アメリカ旅行業界に革命を起こしたクルーズ

航空料金の価格破壊

画像

11990年代のアメリカ航空業界の規制緩和は、流通ネットワークである米国の旅行会社に大きな影響を与えました。

旅行商品の販売ネットワークの中核をなす旅行会社の仕組みや、そこで働くスタッフの対応に変革を迫られたのです。

航空料金の自由化により、搭乗客には多くの選択肢が増えたは良いものの、その顧客対応する旅行会社は、料金が日々変化する航空料金や同じ路線でも航空会社によって料金が大きく異なることで混乱を招いたのです。

さらには旅行者を囲い込むために各航空会社が導入したマイレージ制度により、顧客対応が煩雑になっていたのです。

多くの旅行会社は、航空券の販売に、多くの時間を費やしていました。当時のCLIA(クルーズ客船国際協会)の調査によると、1回の予約に約45分かかっており、非効率的であったのです。

また、料金も競争により低下し、低水準で推移した。

1990年代にはIT化によってコスト削減、旅行会社に支払われる販売手数料に上限が設けられ、利益率が大幅ダウン。航空券の販売は旅行会社にとって採算が合わないビジネスになってしまったのです。

新しい技術への設備投資が行われる一方で、顧客と顧客をつなぐ店頭販売網である中小の旅行会社の体力は、減収が続く中で急速に低下し、航空券のみの販売から、より利回りの高い旅行商品の販売に移行する傾向にあった。

規制緩和による事業環境の激変に戸惑う販売網に対し、米国のクルーズ船運航会社は、クルーズ客船国際協会(CLIA)の設立を通じて、数々の新たな挑戦を試みたのです。

航空料金価格破壊の打開策

CLIAは、米国独占禁止法上のリスクを回避するため、クルーズ市場の拡大に主要な活動を集中させた。

CLIAは、新造船が就航するたびに、新聞やテレビを通じて、他の旅行形態との比較やその価値、クルーズの料金体系、下船後の満足度、新しい旅行形態を理解してもらうための「試乗」などを紹介し、市場の活性化に着手したのである。

また、「クルーズバケーション月間」など、クルーズ旅行の認知度を高めるために、主要雑誌やメディアを通じて全国的なプロモーションが数多く展開されたのです。

これらのプロモーションの多くは、クルーズ旅行はいかに満足度の高い旅行であることを前提に、旅行会社が販売しやすい商品として売り込まれたのです。

また、クルーズ会社で予約した旅行者には、クルーズ料金と航空券を組み合わせた「フライ&クルーズ」というを新たな商品を導入。航空会社もクルーズ会社とコンタクトを取らなければ成立しないような商品もあった。

この効果は特にアメリカ内陸部の中小旅行会社に顕著に表れたのです。組織化しようとする多数の旅行会社も、複雑な航空券の手配から解放され、新しい顧客層を開拓することにもつながった。

CLIA加盟のクルーズ運航会社は、航空券の販売などに苦労していた多くの中小旅行会社を囲い込むことに成功し、新しいクルーズ乗船客を獲得することができたのです。

また、CLIA会員各社は、旅行会社スタッフに「クルーズ試乗会」と称する特別なクルーズを積極的に企画し、旅行会社の担当者にクルーズ体験してもらったのです。

下船後、旅行会社は自分たちの常連客を中心に、従来の飛行機を使う旅行とクルーズ旅行との違いを伝えてもらうこと、つまり「口コミ」に一番期待したのです。

零細旅行会社を救ったクルーズ業界

画像
クルーズ船上のプールで楽しむ乗客

実際、クルーズ会社の業界担当者によるクルーズ試乗会を開催しつつ販売網を拡大。特に地域密着型零細旅行会社のスタッフの販売活動が、その後のクルーズ市場を支えていくことになるのです。

一度試乗をクルーズを経験した旅行会社は、その満足度について高い評価を与えることが多く、これらの旅行会社は先客にその経験をアピールするようになリマした。

販売すべき商品は、まず販売する側に知ってもらわなければならないのですす。このクルーズ試乗会は成功したのです。

しかも、クルーズの商品は、クルーズの目的地だけでなく、長期滞在中の船上滞在体も重要な要素です。

船上での体験の部分は、乗客の満足度と密接に関係しています。

つまり満足度が高ければ、またクルーズを体験しに来てくれる可能性が高くなり、リピーターヘと繋がるのです。

個人事業的な零細旅行会社も、徐々にクルーズ旅行の楽しさを理解し始め、クルーズビジネスに精通しつつあったのです。

彼らはクルーズという商品をよく理解し、何よりも自分自身が体験しているからこそ、自分の抱えている顧客に説得力のある説明ができるのです。

クルーズ船は、陸上のホテルと違って、クルーズ旅行のベースとなるパンフレットがあり、予約受付のシステムも明確。

ホテルと違って部屋などの割り当て販売なので、パンフレットで選んだオーシャンビューの部屋と、実際にクルーズ船に乗船したときのオーシャンビューの部屋のイメージに違いがありません。

ホテルの場合、実際には宿泊してみないとわからないことが多々あります。

クルーズは事前に自分が希望する客室を指定することが可能です。

このようにクルーズほど中小、個人事業的存在の旅行会社にとっては販売しやすい旅行商品に発展していったのです。

当時ラグジュアリークルーズの代表的存在であったロイヤルバイキング社(現在のバイキング・クルーズライン)の場合、当初のクルーズ市場は、何度もクルーズに参加している乗船客が中心でした。

その「リピーター」をいかに増やし、何度もクルーズに足を運んでもらえるようなフォローをするかが勝負だったのです。

ラグジュアリークルーズの場合、あるサービスに特化することでリピーターを増やす必要がある。

そのため、船内ではサービスや食事がこれまで以上に重要視されたのです。

これまで高価な商品というイメージが強かったラグジュアリークルーズ市場には、多くの「リピーター」が存在します。

彼らはこれらのクルーズ商品を熟知しているので、接客に要する時間は短いのです。

またクルーズ運賃は、フライ&クルーズとして航空運賃とパッケージになっているケースが多く、販売価格に対する旅行会社のコミッションは、航空券の販売だけよりもはるかに有利でした。

航空業界発展に貢献したクルーズ

画像
早朝のデッキウオークはクルーズの醍醐味の一つ

このような背景から、クルーズビジネスの仕組みを理解し始めた旅行会社ネットワークは、次第にハイエンドなクルーズに目を向けるようになったのです。

各旅行会社が送り込んだ乗船客が乗船中に船内で予約できるシステムを提供することで、船内予約をコミッションとして旅行代理店に自動的に還元することにも成功。

この船内予約システムによって、これまで旅行会社は、初めてクルーズに参加されるお客様には数分、2回目のお客様には15分かかっていた予約を、わずか数分で1回分取ることができるようになり、クルーズビジネスの将来性を実感したのです。

————————————————————————————————

旅行手配の旅行会社様からのご依頼はこちら

旅行手配以外の官公庁及び法人様お問合せ: info@celebrityworld.jp

※個人の方からのお問合せはお答え出来かねます。

————————————————————————————————-

米国がクリスタルクルーズに注目する理由

富裕層向けインバウンドの成功事例として、格好の模範となるのが米国クリスタル・クルーズ社でした。

このクリスタル・クルーズ社は、最初のオーナーであった日本郵船が、1960年の「氷川丸」の引退以来、すべての定期クルーズ船の運航を休止していました。

しかし1987年にレジャー産業におけるクルーズ事業を目的として、クルーズ船の運航を復活させることにしました。

『松』(北米市場向け大型船)
『竹』(日本市場向け中型船)
『梅』(地方創生を目的とした小型船)

クリスタル・クルーズは、この3つのプロジェクトを同時に進めることにしたのです。

クリスタル・クルーズは、日本郵船本社の客船準備室が1988年にロサンゼルスに設立した100%出資の子会社。

その第一番船「クリスタル・ハーモニー」をベアボートとして、乗組員やエンターテイナーを乗せ、北米のクルーズ市場で事業を行うことを目的としていたのです。

外国人幹部は、ロイヤル・バイキング・ライン社のノルウェー人、フライデンバーグ船長とエンガン船長以外はすべてアメリカ人で、スバルスキーは当時イギリスP&O社の子会社であったプリンセス・クルーズ社の出身であったのです。

彼らの指揮のもと、アメリカ人や約15カ国の永住者を含む100人以上の陸上職員が、プロダクション・ショーの制作、クルーズ商品の開発、スケジュールの編成、港での船舶代理店の任命と監督、船の整備、乗組員の採用と配置、船の運航の指揮、船の乗客と乗組員のための食糧や物資の調達と積み込み、船員への各種サービスなどに従事しました。

乗客・乗員の食料・船用品などの調達・積み込み、マーケティング(広告・宣伝)、航空券予約、乗船券発行、経理などの事務を担当。

乗組員の募集、面接、配属はオスロの事務所を通じてヨーロッパとフィリピンで行われ、船長はキュナード社のカイ・ユルセン氏。

スタッフ船長はロイヤルバイキングライン社のリードルフ・モーレン氏、ホテルディレクターは同じくロイヤルバイキングライン社のオーストリア人、ディーター・ヴェータンツル氏で、彼は船の建造中に三菱重工の長崎造船所に派遣されました。

乗組員の3分の1を占めるフィリピン人船員をはじめ、ノルウェー人の航海士や機関士、スウェーデン人のスチュワーデス、オーストリア人のシェフ、南欧や東欧からのウェイターなど、30カ国以上から集まった500人以上の外国人男女が働いていたのです。

また、プロダクション・ショーに出演するために、英語を話すダンサーや歌手も雇われていたのです。

クリスタル・ハーモニー(現:飛鳥Ⅱ)紹介

画像

作家、阿川泰弘氏のエッセイより

1990年の横浜からハワイのホノルルまでクリスタル・ハーモニーの処女航海に乗船した作家の阿川泰弘氏は、そのエッセイ「七十の教え」の中で当時の状況を以下の様に記載されてます。

太平洋戦争末期、日本郵船会長だった宮岡公男氏は、若い頃、少尉航海士として戦艦大和の沖縄特攻に随行して駆逐艦響で出撃したが、幸か不幸か浮遊機雷に遭遇して航行不能になり、呉港に帰港せざるを得なくなったことがある。

終戦直前の暑い夏の日、「響」が舞鶴の海軍病院船「氷川丸」から給油を受けた際、「響」の将校全員に船から夕食の招待状が届きました。

お湯が溢れるタイル張りのお風呂に入れられた後、食堂に入ると、白いテーブルクロスの上に洋食のフルコースが用意されていた。

食後には、シンガポール土産のブランデーと外国のタバコをご馳走になった。

あまりのありがたさに、宮岡氏は「これはどこの会社の船ですか」と聞いたら、

パーサーが「日本郵船です」と答えた。

第二次世界大戦が終戦し、舞鶴で見た「氷川丸」の白く優美な姿と、船内で受けた信じられないようなもてなしが脳裏に焼きついてい他のである。

宮岡氏が船内で受けたこの世のものとは思えないほどのもてなしは、彼の心に焼き付いて離れないのである。

ー中略ー

宮岡氏が社長の時、「クリスタル・ハーモニー」(現「飛鳥II」)の建造が始まったのです。

「七十の教え」作:阿川泰弘氏

日本郵船社長の苦渋の決断

画像
横浜港、山下埠頭に係留している「氷川丸」

戦後、「氷川丸」はシアトル航路に復帰したが、船員費用などの運航コストの高騰や大型ジェット機の導入により、旅客航路から完全に撤退したのです。

その後、日本郵船は、コンテナ船、ばら積み船、自動車運搬船、鉄鉱石・石炭運搬船、紙材料運搬船、原油タンカー、LPG(液化石油ガス)船、LNG(液化天然ガス)船などを運航する世界最大級の貨物専業海運会社として成長し、現在に至っています。

しかし、この間、米国市場を中心にレジャー産業としてのクルーズ事業が著しい伸びを見せていたのです。

「クルーズ船を保有しない日本郵船は高級呉服売り場のある三越のようだ」

と感じた社長の宮岡氏は、周囲の反対を押し切って1987年にクルーズ船運航事業への参入を決意したのです。

北米市場向けの「クリスタル・ハーモニー」と日本市場向けの「飛鳥」(総トン数28,856トン、乗客定員600人、1991年竣工)の建造を決意したのです。

「クリスタル・ハーモニー」の主な概要は以下の通りです。

クリスタル・ハーモニー(現:飛鳥Ⅱ)概要

画像
クリスタル・ハーモニー最高ランクの客室「クリスタル・ペントハウス」

建造: 三菱重工業株式会社 長崎造船所
受注時期 1988年6月
竣工:1990年7月
船籍:バハマ
総トン数 49,400トン
全長:241メートル
幅:29.6メートル(パナマックスサイズ)
主なエンジン ディーゼル発電機2基、補助発電機1基
出力:47,000馬力、32,800KW、2軸、電気推進式
航行速度:22ノット
最高速度:23ノット
乗客定員: 960人
乗組員数:545名

船長以下、チーフエンジニア、副船長、アシスタントチーフエンジニアのほとんどがノルウェー人でした。

それ以外の乗組員は30カ国以上の多国籍混成で、当社所属の日本人士官は、副船長、副機関長、一等航海士、機関長にそれぞれ限定されています。

ただし、進水当初は一時的に二等航海士、二等機関士などに日本人士官を増員されました。

————————————————————————————————

旅行手配の旅行会社様からのご依頼はこちら

旅行手配以外の官公庁及び法人様お問合せ: info@celebrityworld.jp

※個人の方からのお問合せはお答え出来かねます。

————————————————————————————————-

クルーズがブレイクした人気TV番組

この時代の旅行業を盛り上げたハリウッド映画をピックアップすると、次のようなことがわかります。

1977 年 9 月 24 日土曜日の午後 10 時、米国の 3 つの主要ネットワークの 1 つである ABC テレビジョンは、「ラブ ボート」の初演を放映しました。

ジェラルディン・サンダースによる 1974 年の本に基づくと、プリンセス・クルーズ社の 20,000 トン、640 人の乗客を乗せたパシフィック プリンセス号に乗船するステビン船長とその乗組員と乗客に関する一連のロマンティック コメディ テレビ ドラマの始まりでした。

Charles Angel (1976-81) のアーロン・スペリングがプロデュース。シリーズが各クルーズの寄港地をツアーする際に、毎週 1 つのエピソードが放送されました。海外の寄港地とともに、クルーズは新しい旅行形態として視聴者に強い印象を与えたのです。テレビ放映の最初の 7 年間、この番組はその番組の中で最も人気のある番組であるエドサリバンショーと同じくらい人気がありました。

放送開始から7年、当時の人気番組であったエド・サリバン・ショーと並ぶ人気を維持し、乗客の参加が認められたため、常に早期完売を続けてきました。このプログラムの出現により、旅行はアメリカ人にとってよりアクセスしやすくなりました。


「ラブボート」シリーズは、当時の主要なクルーズ船を使って1986年春まで続きました。それはロケで撮影され続け、船上で2時間のスペシャルとして放映されました。ロマンスと船上での生活の楽しさが加わって、クルーズは完璧な休暇と見なされ、それ以来アメリカ人によって世代を超えて受け継がれてきた伝統でもある旅のスタイルなのです。

 再会のプロセスがテレビ中心だった時代に、この番組のインパクトは絶大でした。プリンセス・クルーズは、映画で主役のステイヴィング船長を演じたギャビン・マクラウドを、ブランドのスポークスマンとして宣伝し続けたのです。

————————————————————————————————

旅行手配の旅行会社様からのご依頼はこちら

旅行手配以外の官公庁及び法人様お問合せ: info@celebrityworld.jp

※個人の方からのお問合せはお答え出来かねます。

————————————————————————————————-

クルーズ旅行の本質

クルーズ旅行では、世界中で300隻以上のクルーズ船が就航しています。それぞれに個性が有り、その寄港地やサービスの多様性は非常に豊富な選択肢がある事に気がつくのです。クルーズ旅行とは一回の旅行で2つの異なった休暇を楽しむことが出来る旅なのです。

(アメリカでは「ワントリップ・ツーバケーション」と言われてます。)

船の寄港地として訪ねる世界の観光地や名所に加えて、船上での生活・体験が旅の思い出を作るのです。旅行の観光地も大事ですが、船上でのライフスタイル体験の充実度も客船やクルーズ会社を選ぶ際の重要な要素になるのです。クルーズ船社側は自社の経営方針に基づき1~2年先の就航海域やルートの企画します。 

そして各種調査を経て最終的なスケジュールを作成します。その配船先を企画する際、クルーズ船社はセグメントした客層の意向や予算などを見極めて船の就航する海域を決定。そして食事やエンターテイメント等の船上プロダクトにおける生活環境を決めるのです。

アメリカ人ゲストが中心のクルーズ船のクルーズライフは、彼らにとって心地よいアメリカ的な日常性のある環境よりに成立っているのです。日本人とアメリカ人がそれぞれ求めるクルーズに対する価値観や考え方が異なるのは国民性によるところが大きいからです。

画像
クリスタル・ハーモニー(現在:飛鳥Ⅱ)最高ランクの客室、「クリスタル・ペントハウス」

ヨーロッパ人クルーとアメリカ人乗船客によって成り立つアメリカ的環境このような傾向は何もアメリカ船だけの問題ではありません。ドイツ船は限りなくドイツのライフスタイルを取っていますし、フランス船には フランス的な食生活が満喫できる船に成っているのです。

船上での生活がクルーズ旅行の大きな楽しみであるが故に、どのような船を選ぶかがクルーズ旅行の満足度の決め手になるので、自分が最も自分に合った船を選ぶには、クルーズに詳しい旅行代理店のアドバイスを求める事をお勧めします。特に日本のクルーズ会社や旅行会社の多くは 未だに豪華客船と言う表現を使って販売していることが多いのです。 

これらのミスマッチを少なくするためには クルーズ旅行を計画される場合、クルーズ船社のパンフレットが決め手。

これは外観はどれも華やかで綺麗に出来ており超豪華とかの表現も氾濫し、クルーズ船社の特徴や区別・差異が良くわからないケースが多いので、旅行代理店のアドバイスやインターネット情報等を出来るだけ集め、積極的に活用しましょう。そして豪華とか非日常性等の言葉に惑わされず値段だけではなく、シビアに船上生活する視点からも比較検討をされることをお勧めします。 

「部屋は海に面しているか?」
「ベランダがあるか?」
「使われている家具の素材は何か ?」
「バスタブは有るか?」

クルーズによって異なっている事も知っておく必要があります。

中にはマニアックな客層向けの1泊400ドル(日本円に換算して約55,000円.2022年9月現在)前後の予算の探検船もあります。

各クルーズ船社は彼らの営業上絞り込んだ客層を対象としてクルーズのサービス海域や船上のプログラムを組んでいるケースが多いのです。

タヒチなど南太平洋を主としてサービス海域とするクルーズ客船では小型船のため、船内にはエレベーターのない船もあります。

これは新婚旅行層や若年層にマーケットを主たる対象としているために高齢者や歩行を苦にする船客には不向きかと思われます。しかしマリンスポーツのプログラム満載で若い活動的な客層には受けるに違いありません。

夫婦でシルバームーン休暇をカリブ海の船旅に求めたところ、子供が多く不愉快であったとか、子供家族連れの船旅を選んだためベビーシッターもおらず、なおかつ船上の子供用プログラムも少ないのです。結局、子供の面倒見だけで疲れたと言った不満も良く耳にします。これらは船旅の実情に対する情報不足からくるミスマッチに依ることが多い傾向です。

このリサーチを怠るか、積極的に調べるかによってその人の生涯における「クルーズ人生」を大きく左右することになります。

この記事の観点から今後のクルーズ旅行を参考にして頂くのではなく、富裕層に特化したインバウンド事業の観点でご覧いただければ幸いです。

————————————————————————————————

旅行手配の旅行会社様からのご依頼はこちら

旅行手配以外の官公庁及び法人様お問合せ: info@celebrityworld.jp

※個人の方からのお問合せはお答え出来かねます。

————————————————————————————————-

航空業界の規制緩和とクルーズ業界

戦後、軍用機メーカーの旅客機製造への転換や、ライフスタイルメディアによる欧州旅行の宣伝などにより、航空旅行への憧れが高まり、大西洋横断旅行が拡大しました。

「いつかは飛行機に乗って、ヨーロッパへ!」

時間感覚の変化と共に、大西洋航路は定期客船から航空機へとシフトし、パン・アメリカン航空などがサービスを売りに旅客を奪い合いました。

1969年のボーイング747の就航は、航空旅行の「大量輸送時代」をもたらし、航空会社間の競争を激化させました。カーター・レーガン政権の規制緩和は、航空機の大型化とサービス規制緩和を推進し、競争は更に激化。パン・アメリカン航空などの大手航空会社が吸収されるなど、業界再編を促しました。

航空会社は、新たな需要開拓のため、料金体系の多様化、マイレージ制度の導入、ハブ空港の活用など、顧客囲い込み策を強化。規制緩和はカリブ海クルーズの大衆化にも貢献し、クルーズ会社は航空会社との連携を深めました。

カリブ海クルーズでは、全米からの乗客をいかにホームポートに集めるかが重要となり、航空会社はクルーズ乗客を「グループ旅行客」として捉え、クルーズ会社との間で大量予約やチャーター便の手配など、人流を確保する協力体制が構築されました。

多くのクルーズ会社は、社内に航空券発券システムを設け、クルーズ料金に航空料金を組み込むなど、航空業界と連携したロジスティックを構築しました。

————————————————————————————————

旅行手配の旅行会社様からのご依頼はこちら

旅行手配以外の官公庁及び法人様お問合せ: info@celebrityworld.jp

※個人の方からのお問合せはお答え出来かねます。

————————————————————————————————-

ラグジュアリークルーズビジネス

3種類の異なる客層のセグメント

クルーズのメッカであるアメリカでの旅行者のマーケット調査によると、クルーズ業界では主に3種類の客層が存在します。

・カジュアルクラス。
・プレミアムクラス。
・ラグジュアリー・クラス。

上記の3種類のうち、カジュアルクラスとプレミアムクラスは、「マスマーケット」と呼ばれており、市場の95%を占めています。この記事では詳細は割愛して、残り5%のラグジュアリークラスのマーケティングについて述べたいと思います。

日本において、クルーズという新しい旅行のライフスタイルがほとんど浸透していない頃から普及活動を行なっておりました。日本の場合は「富裕層のための旅行」という認識でしたので、日本マーケットの場合、ほとんど見向きもしないマニアな世界と見られていたのです。

小生も旅行業界に精通しており、クルーズのメッカアメリカでは気軽に温泉旅行やバスツアーに参加する軽いノリでクルーズを楽しんでいることをあからさまに見たのでです。

今から20年前にマイアミに出張した際、現地で旅行会社を経営していたオーナーから「クルーズを事業にするならラグジュアリークラスが良い」と言われたことが昨日のごとくこの言葉が蘇ってきたのです。

当時はその言葉を十分に理解できていなかったのですが、今になって凄く納得するものを感じます。そこでアメリカを中心にラグジュアリークラスのマーケットの調査に取り掛かったのです。

そして調査を進めていく毎に、ラグジュアリークラスの規模や客層のプロファイルが、よりセグメントできたのです。

大きな特徴としては客層が絞り込まれたラグジュアリー・クルーズには、世界周遊型であることが特長です。季節に合わせた多様な寄港地、その寄港地での観光やエンターテイメントに加え船上イベントが顧客のニーズ合った内容であるが非常に重要だと気づいたのです。

すなわち、アメリカ本土から行きやすいカリブ海など のゾーン型クルーズ運航を指向するカジュアルやプレミアム・クルーズとは異なり、ラグジュアリ ー・クルーズは、長期滞在のクルーズ旅行で一粒でも二度美味しい旅のスタイル「ワン・トリップ・ ツー・バケーション」の充実度を極めることが必須でした。

クルーズにおけるワントリップ・ツー・バケーションすなわち、食事等も含めた船上イベント とエンターテイメントの質や寄港地観光の充実度が重要な要素になります。その充足感が、リピ ーター率を高めます。

運航における多様な寄港地と企画力、船上におけるクルーズ旅行者の充実した1回の旅行で2度楽しめる「ワントリップツーバケーション」という旅のスタイルがゲスト(乗船客)の満足度による判定が事業の成功の可否を決めると言っても過言ではないことがあからさまになったのです。

画像
船長主催のウェルカムパーティーの一コマ

ラグジュアリークラスの顧客の特徴

カジュアルクラスやプレミアムクルーズとは異なり、長期滞在の体験型旅行の形であるラグジュアリークルーズの場合、船上での生活環境や、乗船客のライフスタイル、そして、その旅行空間に存在する人間の織り成す相性が最も重要な要素を占めることがより明確になったのです。

商品とサービスの基準は、受け手である顧客のフィーリングやその時の感情で判断される傾向が強いのです。

ラグジュアリークラスのクルーズの平均滞在日数は約2週間。

その間、見知らぬ者同士だった乗船客が顔を合わせる回数が増えていく毎に船上に於ける人間関係が多かれ少なかれ築き上げてくるのです。このような乗船客の動向を社会心理学的な視点で物事を判断する必要が出てきたのです。どのような生活環境を有した従業員が乗船客に接するのが良いのかなどが、船上での旅行体験を演出する上で、顧客満足度に繋がっていくのです。

ラグジュアリークラスの客船を好む客層を押さえるには、既存のクルーズ会社やそのクルーズ船客に対して、差別化・差異化を徹底して独自化を明確にして「WoW」(ワオ!)と驚かせる感動体験をゲストは求めているのです。

同業他社のラグジュアリー船社との差別化のためには何が必要か、それは将来の競争相手となる船社の分析を知ること。その上で、絞り込んだ客層にとって重要なものは何かを考え、新規会社としての既存会社との差異化・魅力度をいかにマーケットに伝えるかの答えを探求し、顧客に与えるインパクトが必要なのです。

プレミアムクラスから来た新しいラグジュアリークラスの客層は、アクティブな船上生活を望む傾向があります。

画像
外国船籍の客船で提供された日本人向け和定食

日本人でも毎日フランス料理が続けば飽きる

IT化と言われて久しい現代、今まで以上に進化したコンピューター・システムの導入や乗客の知的好奇心を満たすために、船上での多彩なカルチャー教室も重要です。

日本人のクルーズ乗船客にとっては非日常的と思われるのですが、反対にアメリカ人クルーズ船客にとって、船上に日常性にあふれたもので無ければないのです。アメリカ人乗船客にとって快適な環境を作り出すには、公用語は母国語である英語はもちろんのこと、通貨も両替不要のUSドル、食生活もハンバーガーやホットドッグも何時でも食べられること。つまり日常生活の延長をクルーズにも求められ、ゲストを魅了させるテーマなのです。

裏を返せば、非日常性は長続きしないのです。

毎日フランス料理のフルコースが1週間以上続くと飽きられるといった調査結果が出たのです。これは日本人がフォークとナイフを持ってフランス料理やイタリア料理など欧米人好みの食事が毎日続くとお茶漬けやそば、焼き魚定食などの日本食が恋しくなるのと同じ心理が働く傾向があります。

「飛鳥Ⅱ」や「にっぽん丸」「ぱしふぃっくびいなす」など、日本のクルーズ客船の食事メニューでも3ヶ月以上にも及ぶ世界一周クルーズの約80%は和食なのです。好んでラグジュアリークラスの客船に乗船するゲストの心を掴むには、非日常体験を味わいつつ、ライフスタイルは日常を忘れないこと。

そんな環境を作るよう心を砕いていくことが同業他社との差別化、顧客の方が勝手に選んでくれるクルーズ会社になることが最も大切な鍵となるのです。その対象とする客層に、最も近い販売網は全米の旅行代理店網のネットワークであり、それを味方に付ける必要でした。特に、クルーズ初心者にとって旅行会社が与える影響、つまり共存共栄する関係を持つことが必須です。

この様な差別化がマーケットに周知でき、就航後のプロダクトが期待通りならクルーズ業界の中でもラグジュアリー・マーケットでは旅行会社や乗船客の口コミを通してブランドの浸透は早いに違いないと確信していたのです。

幸いな事に、各種の調査、全米の旅行会社のネットワークやクルーズのリピーターとのコミュニケーションのおかげで、ラグジュアリー・クルーズの分野において、その先端を担っている当時の「ロイヤル・バイキング社」(現:バイキングクルーズライン)が 100%の支持を得ていないことを知ったのです。

ロイヤル・バイキング社は、このラグジュアリー・クルーズ業界で、一人勝ちの状態で有ったが、このクルーズ会社を所有するノルウェーの親会社3社が、彼らの本業である海運業での不振で、クルーズ業に対する意思の微妙な食い違いを生んでいた傾向があったのです。

画像
船上で繰り広げられるイベント

顧客と旅行会社のコミュニケーションが重要

それに加えてサービス自体が、マンネリ化し、顧客から飽きられ、 なおかつ他に競争がない事により、傲慢になりつつある傾向があった。これは競争相手がいない一つの独占であるが故の宿命であったのです。

リピーター比率が、高くなりすぎ、乗船客の平均年齢が 65 歳を超えるほど高齢化している現実でした。

そして時代の変化に対応できるような)新しい客を取り込む仕掛けに欠ける = 船上 における旅行商品開発力の陳腐化。同業他社への人材の流失により、プロダクトに貫かれていたシステムが変容し、適切なサービスに対する訴求力に欠けていたのです。

彼らの親会社3社としての将来のビジョンが、不明確な事に対して、不安を感じていた模様でした。

既に船隊も老朽化しているにも関わらず、次世代船隊像を描ききれないこと特に旅行会社の多くは失望していた様子でした。

当時プリンセス・クルーズ社によるロイヤル・プリンセス号の投入のニュースはロイヤル・バイキング社の船隊の老朽化を、さらに、印象づけるものであったのです。

当時、ノルウェーの親会社が、同じく同国資本である 「ノルウェージャン・クルーズライン社」から買収などを仕掛けられ、長期的な展望を開けるような環境でなかったのです。

これらの調査を通して、ラグジュアリークルーズのみならず、世の中のすべてにおける商品やサービスの初期ブランドの構築には以下の3つのことが重要と認識したのです。

1・旅行代理店や将来の船客に対する認知 が最重要であるが、今まだ形に見えるプロダクトがない状態では「誰が」このプロジェクトを推進しようとしているか、人材作戦を前面に出すこと。

2・ラグジュアリー・マーケットに出るには、既存のブランドとの差異化がどこまで出来るかがポイントであること。

3・マーケットとの接点においては、旅行代理店など販売網との共存共栄関係の構築が不可欠。

いずれにせよ、新規に始める会社が、成功するためには、このようなハードルを越え、プロダクトのブランド力を常に強化し、10年後以降にも、この業界で定評を得るような基礎を固める事が重要との判断したのです。

このようにして、ラグジュアリービジネスとはクルーズを通じて学ぶことが大きく、現在の富裕層インバウンドビジネスにも充分応用が可能だと確信し、現在に至るところです。

————————————————————————————————

旅行手配の旅行会社様からのご依頼はこちら

旅行手配以外の官公庁及び法人様お問合せ: info@celebrityworld.jp

※個人の方からのお問合せはお答え出来かねます。

————————————————————————————————-