに 対して懸念をしていたのです。また、日本食の分布も、上述のようにニューヨーク・ロサンゼルス・サンフランシスコな ど限られた大都会偏重が顕著であった。また、「すいび」レストランでのダグラス・ワードのアド バイスにもあったように鉄板焼きやしゃぶしゃぶ・すき焼きはクルーズ客船では問題が多く、懐石料理も困難が大きかったのです。

この様な中で、サンフランシスコの日系ホテルの中にある日本食レストランを指揮していた酒井君を引き抜き、限られた条件の中で、日本食のメニューを考えてもらう事とした。

彼のメニュー作成の過程で、食材のみならず、食器などに対する手配の問題が発生した。

日本食には、多彩な食器 が必要なのであった。

それを船上の 限られたスタッフで如何に、洗浄し管理するか新しい問題も生 じた(ここで重要な事は、酒井君の働いていたレストランの客は、ある程度の日本食を試食経験のお 客が対象であった。船上の環境とは、大きな違いが有った。

日本食の問題点とは

上述のように、新造船には世界に冠たる豪華クルーズ客船を造るのだから、日本の食文化を世界 に広める為にも、豪華な料亭のような料理を提供すべしと言う意見であった。

生魚に疎いアメリカ人にはすしが、生の魚を扱う、その匂いに対する嫌悪感や内臓に虫が居るとか、今では想像も付かないような見方が溢れていたのです。

(1) 『割烹懐石料理』 東京が言う懐石料理は、非常に難しい。レストランを選ぶ動機を観察すると、日本では、割烹懐石料理の多くは、食材の多様さと料理の技量で作られておりその屋号とかシェフの名前で、レ ストランを選び、料理は彼らにお任せの料理であり、 店のブランドとシェフの技量を信頼して、 口にしているものである。一方、アメリカでは、日本食の食材に疎いアメリカ人にとっては、料理の中身が分からなく、好まれないし、醤油味に対する拒否反応やアレルギーもあったのです

また、 固苦しいフォーマリティが感じられると言う。日本食を初めて口にするアメリカ人の多くは、食材が気になり「これは何」との質問攻めでこれに答えるシェフは、一般的に、英語力不足、また、ウ ェイターは、日本食を経験したことのないヨーロッパやフィリピン人で、料理とクルーズ船客のコ ミュニケーションが成立しないのです。

宗教的な戒律の厳しいユダヤ人も含め、イメージの浮かばない食 材を基に食べる習慣が少ない人達にお任せで料理の中身が判り辛い料理を、クルーズゲストに、 喜んで気楽に食べても らうこと事は至難の業でした。

徒弟制度的な料理法習得の為、シェフが代われば、料理の作法が変わり、味付けも異なるのでは、 クルーズ船客からの評価も定着しない。食材の調達方法も、陸上でのオペレーションと全く異なり難問であった。

(2) 「アメリカ人のレストラン観」 アメリカ人の「レストランに対する期待/見方」も、壁となって立ちはだかっていた。アメリカ人は、レストランでの食事の時間を大事にし、団欒や社交の場として捉えており、自分たちの気分で、 長居したがる傾向があります。最低でも 2 時間は掛けるのです。

その点、和食のレストランでは、コースもの のメニューも限定されがちで、酒などの飲み物などで場を持たせるしかない。
日本の料理の中で、割烹などや大型料亭などの料理以外では、「しゃぶしゃぶ」「すき焼き」「鉄板焼」なども考えられるが、これらは、どちらかと言うと家庭料理的で、 基本的にセルフ・サービス的でもある。

鉄板焼きやしゃぶしゃぶなどで 2〜3 時間の場を持たせるのは非常に難しいのです。
日本で生活しているなじみの人たちには、それでも良いが、日本料理に疎いアメリカ人には、日本のこ のような環境と、まったく無縁な人たちが多かったのです。

匂いにも厳しい、焼き物も匂いが強いし、時 にはアメリカ人になじみの薄く、匂いが嫌われているしょう油なども使用しなければならない し、クルーズ船客のほとんどが和食を口にしたことがない人たちである。

活きた魚に、しょう油を つけて食べさせるなどといったことはできるはずもなかっ た。しょうゆの味や匂いが耐えられない と言うアメリカ人も多かった。
(3) サービス運営面での難しさ
80 年代の当時は、鉄板焼き料理が流行していたが、ブームは下降期でその代表格 「ベニハナ」等も、飽きられ大衆路線化に舵を切っていた。

特に、セルフ・サービス的で華やかさが出づらい。フォーマルに不向きに加え、高級イメージも低く、相席の可否・席に詰め込まれるスケジュールが、 シェフ主導で、食事の時間に制約があり追われる感じなどの不満もあったのです。

タキシードやドレ スに匂いがつき、タレものも多くテーブル・クロスが、汚れや臭気が付く、又、船上であるが故に 換気に注意、最大の注意を払わねばならぬ。鉄板焼きには、サービス品目としては、ビーフ、照り焼きなど、単品指向でメニューに広がりを生み辛く弁当箱的でもあったのです。

肉料理主体の鉄板焼き、すき焼、しゃぶしゃぶや、てんぷら料理には、タキシードとかイブニン グドレスには、不釣合いで、航海中の船での料理には、危険も伴い、不似合いであった。シャブシ ャブなどは、これは、料理を経験した事のある人にしか、上手く運用できないし、これもフォーマ ルに向かない「匂い」と言う大敵が付いて回るのです。

しゃぶしゃぶやすき焼きには、基本的にセルフサービス的なサービス形態でありサービスをする外国人サーバーにはなじみの無いサービス形態でした。

アメリカでは、バーベキューなど一部の食事を除いて、レストラ ンで は、サービスをする人、サービスをされる顧客の立場の違いが明確でした。

これらに加え、食材調達などの難しさ(世界各地での調達能力)も議論となった。クルーズの航路 によって、どのように和食の食材を調達するか。それに加え、サービスをする外国人スタッフのそ の食材に対する知識程度と、周知する際、その説明 の難しさも問題であった。アメリカで成功して いる多くの日本料理屋には、しっかりした、料理の食材を(英語で)説明できるウェイターやウェイトレスがいます。

アメリカでは、料理はエンターテイメントであり、食べ物の説明も重要な仕掛けの 一部なのです。

エスニックとしての日本食に対する経験がない外国人サーバーのサービスをする支援体制にも問題があると思われた。船上でサービスする(イタリア人やフィリピン人 は日本食を一度も食べた事のない人たちでした。


日本食の食材に対する知識レベルを(特に懐石料理)を如何にトレーニングするか、議論されたが、 妙案は無かった。

例えば、酒はワインとは異なり、長くは保管できないし、船側でサービスする外 国人には、欧米の知識はないこともあり、日本人客からは「酢」化した酒のコンプレインを受ける事になる恐れもあったのです。

日本食のサービス形態とアメリカ人の馴染みのアベタイザー(前菜)からメ イン・コースへの区別が不透明で、サービスの仕方に問題が出る可能性がある。味噌汁がスープ と思い、アペタイザーで出てきたり、遺物を、サラダと思い込んだり、生活習慣も違い、緑茶を頼むとセイロンの紅茶のようにスプーンと砂糖とミルクを持ってくる。


和食のメニュー構成においても困難を極めたのです。焼き物も匂いが強いし、時には醤油等も使用しなければならないので、クルーズ乗船客のほとんどが、和食を食べた事が無い人達なので活きた魚を食べさせるなどと言った事は難事でした。

多くのクルーズゲストは、宗教的な理由で自分が納得できないものや好みで 魚貝類や得体の知れないものを食べる事が出来なかったのです。

メニューは、加熱をした物を中心とした日本食のメニューを用意することにしたが、限られた船内の調理スペースでもあり、シェフにとっては厳しい料理環境であった。

アメリカのレストランでは、一般的に、アペタイザーは、他の人と同時にサービスされるが、船上のスタッフでは、和食の場合、料理が遅いと一品料理がバラバラ 出てきて、同じタイミングでは出てこないことも多かったのです。

その結果、出来るだけ前菜とメインコースに、サービスをする形態にせ ざるを得ないかったのです。シェフの試作品であった炒め物は、食材が不透明で米は副食だと言い主食ではないと考えているのです。

寿司はアペタイザーで主食ではないとか、味噌汁はスープゆえ最初に出すべきであるなどの見方の違いもあり、その運営に関しては多くの課題を抱えていた。

(4) 船上勤務の人材確保と日本的料理手法の難しさ、シェフの雇い入れも問題でした。日本料理には、前段階の準備が必要でそのためにスタッフも
十分居なければならず、一般的にロサンゼルスの陸上のレストラ ンで働くより、厳しい環境で、待遇も競争力がないとすれば、良いスタッフを探す事は待遇も含め難しい仕事です。

日本食 の料理手法に、手間が掛かる事も、レストラン運営を難しくしたが、それに加え料理の職人が、多 くは徒弟制度で料理の手法が、人によって異なる事や食材の調達などが障害として横たわったのです。

独自の作業流儀があったり、味付けが異なったりしている現実と、懐石料理の専門家に寿司やうどんを作ることを勧めるのはかなりの勇気が必要であった。

作業をする仕事場も制限があり、当初望んだような、高級料理を提供するような設備や舞台裏になっていなかった。それに加えて、職場陸上とは大きく異なる船上での勤務体制も大きな問題であった。

雇い入れも労働条件などから、難しいことは明らかで、また、アメリカ人やヨーロッ パ人では、言葉の問題もあるのです。

一方、表向きは日本人でも、日系米人は、日本の事も判らぬことも多く、料理法の異なる船上料理場での厳しい挑戦でした。

クリスタル・クルーズ独自の「プロダクションショー」の準備

クルーズ客船で旅行中、船上での楽しみの一つに、ロマンスの中心になる夕食後の大劇場におけるプロダクション・ショー。

食後の雰囲気を盛り上げ、船上での滞在経験をより快適に、濃 密にする舞台装置、パフォーミング・アートです。

クリスタル・クルーズは、既存のクルーズ会社とは異なり、自前のプロダクション・ショーを提供する事を決めたのです。

クルーズ客船社によっては、このようなショーを専門とする会社に外注で依頼するケースも多いが、クリスタル・クルーズの場合、このパフォーミング・アートは、演じる者と観客に一体感が重要であり、そこに微妙なケミス ト リー効果があり、プロジェクトの具体化と共に自前制作を目指した。

制作監督・ 振り付師・コン ピュータ制作担当・舞台監督をはじめ男女歌手・男女歌手兼ダンサーおよび専属バンド等を入れると、乗り出し時、総勢役 20 人、3隻体制になれば、80 人前後の規模の大所帯のプロダクションチームが出来、この運営や各制作にはかなりの費用と日数を要することとなるのです。

男女歌手やダンサー等は、一隻に 2 セット(二隻の場合、約 3 セット)分(船上 のキャストとして は男性、女性それぞれのリード・シンガーと 8 人の踊り手 + 歌手 の 10 人構成で更に、2 人が休暇の体制が必要で、乗船していない歌手/ダンサーは、ロサンゼルス・パサデナのスタジオにおいて、 毎日練習漬けでリハーサル、仮に船上の歌手あるいはダンサーに怪我など何か緊急事態が生じた場 合、いつでも補充が効くようなバックアップ体制を作る必要かでした。

歌手やダンサーは、もちろんプロとして生計を立てており(一般的に 18 週間契約となっている)。 ニューヨーク・ロサンゼルス・ラスベガス・ロンドン・シドニー等でオーデションを行い、採用の 可否を決めるが、一回のオーデションに大体 100〜200 人ぐらいの応募者があり、その中から 1 人か 2 人の採用となるのです。

給与体系(平均): ヘッドラインシンガー :1,500 ドル/週 バックグランドダンサー:300〜800 ドル/ 週。

通常 45〜60 分間のプログラムを制作するのに約 4〜6 か月を要し、これ以外に、衣装合わせや衣裳などの手配に、更に 2〜3 ヶ月を要することになるのです。

外注のプロダクション・ショーの場合 1 か月 もあれば、クルーズ客船会社として最高レベルの個性的なショーにするためには自前が望ましい判断があったのです。

最近はクルーズ客船が急激に増えている事もあり、マイアミを中心として、多くの契約歌手とか踊り子をそろえ外注専門のプロダクションショー会社が、取り仕切ってい るケースが多いのです。

ラスベガスとの提携で、大掛りなプロダクッションショーも増えています。

一つのショーに要する費用は、オリジナル作品の場合、著作権・制作費・衣装代などを含めて約2億円の予算が必要でした。

特にコンピュータ仕掛けの制作には、かなりのハイテク設備を投入 する事となる。また、コスチュームのデザイ ンも振り付師や衣裳デザイナーの重要な仕事でした。

衣装デザイナーは、ロサンゼルスでの映画や舞台の専門デザイナー会社と提携し、デザイン自体の素描から繊維素材の選別などもふくめ、振り付師との協業が基本となっているのです。

衣装は、観客か らの視覚的のみならず機能面においても着替えが簡単に出来るような特殊仕上げとなってい る。衣裳は見るだけにある訳ではなく、演技者にとって使い勝手がよいものでなければならない。 頭に乗せるカツラが重すぎないか、踊っている最中に落ちはしないか、カツラを支える紐が歌手の 首を締め付けていないか等にも十分な配慮が必要だ。

素材も高級繊維を多量に使っていることもあり、例えばスパンコールを使った 1 着百万円以上の 衣裳もありました。

衣裳の発注先も、アメリカで作ったり、あるいは中国に発注したりと多岐に渡りました。

これがダンサー分必要になるわけで当然衣裳コストが掛かる。通常 1 ステージ、5〜6 シーン位の情景 が出るがこれらの舞台装置も馬鹿にならないのです。

コスチューム・チェンジも、時には、一度のショーで 13〜15 回もありブロードウェイ的ショー、 バックステージでは3人の着替えのフィリピン人ドレッサーが必要となる。

クリスタル・ クルーズのコール・ポーターショーでは、続けて約 7 分間も歌い踊り続けるシーンがあるが、次の シーンに移るときの息づかいのコントロールにも細心の注意を払います。

踊りの種類もかな りのバラエティに富み、したがって幼いころからのバレー等の基本が必須である。歌手やダンサー の船上生活は華やかそうに見えるが、実はかなり過激な仕事で、ショーのあるときは、必ずリハー サルがあり、ショー自体は 45〜60 分の出し物が続けて 2 回あるプロードウェイやラスベガスでは、 曲目はいつも同じで良いが、クルーズ客船では、クルーズ船客が、毎日変わるわけではないので、 そのレパトリーは、クルーズで 200 曲 以上にもなる。それ加えてダンスも出来なければならないのです。

歌の方もかなりの広いレパトリーの曲目をこなし、一回45分の舞台で約25〜30曲、クリスタル・ クルーズのロックンロールのショーでは合計 120 曲もの歌を歌い踊るのです。

本来の歌や踊りの仕事以外 に、通常は船客の乗下船時の受け付けをしたり、本船来訪者のエスコートをしたりもする。彼らが個室でゆっくり骨休めが出来るスペースが欲しいと言う要望が多数あったのです。

クリスタル・クルーズのショーは、就航後極めて好評で、ゲストのスタンディングオベーションやパフォーミングアー トの雑誌や旅行業界紙等での高い評価が得られれば、出演者自身の勲章となるのです。これが彼らの次のブロードウェイやラスベガス等へのキャリアパスとなるのです。

多国籍従業員(乗組員)雇い入れ会社 ICMA 設立

ヨーロッパを中心とした上級幹部船員/従業員(乗組員)雇用システムの構築に 関連、新会社の船員の採用を、自由で柔軟に運用するために、長所の多い便宜置籍船制度を採用する事で決 めていました。

船上における上級幹部船員やホテル部門のクルーの採用を柔軟に実現する事で、 彼らの国民性を最大限に生かしながら、船上における運航・滞在環境を創る事に決めていた運航部門では、日本人幹部船員が加わる。このヨーロッパ人の体制を、フィリピン人船員や従業員の採用で下支えする体制を基本としていたのです。

ヨーロッパを中心とする多国籍従業員(乗組員)の採用が本格化しだしたこともあり、クリスタ ル・クルーズとしての雇い入れ会社が必要になった。幹部船員やホテル部門の従業員の採用が始まる前に、その雇用関係に対するリクルート・雇用契約・ 送り込みなどの手配が必要になるが、この 一連の作業をオスロとマニラに、それぞれ会社を設立し、そこで一元的に処理する方法を編み出した。日本郵船は、(1) ヨーロッパなどのクルー採用の為に、ノルウェーのオスロに設置する

(2) フィ リピン人従業員(乗組員)の為の雇用・管理事務所を、マニラに開設するという案 が作られたのです。

雇用専門会社 ICMA(International Cruise Management Agency 資本金 45,500 ドル)をノルウェー・オスロに設立。同社が、ヨーロッパ系幹部・上級船員とホテル部門の従業員などの雇用の受け皿となったのです。

一方、雇用人数としては、圧倒的な数を採用しなければならないフィリピンクルー に関しては、フィリピンの合弁会社を通しての採用となった。1990 年初めからスタートしたクリスタル・ハーモニーのクルー雇用に 関しては、ここを通して対応しました。

ICMA に関して言えば、雇用問題には、ITF(国際運輸労連)対策が重要であり、そのために、この雇 用事情を熟知している経験者が重要との判断が働いたのです。

ロイヤル・バイキング社から、ノルウェー 人スベン・ピターセンを引き抜く事とした。同じノルウェーの業界人としてクリスタル・クルーズ の副社長フライデンバーグや、当時のプロジェクト担当者とも旧知で、この分野では管理能力を 高く買われていたのです。

面接の時、”将来性のあるクリスタル・クルーズに賭けたいと言っていたました。クリスタル・クルーズのプロジェクトの姿が具体化した頃、仮想競争相手と考えていたロイヤル・バイキング社は、将来の展望が描けず、アメリカの旅行代理店網からも、見放されつつあり、経営的に混乱していた状況でした。

ロイヤル・バイキング社の事情 に精通している彼のこのコメントは、これから立ち上げるクリスタル・クルーズに対する彼らが見 る競争相手としてのイメー ジを測ることが出来、幹部船員や従業員の中に、クリスタル・クルー ズで働いてみたいと言う将来の移籍候補者がいることを示唆していると思ったのです。

船籍などに関して、後の 1989 年 10 月、バハマに「クリスタルシップ・バハマ」が設立さ れる。これを機に「クリスタル・ハーモニー」の船籍もバハマで登録されたのです。

バハマに現地法人が設立されたことは、税制のメリット以外に、40カ国におよぶ国際船員や従業員の雇用を可能にする大きな意味があったのです。

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顧客のライフスタイルを知る

長期滞在しながら船上生活を楽しむ多くのクルーズ船客にとって、その「ライフ ・スタイル」と 言う基準を通して、快適な人間関係が創られる事が望ましいのです。

これをパッセンジャー・ミックスといいます。

確かに、 モノを買うのも旅の楽しみの一つですが、クリスタルクルーズ社が想定していたアメリカの客層にとって、究極の旅とは「旅の過程を大事にして、 体験を心に刻むこと」であると考えたのです。

クルーズゲストの中で、特に夫婦参加の場合、その体験を通して、 人生の足跡を「同期化」することにより、夫婦の喜びや失敗も共有できることは前述しました。

ラグジュアリー・クルーズ乗船客は、船上での滞在生活の中に、人生の「物語」を潜在的に求めている傾向があります。

思い出を心に刻みたいと思っている人たちである。「記憶に人生の価値や感動を刻む」仕掛けが至上の要請です。

その実現のためには、彼らの船上におけるライフ・スタイル(客相)に最大限に配慮(乗客の世界を知らずして、心配りはできない)をしつつ、クルーズ客船による旅行の”中心”に 「クルーズ船客がいる」という、船上での“舞台”を演出することでした。

船上で彼らが持つライフスタイルや生活・文化と船上で提供する舞台装置の融合する「仕掛け」が 成功の可否を決めるのです。

「サービス」という(船上の)プロダクトの評価は、多くは「人的要因」で左右される傾向が強い。 相性がよければ、訴求力もあり永続性が高いのです。

従って、競争船社よりも優位に立つためには、この 「人的要因」にメスをいれ、新会社が絞り込んだアメリカ人船客層のライフスタイルに基づく「客相」を理解して、クルーズ船客と船で働く従業員(乗組員)との「ケミストリー」の結びつきを強化することが重要。

クルーズ船客との関係においては、「人間」関係を基本と したサービス、それがホスピタリティサービスの基本です。

それは、双方の信頼関係や相性で成り立つものです。

クルーズ船客は、自らの支払うクルーズ料金に対して、クルーズ会社からのこのケミストリーとそれ相応のサービスの提供に「期待」を込めているのです。

「ソーシャル(社交・人的交流)」についてみると、船上における「ヒトとヒトの織り成す人的な要因。

それもお互いのライフスタイルが理解できる客層」がその宿泊・滞在経験価値の核をなす。

従って、新会社として、この事業を長く続けるためには、先ず 「ソーシャル」の分野で他社と大きな違い・特徴を生み出そうと考えたのです。

この充実度が、将来の戦略の核となる、他社との差別化(デフェレンシェーション・差異化)で決定的な差となると考えました。

それは、船上におけるコンテンツのみならず、営業の面における販売網における戦略なとも連動させるのです。 

この確信を元に、「ソーシャル」の面から、船上の滞在環境を考える際に、下記のようなシナリオを描いてみました。

a)船上の滞在環境は、クルーズ船客が主役で、「全ての中心にいる」滞在環境とする。その上で、 従業員(乗組員)との親密な環境を演出し、「ファミリー(後のクリスタル・ファミリー)」的雰囲気を創り出す。「サービス」は、クルーズ客船運航会社の仕掛けである程度対応できるにしても、「ソーシャル」は、そこにいる人間性の交流である。

新しい仲間との交遊の楽しみや人情の発見や歓楽 欲を満たすような食後のロマンチックな環境が重要。

これを円滑にするためには、主役であるクルー ズ船客を支える多様な文化的歴史的な背景を持った多国籍従業員(乗組員)や他の国から来たクルーズ船客の心地よいハーモニーが必要である日本的で同質的な「おもてなし」を越えて、 国民性の違いを通して、「驚き」「感心」「新しい発見」などがこの事業に活力を与えると考えたのです。

b)このようなクルーズ客層の中から、彼らのライフ・スタイル(「客相」)に合わせて、最も快適 な環境を創り出す。

その環境を創るということは、これらの人たち の客層のライフスタイルを理解し、彼らが日常どのような生活をしているのかを知り、どのようなものに興味を持っているかなどを知ることでもあるのです。

サービスを提供する側としても、例えば食事のテーブル・ホストとしての役割は、食事の質やサービスに加えて、その場で2時間余を、彼らが興味を持っている朝のワイドシ ョーや テレビ番組「ベイ・ウオッチ」「ダラス」等のソープ・オペラなどの話題にも積極的 に参加できるような、ある程度の「彼らの常識」を基にした社会知識と言葉(会話力) が必要になリマス。

サービスを提供する立場としては、船上での社交を通して、彼らが 快適と思う「逗留体験」と「パッセンジャー・ミックス」の本質を常に見極める必要があるのです。

c) 「ソーシャル」を演出するには、「贅沢な選択肢」の提供を考える必要もある。 

ラグジュア リー・クルーズでは、「長逗留」が基本で、彼らにとって逗留中の食事をはじめ、人の 出会いや多彩な娯楽など、感動と感性を覚醒する滞在環境を演出する必要がある。

お仕着せの企画 ではなく、多くの選択肢の中なら、彼らが 「気の向くまま」選べるだけの潤沢なメニューを満たす 商品企画力が必要となる。

既存のラグジュアリー・クルーズ客船社との差別化のために、新しい試みとして、競合他社のプロダクトのみならず陸上のリゾート・ホテルなどのサービスやそのコンセプトも積極的に導入する。

これは、多彩な食事の面でも考慮されねばならないのです。

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ラグジュアリークルーズの黄金律.2

最良の船上体験価値を演出する滞在環境とは、以下の6つが掲げられるかと思われます。

  1. プロダクト
  2. コンテンツ
  3. ソフト
  4. 旅行商品
  5. 商品企画
  6. 滞在価値

そしてこれらの要素が織りなす演出によってゲスト一人ひとりの人生観を加えることによって構成されるのです。

ラグジュアリークルーズのゲストはストーリを評価する

ラグジュアリー・クルーズのゲストは、旅のストーリーとゲスト自身が歩んできた人生を旅の「ストーリー」として作り上げることを好まれる傾向があります。

今から遡って約30年以上前の1988 春、クリスタルクルーズ社は、これから造る新造船の建造と同時に、船上での滞在環境の構築に多くの時間が割かれていた様子でした。

まったくゼロから立ち上げる新会社の、それも新造船を導入する以上、その構想は 2〜3 年のレンジで描く必要性があったのです。

新造船の建造は設計段階がある程度まとまれば、後は造船所の強い意思の元で、予定通りのプログラムで建造が可能かと思われていたのです。

その新造船の就航まで 2 年間の準備期間の間は、この新しいクルーズ運航会社の将来の勝負が決まると考えていたのです。

そこにはクルーズ客船事業を構成する、客船というハードと船上での滞在環境というソフトの 2 つの側面からのアプローチが必要でした。

これから始めるクルーズ客船会社に乗船するクルーズ船客の滞在の舞台は、船 (ハード部分)と、 その配船先や船上での滞在環境(ソフト部分)で構成されているのです。

特に船は、船主、投資家である NYK(日本郵船)が中心に主導的に展開する部分であるが、 営業活動に加えて目的地・配船先や船上での滞在環境・舞台環境の構築は、その運航会社が主として担う仕事です。

ハード部分の客船の基本デザインにおいては、既に対象とされたロイヤル・ バイキング社の船など想定競合船社が存在していたので、その前例と具体的に相対的検証ができ、その対応は容易であったのです。

日本の持つ”モノ造り”の技術を積極的に取り入れることにより、費用対効果や利用者の 利便性などを考慮しても、方向性の確認に、それほどの議論は無かったのです。

しかし船という「モノ」の部分は、当初は珍しく感激を与える事が出来ても慣れやすくて、飽きられやすい傾向があるのです。

客室をはじめとする船上における各種の公室や施設などは、技術革新を基にした利便性と目新し さなどにありがたみを感じても、1週間も滞在していれば慣れで新鮮さも薄らぎ、その 優越性に対する評価も忘れられやすいモノです。

また、造船所で図面が書かれた段階で、その技術革新の提案は、他の会社が模倣し追従したりされやすいので、その客船の持つ利便性や長所だけで長い間売り込むことには限りがあるのです。

クルーズ船客の嗜好やライフスタイルの変化などの進 化の度合いによっては、折角の船上の居住環境(特に部屋のサイズ)も、数年で陳腐化するのです。

クルーズ会社は旅のメモリークリエータ

これから始めるクルーズ客船事業は、物流とは異なり、船だけでは成り立たないのです。

このプロジェクトの成否を決めるのが、船上における滞在環境です。クルーズという旅行商品は、これを利用する顧客の旅のドラマであり、ゲストのストーリーを演出する商品なのです。

ゲストの多くは、旅が持つプロセスを3D化したストーリーに期待して、数ヶ月、長ければ数年前から、旅の過程を想像することから始まるのです。

これからこのラグジュアリー・クルーズ業界で生きていく為には、 船上でクルーズ乗船客が楽しめる環境創りを指す滞在環境こそが、この事業の要なのであり、クルーズ運航会社がその責任を担うことになるのです。

クルーズ旅行に魅せられたアメリカのクルーズ乗船客は旅の目的地のみならず、 船上での人との交流など、旅のプロセスに、より興味を示す人たちが中心なのです。

船上でのライフスタイル を求めてくるクルーズ船客に対して、今まで経験した事のないような快適な環境と充実した船上での日々を演出しなければならないのです。

この新しい事業は旅行者に、船上での体験と社交の時を刻み、旅の記憶を売る仕事であり、アメリカのラグジュアリー・クルーズ業界に参入し成功するためには、その旅の記憶を脳裏に刻む環境づくりと怯むことのない革新的な発想の導入が必要なのです。

その実現のためにはホスピタリティ事業の心臓部であるソフト(船上での生活体験の演出)の仕掛け作りが最優先の課題である事を認識する必要があったのです。

クルーズ会社は旅のメモリークリエーターと言える所以なのです。

既存の有力競争相手と互角、あるいは彼らの上を行くためには、これから誘客するクル ーズ乗船客層に、強烈なインパクトと感動を与えるような船上での滞在環境の仕掛けが必要でした。

サ ービスとソーシャルの基本に在る「ヒトとヒト」のケミストリーを前面に出した船上での滞在環境を演出し、クルーズ旅行者が人との出会いで織り成す感動と、心に思い出を刻む仕掛けが求められるのです。

その演出には、新会社の”個性”が、最も重要であったのです。その個性は、 この新会社が、船というハードの上に実現されるサービス・コンテンツ。

即ち、サービスの中身と船上で生活する人たちが醸し出す生活・ソーシャルが、既存のラグ ジュアリー・クルーズ客船社を凌駕するような独自性に溢れた舞台装置であり、それがこの事業の成否を決めると理解していたのです。

他社にない独自性が 実現できれば、当初の目標である新会社のブランドの価値が、この業界やゲストに認知されるに違いないと認識していたのです。

各種の調査を通してこの船上での体験価値を演出する最重要なポイン トは、客層と彼らのライフ・スタイルの分析であり、この願いを定めた客層の絞込んだ顧客が「何を望むか」が最も重要です。

しかも数年先も予見しながら見極めると同時に何を嫌がるかのネガ ティブな要因を出きるだけ取り除く商品構成にあると判断していたのです。

しかし、船上でのサービス・プロダクト、すなわち「船上での滞在体験」を演出する知識は、クリスタルクルーズの親会社のNYK(日本郵船)は全く持ち合わせていなかったのです。

すでに各種の調査や専門家との交流を通して、この企画・構想の段階からある程度の共通認識は持っていたが、その細部にまで思いが至らなかった。この分野は日本郵船が優れた貨物船を多く所有し運航していても、それが生かされない 未経験の分野でした。

既存事業の成功事例は役に立たない

クルーズ事業は貨物輸送と違い、目的地に早着が至上と言うものではなく、物言わぬ貨物 と異なり、個々のクルーズ船客がそれぞれ「主観」を持っている以上、限られた空間にクルーズ船 客を詰め込めば採算が上がるというものではないのです。

詰め込みにより消率席を追及しがちな「モノ」 の輸送とは全く違うビジネスである。

乗船客には、効率や詰め込みなどは馴染まないものです。乗船中も広い生活空間を利用して、クルーズゲストがゆったりと自らのライフスタイ ルを維持しながら満足するような舞台装置が極めて重要です。

採算向上のために、サービスの中身やそれを演出する備品の手抜きは、何度も乗船するリピーターにとっては、前回と何かが違うと疑念を生むのです。

その結果、次回のクルーズは無言でこの船から離れて行き、他の会社の船に移るというのがこの 業界の常識でもあったのです。

その離反船客や販売網の傾向が強まればこの業界では敗者となり、 他社の手に落ちる事になる。ここに、高額商品であればあるほどコストパフォーマンスが重要になるのです。

船上滞在コンテンツの構築が要

この船上プロダクトの構想には、この業界を熟知する人たちのノウハウを「蔵き台」 にするのが良かろうという判断であった。この視点から、早い段階 から適任者を仲間に入れる必要がありました。

船上でのホテルプロダクトと言う環境滞在の構築と共に、実証するプロダクトを持ち合わせない新会社が描く船上コンテンツというソフトに対する構想を、新造船が就航するまでの 2年間のうちにアメリカ・マーケットの旅行代理店網などに対して、期待を持続させる仕掛けが必要だったのです。

旅行代理店網に提示するホテルコンテンツがないゼロから出発する会社としては、 マーケットに対してひたすら期待と納得をさせ続ける必要があったのです。

そこで新しいラグジュアリー・クルーズのコンセ プト を作るキャステングを前面に出す戦略を考えたのです。

新会社のコン サルタント・チームなど幹部に対するこの業界における信用度と、これから雇う 船上で働く人材を前面に出して、船上のパーフォーマーである乗組員という人財で、 マーケットや販売網に訴え掛ける方策を考えたわけです。

また同時に、これから、船上のプロダクト構築の過程で、早い段階から将来のクルーズ乗船客のみならず、共存共栄の不可欠な関係にある旅行代理店など販売網を取り込むことが重要でした。

このため、新造船の建造スケジュールやタイム・ラインに合わせ、彼ら の知識や宣伝・プレスなどの積極的な参加を促し、マーケットが新しいクルーズ客船運航会社の商品企画に積極的 に参加する環境を作るという工程を描いていたのです。

これにより、新しいプロダクトに対する期待感を更に高め、クルーズゲストにとって快適な環境を演出する努力を重ねたのです。 

またブランド構築の過程でも、船上の滞在環境構築の段階から、彼らの力を大いに活用することが、この事業には必要でした。

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ザ・リッツ・カールトンとクリスタル・クルーズのラグジュアリーサービスの共通点

30年以上、観光関連の仕事に従事していた者として、ひとつの結論としてサービス業で成功する黄金律とは、旅を人生のライフスタイルを旨としているお客様が、『私の履歴書』のような自伝書を書くごとく、旅にストーリーを描くことを人生の証としています。

その旅のストーリーの演出を担う旅に携わるスタッフ、ホテルや交通機関、飛行機やクルーズのクルー等との相性の良さが最も重要な要素です。

人と人とのマッチング。
これを仕組み化して構築させる。

これを旅のケミストリーと呼び、このケミストリーこそ、サービス業の本質だと理解しております。

旅も施設や交通手段等のハードとサービスを提供するスタッフとのコミュニケーションのソフトと2つの要素があります。

ハードとしての施設や乗り物はいづれ飽きられてしまう。

しかしソフトとして人と人との強い繋がりは途絶えることはないのです。

そのケミストリーを構築する際に、サービスを提供する側と受ける側との相性や価値観は同じでしょうか?

そして目指すものが同じベクトルを向いているかどうか確認してみると良いかと思われます。

世界中の富裕層に支持されているラグジュアリーホテル『ザ・リッツカールトン』もゲストと運営会社の相性、価値観、そして同じベクトルを向いて、その世界観をゲストが理解しないとリピートに結び付かないのです。

相手に差し入れを含めたプレゼントを送る際には、『WOW』と感動を与えた時にも同じ効果がある。

ありきたりのものでなく、意外性と希少性。

そして贈る相手への損得勘定のない真心は不可欠です。

コンサルティング業は企業と企業との相性を探すマッチングビジネス。

出会い系ビジネスと合い通じるものがあります。

顧客とサービススタッフとのケミストリーを生み出すには、顧客のことを褒めて、褒めて、とことんリスペクトすることから始まります。

どんなにゲストを褒めまくっても相手が反応しない場合は、褒めまくりがまだまだ足りないと思われます。

真心込めて、浮き足立つまで褒めまくる。

しかし、うわべのお世辞は通用しないことを肝に命じなければなりません。

長期滞在旅行の一つとして、クルーズがケミストリーが生まれやすいのです。そして一回の旅行で2つの異なるバケーションを同時に堪能できるのです。

これをワントリップ・ツーバケーションと呼びます。

サービス業のスタッフは、自分が所属する会社からリスペクトされると、その企業に忠誠心を持ち始める。

そして顧客のライフスタイルに共感できると、ケミストリーが生まれる、

ケミストリーとカリスマの組みあわせ。

単独行動に比べて格段に良い効果が引き出される協調関係といったニュアンスで用いられることが多いケミストリーと個人の魅力カリスマの合わせ技でサービス業は大きく繁栄する。
その代表例がリッツカールトン。

ケミストリーとは良い相乗効果とか、互いに好影響を及ぼす、相性が抜群等という意味合いで用いられることもあります。

単独行動に比べて格段に良い効果が引き出される協力・協調関係といったニュアンスで用いられることが多いのです。

反対にケミストリーがないということは、相手に”ビビッ”とときめくものを感じない、惹かれない、どうもしっくりこない”と説明するときのフレーズです。

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ラグジュアリークルーズの黄金律.1

ゲストは常にストーリーを求めている

時に1988年の春、クリスタル・クルーズ社はこれから造る新造船の建造と同時に、クルーズでのライフスタイルのコンセプトの構築に多くの時間が割かれたのです。

新しい客船の建造は、設計段階がある程度まとまれば、後は造船所の強い意思の元で、予定通りのプログラムで建造が可能であると見込まれるのです。

その新造船の就航まで通常 2 年。この間に新しいクルーズ運航会社将来の運命が決まると思われていたのです。

そこにはクルーズ客船事業を構成し、 客船本体のハードウェアと、船上におけるゲストのライフスタイル構築のソフトウェアの2つの側面からのシミュレーションが必要でした。

これから始めるクルーズ客船会社に乗船するクルーズ船客の滞在の舞台は、船本体のハード部分と、 その配船先や船上でのソフト部分で構成されているのです。

特に、クルーズ客船は、船主であり投資家であるNYKが中心として主導し、事業展開するですが、セールス活動に加え目的地・配船先や船上でのゲストの滞在環境・舞台環境の構築を担うのです。

その船の基本デザインにおいては、既に対象とされた当時のロイヤル・ バイキング社の船 など想定競合船社が存在していたので、その前例と具体的に相対的検証ができ、その対応は容易でした。

日本人が得意とするモノ作りの技術を積極的に取り入れることにより、費用対効果や利用者の利便性などを考慮しても、方向性の確認にそれほどの議論は無かったようです。

しかし、客船というハードの部分は、当初は珍しく感激を与える事が出来てもゲストも時間が経つにつれて飽きられやすいものでした。

客室をはじめとする船上における各種の公室や施設などは、技術革新を基にした利便性と目新しさなどにありがたみを感じても、1 週間も滞在していれば新鮮さも薄らぎ、その優越性に対する評価も忘れられやすいのです。

また、造船所で図面が書かれた段階で、その技術革新の提案は、他の会社が模倣し追従したりされやすいので、そのハードの持つ利便性や長所だけでは事業継続は限界があります。

クルーズ船客の嗜好やライフスタイルの変化などの進化の度合いによっては、折角の船上の居住環境は数年で陳腐化するのでしたが、これから始めるクルーズ客船事業は、ハードでは成り立たないものです。このプロ ジェクトの成否を決めるのが、船上における滞在環境あるソフトウェア構築が要だと確信したのです。 

これは実際に乗船するゲストのドラマであり、ストーリーを演出するための商品なのです。彼らの多くは、旅が持つプロセスを3D化し、ストーリーを演習することに期待しつつ数ヶ月、長ければ数年前からクルーズスケジュールを計画し、旅のプロセスを想像することから始まるのです。

そして船の舞台で主役を演じ、多くのストーリー に出会う旅が出来上がるのです。これからこのラグジュアリー・クルーズの業界で生きていく為には、 船上でゲストが楽しめる環境創りを指す滞在環境こそが、この事業の「命」であると理解することなるのです。

クルーズに魅せられたゲストは、旅の目的地のみならず、 船上での交流など旅のプロセスにより興味を示す人たちが中心です。船上でのライフスタイルを求めてくるゲストに対して、今まで経験した事のないような快適な環境と充実した船上で の日々を演出しなければならないのです。

この新しい客船事業は、ゲストに船上での体験を刻み、旅の思い出を売る仕事であり、アメリカのラグジュアリー・クルーズ業界に参入し成功 するためには、その旅の記憶を脳裏に刻む環境づくりとひるむことのない革新的な発想の導入が必須とされます。その実現のためにはホスピタリティ事業の心臓部である船上での生活体験のの仕掛け作りが最優先の課題です。クルーズ会社は旅の「メモリ ー・クリエイター」なのです。

既存の競合他社より上を行くためには、ゲストに強烈なインパクトと感動を与えるような船上では人との出会いで織り成す感動と、心に思い出を刻む仕掛けが求められるのです。

その演出にはクルーズ会社の個性が求められるのです。船というハードの上に実現されるサービスの中身と船上で生活する人たちが醸し出す生活及び交流環境が、既存のラグジュアリークルーズ客船会社を凌駕するような独自性に溢れた舞台装置であり、それがこの事業の成否を決めるのです。この差別化が実現できれば、当初の目標である新会社のブランドの価値が、認知されるに違いないと思っていたのです。

各種の調査を通して、船上での体験価値を演出する最重要なポイントは、ゲストのライフスタイル分析であり、この狙いを定めた客層の絞込んだ顧客が何を望むかなどニーズの先読みする能力が必要なのです。ゲストが出発の数年先も予見しながらそれを見極め、同時進行として、ゲストは何を嫌がるか等の、ネガ ティブな要因を出きるだけ取り除く商品企画にあると考えていたのです。

クルーズビジネスが浸透していない日本マーケットの中で、クルーズ船上のサービスプロダクト、滞在体験を演出する知識は皆無でした。各種の調査や専門家との交流を通して、この企画・構想の段階かある程度の共通認識は持っていてもその細部にまでその思いが至らなかったのです。この分野に関しては日本を代表する海運事業を行なっているNYKでさえ、それが生かされない未経験の分野がアメリカマーケットを対象とした客船事業だったのです。

クルーズ事業は貨物輸送と違い、目的地に早く到着することが至上と言うものではありません。物言わぬ貨物と異なり、ゲスト一人一人がそれぞれ持っている価値観を持っている以上、限られた空間にゲストを詰め込めば採算が上がるというものではないのです。

クルーズ客船には、効率や詰め込みなどは馴染まないのです。乗船中のゲストは広い生活空間を利用し、クルーズ船客がゆったりと自らのライフスタイ ルを維持しながら満足する演出が極めて重要なのです。

 採算向上のために、サービスの中身やそれを演出する備品の手抜きは、何度も乗船するリピーターにとっては、「前回と何かが違う」と言う懐疑心を生み、その結果として彼らは、次回のクルーズは何も言わずに離れて行き、他のクルーズ会社の船に移ってしまうのです。

その客離れの傾向が強まれば、この業界では敗者となり、高額商品であればあるほど、コストパフォーマンスが重要になります。

クリスタル・クルーズ社が船上でのホテル滞在環境と言うノウハウ、ソフトの構築と共に、実証するプロダクトを持ち合わせない創業当時、船上コンテンツに対する構想を就航するまでの2年余りの間、これから誘客活動を展開するアメリカマーケットの旅行代理店網などに対して、期待を持続させる仕掛けが必要があったのです。

旅行代理店網に提示するホテル・コンテンツがない、ゼロから出発する会社としてはマーケットに対して、期待と納得させ続けていったのです。

そこで新しいラグジュアリー・クルーズのコンセプトを作る人材を前面に出す戦略を考え出したのです。マーケットが興味を持っている、新会社の描く船上における体験価値を演出するソフト面の構想を彼らの人材を表に出して、誰がこの舞台創りの演出家であり、登場人物であるかを明確にすることでした。

新会社のコン サルタント・チームなど幹部に対するこの業界における信用度とこれから雇う船上で働く人材を前面に出して、船上のパーフォーマーである乗組員を全面的にアピールし、マーケットや販売網に訴え掛ける方策を考えたのです。

また、船上のプロダクトの構築の過程で、早い段階から将来のクルーズゲストのみならず、共存共栄の不可欠な関係にある旅行代理店など販売網を取り込むことが必要でした。

新造船の建造スケジュールやタイム・ラインに合わせ、彼らの知識や宣伝・プレスなどの積極的な参加を促し、マーケットが、新しいクルーズ客船運航会社の商品企画に積極的に参加する環境を作るという工程を描いていた。

これにより、新プロダクトに対する期待感を更に高め、クルーズゲストにとって快適な環境を、演出する努力を重ねるのです。

 ブランド構築の過程でも、船上の滞在環境構築の段階から人材の力を大いに活用することが必要であったのです。共存共栄をシステム化し、それを構築を考えたのです。

船上滞在環境のイメージとは、プロセスを重視するホスピタリティ事業では、常に人が中心でなければならないと思われます。

クリスタル・クルーズ社がこのラグジュアリークラスに特化し、アメリカにおけるクルーズ業界のオピニオンリーダーとして認められるためには、船上での滞在環境を構成する人に旅に参加する歓びを体験してもらうためには、船上でのプログラムが全てでした。

クルーズ旅行に参加した思い出は、ゲストの脳裏に刻まれ、永遠の旅の感動を創るに違いないと考えていたのです。

そのためには従来のラグジュアリークルーズ会社の真似は避けたいのです。船上でのコンテンツを構成する食事やエンターテイメントのみならず、個性に溢れる多国籍乗組員の採用も含め、彼らの持つ多様性や独自性を積極的に露出して、新会社が絞り込んでい るクルーズ客船マーケットに、常に 100%以上の満足を提供できるような仕掛けが必要であった。

今までの各種の事前調査が生かされる時が到来し、狙うべき客層から、彼らのライフスタイルに対する分析は出来ていたのです。

その上で、クルーズ船客が、クルーズ旅行に求めるものは、サービス、コミュニティ、エンターテイメントを含めた食後の環境でした。

新会社の主対象とするラグジュアリークルーズマーケットでは、上記の船内環境に大きな期待を持って乗船してくるのです。

その舞台演出のポイントは以下の通りです。

 (a) サービスをされる人たち同士の相性
船上の滞在環境は、クルーズゲストが主役と認識。その前提で乗組員との親密な環境を演出し、ファミリー的雰囲気を創り出すのです。サービスは、クルーズ客船運航会社の仕掛けである程度対応できるにしても、コミュニティ面では、人間性の交流を求めているのです。

新しい仲間との交遊の楽しみや人情の発見や歓楽欲を満たすような食後のロマンチックな環境が重要なのです。これを円滑にするためには、主役であるゲストを支える多様な文化的歴史的な背景を持った多国籍乗組員や他の国から来たクルーズ船客の心地よいハーモニーが日本的な「おもてなし」の領域を越えて、 国民性の違いを通して、驚きと感心そして新しい発見がこの事業に活力を与えると察知したのです。

(b)サービスを提供する人と受ける人との相性 
このようなクルーズ客層の中から、客層のライフスタイルに合わせて、最も快適な環境を創り出す。そのためには客層のライフスタイルを理解 し、彼らが日常どのような生活をしているのかを知り、どのようなものに興味を持っているかなどを知ることです。

サービスを提供する側としても、例えば食事のテーブル・ホストとしての役割は、食事の質やサービスに加えて、その場で2時間程度の時間を、彼らが興味を持っているアメリカのTV番組のワイドショーやオペラなどの話題にもついていけて、乗船客ゲストの常識を基にした社会知識と会話力など船内におけるコミュニケーション能力が必要になるのです。サービスを提供する立場としては、船上での社交を通して、彼らが 快適と思う滞在体験の本質を常に見極める必要があります。

(c)多国籍船員を中心としたサービスを提供する人の適性が鍵。
ラグジュア リー・クルーズては長期滞在が基本で、ゲストにとって、滞在中の食事をはじめ、人の出会いや多彩なエンターテイメントなど感動と感性を覚醒する滞在環境を演出する必要があるのです。

多くの選択肢の中なら、彼らが気の向くまま選べるだけの豊富な選択肢があり、ゲストの知的好奇心を満たす商品企画力が求められるのです。既存のラグジュアリー・クルーズ客船社との差別化のために、新しい試みとして、競合他社のプロダクトのみならず陸上のリゾート・ホテルなどのサービスやそのコンセプトも積極的に導入。これは、多彩な食事の面でも考慮されねばならないものなのです。

1:クルーズ旅行の主役であるゲストのライフスタイルを理解する

長期滞在しながら船上生活を楽しむ多くのゲストにとって、そのライフ スタイルを基準にして、快適な人間関係が創られる事が望ましいのです。

確かにお土産などを買うのも旅の楽しみの一つと考えられますが、新会社の想定していたアメリカの客層にとって、究極の旅とは旅のプロセスを大事にして体験を心に刻むことです。

特にご夫婦で参加される場合、共に歩んだ人生の足跡を同期化することで喜びや失敗も共有できるものです。

ラグジュアリークルーズのゲストは、船上での滞在生活の中に人生の物語を求めており、その物語の中に旅の思い出を心に刻みたいと思っているのです。

記憶に人生の価値や感動を刻む仕掛けが、 至上の要請であると考えてます。その実現のためには、ゲストの船上におけるライフスタイルに最大限に 配慮し、乗客の世界を知らずして、心配りはできないものです。

クルーズ旅行の主人公としてゲストが存在するという舞台演出することが必要なのです。

彼らが持つライフスタイルや生活・文化と船上で提供する舞台装置の融合する「仕掛け」が 成功の可否が決まるのです。

ゲストとクルーが、密接に交流して創られる環境。

サービス対象 が人である以上、船上での人間関係の多くは人的要因で左右される傾向が強いものです。 

相性がよければ訴求力もあり、永続性が高いのです。しかし同業他社よりも優位に立つためには、この人的要因にフォーカスし、新規参入のクルーズ会社が客層を絞り込んだアメリカ人ゲストのライフスタイルを理解し、客船で働く乗組員との相性との結びつきを強化することでした。

クルーズゲストとの関係においては、人間関係を基本としたサービスがホスピタリティサービスの基本と言われてます。それは、双方の信頼関係や相性で成り立つものです。

クルーズのゲストは、自らの支払うクルーズ料金に対して、クルーズ会社との相性と相応のサービスの提供に期待を込めているのです。

コミュニティについてみると、船上における人と人の織り成す人的な要因とは相性、しかもお互いのライフスタイルが理解できる客層が、滞在経験価値の中核を成すものです。この事業を長く続けるためには、ソーシャルの分野で他社と大きな違いや特徴を創造したのです。

この充実度が、将来の戦略の核となる、他社との差別化で決定的な差になると考えた。船上におけるコンテンツのみならず、営業の面における販売網における戦略なとも連動させる必要があったので、下記のようなシナリオを描いてみたのです。

ゲストが求める価値観と出会いを創る環境

乗船客は、常に「ストーリー」に価値を求めているのです。ラグジュアリークルーズ業界のターゲットとする客層はモノの所有よりも、 船上における人との出会いや滞在中の体験などを心に刻むことにより価値や感動を求める人たちなのです。船上での「人との出会い」の出会いを、より感動深いものと感じてもらう仕組み作りです。 その場を作るためには、食事の後の充実したロマンスやエンターテイメント、そして食後酒も必要になります。

クルーズ旅行のリピーターは、極めて主観的な旅行経験や体験、新しい発見や 感動”に加え、 自らがどのような扱いを受けたかなどで、クルーズ旅行の価値を考える傾向があります。例えば、あの従業員の態度が悪いとか、テーブルに着いてから食事の時間までが長いか短いか。隣の旅行者の食事の量は自分のものと比べどうか。ウエイターのサービスは自分に対して差別的でないかとか、そ れぞれの能力とは別の所で評価されうる事もあるのです。

どれもかなり主観的旅行経験であるが、彼らはこのような主観で旅行自体の満足度を評価するのです。ゲストの旅のストーリーの充足度に価値を求めているのです。

この事業は、主としてアメリカ人クルーズ船客を対象とした彼らの「文化」を取り込む事業なので、まず何としてもアメリカ人マーケットから受け入れられる仕掛けが必要でした。これを理解していれば、クルーとの相性の織り成す親密さが創れるのです。自分の身の回りでサービスをする乗組員や毎日食事の際に、テープル・ホストとして 2 時間余も会話をこなす幹部社員の役割は極めて重要である。100%のサービスでゲストに 受け入れられて、120%で初めて高い評価を得る関係でもある。

ゲストとの相性と忠誠心

クルーズ旅行は、船上での「体験価値」が重要な要素となっており、当然クルーズ会社としては、ゲストが主役の感動のドラマをどのように演出するかストーリーを構築しなくてはならないのです。その多くの分野では、主役であるゲストと脇役となる多国籍乗組員との相性で決まると言っても過言ではありません。

ゲストの期待が高ければ高いほどやりがいは大きいのです。この相性の濃さこそが、 ラグジュアリー・プロダクトの世界では最重要である、とアメリカのビジネスコンサルタントが各ラグジュアリークルーズ客船会社から指摘を受けているようです。

ここで他社と差別化し、同業他社と異なるケミストリーを構築する必要性を悟っていた。そして他の既存ラグジュアリ ー・クルーズ客船会社のプロダクトとの差異化も図りつつも、ゲストと乗組員の間での 感情面でのつながりを強化するのです。

ここの評価が定着すれば、新会社の顧客層に新会社のプランドが 認知され、会社に対する忠誠心も強化されるに違いないとの判断されるのです。

一方、ゲストが船上において人間関係の織りなす相性がうまくいっているときは良いのですが、些細なことでも思い出の心に傷付き、非常に厄介な問題に発展していく場合もあり得るマイナスの要素も潜んでいることも重要であった。プラスだけでなく、そのマイナスの部分に無関心であると、折角の乗船客を顧客離れになりかねないのです。

ラグジュアリー・クルーズ旅行では、年に数回も乗船するような多くのリピーターで支えられている旅行商品なのです。このリビーターの多さは、ゲストの満足度や感動度の高さと比例しているのです。

統計的にこの理由を掘り下げていくと、船上での生活体験とそこで織り成すゲストとクルーとの相性にたどり着くのです。従業員にとって、 クルーズ客船での勤務は、職業と居住が一緒となる逃げ場がない場所です。また年に二度 三度と同じクルーズ客船に乗ると前回と同じ顔ぶれの乗組員が、「お帰りなさい」と 言いながら出迎え、家族の一員のように、親しみを持って旅行の手助けをしてくれるところもクル ーズ客船による旅行の最大の特徴のひとつです。

 クルーとリピーターとの多くの交流が、クルーズ会社の「一族」としての強い絆になるのです。クルーズ客船の乗組員は、同じ船の家族の一員であると同時に、旅行をより快適にするための添乗員の役割も果たしてい ると言えます。ゲストとクルーとの出会いが新しい滞在価値を呼び覚ますのです。

多国籍クルーとゲストが同じ釜の飯を食う

旅行代理店等の販売網との調査分析を通して、主要ゲストのライフスタイルを前面に出し、乗組員の交流や接触の機会を高め、深める仕掛けが必要であるとの判断をしたのです。

ホスピタリティ産業を構成する要素の中で最も重要なものは、人との相性により構成される想像力とそれを行動に移す実行力なのです。

そこには、クルーズ客船運航会社の種々のノウハウが凝集さ れるわけで、仕掛けで模倣は出来ても、「心」まではそう簡単には真似されません。新会社のブラン ド構築とそれを定着させるその「心」の仕掛けとブランドの持つ価値を最大限に高める環境作りが極めて重要でした。この舞台づくりには、それを構成するサービスする側の人材の発掘と採用、多国籍人材の国民性や多様性を充分発揮させ、クルーズ船客との相性を醸し出し、この会社独特のゲストとクルーのケミストリーを作り出すことを最優先にしたのです。幸い、クリスタル・クルーズ社では便宜置籍の導入を決めていたので今後造成する商品企画の成功の可否を握る大きな柱となったのです。

新規クルーズ客船事業は、今まで経験のないような「滞在型のリゾート」のコンセプトを基本としたクルーズ客船運航会社を創造すると謳っているのです。この実現のために、サービスコンセプトの基本に、有能な多国籍乗組員の採用と運用でゲストを満足させる船上での体験環境を考え出したのです。

サービスに関しては、ゲストにとってコストパフォーマンスが評価しやすい環境、 ゲストのニーズに合わせたサービスの提供により満足度や感動を高め、その結果リピーター率の向上と彼らを通しての「ロコミ」客などの新規客の誘客層の拡大など、将来の万全の態勢に備えていたのです。

その長期滞在の場を提供するクルーズ客船事業を舞台裏で支えるのは、多国籍 乗組員が持つその多様性と感受性の豊かな人材力に賭けることにしたのです。感動は期せぬ出 来事などが生み出すものです。そして失敗が成功へのヒントになるのは、この予期せぬ出来事のお陰である。

考え方も多様であればその対応も異なるものです。日本でよく話題になるマニュアルでの格式的な対応は、多くは問題の処理に目が行きがちで、多様な人種や文化的背景で育ってきたアメリカ人ゲストの相手により異論を生みやすい。感動には現場での問題の処理よりも解決が重視されなければならないのです。陸上のホテルの労働環境と異なり、クルーズゲストと同じ生活環境を共有する船上では、ホテル部門の乗組員の個性や国民性をゲストに露出することによって事業が成り立っています。

船上における滞在環境も含めて、従業員の満足度の高い労働環境と忠誠心があればリピーターの多くは、彼らの仲間になり満足度も刺激し彼らも ファミリーの一員になるのです。ファミリーになれば、阿吽の呼吸が機能するのです。船上の従業員は、新会社のクルーズ商品の船上における旅行商品の伝道者であり、セールスマンでもあります。日本で言うなら「同じ釜の飯を食う」という表現が適切かも知れません。

サービスを提供する多国籍クルーによるダイバーシティ

アメリカの旅行経験の豊富なクルーズゲストに、今まで経験のないような充実した船上での滞在経験を提供するには、世界の人的マーケットから、最善の適材適所の人材を調達する事が不可欠でした。

適材適所の多国籍乗組員の採用が可能であれば、最適な乗組員と乗船客の比率を構築でき、新事業に成功の鍵となります。そしてクルーズ業界で採用されている便宜置籍船としての有利さを十分に発揮する必要があるのです。

便宜置籍船としての最大のメリットを活用することで多様な人材のリクルートを容易にすると考えていたので、船籍はバハマである事が重要でした。

良質なサービスの提供を、多国籍乗組員の採用により、その国民性を背景とした個性に溢れたダイバーシティを最大限に発揮できるサービス環境と主役であるゲストに充分に心配りが出来るような船上でのホテル組織を構築する際、アメリカ人ゲストを念頭に、例えばサービス部門で言うと、メインダイニングでのクルーの配置一つとっても最も適した国民性は何処か、クルーズ客船の台所であるギャレーのマネージメントは、どこの出身者に任せるか。部屋周りのスチュワーデスなどはなぜ北欧系の女性が好まれるのかなどを、精査の上、乗組員の国民性などを中心とした混成チームを考えた経緯があったのです。

クルーズ事業において、船上で働くサービスを提供する人は、彼らの生活やコミュニケーション能力はもとより、 サービスをする側の感性や行動に対する予見力が重要になります。 エンターテイメントの世界で言えば、映画の俳優のような、切り貼りが出来、一方通行の役では務まらない。彼らが職業と住居を共にするので、ゲストの反応を冷静に読み取り、その場で柔軟に対応しながら、臨機応変さに裏づけされた、船上生活と言う舞台周りを創り出す「パフォーミング・アーティスト」でなければならないのでした。

ラグジュアリークルーズ船上の生活環境は、例えていうとコンサートでアーティストが、観衆を前にしながら、感謝の心とともに、最高のパフォ ーマンスを見せる舞台と同じ考えです。そこでクルーズ会社としては、常に優秀な乗組員を確保する事が、サービスの向上のためには必須の要件になるのです。

ゲストに対する計らいのみならず、同時進行してクルーが毎日快適に生活できる環境作りも重要です。自分が運航会社からリスペクトされたていると認識している従業員は、多数のゲストにより多くの感動を与える事を知っていたのです。

このようにクリスタル・クルーズ社は船上サービスの「命」である優秀な人材確保は、ゲストにとっても最善の配置を望まれ、国籍的な適材適所主義とし、世界の人材マーケットから採用したのです。多国籍船員の背景にある国民性の特性を最大限に生かすのです。

当時は欧州系クルーが多く存在し、国籍のそれぞれの国民性の持つ個性や特性を残しつつ、クリスタル・クルーズのサービスミッションを均一化することをを目指す戦略を描いたのです。(これは後の「クリスタル・ベーシック」というサービスマニュアルとして一貫されました。)

多国籍混成の人材を確保する

船上でのサービスの基本をなすスタッフの構成に関しては、適材適所を旨として 白紙に絵を描く作業から始まりました。

旅行代理店、他のラグジュアリー・クルーズ客船 に乗るクルーズ船客等との接触で新会社にとっての相性を考えたのです。多国籍乗組員間の相性のみならず、ゲストとの相性、すなわちマーケッ トに聞くという基本姿勢を貫いたのです。

船上ホテルにおける、サービス・システムに関しては、アメリカ人ゲストが高く評価する欧州スタイル採用を決めていたのです。具体的にはノルウェーシステムとオーストリアシステムの良いところを併用し、後に「クリスタル・スタンダード」として新会社を構築することになったのです。

適材適所の人材を世界各地から集めるといっても、闇雲に手当たり次第とはならないのです。クルーの国民性や生活環境、個性、経験などが複雑に絡み合って、アメリカ人ゲストに、快適なケミストリーを発信する必要があるのです。 クルーズ船の乗組員の構成は、アメリカマーケットの意見を聞くこととしたのです。

世界でも最上級を狙う以上、ヘッドハントも含めそれを実現できる人材を確保することを基本方針としてこれから採用戦略を練る必要もあったのです。

アメリカ人が見る国民性やイメージを一例にすると以下の通りです。

・イタリア人は人との交流を得意とする
・ドイツ人 = 几帳面さが売りもの
・ノルウェー = 清潔感あふれている

以上の点を十分に配慮して決定したのです。

クルーズプロジェクトが、具体化する過程で、多くのクルーズ客船の乗組員構成などに関して、現状とそれに対するクルーズ船客側・旅行代理店などの集客組織側の意見を集めていたが、 それらのデータなどを元に、基本的なクルーミックス(従業員構成)の基本構成を描くこととなった。

本船運航部門
マーケットを席巻している仮想競争船社としての ロイヤル・バイ キング社や NAC 社が念頭に有り、北欧系の船長を含め、日本郵船の優秀な乗組員も乗せ、幹部船員 については、ノルウェー船長他、ノルウェー・日本人の混乗とすることとしたのです。つまりノルウェー人クルーは接待要員としての船長。運航の実務はNYKの副船長が握るとの発想で始まったのです。

船上におけるホテル部門については、ヨーロッパ系ホテル従業員の起用を次のように考えたのです。

・ ホテル、ダイニング従業員:ヨーロッパ系
・ スチュワーデス:北欧
・ ダイニングのギャレー:オーストリア人シェフ 
・エンターテイメント部門トップ:上品な英語国出身者

このようにクルーの国民性を考慮して配属を決定していたのです。

ゲストとクルーの乗船比率

長期滞在の場を提供するクルーズ客船事業は,滞在型のリゾートのコンセプト が基本になっているのです。クルーズ船客層を絞り込んだライフスタイルを基準にしたゲストに合わせて最も快適な環境をづくりを考えると、今までの調査などで、適材適所の国民性以外に、サービスする乗組員の人数の試算も重要になります。これは、サービスに加え、コストや乗組員の居住空間にも影響を与えることになるのです。

主役であるクルーズ船客に充分に心配りが出来るような、船上でのホテル組織とクルーズ船客の比率も重要な指標になる。その船上における、クルーズ船客と乗組員比率を、2対1 と、ラグジュアリー・クルーズの中では最大級のレベルを目指すこととしたのです。これは新造船の従業員は乗組員の部屋の数にも影響を与えたのです。

 日常的滞在環境
クルーズ旅行において、常に主役は乗船客です。クルーズ客船は、船長や乗組員だけのものではないのです。クルーズ客船は、寄港地での観光以外に、船上でのライフスタイルの体験環境の舞台裏の演出が大事です。

その舞台裏とは、主役であるゲストの客層の共通の文化的・ 社会的背景、すなわちライフスタイルが、常に反映されたものでなければならない。クルーズのような滞在型の旅行には非日常的環境は無理があり、長続きしないし、堅苦しく 飽きかやすいのです。気楽さがより重要です。

クルーズ客船会社がセグメントしている客層で、船上での多数を占めるクルーズ船客の国籍や文化的共通性をベ ースにしたものになる。したがって、旅行商品をつくる立場のクルーズ会社としては、ターゲットとなる客層のライフスタイルを充分理解した上で、構想を練る必要があったのです。

ラグジュアリー・クルーズ・マーケットに於けるクルーズ旅行商品の革新には、クルーズ客船会社に、ゲストを合わせるのではなく、運航会社がライフスタイルの時代の先取りを提案する先見力が求められるのです。

アメリカ人ゲストを客層とするクルーズ会社から見ると、彼らにとっては、船上での生活は、英語が通じて、食事もエンターテイメントもアメリカでの生活そのものであり、まさに日常の状況を海上と海外にまで延長したに過ぎないのです。

クルーズ旅行を通じてアメリカでの日常生活をそのまま外国に延長し、その上で、新しい国々・異国を訪ね、深夜までの食事やエンターティメントを楽しんでもその間船は移動し、翌朝は新しい観光地に着いていることなどが、クルーズ旅行の醍醐味であると考えます。クルーズ会社の役割は、アメリカにおける日常性を前提に舞台回りを設営し、寄港地に着いたら海外、船に戻ればアメリカ。これの舞台演出を創造していくのです。

アメリカ人旅行者を対象としたクルーズ客船が、アメリカ的雰囲気に溢れているのは、これらの要素を運航会社が理解した上で舞台づくりを仕掛けているからです。

そして滞在型休暇の宿命として、船上で大多数を占めるゲストの国民性や文化性が前面に出た旅行商品であるとの現実を無視し、クルーズ客船運航会社が自らの主観的経営哲学だけで事業を始めてもなかなかうまく行かない場合が多いのです。

ゲストは、1 人 1 人が異なった価値観に基づき旅行を楽しんでいるが、クルーズ客船会社としては出来るだけ最大公約数的基準を設定し、潜在的船客需要が何処にあるのか十分事前に調査する必要があるのです。

寄港地・行き先・船上での乗組員の構成やサービス方法、食事、船内イベントなどを考えながら、船自体の建て構え・雰囲気を備えた舞台づくりを心掛けているのです。クルーズはこのような多数を占める国籍の旅行者・クルーズ船客を主役としたショ ービジネスであると言っても過言ではありません。まさに洋上に浮かぶラスベガスと言った方が適切かも知れません。

乗船客と乗組員との相性が全て

クルーズ客船は、クルーズ旅行者のライフスタイルの延長線上に存在することは前記しました。しかし、各社がターゲットとするゲストの客層によって滞在環境は全く異なってくるのです。

陸上のゴルフクラブや社交クラブの場合、その入会金として入会料を徴収することで会員などのセレクションが可能化tと思われます。しかしクルーズ客船 はそのような「会員制」方法は取れないのです。船上のライフスタイルが例えゴルフのカントリークラブのような雰囲気であっても、それは閉ざされた会員だけのものではない。すべてがアメリカの消費者マーケッ トに対してオープンなので以下の通りの検証を行なったのです。

上記の様なライフスタイルを持ち、同じような価値観を持つクルーズゲストにとっては、船客同士の居心地がよく、お互いの社交や 交流も活発になる。これが、クルーズ客船社の滞在環境に良い意味の刺激を与えるのです。

プリンセス・クルーズ社の「アイランド・プリンセス号」を舞台とし、その船上での出来事をテレビドラマ化した「ラブ・ ボート」は、船上で起こる人と人の出会いのをロマンチックに描きアメリカで長期間の人気番組でした。

このようなテレビ番組を通じて、主役であるゲストにとって心地よい交流はまさにヒューマン・ ビジネスと位置づける事ができるのです。

全く異なった価値観を持った乗船客が、異なったコンセプトをもとにでき上がったクルーズ客船に乗ると不快な事も多く、滞在型の休暇を台無しにしてしまいがちです。どのクルーズ客船に乗船するかは、その旅行の楽しみ方にも影響を与えるのです。

理由は、一旦船に乗ってしまえば、船の雰囲気が違うといって、下船するわけにはいかないし、予定の変更も効かないのです。それゆえ、このゲストとクルーズ客船会社のミスマッチを避けなければならないのです。

ラグジュアリー・クルーズ客船会社としては、販売網の中核をなす旅行代理店などに、自らセグメントしたゲストは、クルーズに対してどのようなイメージを抱いているのか、そして滞在中の生活環境は、他のラグジュアリークルーズ客船会社に比べて何が違うのかなど、営業面や運航面における特徴を前面に出し、試乗など乗船活動を活発化させ、その違いを具体的に知って貰う必要があるのです。

クルーズ旅行経験者都旅行代理店等を味方につけ、彼らの顧客と新会社のクル ーズ旅行商品との相性を知ってもらい、適切なシステムを構築するのです。

こうしてラグジュアリークルーズの黄金律とはゲストとクルーが織りなす相性が命という結論に至ったのです。

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ラグジュアリークルーズの世界基準

アメリカクルーズマーケット実体

アメリカにおけるクルーズマーケットをリサーチしている段階で、クルーズを計画する乗船客は、パンフレットを入手した瞬間から、自分を主演者にしたドラマが始まると見えたのです。

言い換えれば、乗船客の多くは、自分の「ストーリー」をクルーズを通じて買うのです。未経験者の多くは、旅行代理店の店頭などでクルーズのパンフレットを手にした瞬間から、自分をパンフレットの目的地や船上の体験の中 に思いを馳せるのです。

例えば、ダンスをしている場面や船上でのレセプション、社交の場面が有れば、そこに、自分を置いて、自分のドレスをあれこれ思いを巡らせるのです。

特にラグジュアリークラスのクルー ズに乗る人は、予約をしてから1年から半年も、その料金やサービスの中身の吟味に時間をかけ、自分流の旅の姿を脳裏に描きながら、楽しみを待ち続けることが多いのです。それだけワクワク感に溢れた旅のスタイルでもあります。

多くの旅は、目的地に行くことだけに目が入ってしまいます。しかし人生を語るときに、旅が話題になることが多いように訪問地以外に、そこに至るまでの日々を過ごすプロセスにより多くの時間を割き楽しむように思えるのです。乗り物での移動時間は限られた空間が多く、行動範囲も制限されるので、飛行機やバスのなかで寝て時間を過ごす旅では、この 「過程」を楽しむ機会は比較的少ないものです。

しかし、クルーズ旅行は移動手段そのものも含め、プロセスの主役である以上、食事、船内の散策や就寝前のナイト・キャップなど、多くの人との接点が満載されており、好奇心があれば、多くの人と交流を生む事もできれば、孤独の時間を楽しみたければ、他人に邪魔されること無く、自室で過ごす事も可能です。

船は輸送手段を兼ねており、次の目的地に運んでもくれるので、時間対効果で見ると、 最も充実度の高い旅行のカタチなのである。

日本語で「一石二鳥」と言う言葉があります。「一つの行為で二つの成果を得ること」と意味しますが、 クルーズ旅行はまさに「一石二鳥」に合致した旅行の形態なのです。すなわち1つの旅の形で、2 つの旅行が楽しめることを示している。 その 2つの旅行とは、旅の目的でもあり好奇心や興味を刺激する旅行先と、船上における出会いなど、船上での出会い・出来事・滞在型リゾート体験など旅のプロセスを楽しむ滞在体験への期待できる 2 つの休暇、これらを同時に楽しめることを示しているのです。好奇心と期待を満たさなければならぬ旅のスタイルなのです。

しかも、クルーズ客船はゲストが、船上で食事を楽しみ、寝ている間に、次の新しい訪問地まで運んでくれる、時間的にも体力的にも楽なのです。空港での待ち時間、 ホテルでのチェックインやレストランの予約など、陸上の旅行のロスタイムも無い、時間に追われることのないストレスフリーな旅です。

これらのことを考えると、ラグジュアリー・クルーズでは、

1.旅の目的地
2.旅のプロセスを楽しむ船上体験

以上2つで構成されています。

これらをどのように構成するかによって、評価や格付けが決まるのです。

アメリカでのクルーズの概念とは、船上での体験価値において、アメリカ人ゲストが、船上においてあたかもアメリカのリゾート都市に滞在している生活環境、レストランのメニューも英語、会話も英語。

彼らの自分の生活スタイルをそのまま持ち込んだ日常生活であり、海外の港を巡り、異国での経験や船上で仲間や友人を作り、人との出会い・交流を旅のアルバムや人生の足跡として刻むということです。

アメリカのクルーズ客船は、アメリカ人乗船客をメインとして、 母国アメリカを離れて、異国での発見や体験を経験する事が重要なのです。都会の喧騒から離れた船で寄港地を巡りながら、陸上での異国の文化や言葉を体験し、船に戻ればアメリカの自宅のように落ち着いた雰囲気に包まれるのです。

そのようなアメリカ的要素のある環境に、自らが置かれた舞台環境こそが、至福の歓びなのです。 その実現のためには、 船内施設やエンターテイメントなどが、重要な長期滞在の価値を演出するのです。

ラグジュアリー・クルーズの仕掛けを全体のタイム・ラインで見ると、
1. 陸上での予約までのシステム
2.予約後のゲストへの各種情報提供
3.クルーズ旅行実施

※営業・セールス・宣伝・予約・クルーズ寄港地企画は、ラグジュアリークラスのクルーズは約2年ほど前からプランニングされます。

ラグジュアリー・クルーズは、 他のクルーズ旅行と異なり、上記の1.から2の期間が比較的長いのです。それは、長期滞在型休暇でもあり、乗船客が、自分のライフスタイルに合ったクルーズ客船社を選びたいと思い、それゆえ、 選択に時間を掛けるのです。

世界一周クルーズのような 100 日間もクルーズ客船で旅行するような長期間で、高額商品であればあるほど慎重になり、最終的な決断に時間を要する傾向が高いのです。

このような比較的長いリードタイムの中で、予約したゲストは、クルーズ客船会社の情報を収集し、会社としては、彼らの気分を高揚させてそれを持続させる仕掛けが必要です。その上で、上記3のクルーズ旅行を実行するのです。

乗船客にとっては、船上での滞在体験が、クルーズ行程の晴れ舞台なのです。船自体の居住性や船上でのサービスを中心とした滞在体験環境の充足度や感動が、この事業の根底に流れるリピータービジネスを支えると言う事になるのです。

様々な視点から見た「ラグジュアリー・クルーズ客船」の定義


1987年末、日本郵船はアメリカでのマーケットを主とするクルーズ客船事業は、新造船、かつラグジュアリー・マーケットを対象と決定。

同社は客船事業準備室を開設。ラグジュアリー・クルーズ客船の本質について多方面からの分析をすることになったのです。クルーズ客船のパンフレットや宣伝文句を目にすると、そのどれもが「豪華客船」 あるいは「ラグジュアリー」「非日常の世界」等の表現を乱発して、旅行を計画している人達の興味を引こうとしているのです。

では、この「豪華客船」とはどのような基準で、定義付けられているのでしょうか?

勿論、クル ーズ客船の基準は、

(1) 乗船客から見た基準 
(2) 旅行会社から見た基準 
(3) クルーズ客船評論家が見た基準
(4) クルーズ運航会社から見た基準

でそれぞれ、力点の置き方が異なるケー スも多いのです。

基準軸の取り方によって、評価基準は左右されるが、クルーズの世界で、旅行代理店や専門家が 客船のランクを決める際に、一般的に参考するのは、下記のような視点かと思われます。

1.船の利便性の良し悪し。
例えば、インサイドの客室か否か、あるいは 最近では、ベランダ付きか無しかなどの相対的比較をするのです。

2.サービスの面での「ソフト」
サービスのスタ イルや食器などのサービス備品と、それを実行する乗組員のサービス・システムです。これに加え、 クルーズ船客同士やクルーズ船客と乗組員が織り成す交流などが中心となる滞在環境の満足度が重要になります。

例えば船の大きさと乗客の比率と、乗組員と船客の比率が非常に大きな基準要素となるのです。

旅行ガイドなどの「ラグジュアリー・クルーズ客船」の評価基準は、その評論家自体の乗船経験、 その中でもかなり主観的な好き嫌いが入り込んで評価されている傾向が強いものです。

日本でも評価の高いベルリッツの出版しているダグラス・ワード氏の評価本は1965 年以来、今日まで、船上で生活してきたダグラス・ワード氏個人の客船・クルーズ客船評価実績の各年ベースの積み上げであり、 評価基準に出来るだけ、自分の主観的な判断を排除するように、検証細目を決め、それを、合算する方法を取っているため、より専門的な「ラグジュアリー度合い」の 評価システムといえるのです。

自分の乗船経験を旅行商品として、利用者の側面から格付けをすることを考え、ニューヨークのビルの一角にICPA (International Cruise Passengers Assn) を設立したのです。

ダグラス・ワード氏は、当時は、自らの出版で「クルーズ・ダイジェストリー ポート」を発行。世界のクルーズ客船の評価査定をしていた。下記のようなシステムを作り出し、 その後Berlitz社と提携し、クルー ズハンドブックを発行していた。 彼は評価の基準点として下記の通り挙げています。

1.船自体の機能面や仕上がりサービス評価 (500 ポイント)
 2.部屋周り(200 ポイント)
3.食事 (400ポイント)
4.エンターテイメント (100ポイント)
5.航行スケジュールや乗船体験(400 ポイント)
合計 1,600 ポイント


上記の点を考慮して対象船全てで点数化して最終的な数値を決定しているのです。

このレベルに応じて 「ファイブスター」 とか「ファイブスター・プラス」など言った表現が使われ、ラグジュ アリー度のグループ化がなされています。

彼は、これらの計数化された評価に加え、主に、下記の側面からの分析も加え、 総合評価を下すのです。 その際にはコストパフォーマンスの高さも念頭に入っているのです。

(1) ハード:
船自体の評価・構造や船体全般の評価・清潔度・利便性・宿泊施設としての快適度・家具機器・デコレーション・装飾・フイットネス施設・緊急時の避難経路。

(2) ソフト:
スタッフ・サービスの仕方、雰囲気・メニュー、フードサービスの中身やメニューの多彩さ・エンターティンメントの中身やプ ログアム・乗組員訓練・コミュニケーション力と英語・旅程および寄港地観光の企画や快適度などにも厳しい目を向けます。

旅行ガイドなどのラグジュアリー・クルーズ客船の評価基準は、その評論家自体の乗船経験、その中でも、かなり主観が入り込んで評価されている傾向が強いのです。

クルーズゲストから見た基準

クルーズ船客が、他のクルーズ客船や船社の「ラグジュアリー」度を、客観的に比較したものは少ないが、アメリカにおいては、数百万部も発行する各種旅行雑誌が、旅行者の立場で、ホスピタリティ・ビジネスの「世界ランキング(サー ビス度など)」発表している。例えば『コンデ・ナスト・トラベラー(Conde Nast Traveler)』や『トラベル・アンド・レジャー(Travel And Leisure)」 などは、 その代表的なものです。

彼らは、そのランク付けを、購読者に詳細な質問をぶつけて、 それを集計するシステムをとっている。「コンデナスト・トラベラー」では、ラグジュアリーの評 価基準が示されている。 その比較基準を見ると、下記の通りです。

1. 寄港地・航路企画
2. 船上での滞在体験を演出するサービス
3. 居住空間とそのデザイン
4. 船上での食事
5. 船上での催し・活動・フィットネスなど

ゲストから見た場合は、寄港地と共に、プロセスである滞在体験を大事にする旅のスタイルでもあり、ゲスト自身のクルーズ経験や、個人的な生活背景・ライフスタイルとの比較や、他の社会的・文化的主観が含まれるケースが多く、より独断と偏見なりがちであるとの指摘もあります。

旅行代理店など販売網から見た基準

旅行会社が抱えているゲストとクルーズ会社のプロダクトと共に予約や、 その後のメンテナンスなどの陸上のシステム自体が、判断の中に入り込むケースが多いのです。

特に、クルーズ会社との関係においては、ゲストからの不満などは、 離反顧客の予防に繋がり、その対応が、旅行代理店がフレンドリーな対応をしているか、否かが問われるのです。

しかし、旅行代理店から見れば、システムとしての 「包括料金」は、その管理を簡易化しており、旅行商品として扱いやすく、送客した船客の帰国後の満足度が最も高い旅行のスタイルだと高く評価しています。

ラグジュアリークルーズは、他の旅行形態と比較して、より高額である傾向があるので、予約してから、旅立ち日までの時間が長いものです。

実はこれが、旅行代理店の活用の為所なのだ。クルーズ旅行を予定する人は、旅行の数ヶ月も前から、パンフレッ トを手に入れてから、旅行会社との接触が始まるのです。この期間の面談を有効に利用して、クルーズ会社との相性を探ったり、他の旅行を勧めたりも出来るのです。

ラグジュアリー・イメージ確立のために

評価を得る前に、先ず新会社が望むラグジュアリー・クルーズの客層が、何を求めているのかを知る必要があります。クルーズ事業は、1つの旅の形で、2つの旅行を楽しむ旅のプロセスでもあり、この客層のライフスタイルに於ける嗜好や価値観を冷静に分析し、最大限に配慮する必要があります。

旅行者や彼らとの仲介役として存在する販売網などの「マーケットに聞く」買い手価値を優先する仕掛けを知らざるを得ないのです。

そこで、新会社の船上サービスなどの滞在環境を創る際に、各種の市場調査を行った。その結果、船客層の多くは、以下のようなプロダクトを求めている事が判明したのです。

アメリカ人のラグジュアリークルーズ客船とは

アメリカ人がイメージするラグジュアリークルーズを以下の通りです。

・ 目的地・寄港地企画など配船形態
・ ヨーロッパ人幹部船員
・ 待ち時間の無いサービスと細部まで行き届いたサービス 
・ 乗船時のシャンパンや出航時のエンターテイメント
・ヨーロッパ人の部屋係
・ 24 時間バトラーサービス
・ 部屋には、個人名が記入されている便箋などスティショナリー 
・ 高級なリネン石鹸などのアメニティ
・ 食事の量と飾り付け、メニューの種類の充実さ
・ ワインの種類と豊富な在庫量
・ ソムリエサービス
・ 船内での不要なアナウンスはしない
・ 公室などでのバックグランド・ミュージックの排除
・ 乗下船口は乗組員と別になっているか否か
・ 乗組員の刺青やピアスには否定的

などなどこれからクルーズ事業に進出する新会社としては、これらの嗜好調査を見極めて、 既存のラグジ ュアリー船社との差異化と独自性を徹底する必要がありました。

クルーズ客船と言う旅行者・船客にとっての”世界を漫遊する・浮かぶ長期滞在型 の別荘”は、実は、 水面下には、

1.巨大な工場及び各種施設プラントを備え、その上部に生活・居住区が在る構造になっている。その工場及び各種施設の「ハード の部分」

2.これを、船上に滞在中の生活体験 を満足させるための「サービス(ソ フト)の部分」とに分けることができるでしょう。

船のハード部分について見ると、工場プラント部分は、各種の近代的施設が整備されている。造水能力、冷凍設備の拡充や生活・居住区の改善等が、最近のクルーズ客船の大型化・クルーズ期間の長期化に貢献しているのですが、目立たぬ所では船体を安定させるため海中で翼を出す装置(フィンスタビライザー)などの改善で、 静などに対する不安はかなり解消することとなったのです。

又、居住性に ついても、クルーズ会社は、太平洋横断定期船の輸送手段としての時代とは、明らかに異なった視点から、設備の投資に配慮してきたのです。

クルーズ客船は周遊型で、なおかつ居住性が極めて重要であり、競合関係にある陸上のリゾート地にある滞在型ホテルとか他の滞在型リゾート関連施設を想定して各種改善が進められてきたこともあり、リゾート・ホテルに劣らない部屋の設備や施設が整備されています。

しかし、このようなハード面は、ライバル会社の新造船の投入などが無ければ、 時代の流れに遅れたりして、クルーズ船客から飽きられやすいのです。

クルーズ客船会社として、人的な要素が核になるソフトの面での特徴こそが、旅行商品としての価値を持続し、クルーズ船客の評価と支持が得られれば、クルーズ船客の主観が全てを決めるというこの競争の激しいマーケットにお いても生き残れるのです。

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米国ラグジュアリーマーケットを攻める

マーケットを3つにセグメント

アメリカでは、クルーズ・マーケットは、以下の3つに分かれています。

1. カリブ海を中心にしたサービスに代表されるカジュアル・マーケット。

2.プリンセス・クルーズ社などが求めるプレミアム・マーケット。

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横浜港大桟橋に停泊中の「ダイヤモンド・プリンセス」

3. クリスタル・クルーズ社がそのブランド・イメージの代表となっていた世界周遊型のラグジュアリー・マーケット。

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クリスタル・シンフォニーとレディ・クリスタルのツーショット

これらのクルーズは、その核となる乗客の層も違えば、船内サービスも、乗組員の構成方法やサービスも同じクルーズ世界とは思えぬほどの別世界です。クルーズ会社としてもその対応の仕方が異なります。

特に、カジュアル・マーケットやプレミアム・マーケットでは、大衆を相手にする傾向が強く、船隊として、大型の船を用意しなければならないのです。船隊の整備に巨額の資金が必要になるのです。

リスクのより少ないより少ない船で、選ばれた客層で勝負するニッチなラグジアリー・クルーズに焦点を当てる事が賢明であるのは、明白ででした。

今から30年前、アメリカのクルーズ客船業界、特にラグジュアリー・クルーズの世界は、急激な変革期に突入していたのです。

アメリカのライフ・スタイルの変化とともに、 一カ所の観光ゾーンにこだわらず、世界周遊型やエリア周遊型クルーズ客船事業が形成されつつあったのです。富裕層の出現、あるいは船社間の競争の激化により、船上のライフスタイルに加え、就航先における先見性とか企画力がより重要になってきた時期です。この結果、クリスタル・クルーズ社に見られるように、サービスや配船航路などで差別化が始ままたのです。

ニュー・リッチは、ストック型富裕層とは異なり、豪華一点主義的な消費行動を中心とした富裕層の出現も影響がありました。もちろん、従来型の客船は地方の名士などの資産家のようなストック型富裕層を顧客として取り囲んでいたようです。ニューリッチの出現でクルーズ客船のマーケットのポテンシャリティが、拡大の兆しを見せていたのです。

またニューリッチ世代のライフスタイルは、自分が特別で、何時までも若く自己顕示もあるし、行動的で好奇心が旺盛。サービスにこだわりと食事などに対する興味や多様性に目が行く世代像を描いていたのです。アメリカの社会形態は 50 歳以上の人達が人口の 3 分の 1 になり、彼らがアメリカの富の4 分の 3 を占めると予測。

ラグジュアリークルーズのパイオニア「ウォーレン・タイタス」氏

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シーボーン・ソージャン号(シーボーンクルーズ)

ウオーレン・タイタス氏は、サンフランシスコに、当時、小型船を建造して、新しいラグジュアリー・クルーズのコンセプトを目論んでいたのです。シーボーン社のプロジェクトに関わっていました。

彼は、このラグジュアリー・クルーズの世界では、指導的なメンターとして、高く評価されている人物であったのです。ハワイの船舶代理店に勤務していたのですが、北米での船による旅行の新規マーケットの拡大のために P&O に雇われることとなったのです。

そこで、当時最も行動的な宣伝調査のエキスパート「オグルビー・グループ」と”Run Away to Sea”のキャンペーン等を張っていました。その実績をノルウェーの新規会社ロイヤル・バイキング社が、高く評価したのです。

この新事業に首を突っ込む事になったと言う。その後ロイヤ ル・バイキング社を、唯一無二のラグジュアリー・クルーズ客船社に育て上げた人でした。彼は、 当時の客船が「豪華で贅沢」との評価でありながら実際のサービスは、定期船のような「最低限の居住空間やサービス」であったのを残念に思っていたのです。

何としても、ラグジュアリー・クルーズとして、 他の古典的なクルーズ客船事業から、脱皮させようと、クルーズ客船に対する新しいアプローチを 試み、その結果当時のクルーズの世界で、当時のラグジュアリークルーズの代名詞であったロイヤル・バイキング社を、孤高の評価を得るまでに育てました。彼の基本は、クルーズは、「ライフスタイルの先取り」という発想にあったのです。 

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クリスタル・セレニティのメインダイニング

具体的に、ダイニングルームでは、従先客の自由な選択肢に任せるワン・シーテング(自由席制)の導入や乗客1名に対して、高い乗組員比率。

船客 1 人当たりの船上空間比率の高さ(スペース・レイシオ)や上級客室にはバルコニーの採用、ヨーロッパ人船員の登用とスカンジナビアン・スチュワーデスの起用など、画期的なシステムの導入と、それに加えて、先進的なリピーターズ・クラブの導入など、各種レクチュアー等船上でのアクテビティの充実やテーマクルーズ配船先を「世界」 に求める、ラグジュアリー・クルーズの原点を作りました。

彼の話は、NYKのような、貨物船としての経験が豊富ではあるが、クルーズ客船世界には、余り経験がない会社にとって、非常に参考になったようです。結果として彼が描いたビジネスモデルを、大いに参考としたのです。NYKのクルーズ・プロジェクトも彼が作り上げたロイヤル・バイキング社と同じような仕掛けで始まる事になったのです。

ウオーレン・タイタス氏の話によると、1970 年代に彼が独自に市場調査てした結果、 輸送手段としての客船が、休暇を対象としたクルーズ客船として取って代わり、カリブ海を中心とした1 週間クルーズが爆発的に伸びるとの分析があったのです。

また、アメリカには、未だ発展途上ではあるが、2 週間以上のクルーズ旅行の潜在的なマーケットが確実にあると確信。マーケットはよりラグジュアリーを指向していたのです。

ノルウェーの船主は、このアメリカでの調査を更に深め、そのマーケット調査が示す可能性に賭ける事にしたのです。

より好奇心に溢れ、旅行の経験豊かな旅行者など、ロイヤル・バイキング社が狙うラグジュアリーな客層が、更に増えるであろうとの予兆は、高級ホテルの新設、より高額なレストランの人気や、より高額の車やブティック型の商品の売れ行きなどの調査でも、ハッキリしてました。

NYKの新会社(クリスタル・クルーズ社)設立の際、将来のマーケットのベビーブーマー 世代の性向と極めて類似している客層でもあったのです。

このようなアメリカの客層を見立て、新造船のコンセプトを描くのに、彼らのマーケッティング調査を参考にし、デザイン会社に探求させることとしたのです。特に、マーケティングの分野での調査結果を元に、新しいコンセプトを、果敢に取り入れることを推進しました。

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彼らの食事なども調べ上げ、それに見合った、料金体系や船上のイベント、 寄港地などを決める手法をとったのです。その調査によると、カリフォルニアの客が一番将来性があると言うものであった。その結果、サンフランシスコが、アメリカの本社に選ばれたのです。オスロの事務所は、雇用や一部オペレーションに特化。

彼は以前、イギリス船主の P&Oからノルウェー船主へと渡り歩いたが、その過程で、この業界の人脈の重要さ、特に、業界の現場との接点を持つ事を、何度も強調していたのです。クルーズ客船は、 安全で乗船客が欲することを満足させるサービスで、「ブランドの価値を高める事である」と話していたのが印象的でした。

ラグジュアリー・クルーズの世界で、クリスタル・クルーズの世界戦略を描く際に彼の数々のアドバイスやヒント等も、客船準備室へ伝え、NYKの客船プロジェクトのグランド・デザインの参考となったのです。

アラスカクルーズで知ったアメリカマーケット

アメリカマーケットを知るためには、アラスカクルーズに乗船することが一番手っ取り早いと思ったのです。そこで私もアラスカ・クルーズで乗船した。プリンセス・クルーズ社の「スター・プリンセス」で行くシアトル往復のクルーズでした。

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スキャッグウェイ港に停泊中の「スター・プリンセス」

プリンセス・クルーズ社とアラスカクルーズの上位シェアのホーランド・アメリカラインは、日本のNYKと同じような歴史を辿っていた定期航路が充実していた会社でした。

戦前は、イギリスのタイタニックのように大西洋航路などで、ヨーロッパからアメリカへの移民などを主客として、貨物船以外にもクルーズ客船事業を展開していたのです。

日本にも寄港したホーランド・アメリカラインの「ロッテルダム」等の運航会社てが、戦後、貨物から完全撤退し、クルーズ客船に特化したのです。

大西洋などのサービスでは、航空機に押されて大苦戦をしていたのです。

カリブ海のクルーズが、活況を浴び出した 1970 年代後半から、 彼らは、アメリカ人カーク・ランターマンという、その後の HAL のアメリカ戦略を支える人材を得て、アメリカ・マーケットに重心を移し、オランダ人乗客よりも、アメリカ人乗客を中心とした戦略に転じたのです。これが成功して、 アメリカにおけるプレミアム・マーケットに焦点を合わせた運営を展開したのです。

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「スター・プリンセス」号のアラスカクルーズにて

彼らは、新しい配船先として、”The Great Land” と言われたアラスカに目を付けたのです。当時アラスカは、チャック・ウエストが展開する小型船やスタン・マクドナルドが始めたプリンセス・クルーズなどが、夏場の配船先として集客を強化していた。

カナダのバンクーバーは、このアラスカ・クルーズの基点港として、「カナダ・プレース」など街の中心部の大型客船ターミナルの建設など、その後、大成長をすることになる。

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ヘリコプターでアラスカの大氷河に着陸

アラスカ・クルーズの秘境めぐりは、クルーズに最適であることを発見。多くの入り江、車ではいけない辺境後などに加え、氷河あり、雄大な自然や珍しい動物など、今までのクルーズとは全く違った観光地でした。

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ケチカン港では小型飛行機で寄港地観光

しかも、これらの秘境めぐりは、クル ーズ母船(ホーランドアメリカやプリンセスクルーズ) と小型クルーズ客船、小型飛行機やヘリコプターなど を組み合わせた新しい形の旅行形態であることを発見したのです。

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アラスカクルーズの定番「ホワイトパス&ユーコーン鉄道」

しかもこのようなインフラを、ホーランド・アメリカとプリンセスの子会社であるプリンセス・ツアーが独占しているビジネスモデルに驚いたのです。

小型飛行機やヘリコプターは、冬には全てカリブ海に操縦士ごと移動し、カリブ海クルーズに転用されていました。しかもこれらを利用する料金体系のシンプルさに関心しました。

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黒塗りの「アムステルダム」号

アムステルダム号の定員は1,200 人。そのうち約900人がアメリカ人。他はカナダとオーストラリア等、英語園からの人たちで埋まってました。本船は、船体が黒塗りで、郵船の貨物船の色に近かったのです。

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アラスカクルーズらしくシーフード料理が充実。

オランダの落ち着きを持たせた作りになっており、 従業員は、オランダ人の幹部船員のもとで,旧オランダの植民地、インドネシア人が働いていたのです。船上には、持ち場持ち場で多国籍船員のグループで採用していると言っていた。特に、インドネシア人は、オランダ人の仕事の遣り方に精通していると。

フィリピン人従業員と比較して、一般的に、イスラム教の影響下にあるので、 酒類にも厳しく、品行方正な従業員が多いのです。フィリピン人のようなアメリカ人船客に対する積極さは無いかもしれないといったコメントもありました。今まで、本場アメリカのクルーズを知らない私にとっては、「クルーズ客船とは何か」を考える際に、 この機会は、 強烈な印象を受ける機会になったのです。その後、ホーランド・アメリカも、プリンセス・クルーズも、カーニバル・クルーズの傘下に入りことになったのです。

現在ではラグジュアリーマーケットを対象としたアラスカクルーズも数多く就航していますので、充実したラインアップでお楽しみ頂けます。

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ラグジュアリークルーズのライフスタイル

クルーズ事業は乗客の価値観と販売網の評価で、クルーズ運航会社に対する評価が決まるというこです。旅行商品を造成する側からは、どのような点に注目をしているのかを、客観的に見る必要がありました。

この事業の現場になる業界や乗船客の事情を理解することでした。

アメリカのクルーズ市場概要

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船会社が所有するプライベートアイランド

これから企画するクルーズ客船事業の業界の現状、 市場分析と規模、アメリカにおけるクルーズ・ マーケットの概要の把握と既存のクルーズ会社を分析が必要でした。

その結果、以下のようなことが解ってきたのです。

当時のアメリカの 3 日以上の船旅をするクルーズ客マーケットは、2018年には 1,400 万人で、1泊あたり食事代込みで300 ドル前後の客層を主力とするラグジュアリー、200 ドル前後を中心とするプレミアム、 100 ドル前後の大衆路線を中心とするカジュアルクルーズに特化しつつありました。

特に、プレミアムやカジュアルコンテンポラリーマーケットでは、クルーズ客の 大半はマイアミやプエルトリコなどを基点としたカリブ海などのクルーズを中心として長くて 1 週間というスタイルです。

一方、5%を占める約 70 万人は、これらとは明らかに異なる客層であった。いわゆるラグジュアリーといわれる長期間、しかも年に数回も船旅を楽しむリピーターでした。

多くリピーター は、世界周遊型のクルーズ愛好者であり、1 度のクルーズ旅行に2週間かける人を中心に、長いものになると 100 日間もの間、船旅をするという人々で成り立っていたのです。

その結果、客層、特にラグジュアリークルーズの客層において、次のようなイメージが浮かんできたのです。

1. クルーズ船客のプロファイルとしては年収 6 万ドル、平均年齢 60歳前後、ラグジュアリー・クルーズに はリピーターが大きな比率を占めユダヤ系船客が多い。

2. 富裕層は、多彩な観光地を望んでいる。

3. クルーズは 寄港地・訪問目的地と船上での滞在体験のミックス。旅のプロセスを大事にすることが楽しめる旅である。

すなわち、観光地への移動手段とその地における観光に加え、移動期間中の船内で 世界各国からの多様な人たちと一緒に織り成す滞在型生活体験 を併せ持つ旅の形である。

このように、船上での滞在リゾート施設は、多様な生活空間を生み、 人それぞれのライフスタイルに合わせた喜怒哀楽を刻んでいくのです。

従って、 デスティネーションのみならず、船上における滞在時の生活体験環境が重要であり、その価値をどれだけ高めることができるかが、クルーズ会社としての企画力であり、サービスの基本と考えます。

富裕層を対象 とするクルーズ事業で成功するためには「生活体験価値を高めること」 にあることが必須条件。

船上生活におけるライフスタイルは、ごく普通のアメリカ的な日常性が重要であることに確信を持ったのです。

4.クルーズ会社間での「差別化」が明確であること、旅行会社や顧客は、自分のニーズに合わせてクルーズ客船社やクルーズ客船を選ぶ傾向があるのです。

5. 新造船が出来れば、後続船に真似され数年で陳腐化するが、人材が織り成すソフトは真似されづらいのです。

6.他の旅行も経験したうえで、初めてクルーズを試乗するケースが多いが、これは他の旅行でのパッケージ的なツアーを嫌う傾向があり、新しい旅の形をクルーズに求めているのです。

7. クルーズ試乗のきっかけは家族友人の紹介もあるが、クルーズ会社の宣伝や旅行会社からの紹介も大きいものです。

特にクルーズ知識の豊富な旅行会社などの薦めで船を決める傾向が強いのです。

クルーズ事業は、クルーズ会社と旅行会社との顧客の囲い込み、維持、拡大が大きな成長の鍵となっているのです。

そのためには、クルーズ会社としてはその核となる客層のライフ・ スタイル・嗜好の先取りをする「先見力」が重要です。

8. 初めての乗客は、旅行会社を頼りにしている。

アメリカにおける顧客の囲い込みは自社集客ではなく、強力な販売網である旅行会社のネット ワークを味方につけるのです。

このシステムの構築とは、マーケットを押さえる主要旅行代理店との密接な関係構築が必須条件です。

また、1 度乗船した船客は、自らの経験で次も同じ船に乗るかどうかを決めるし、満足度の高い完璧な休暇であれば、友 人や家族に、この会社を勧めるようになるのです。

9. 初歩的な調査によると、一般的に、クルーズを経験した旅行者のクルーズの評価としては「思ったよりも安くかつ満足度も高い」というものでした。

コストパフォーマンスが良く、船上での楽しみも充実しています。

10. また、CLIA の統計によって、彼らがなぜリピーターになるのか分析したところ、約 50%の船客 がスタッフの親切さとサービス、船客に対する配慮と述べていました。

初めてのクルーズ旅行者は 19% が以前に経験した陸上の旅行よりクルーズ旅行の方が充実していると言います。

特に 13%が部屋・食事・ ショーなど船上体験がよかったそうです。

11. クルーズ会社は旅行会社や顧客のネットワークによる人脈でつながっているのです。したがって、新規参入会社にはこの人脈とつながる人材の確保が必須条件になります。

12. ラグジュアリークルーズの船客は、アメリカの株式市場に影響を受けやすく、乗客は株など投資利益を利用してクルーズを楽しむ傾向があります。

13. ラグジュアリークルーズでは、船上ではファーストフードやお仕着せ料理の定食は避ける、 乗客の好みに任せるメニューが必要。

食事はクルーズの楽しみの重要な要素です。

14. ラグジュアリークルーズのリピーターは、「1 年に 3 回以上もクルーズをする」 が 47%と圧倒的な数字でした。

彼らは同じ船・スタッフと異なった寄港地を求めてクルーズを楽しんでいる人 たちでもあった。

15. クルーズ旅行で何が重要かと聞いた統計では

(a)寄港地
(b)船上で過ごす時間の多彩で充実な環境
(c) 乗組員との相性

以上がクルーズにとって重要な決め手です。

各種の市場調査の結果導き出した結論は、クルーズ事業に とって重要なのは、船上 における「体験価値」、そして船を舞台にした人が織り成す相性 であるということでした。

富裕層の求める価値ある感動とは

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クリスタル・セレニティのカジノ

ラグジュアリー・クルーズ船客の求めるものは日常性。

ラグジュアリー・マーケッ トに対する業界筋の見方は、乗客のライフスタイルが活動的になり、いままで以上にラスベガスのテーマ・ パーク的な要素が求められるというものであった。 彼らのリポートによると、ラグジュアリー・クルーズ・マーケットは以下のような姿でした。

  • 船室的な「キャビン」からラグジュアリー ホテルのスイートルーム。
  • 3度の食事ではより種類が豊富なメニューが求められます。
  •  カジノやラウンジなど船上における活動の選択肢が大事。
  • 船上でのエクササイズ指向が高まる。
  • 船上リクレーショナル施設の充実。
  • 多様なエンターティンメント。
  • ラグジュアリークルーズの評価の基本として、船客あたりの船上スペースと乗客と乗組員の比率がきわめて重要な要素になる。

    一般的にラグジュアリーとは何か。

    この答えはかなり個人的な価値観や、主観的な感覚、経験体験が影響を与える。

    ハッキリしていたのは、 富裕層の多くは、陸上のライフスタイルの延長線で自分の好きな時に好きな事が出来る「わがままな時間と選択肢」を求めている傾向があります。

    日本では、クルーズ旅行は、「非日常性」の体験と宣伝されていた が、少なくとも、アメリカの富裕層は、これとは全く反対の「日常性」が最も大切であるという事であったのです。

    アメリカ人は、自分たちの日常生活の環境(言葉・食事・ライフ・スタイル)をそ のまま船に乗せて、寄港地と言う彼らの「好奇心」を刺激する仕掛けに、この旅行 の価値を求めている との確信を得ました。

    アメリカの乗船客は、自国のライフ・スタイルをそのまま持続しながら、異国の観光地での旅を楽しむ事で、クルーズ旅行の醍醐味を楽しんでいたのです。

    人が持つストーリーに、船上で織り成す多くの交流を通して、色をつけることを願っているのです。

    船上においての行動をみれば、自分が自分の都合に合わせ、自由に選べる多くの 選択肢も必要と言うものです。

    新しい形のクルーズは、従来から描きがちな暇な船上生活ではなく、高齢であってもそれ なりに活動を求め、美しく年齢を重ねること、そして好奇心を 刺激することを望んでいるのです。

    旅行期間中といえども次に訪れる国・都市の歴史が知りたい、絵画を見てみたい、ダンスを習いたい、料理を習いたいなどといった船旅の期間を積極的に自らの生活あるいはライフ・スタイル のリセットにしようとするクルーズ客が多いことも判明。

    このような好奇心や探究心でさらな るクオリティの高い人生を求めていることがよく理解できました。

    いまや、これらアメリカの富裕層の言うラグジュアリーとは、経験価値の高いものであるということです。

    彼らには、モノを持つ喜びよりも、クルーズ客船で船上での出会いとか、経験を心に刻む事により価値を置いているのです。

    従来型のクルーズ客船には配慮が少なかったが、このあたりのライフスタ イルにもとづいた船上での体験価値を演出することを積極的に取り込むことが出来れば、新規参画社でもラグジュアリー・ マーケットでトレンド・セッターにもなれるのです。

    船上での経験価値を究めていくと、クルーズとは、日本で宣伝されるような非日常性ではなく、逆に日常性が重要なのです。

    非日常性の持つ固苦しさは、滞在型の旅行では持続しないのです。

    多くのアメリカ人は、自国での生活スタイルを変えずに海外旅行するというところをクルーズを通じて発見していたのです。

    海外旅行するのに自国での生活をそのまま、維持しながら旅行できる事に、クルーズ旅行の良さを見出していたのです。

    これらの旅行者の新しいニーズに合わせるため、サービスを提供するクルーズ運航会社は、寄港地という旅行先と船と言うリゾート環境での生活に、開放感やサービスを受ける快感と選択肢が多くて好きなときに好きなことが出来る滞在環境など宣伝文句を加え、新しい旅行マーケットを開拓します。

    この時間をどのように刺激するかがポイントです。

    空路や陸路を中心とした空港・ホテル・レストラン・移動のための時間待ち時間のロスタイムや異国における言葉の違いから来る意思疎通の難しさが関わってきます。
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フランス3つ星レストランでの食事

一例として、パリの高級 レストランに行っても、フランス語メニューでは、食べ物が出てくるまで自分が何を注文したか判らない等の煩わしさをクルーズでは出来るだけ解消しようとしていた。

このような極め細やかなシステム構築が、当時の旅行者にとって、陸上の旅行などよりも圧倒的な支持を得たのです。

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日米クルーズ価値観の違い

日本側のクルーズに対する価値観

1980年代、アメリカを中心としたクルーズブームと日本でのゆとりの増大や海外渡航ムードに支えられてクルーズビジネス発展の夢が膨らんだ.

日本郵船(NYK)は上記を背景に、1960年の「氷川丸」引退以来、約4半世紀ぶりに客船事業を復活させたのです。NYKは世界のクルーズマーケットをター ゲットとする目標の高さを大義名分とし,既存の 日本マーケットとの正面衝突を和らげるコンセプトとして客船事業のプロジェクトを推進していました。

クリスタル・クルーズ創業前の1987年にNYK本社とクリスタル・クルーズ社があるアメリカ側のコンサルタントとの間で、会議が行われたエピソードがあります。

これは米国クリスタルクルーズ社がNYKからの指示に基づいた質問、種々の調査事項に関しては、アメリカ側から報告され、それらも加味して、NYK側のこのプロジェクトに対する基本的な事案というべき青写真が用意されていたのでした。1987 年 6月にアメリカ側のクリスタル・クルーズ社が雇ったアメリカのコンサルタントとNYK本社との会議のエピソードがあったのです。

その会議の目的は、アメリカで採用したコンサルタントの顔合わせと、アメリカ側に伝えられているNYKの基本プランに関して、アメリカ側のコンサルタントとの意見の調整でした。

結論から申し上げると、この会議から35年の月日が経過し、現在クリスタル・クルーズは北米マーケットを中心にラグジュアリークラスのブランドの名を馳せるようになったのです。

会議自体は、主に提示されていたこのクルーズ事業のNYK案の説明に終始し、アメリカ側のコンサルタントは聞き役に徹したのです。理由はクルーズのメッカ、アメリカにおけるプロ集団であっても、初回の会議では、様子見に徹するしかなかった。

NYK本社曰く

「ラグジュアリー分野、日本船社の独自性を生かすためにも、まだ欧米船社によ って開拓されていない太平洋を中心にしたサービス構想として進めるべき」

という提言しそれが柱となっていた。

しかし、アメリカ側から見ると、環太平洋を中心とした配船は、「リピーターマーケット」の配船先であり、全く新しい会社ではリピーターが存在しない現実かつ、アメリカ人客船マーケットでは最も需要の少ない就航先であって、サービスを開始するのは至難の業と思えた。

日本郵船本社に意向に対して、 運航面、集客面などの基本的な処で、食い違いが発生する余地があった。

日本側の環太平洋クルーズ構想

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横浜港大桟橋に停泊中の「飛鳥Ⅱ」(旧:クリスタル・ハーモニー)

この会議で、日本側の描く構想は「環太平洋クルーズ客船構想」であり、 日本郵船本社としては、これが、クルーズ事業に参入する際の“絶対条件”であるという。

その後当時の構想とは多少異なるものの、完全な日本マーケット向けのラグジュアリークルーズは「飛鳥」「飛鳥Ⅱ」として日本最大級のクルーズ会社として成長したのです

コンセプトは「太平洋の女王が君臨」

日本側の構想は以下の通り。

1・新規クルーズ客船事業は「日本郵船による環太平洋クルーズ」と位置付け、世界有数の客船運航会社を目指す。

2・会社組織は東京、運航本部はシンガポールに設置。

アメリカには、アメリカ人集客を対象とした集客機能のために現地法人会社を設立し、そこに日本人幹部として、会長、副社長、経理部長、海務部長、新会社船長を配属させる。

3・新造船のハードウェアは最上級レベルで、しかもその最先端を行くような新造船の整備士、将来的には3艘体制と考えていた。のちに、2003年にクリスタル・ハーモニー、クリスタル・シンフォニー、クリスタル・セレニティの3隻が揃った。

4・配船先
春:万里の長城の「中国」から桜咲く「日本」のアジアクルーズ
夏:氷河のアラスカクルーズ 
秋:パナマ運河の観光通航
冬:最後の楽園・南太平洋、オーストラリアとニュージーランド

5・セールス戦略は当面、50%をアメリカ人乗客が対象。将来的にはオーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・香港やヨーロッパなどの国際的なマーケットに拡大。

日本人乗船客は、クルーズそのものが世の中に浸透していないことを考慮して10%程度。数年で30%は達成したい。

特に南太平洋エリアでは日本人乗船客で過半数を目指す。

当面は主な客層はアメリカ人に頼らざるを得ないので、サンディエゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、シカゴ、ダラス、マイアミの7ヶ所んいアメリカ人セールスマネージャーを置き、カナダにも現地セールススタッフを置く。

最重点営業所は日本や香港に直行便が就航している都市中心部に構築。

6・料金の設定は、配船行程が決定次第、アメリカ側のゲートウェイを決め、そこから航空料金を交渉して航空料金を含んだクルーズ料金を決める。価格は当時の「ロイヤル・バイキング・クルーズ」社に対抗するレベル。

7・船上のホテル部門は日本に供給マーケットがないため、ヨーロッパ人やフィリピン人に依存しざるを得ない。フレッド。オルセン、ウイルヘルムセン社など日本郵船のチャネルを通じて依頼する。

8・新造船に対する基本的な方針:建造監督は日本郵船工務部。アメリカ側は建造の早い段階から本線に予定される船長、機関長など現場に派遣したい意向だが、直接造船所との話に介入されると現場が混乱する恐れがある

9・本船(クリスタル・クルーズ)乗組員構成:安全運航が最優先。日本郵船の安全基準を熟知している日本人船員を核にして運航する体制をつくる。

10・クルーズ客船における接客面で優れている経験豊富な欧州人船長を雇い、将来的な展望を踏まえて、この船長の下に日本郵船から派遣される副船長を配属。機関部問は日本郵船出身の機関長の監督指揮の下で欧州人副機関長を雇用する日本人と欧州船員の混乗形態とし、日本郵船船員との混乗に慣れたフィリピン人船員を起用。

11・NYKから派遣される船長他幹部社員にはアメリカ人乗船客を念頭に、米国での文化や習慣を理解させるため、一定期間英会話や接客マナーのトレーニング、約半年間のホームステイを実施させたのです。

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世界中から集まるクルーと(クリスタル・セレニティ船上にて)

このようにして新造船は、最高級のハードを備えた「太平洋の女王」でなければならない。 さらに、このクルーズについては、以下のような青写真が描かれていたのです。

1・船のハードは振動や騒音の少ないハイグレードな電気推進。乗船料金は1日あたり約400ドル(日本円;約56,000円 2022年9月現在)乗客定員は1,000人以下、クルーズ日数は1行程あたり10日〜2週間。

2・ソフトとハードの両面で世界最高水準のサービスを目指す。NYKが開発したコンテナ輸送技術である氷温技術を積極的に生かして最高のクオリティを求めた食材を提供し、様々なコスト削減を実現。そのロジスティックセンターをシンガポールに拠点を設ける。

3・サブレストラン
日本における最高級和食レストランと同様に、クルーズ客船を通じて最高級の日本文化を世界に広める。

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クリスタルクルーズ船上で提供された日本食

このようなNYK側のクルーズ客船事業のアウトライン は、戦前の定期客船運航の延長線上で、NYKの潜在的な力を信じた内容だったのです。

当時に日本人社会もバブルで浮かれ、数年内にはアメリカの客船人口までとは行かぬまでも、それに近い船客が見込まれると思われたので日本を中心とした国際客船を建造することで、 その需要を満たせるという憶測があったのです。

アメリカ側のクルーズに対する価値観

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アラスカの人気寄港地スキャッグウェイにて筆者

前項における日本側の構想は、アメリカ側としては、極めてハードルの高いものであった。

彼らにとって問題と思われたのは、本船の就航先と、運航部門の運用法であった。

クルーズエリアの問題:
環太平洋の配船とアメリカ・クルーズ・マーケット配船先の決定は、クルーズ事業の企画力で、最も労力を要し、営業的に最も重要な仕事である。これ如何で、採算が大きく変動する。

クルーズ乗船客が存在するマーケットで、2 年先のマーケット状況を予見し、集客戦略を練るアメリカ型の考え方と、日本郵船の名で建造する新造船と、「新しいクルーズ・マーケットを創る」 という熱意を基に、新しい客を創出し誘導しようとする日本郵船との考え方はこの事業の進め方に関して言えば、両極端な考え方でした。

アメリカ側では、このサービス・サプライヤ ーの利益優先型の配船計画や運航では、マーケットでの支持は、広がらないと懸念したのです。

アメリカ側の主張は、クルーズは、ライフスタイルであり、個人の嗜好に基づいて構成されている「客層」を運航会社の意向に合わせて、首に縄をつけるような”運航会社の希望するデスティネーションに誘導する集客戦略は、非常な労力を要し、その成果を短期間で得るのは難しいと判断。

否定的で、配船の基本航路を環太平洋に固定する環太平洋クルーズ客船の発想に対して懐疑的な見方をしていたのです。

その中でも、集客を携わるアメリカ側のセールスの意見としては、「アメリカにおけるラグジュ アリー・マーケットの主客層であるユダヤ人乗船客等を文化的な価値や範疇から最も遠いと思われる日本やアジアといった異質な配船先に誘致することがいかに難しいか。

「とても日本までアメリカ人を行かせる自信はない」

と、環太平洋クルーズ客船構想に対してなかなか頷かなかったのです。

使い勝手や利便性で、優劣が評価しやすい「モノ」と異なり、極めて抽象的なクルーズ船客の「主観」が、旅の価値を決めるクルーズであれば、「マーケットに聞く」 仕掛けを徹底すべきです。

固定客もなく、ブランド・イメージも創られていない状況で「マーケットを創る」誘惑には乗るべきではないと言うのが、アメリカ側の意見でした。

当時は、地中海でパレスチナ解放戦線による、アキレラウロ号船上でシー ジャック事件が発生(1985 年)、1986 年にはニュー ヨーク州ロングアイラン ド島沖で米トランス・ワールド航空機(乗員・乗客 228 人)が、空中爆発を起こし墜落したテロ事件の結果の後 1988 年 12 月 21 日、イギリス・スコットランド上 空でパンンナム 103号機爆破事件。

いわゆるリビア政府が関与したとされるロッカビー事件も発生などでヨーロッ パ・地中海向け旅行のマーケットが停滞してはいたが、それでも、アメリカ人の旅行者の目はヨーロッパを向いており、太平洋や日本を含む極東は、彼らにとっては、 興味の薄い配船先なのです。

アメリカ人にとって日本を含めた環太平洋エリアのクルーズは、アメリカマーケットにおいては、既にさまざまな観光地を行き尽くして、その最後に行くと言う、「秘境」を目指すリピートマーケットでした。

このように、当時のアメリカ旅行会社のマーケットリサーチを通して、アメリカの旅行会社が抱えている客層を主要な旅行先をヨーロッパから、日本を含めた環太平洋エリアに向ける事は、至難の技であると判断したのです。

アメリカ側から見ると、

「何が何でも、ヨーロッパに向いているアメリカ人乗船客を日本に目を向け、この船に乗せろ」

という発想に思えた。

そのアメリカ人船客が 50%、残りの不足分を同じ英語圏のオーストラリアやニュージーランド、 それに日本のマーケットで補充すればやって行けるというのがNYK案の基本にあったのです。

当時は、日本人が円高で豊かな気分になったとはいえ、10 〜14 日間のクルーズに出かける客層極めて小さく、この構想では採算的にも苦しい事は明らかでした。

また、オーストラリアやニュ ージーランドのクルーズ 乗船客は、まだ発展途上で、その多くは旧英連邦系の P&O やキュナード社等英国系クルーズ客船の船客であったのです。

料金的にも新会社が想定しているレベルより 1 ランク低めに設定されている客層で、彼らを未だ 2 年先にしか、新造船が就航しないクルーズ客船に誘致することは極めて困難だったのです。 

現実に、まだ会社の具体的な姿や船上の仕掛けなど、イメージも分らぬ段階で、数年先の配船予定だけで、船客を誘致しようとすることは、旅行会社にとっては、自分達の抱える顧客に、まだ見たこともない船にしかも乗客の期待薄の日本を含むアジアをサー ビスする新会社船を薦める無謀な商売は出来ないと考えていたのです。 

結論的にアメリカ側の「マーケットに聞く」ことを最優先することになったのです。

英語力と日本人とノルウェー人幹部船員の混乗

このプロジェクト の検討の段階でもう一つの難題があったのです。

NYKがこの客船事業を投資するから、運航上の最高責任者は、安全運航への信頼が厚い日本郵船出身の船長を前提に、船上における船員、特に幹部船員の職務権限を明確化すると言うものでした。

もし、欧米のクルーズ 船客が、幹部船員との交流が必要と言うのであれば、ノルウェー船長を接待要員としてとしての採用。

つまり幹部船員を日本人とノルウェー人の混乗だったのです。

運航面での実質的な権限や船上における指揮権は、日本郵船出身の船長が握るという発想です。

この事業が、NYKにとって、ある意味で、長年の” 念願のプロジェクト”でもあり、この事業が具体化するにつれ、それに関わる人たちの熱い感情が伝わってきたのです。

対象は、モノで はなく、ヒトであるところに問題があったのです。

当時のアメリカのクルーズ客層や旅行会社などに高い評価を得ているノルウェー幹部船員でなくても、東京側は、日本人幹部船員主導で、アメリカのクルーズ客船マーケットに参入すれば、ラグジュアリー・クルーズの覇者、ロイヤル・バイキング社はノルウェー幹部船員など、当時のラグジ ュアリー・クルーズ・マーケットの一角を占めることが出来るとの自信に溢れていたのです。

NYKの行う事業である以上、自社の乗組員を前面に出して、運航する事に対して、違和感が無かったが、それも日本のマーケットが 存在すると言う前提です。

NYKとして、特に海技の技術と歴史に裏づけされた、優秀な「船員力」で、 アメリカ人やヨ ーロッパ人が支配するアメリカの客船マーケットに一石を投じたい思いが強かったように思われます。

NYKの海務部門の主張は、本船の安全運航や操船上の技術・保船の能力 は優れているNYKの幹部船員に任せる体制が最優先事項であり、日本人幹部船員の多くもすでに海外駐在の経験もある。

これは英語も出来るという視点からの議論でした。

これに対し、アメリカ側は日本人幹部船員を中心とした船上組織構成を考える NYKの基本案に対しても懸念を隠せなかったのです。

アメリカ・マーケットを主戦場にするという方針のもとで、主要船客のニーズに、迅速にして、柔軟に対応できるような仕掛けを生み出す「便宜置籍船」として運航することが、この事業の成否を決めるとの意見で一致。

従って、幹部船員は、このラグジュアリー・クルーズ業界で一目置かれているノルウェー人を雇用するのが好ましいと結論を下していたのです。 

アメリカのマーケットの要請や国際的な混乗の仕組みの他に、英語力の問題などがクローズアップされ、以下の2 つの視点からの検討が必要だった。

1つ目は、 船上での指揮権との兼ね合いである。彼らの多くは国際船員を支配下に置き、乗船する欧州船員なども含めた500人前後もの船員と 1,000 人ものクルーズ船客を統率する共通語としての英語を通した「コミュニケーション力」が必要となる。 

2つ目は、ラグジュアリー・クルーズの評価を左右する船上でのホスト役ての問題でした。アメリカ人のライフスタイルを基本としたレジャー指向の強いクルーズ客船の評価を決める、多くの乗客に船上での滞在体験価値を高める必要あったのです。

より高い満足度を求めるラグジュアリー・クルーズに乗船すろ顧客を増やすことが、この事業の成否に関わってくる以上、生活の中から身に付いている英語力によるコミュニケーション能力と経験豊かなヨーロッパ幹部船員の特長を生かさない手はないというのが、アメリカ側の主張であった。

クルーズ旅行は、目的地や運航技術に加え船上での生活がクルーズの価値を左右するものである。

アメリカ人幹部やアメリカの主力旅行会社や乗客の描く、当時のラグジュアリー・クルーズの船上の雰囲気は、ロイヤル・バイキング社に代表されるような「サロン」や「クラブ」的な存在であった。

当然、アメリカ人船客のライフ・スタイルに入り込んだ話題・社交術が求められるのです。

「日本人幹部船員に、アメリカ人乗船客路の食事の席での会話力や話題力、アメリカの毎日のテレビのモーニングショーの話題や映画・ 音楽・芸能界の話、小説等の話題も含めて、彼等のライフスタイルを理解して、約2週間のクルーズでのテーブルで乗客を楽しませる事が出来るのかと纏ったのです。

新しくコンサルタントとして雇った彼らも、日本に行くと、ほとんどの食事の席での会話が、仕事の話、ゴルフの話、レストラン等の話で、極めてローカルかつ日本的な話題が多い印象を受けたのです。

欧米社会のような、CNN などで報道されるようなホットな話題は少なく、彼らの経験を通して、アメリカ人船客が船上で求めているような 娯楽や社会の出来事の話題は極めて少ない事を知っていたのです。

日本人の幹部船員に、 主要客であるアメリカ人、その中でも、主要な客層を構成するユダヤ系アメリカ人客に対して、どれほどの交流術があるか不安を感じていた。

また、過度にプライバシーに、踏むこめない日本人に、アメリカ人向けの愉快な会話術があるのだろうかと、 アメリカ人コンサルタントや旅行会社も疑問に思っていた。

アメリカの西海岸の旅行会社の担当者の多くは、中高年女性で、彼らの家族の中には、太平洋戦争や朝鮮戦争などに関わった人たちが、多くいたことも意識せざるを得なかった。

当時は、急激な円高による日本資本のアメリカ流入があったころだった。

特に、ゴルフ場の買収やホテルの買収や突然日本人経営になる事によるネガテイブ・インパクトなど、当時のアメリカは、日本バッシングも一般的であった。

このプロジェクトに関連し行った乗船客の反応 チェックの為の初期マーケット・リサーチによれば、年配のアメリカ人乗船客や日本人船員の優秀さを知らないユダヤ人の客層にとっては、日本人の凛々しい制服姿は残念ながら、ドイツ人軍人と同じように、映画の「パール・ハーバー」等の映画の世界の「太平洋」を思い起こさせるという厳しいコメントも少なからずあったようです。

彼らにとって、「太平洋」とは、硫黄島を含めて激戦地を意味するというユダヤ人もいる。

現実の例として、アメリカ人船客はドイツのクルーズ客船「オイローパ」を敬遠し乗船しない。ポケット・マネーを使ってまで、不快な環境に身を置きたくないのが彼等の本音らしいのです。

これは、相手の感情やサブリミナルな意識の問題であって、提供側ではコントロールできない話でもあった。

旅行会社やクルーズ船客の多くは、電気製品や車など、日本製品がアメリカで高い評価を受けている事は理解していたが、会話や接遇などが重要視されるホスピタリティ・ビジネスの世界においては、日本資本の所有しているホテルにおける、日本式マネージメントやサービス方式は、必ずしも高くは評価されていなかった。

市場調査で現実的な解決案を模索

 アメリカに滞在した多くの駐在員にとっても、10 人ものテーブルで、英語で毎日2時間の場を楽しませるためには、かなりのアメリカの生活に入り込んだ話題が求められます。

日本語のタイトルや翻訳、通訳 を通してしか接する事のないアメリカ的映画・音楽・娯楽ニュースの話題は、理解するのも簡単でないことも認識しなければならない。

このような、アメリカ側の主張もあり、NYKではこの事業に携わる主要幹部船員候補生に対してクルーズ客船に携わる準備として、英語力の向上のため日常会話についていける程度の英会話力とアメリカの文化を学びながら、接客マナーをマスターするためにホームステイなどを通して実習したのです。

アメリカ人富裕層のライフスタイルが理解でき、ほぼ毎日数時間の会話の場を楽しませることが出来るとは到底思えなかったのです。

特に、新しいクルーズ客船が注目さ れればされるほど、日本郵船が考える船上組織で、アメリカのクルーズ乗船客が求めるライフスタイルをどれ程演出できるのかといった視点での注目が、集まっていたのです。

ロサンゼルスのコンサル タント・チームとしては、最初の「プロダクト・デリバリー」でのマーケットの反応や評価か極めて重要であるとの意識が強かったのです。

また、このマーケット・リサーチでは、出きるだけ客観的に、世界のクルーズ客船における多国籍乗組員とアメリカ人クルーズ船客の混乗とその相性の側面も、更に掘り下げて調査することとしたのです。

NYKとして、全くゼロから始める事業である以上、初めてのクルーズ事業において、欧米人幹部船員や乗組員のノウハウを最大限に生かさなければならないのです。

その際に、船上に於ける従業員の構成にも大きな影響を与える多国籍間 の相性に対する理解が重要でした。

事実、世界のクルーズを見渡してみても、ドイツ船員主力の船にはドイツ人客、 同じ英語国船であっても英国船員の多い P&O の船に乗るのは豪州人やニュージーランド人で、アメリカ人は乗らないという母国客船主義のような傾向がはっきりと出ていたのです。

この辺りの背景も客観的な調査の意図するところであった。
判断の基準をマーケットに聞くと言うことでした。

コンサルタントの採用により方向性が見えてきたこともあり、以前よりス ムーズに進んだ。

次の一手は、ラグジュアリー・クルーズのマーケットを更に掘り下げ、今描いている最も望ましい「究極のクルーズ会社」の姿を引き出すことであった。すなわち、更なる乗船客のライフスタイルを十分理解する必要がある。

今までのアメリカ・クルーズ・マーケットと言った漠然とした広い意味のクルー ズマーケットから、さらに焦点を、「ラグジュアリー・クルーズの世界」絞り込んで、新しいラグジュアリ ー・クルーズに特化したクルーズ客船社の創設を想定して、将来の「ブランド創り」の核になる初 期調査が必要になってきた。 

これには、既存のラグジュアリー・クルーズ客船社やその客層に焦点を当て、全米の旅行代理店や業界関係者の聞き込みなども含め、多様なマーケット・リサーチが必要であった。このような調査を通じて、日本の客船準備室と以下のような認識を共有することとなった。 

マーケット調査の分析とヒアリングの結果

ラグジュアリー・クルーズ業界の規模や客層のプロファイルが、より明確になったのです。

客層が絞り込まれたラグジュアリー・クルーズには、世界周遊型で、季節に合わせた「多様な」寄港地・配船先に加え「船上体験環境」の充実さが、非常に重要であること。

すなわち、カリブ海などのゾーン型クルーズ運航を指向するカジュアルやプレミアム・クルーズとは異なり、ラグジュアリー・クルーズは、長期滞在のクルーズ旅行で「ワン・トリップ・ ツー・バケーション」の充実度を、 極限まで高める必要がある事が理解できたのです。 

滞在型体験には、食事等も含めた船上プロダクトとエンタテインメントの質や寄港地観光の充実度が重要な要素になるのです。

その充足感が、リピ ーター率を高めるのです。

運航における多様な寄港地と、その企画力、船上におけるクルーズ旅行者の充実した滞在体験、その結果であるクルーズ船客の満足度による判定が事業の成功の可否を決めると言っても過言ではありません。

長期滞在・体験型旅行の形であるがゆえに、船上での生活環境や、クルーズ船客が持つラ イフスタイル、そして、その旅行空間に存在する人間の織り成す相性が最も重要な要素を占めるのです。

「モノ」の質の良し悪しは、客観的要件の検証で、判断し易いが、ヒトが作り出す「サービス」 のクオリティーの基準は、受け手である顧客のライフスタイルによる「主観的基準」で判断される傾向も強い。

したがって、船上に於ける 人間関係・構成において、社会心理学的なサイコ・グラフィックの分析も必要になった。どのような生活環境を有した従業員がクルーズ船客に接するのが良いのかなどが、船上での旅行体験を演出する上で、極めて重要であり、これが顧客満足度に繋がる。

将来、企業として成長するための方向性は、2006 年以降のベビープーマー世代のコブにありこの基本設計の「長期展望」は正しいとの確信に至ったのです。

何とか、2006 年まで最低3隻を確保し、その後のベビー・プーマー世代を取り込み、成長する努力が必要であるとの判断でした。

新参会社として、このアグジュアリー客船の客層を押さえるには、2 つの分野での、既存のクル ーズ会社やクルーズ船客に対して、差別化・差異化を徹底して独自色を明確にして「WOW」(ワオ)と言わせる、独創的で積極的な方向付けが必要であることを認識した。

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クリスタル・セレニティでのカウントダウンパーティ

既存のラグジュアリー客船との差別化


既存のラグジュアリー客船との差別化、その答えは将来の競争相手となる船社の分析を知ることです。

その上で、絞り込んだ客層にとって重要なものは何かを考え、新規会社としての既存会社との差異化・魅力度をいかにマーケットに伝えるかの答えを探求するのです。

何か顧客に与えるインパクトが必要であること。

新しい客層は、よりアクティブな船上生活を望む。 次世代のコンピューター・システムの導入。

船上での教養教室や良質のレクチャーも重要で、アメ リカ人クルーズ船客にとって、船上は「日常性」にあふれたもので無ければならぬ。アメリカの言葉(英語)・通貨(ドル)・ライフ・スタイル(ハンバーガーもある)の延長であるべきだ(ホーム・アウ ェイ・ホーム)。

非日常性は長続きしないし、飽きられるといった調査結果が出た。滞在環境の充 実 が他社とのデフェレンシェション(差別化)に最も大切な鍵となると判断していたのです。

ターゲットとする客層に、最も近い販売ネットワークにおける仕掛け。

その主要ターゲットなる客層に到達するまでの業界の仕掛け・ 関わりやカラクリを分析した上で、旅行会社のネットワークを味方に付ける必要があったのです。

特に、クルーズ初心者にとって旅行会社が与える影響、つまり共存共栄関係を強調、関係を確立することはとても大きいものです。

この様な差別化が、マーケットに周知でき、就航後のプロダクトが期待通りなら、この業界、特にラグジュアリー・マーケットでは旅行代理店やクルーズ船客の口コミを通してブランド の浸透は早いに違いないと確信していた。

幸いな事に、各種の調査、旅行代理店網やクルーズのリピーターとの接触からラグジュアリ ー・クルーズの分野において、その当面の競争相手になるロイヤル・バイキング社が、必ずしも、 彼らから 100%の支持を得ていないことを知ったのです。

 ロイヤル・バイキング社は、このラグジュアリー・クルーズ業界で、一人勝ちの状態で有ったが、 このクルーズ客船社を所有するノルウェーの親会社 3 社が、彼らの本業である海運業での不振で、 クルーズ業に対する意思の微妙な食い違いを生んでいたのです。

アメリカの事業推進の核である ウオレン・ タイタス社長の退社、それに加え、サービス自体がマンネリ化し他に競争がない事により、サービスが傲慢になりつつあるのです。

またリピーター比率が、高くなりすぎ、平均船客層が 65 歳を超えるほど高齢化している傾向があります。

時代の変化に対応できるような新しい客を取り込む仕掛けに欠ける = 船上 における旅行商品開発力の陳腐化。人材の流失により、プロダクトに貫かれていたシステムが変容し、適切なサービス に対する訴求力に欠けているように思われるのです。

 彼らの親会社3社としての将来の展望が、不明確な事に対して、不安を感じていたし、 既に、船隊も老朽化しているにも拘らず次世代船隊像を描ききれない所に、特に旅行会社の多くは失望していたのでした。

当時、ノルウェーの親会社が同じくノルウェー資本であるノルウェージャンクルーズライン社から買収などを仕掛けられ、長期的な展望を開けるような環境でなかったのです。 

これらの調査を通して、私たちは、初期ブランドの構築には、下記が重要であると確認したのです。

旅行会社や将来の船客に対する認知 が最重要であるが、今まだ形に見えるプロダ クトがない状態では「誰が」このプロジェクトを推進しようとしているか、人材作戦を前面に出す。

ラグジュアリーマーケット進出の際、既存のブランドとの差異化がどこまで出来るかがポイ ントとの認識に至ったのです。

マーケットとの接点においては、旅行会社など販売網との共存共栄関係の構築が不可欠との結論を出していたのでした。

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