イギリスのクルーズ市場

ロンドンの外港サウザンプトンに停泊中のクイーン・エリザベス

日本ではクルーズ元年といわれた 1990 年前半クルーズ人口と近いレベルで推移していたイギリスは、今や年間、150 万人(2008 年前年比、11%増。日本:83 万人) のクルーズ客を擁するクルーズ送客国になりつつあります。

内訳は、イギリスを拠点とした近距離クルーズ旅行者が約60 万人、航空機を利用して、 アジアや南太平洋なども含めた遠隔地におけるクルーズ乗客は、90 万人となっています。

この島国、イギリスのクルーズの発展の過程を考えると、日本やアジアの将来も読めるヒントが隠れているかと思われます。

クルーズは運航会社の観点で見ると、寄港地選定と集客マーケットの 2 つのマーケットが存在します。この2つの観点は、密接に連動しながらクルーズ市場を広げています。

配船先を決める配船先や寄港地選定は1〜2年前から誘客策を検討します。配船先を決める際に、寄港地がクルーズ愛好者たちが訪問したいと思う好奇心に応え得るかどうかが大きな判断への影響を与えるのです。

クルーズ運航会社は、配船先や寄港地の選定計画は、 自らが抱える客層やリピーター、販売網である提携先である大手の旅行代理店網などの動向や、現地における受け入れ体制など、インフラの検証などを通して決めることになるのです。

配船先は、クル ーズ運航会社の営業的な成否を掛ける生命線でもあります。

最近のイギリスのクルーズ市場の急激な伸張は、この配船先として、アメリカ船による、ヨーロッパ・地中海 配船による影響が大きいと思われます。

配船先のマーケットとして、イギリスの諸港は、ロンドンという空路のロジステックスの 優位性を前面に押し出し、ヨーロッパにおける地勢的な優位性を認識。早い時期から配船先エリアの中で、それぞれの役割を理解しクルーズ産業の成長を考えていたのです。

例えば、大陸に面するドーバーは、ヨーロッパの EU 化の動きに早くから対応をしたのです。

当時、ドーバー港は、対岸にあるフランスのカレーやベルギー諸港などへのフェリー船の基幹港として隆盛を誇っていました。しかしEU 化の動きの余波でフェリー運航会社が、その収益源で有るデューティー・フリー・ビジネスが消滅する動きに危機感を覚え、早くから対応を決め込んでいたのです。

彼らは、1990 年代初めから、夏のヨーロッパの用 遊を基本としていた、アメリカのラグジュアリークルーズ船社に対して、北欧クルーズ拠点としての優位性を説いていたのです。

クルーズ客船社の北欧クルーズのホームポートとしての売込みを行い、南のサウザンプトンは、タイタニックの時代から大西洋横断クルーズの拠点や北欧から南欧クルーズへの季節の変わり目のポジショニングクルーズ での拠点としての売込みを行っていたのです。

これが、ラグジュ アリー・クルーズ運航会社のみならず、船腹過剰気味の北米の後発のプレミアム・カジュアルクルーズ客船社運航船社(比較的大型船型が多いことにの関心を得たのです。

このような背景で、多くのクルーズ各社が、本来の北欧クルーズであっても、 イギリスをホームポートにして運航しているケースが多いのです。

その結果、イギリスを起点にしたクルーズは、空路での移動を伴わないイギリス人乗船客が多数乗船している。外国船、特にこの場合アメ リカのクルーズ客船を、イギリス近海に誘致する努力が結果として、 イギリス人クルーズ客の増加に貢献してます。

ロンドンにはヒースローとガトウィック2つの国際空港が存在し、国際空路のハブ空港としての機能はロンドンから地中海などへの空路による移動を容易にしているのです。

アメリカのクルーズ会社は、この様なイギリス人船客に対して、航空会社との提携などにより、新しいフライ&クルーズのコンセプトを導入。そして新しい運賃体系を確立し、 誘客策を展開しているのです。

イギリスのクルーズ集客の観点から、言葉の問題や食事などのライフスタイルの事を考えるとアメリカ人ゲストの多いクルーズ客船は英語が通じ、食事もそれほどの違和感がありません。

アメリカのクルーズ客船にとってカナダを含めてイギリス、オーストラリアの3ヶ国の英語圏クルーズ乗船客が、国際客層の中心となっているのです。

統計などから、イギリスのクルーズマーケットを掘り下げていくと、その特徴として、フライ&クルーズが多いが、地中海&黒海で年間約45 万人、カリブ海エリアは約20 万人送客しているのです。

さらに「タイタニック」などに見られるような、彼らの潜在的な昔から大西洋横断の願望やアメリカと言う寄港地(観光地)の魅力もあり、大西洋横断クルーズのポジショニング・クルーズとして年間約4万人強のクルーズ乗船客を送り出しているのです。

寄港地してのイギリスの地勢的な優位性が、アメリカのプレミアム、カジュアルマーケットを対象としたクルーズ客船社の参入で、サービスや選択肢が増えた事により 当然クルーズ期間や値段にも多様な選択肢が、大きく貢献している事が伺えます。

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