アメリカマーケット調査による最適人材の相性とは

クリスタル・セレニティの寿司バー。シェフとの話のやり取りが楽しい

新生クルーズ会社として、多国籍乗組員を採用する前にこれから参入するクルーズ事業の基本は、ホスピタリティありきでした。

その基本には先見性にもとづいた配慮を必要として、それを提供するための人的資源の担当の確保が、新会社の組織の維持と評価にとって、極めて重要な要因と理解していたのです。

当時、新会社クリスタル・クルーズの船上滞在環境の構築には、乗組員は重要な人的資源であるとの位置付けで有り、彼らが安心してその 経験や能力を発揮するためには、公平な評価基準を経営者側と共有する必要があると考えたのです。

サービス業のクオリティに配慮をしてラグジュアリーな旅行商品を追求する新会社クリスタル・クルーズの経営の基本に、人材は資本財的性格に重点を置きつつ乗組員の労働環境がよければ、彼らの魅力に惹かれたクルーズゲストがリピーターとなり、大きな核になる客層を形成したのはすでに実証されていたのです。

それがクルーズ会社の経営と発展を支えるという構図を描いていたのです。乗組員こそクルーズ船客に最も近いところにいるクリスタル・クルーズにおけるサービス哲学の「伝道師」でした。

彼らが日常の業務で満足度が高 ければ、クルーズ船客にも感動を与える良い環境が出来上がり、結果として、彼らの「満足度」を高めることになるのです。

快適なサービスを提供する為に、現場における明確なエンパワーメント(権限付与)が乗組員をして、目先の人事権を持つ社内の上司ではなく、会社における自分の役割に向けられると雇用の確認が人材の能力を鼓舞し続け、顧客に受け入れられ、クリスタル・クルーズ社に対して忠誠心の高いリビーター組織「クリスタル・ファミリー」の輪を広げる事になったのです。

クルーズ客船がターゲットとしている客層の文化的な価値観とか、生活体験から来ている価値観に基づいている限り、多国籍船員(従業員)の持つ多様性は、新たな刺激を与え、船客との接点にいる人材の能力を最大限に発揮できるような組織が求められていたのです。

50 カ国 500 人を越えるスケール(一隻あたりの乗組員)は、期間雇用契約に基づく期間雇用であるけれども、会社としての確たる雇用条件が、彼らの仕事をする喜びや忠誠心を生むものとなるものです。

クルーズ事業の基本は、「ブランドを創る事業」であり、その計画の第 1 ステージ (新造船就航までの期間)では、ブランド価値を連想させる仕掛け、一例としてロゴマークのデザインなどはすでに手を打っていたのです。

さらに旅行商品の視点から他のクルーズ客船会社とクリスタル・クルーズは違うということをマーケットや将来のクルーズ船客にアピールしなければならなかったのです。その差別化の理由も説明しなくてはならなかったのです。

マーケットへの的確なサインを送る為には、クルーズ客船建造計画や そのプロセスの開示といったコミュニケーション戦略が重要な役割を果たしていたのです。

その過程で、これから採用する新会社の人材の持つ評価やそれに加えて「ブランド 活性化戦略の策 定」過程における旅行代理店など販売網の参画を推し進めるのが良 いとの判断であった。

アメリカのクルーズ市場におけるブランド認知戦略にあたって、アメリカのクルーズ・マーケットにおいては、サービス・プロバイダーの主観ではなく、船客層に最も近いマーケット、旅行代理店などデストリ ビューション・システムや乗船主導型で動いていると各種の調査などで理解していたのです。

従って、難問にぶち当たっときは常に最優先項目マーケットに聞く体制の構築だと考えていたようです。主観的な、思い違いなどを起こしやすい提供者価値ではなく、客観的な受益者価値の理解が必要でした。

船が就航していない 2 年間という圧倒的に不利な条件の中、ブランド構築をするには、そのプロセスにおいて絞り込んだ客層や、彼らを主たるクルーズ船客として抱える旅行代理店にはこのプロジェクトに参画を促し、積極的に「フォーカスグループ・マーケティング」の投入など検証システムを駆使。時には軌道修正もしながら、 船上の滞在環境のプログラムの開発設計をしていったのです。

そこでは、人間的な要因を前面に出したより真似されにくいサービスシステムや船上組織のデフェレンシェーションでマーケットに訴えるのが良いとの方向で固まったのです。サービスや船上組織などソフトは人的な要因が強く真似されにくいのです。

サービス面での差別化こそクリスタル・クルーズの生命線でしたので、マーケットのニーズを先取り。クルーズ船客が中心に居る滞在環境を新会社の核にすることをひたすら試行錯誤し、船上プロダクトに関して下記の面から更なる検証を行う事とした。

1・ クルーズ船客と乗組員とが織り成すクルーズ経験価値。

2・船上での人間関係での優位性は(サービスを提供する側と受ける側の相性。

3・ 滞在生活上の安心感。ホテル部門における欧州ホテルスタッフの起用。

4・ 優秀な乗組員の確保の為には彼らの居住空間に充分な配慮満足度)。

5・ スタッフの能力の「予見力」啓発システムの構築。

6・宿泊・滞在価値を高める為に自前のプロダクションショーと食事に付いては豊富なメニューや複数のレストランなどの積極的な運用。

7・ 現場への権限を大幅に委譲して現場で問題を迅􏰁に処理できる体制の確立。

1988 年半ばには、この様な検証をもとに、既に船上における商品企画)が検討されていた。 この時期、マーケットに対して、アメリカのラグジュアリー・クルーズの世界で

「なぜ、クリスタル・クルーズが必要なのか?」

の答えには、旅行代理店や将来のクルーズ船客などに意見聴取なのです。

最上のサー ビスを実現するためには、競合他社のプロダクトのみならず、積極的に陸上のリゾートホテルなどのサービスも導入し、快適な船上生活体験環境の導入を目指したのです。クルーズ船客の居住空間の充実や部屋の大きさ等にも配慮したのです。

「なぜ、クリスタル・クルーズを勧めるのか?」

このような動機付けの模索も始めたのです。

旅行代理店の要望を絞り込んで販売しやすいプロダクトを構築。これは旅行代理店のフレンドリーさを強調したものです。そしてゲストに対する再検証により、マーケットを更に再び絞り 込む作業に力点が置かれたました。

覆面調査・フォーカスグループなどの分析を駆使したマーケットの絞込みによる と、当時の我々 日本人から見た統計では、最も憧れと親しみがもてるアメリカ人であっても、この様な調査を通して立場が変わるとその見方も違う事を知らされたのです。

本音と建前の違いもありますが、当時アジア人やアジアの文化などに最も遠いアメリカ人とも言えるユダヤ系アメリカ人マーケットでは、 一般のアメリカ人とは異なった反応があったのです。

彼らの多くは日本に対して特別好意的というわけでもなく、今でも真珠湾攻撃や太平洋に関わる戦争が製作されると、大きな ニュース(特に12 月 7 日は太平洋戦争記念日としてニュースで真珠湾攻撃の映像がアメリカでは終日流れる)として報道されている現実から、ユニフォーム姿の日本人には違和感を持っている人たちが多いことが見受けられるのです。

好き嫌いという感情ではなく、日本人乗組員のユニフォーム姿には、彼らがドイツ・ナチスに対 して抱くのと同様な異質な民族感情が存在しているのではないか、といった側面からの調査を行 なうことも怠らなかったようです。このような感情が、ドイツ船「オイローパ」などはアメリカの旅行代理店や船客の離反感情を生み、アメリカ人船客は皆無に近いと言われていたのです。

つまりアメリカの市場を把握できなかった結果でもあると伺えるのです。各客層の旅行動向を的確につかむ努力が重要であり、主要客層であるユダヤ人社会を徹底的に知り尽くすことで、彼らが望まないクルーズ商品を創らない努力も必要であったのです。

その後も、いろいろな局面で、ユダヤ系船客への反応には充分配慮をする必要が生じた。

2003 年 のイラク戦争では、ユダヤ系政治圧力やクリスタル・クルーズなどラグジュアリー・クルーズ客船の主流でもあるユダヤ系クルーズ船客のフランスに対する歴史認識や感情などが、徹底的にイラク寄りのフランスを悪者にした。

その状況下での第三船「クリスタル・ セレニティ」の就航では、造船所の代替えは出来ないが、女優ジュリー・アンドリュースをゴッド・マザーとした命名式を、イギリスに移し、その後の同船の地中海就航時も、カンヌやニースなどの南フランスの寄港を回避した模様です。

これも「マーケットに聞く」姿勢を保った調査の結果でした。

——————————————————————————————-

さまざまな成功事例を踏まえて創業者の30年以上の集大成のため情報量が膨大です。時間がなく早めにご自身のビジネスを具現化をされたい方以下からお問合せください。

旅行手配の旅行会社様からのご依頼はこちら

旅行手配以外の官公庁及び法人様お問合せこちら

———————————————————————————————